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恒心文庫:光あれ(2021年)

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「やめるのじゃ貴洋!一体何を考えておるのじゃ!この国が唯一原爆を落とされた国であることを忘れたのか!」
父洋の叫び声が虚しく響き渡る。
唐澤貴洋には父洋の言葉なぞもはや届かなかった。
なぜこのようなことになっているのかというと、洋の息子である貴洋が森公高と協力し
軍需産業を掌握、秘密裏に核兵器を作り、度々核実験を行なっていたことが洋に露見したからである。
洋は2人の黒服の男に両腕を抱えられもう1人に頭を踏みつけられ蹲させれていた。
「洋よ、なぜ当職の思想に共鳴しないナリか、当職は優しい世界を作るナリ、邪魔だてはたとえ父といえど許さないナリ」
洋は蹲いながらも必死に言い返す
「お前は騙されておるのじゃ!あの男はお前の理解者などではないぞ!今からでも遅くは」
洋の言葉を遮るように貴洋が言葉を発した
「連れて行くナリ、しかし洋は我が父、殺すことは到底許されることではない、一先ず洋には核の光を浴びてもらうナリ、青い綺麗な光ナリよ?」
洋は別室に連れて行かれた。
黒服の男が操作する機械によって
洋の眼前でウランが臨界に達する、バシッという音と共に洋の眼球の水晶体の水分に反応し、チェレンコフ光が一瞬だけ見えた。

貴洋は自分に言い聞かせるように呟いた
「洋は当職の手にかかって死んだわけではない、重度の放射線障害によって死ぬナリ、これは不幸な事故ナリ」
貴洋はおもむろに立ち上がるとボタンに指をかけた、小型の原子爆弾の発射装置である。これを発射しても東京丸々吹き飛ぶわけではないのだ、うっかりボタンを押して誤作動させないようにボタンを押した後貴洋が決めたキーワードを言わねばならない。
貴洋は自分の元を出て行った裕明の所にぶち込むつもりである。
貴洋はボタンを押しキーワードをボソリと呟いた。
「光あれ」
この日東京都千代田区の一角が烏有に帰した。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

挿絵

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