ポア
ポア(ぽあ)、ポワ(ぽわ)(チベット語: འཕོ་བ། ʼpho ba /pʰo˥.wa˥/、梵語: སཾ་ཀྲཱནྟི། saṃkrānti、英語: phowa)とは、チベット仏教の用語。
概要
元来の意味
チベット仏教において、「魂を移し替え高い次元に転生させる行為」を示す言葉である。
オウム真理教において
しかし、麻原旧尊師が前述の「高い次元に転生させること」を「悪いものが地獄に落ちるカルマを積む前に魂の移し替え(=殺害)をしたほうがいい」という形で解釈していった結果、オウム真理教においては「殺人」を意味する言葉へと変貌した。オウム事件裁判においては「ポア」を殺人と認識していたかどうかで激論が交わされ有名となった。
例えばここにだよ、Aさんという人がいたと。いいですか。このAさんは生まれて今まで功徳を積んでいたので、このままだと天界へ生まれ変わりますと。いいですか、ここまでは。じゃあ次の条件ね。ところが、このAさんには慢が生じてきて、この後、悪業を積み、そして寿命尽きるころには、地獄に落ちるほどの悪業を積んで死んでしまうだろうと。いいですか。こういう条件があったとしましょうと。
つまり、ここで出てくるのは天眼、来世を見つめる力、あるいは宿命、前生の力、あるいは漏尽、相手のカルマを完全に見つめる力といったような、いろんな神通力の要素がありますよと。いいですか。
じゃ次にだ。このAさんを、ここに成就者がいたとして、殺したと。この人はどこへ生まれ変わりますか。天界へ生まれ変わる、そのとおりだね。しかし、このAさんを殺したという事実をだよ、他の人たちが見たならば、人間界の人たちが見たならばね、これは単なる殺人と。いいかな。そして、もしだよ、このときにAさんは死に、そして天界へ行き、そのときに偉大なる救世主が天界にいたと。そして、その天界にいた救世主が、その人に真理を説き明かし、永遠の不死の生命を得ることができたとしましょう、Aさんが。いいですか。このときに殺した成就者は何のカルマを積んだことになりますか。
すべてを知っていて、生かしておくと悪業を積み、地獄へ落ちてしまうと。ここで例えば、生命を絶たせた方いいんだと考え、ポワさせたと。この人はいったい何のカルマを積んだことになりますか。殺生ですかと、それとも高い世界へ生まれ変わらせるために善行を積んだことになりますかと。ということになるわけだよね。でもだよ、客観的に見るならば、これは殺生です。客観というのは人間的な客観的な見方をするならば。
しかし、ヴァジラヤーナの考え方が背景にあるならば、これは立派なポワです。
恒心教において
「殉教」も参照。
これに倣い、オウムの後継団体を自称する恒心教では、掲示板への書き込みや外部サイトへの投稿作品・アカウント等が削除される事、個人情報が特定される事、逮捕されてしまう事をポアと呼ぶ事がある(ただし逮捕のニュアンスの際はポアよりも殉教の方が使用されることが多い)。
同時爆破予告事件の際に安藤良太正大師がポアの用語を使用、出口保行の醜態を引き出した。
唐澤貴洋とポア
ちなみに、現尊師である唐澤貴洋は弁護士では珍しく、日本の死刑(=国家によるポア)制度について「人の世には理屈で解決できないことがある」として賛成している。やはり尊師なのである。
https://twitter.com/callinshow/status/1372557117345820675(魚拓) |
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死刑は、必要だと考えています。 |
とはいえ、唐澤は弟の厚史の自殺[2]で失くし、また「弟を失ったことが全ての起点である」としている為、弟を自身を美化する道具程度にしか認識していないように見えるのも事実だがその人生経験上、死刑制度に賛成するのは何ら不自然ではないと言ってよいだろう。
類似例として、かつてオウムの幹部らに友人を奪われ、自らも殺害されかけたことがある滝本太郎弁護士も、死刑制度に賛成する発言をしている[3]。
なお、旧尊師の国選弁護人の一人である安田好弘弁護士は、両者と対照的に死刑反対派として有名である。
ポアにまつわる言葉
特記が無いものは旧尊師の言葉。
- 「ポアするしかないな」 - 田口事件にて
- 「ポア、するしかないか」 - NHKスペシャル未解決事件にて
- 「今ポアをしなければいけない問題となる人物はだれと思う。」 - 坂本弁護士事件にて
- 「現代人は生きながらにして悪業を積むから、全世界にボツリヌス菌をまいてポアする。」 - 武装化初期にて
- 「これからポアを行うがどうだ。」 - 落田事件にて
- 「ポアしかないですね。」 - 落田事件にて、マンジュシュリー・ミトラ正大師(村井秀夫)
- 「自白をしようがしまいが、どちらにしろ、ポアだ。」 - 富田事件にて、ミラレパ正大師(新実智光)
- 「ポアもやむなし」 - 村井秀夫刺殺事件における「口封じ説」にて
- 吹いたらポア - ニコニコ動画のタグ「吹いたら負け」のオウムバージョン
- 「急に書き込みが無くなったなポアされたか」 - 2014年1月25日カラザイル掲示板にて、名無し(核撃てば尊師)
- セルフポア - 自らポアすること。恒心教徒によって使われる言葉
- ガチポア - 恒心教において、オウム同様に「殺人」の意味合いでポアを使用する場合、このように表記されることがある
- 「全員ポアナリ」 - 2016年の同時爆破予告事件で送られた爆破予告のメールにて
- 「ポアしますよポア」 - 2019年にTwitterに投稿されて話題になった、電車の中で叫びながら傘を振り回す男の言葉
- 「ポアされました」 - 2020年のゆゆうた騒動にて特定された木口創太郎が「登記簿」と称して上げたふざけたスクショの内容
- 「Go to Phowa キャンペーン」 - 2020年のゆゆうた騒動の過程で編み出された大規模なテロ予告。Go to Travel キャンペーンが元となっている
脚注
関連項目
オウム真理教 | |
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教団関係者 | 青山吉伸 - 麻原彰晃(旧尊師) - 村井秀夫 - その他の幹部・信者 - 横山昭二 |
後継・派生・関連団体 | Aleph - ひかりの輪 - 山田らの集団 - ケロヨンクラブ - 恒心教 - その他 |
敵対・批判勢力 | 宇都宮健児 - 大崎警察署 - 紀藤正樹 - 坂本堤 - 滝本太郎 |
番組・手記 | NHKスペシャル 未解決事件 File.02 オウム真理教 - 麻原裁判をふり返って |
用語 | ヴァジラヤーナ - カルマ - 空中浮揚 - サティアン - 師 - 正悟師 - 正大師 - 尊師 - ダーキニー - 超越神力 - プラーナ - ポア - ホーリーネーム - PSI |
恒心教に与えた影響 | 麻原彰晃掲示板(サンラクシャカ) - 面白い愛の戦士 - 唐澤貴洋(現尊師) - 急に書き込みが無くなったなポアされたか - 智津る - なんだお前オウムか - 福山紘基 |
カルト宗教仲間 | 阿含宗 - イスラム国 - エホバの証人 - 幸福の科学 - 創価学会 - 統一教会 - パナウェーブ研究所 |
その他 | イスラム教 - オウマー(ネット文化) - 北朝鮮 - キリスト教 - 仏教 - 例のアレ |