恒心文庫:端午の節句ーY法律事務所の場合

本文

端午の節句は、子共の健やかな発育を願う日である。
とはいえ、昨今の都市化と核家族化で、行われるべきことが行われなくなってきている。
そこで有職故実に強いY法律事務所では、端午の節句の儀式を古式を取り入れつつ行っている。

子共が大人になる行事といえば、いわゆる夜這いである。
経験豊富な女性の下で性行為を体験し、童貞を喪うという通過儀礼を経て、大人になるとされる。
しかし、これは農村ならともかく、貴族や武家といった支配階層の世界では成立しない。
なぜなら、いずれも女人禁制の男性社会だからである。
したがって、いわゆる男色、あるいは衆道といった行為が行われてきた。

やや前置きが長くなったことをお詫びしたい。
内実が伴っているかはともかく、現在の支配階層を自認するY法律事務所の弁護士たちは、古式に則り、積極的に衆道を取り入れた行事を行っている。
まず、レプリカの兜と、鎧の絵が描かれた浴衣
(Y法律事務所設立初年は本物の鎧兜を纏ったが、後述の行為に支障が出るため2年目から簡易化された)
を着けた3人の男性弁護士が、「エイエイオー」などと掛け声を上げる。
そして股間の「刀」を取り出す。鎧兜と共に刀を身に付けてないのはこのためである。
3振の刀を見比べ、大きさや力強さを比較し、その順に「童子切」「三日月」「鬼丸」と名付ける。
(言うまでもないが、Y法律事務所の男性弁護士選考基準は「刀」の大きさであるため、大きさには差がない。
その日の体調等で少しずつ大きさや力強さが異なるから、毎年誰が「童子切」になるかは不明である)

そして「童子切」所有の弁護士が、
「我が童子切、いざ見参!」と叫び、代表弁護士の秘門に刀を突き立てる。
これは戦いであり、刀が白濁液を放出するのが先か、代表弁護士が壊れてしまうのが先か、勝負である。
「三日月」「鬼丸」の所有弁護士は代表弁護士に加勢し、彼の卑猥な乳首を捻る。
そうして秘門の締まりを良くし、戦いを終わらせようとするのである。

白濁液が出され、刀がもはや名刀でなくなったあとは、「三日月」「鬼丸」が次々と突き立てられる。
最後、鬼丸が勢いを失った後、再び「エイエイオー」などと掛け声を発し、最も長く刀を保った弁護士が表彰され、彼の刀は1年間槍に昇格し、「日本号(ひのもとごう)」と呼ばれる誉を受けるのである。
こうして端午の儀式は終了である。



なお、この法律事務所には女性弁護士も1人いるが、端午の節句の儀式の際は女人禁制ということで、ゲイの男達から離れてバカンスを楽しんでいたそうな。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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