恒心文庫:全方角に祝福を
本文
IT法務のフロントランナーとして有名だが、実は日本の伝統行事にも強い八雲法律事務所では、2月3日に節分を祝う行事が行われた。
節分といえば恵方巻である。恵方というのは、十干のうちの1つ、すなわち甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸から1つ
(正確には、戊・己が中央を意味し方角を意味するものではないため、それを除いた8つ)
をさす。その方角にその年の福徳を司る神である歳徳神がいるので、恵方となるのである。
甲が北寄りの東、以下戊・己を除いて45度ずつ時計回りに割り当てられ、今年は丙(ひのえ)、東寄りの南である。
しかし、出雲の国つ神の末裔であり、化身である山岡裕明・八雲法律事務所代表が、特定の方角だけ優遇するのはよいことなのか、
神として全方角に祝福を与えなければならないのではないか、という意見が所属弁護士から出された。
検討の結果、恵方を重視しつつ、全方角に祝福を与える方向でこれまでの行事を改変することになったのである。
スケッチ担当の小林弁護士、動画収録担当の阿部弁護士、そして山岡代表を除いた10名の男性弁護士が、まず籤を引き、十干の1つ1つを担当する。
そして全裸になり、戊・己以外の8名は、身を清めて左乳首が捻られて神を降ろした白装束の山岡代表を取り囲む。
もちろん甲に当たった者は代表を中心とした北寄りの東…というように、方角を守って取り囲む。
そして代表は、丙に当たった弁護士―今年は星野弁護士―の猛り立った「恵方巻」を口に含むのである。
代表が男根を口淫するのは下手だといわれているが、神の化身となった行事中は、凄まじく上手になり、
昨年の包茎手術の傷も癒え、力強く恵方巻を怒張させていた星野弁護士はすぐに自らを収縮させてしまった。
そのあと、山岡代表は時計回りに「恵方巻」を食す。
そうして全方角に祝福を与えた後、戊・己の中央―今年は杉本弁護士と菊地弁護士のベテラン勢―に祝福を与えなければならない。
まず戊に割り当てられた杉本弁護士が、代表を四つん這いにして、自らの「恵方巻」を代表の下の口で食べさせる。
上の口でないのは、下の口がより神の化身である代表の中央に近いという意味であり、中央である戊・己に割り当てられた者に与えられた、ある意味特権である。
山岡代表が恵方巻を食すときに言葉を発すると福が逃げてしまうため、下の口で食すときは、上の口に猿轡をはめる。
それで抽送を繰り返した杉本弁護士は、恵方巻を白い液に変換することに成功した。
そのあとは菊地弁護士が180度代表の方角を変えて、同様に下の口で恵方巻を食させた。
最後に代表の右乳首を捻って、神を天上に送れば、儀式は終了である。
行事の後は食事である。コンビニエンスストアなどで売っている恵方巻を食すのかと思いきや、
日頃の激務によるストレスの発散という意味なのか、それとも酒に合う料理ということなのか、
多くのビールと共にふるまわれたのはデリバリーピザであったという。
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
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