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唐澤貴洋の発言一覧/テラスハウス問題

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テラスハウス問題とは、フジテレビの人気番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花が、SNS上での誹謗中傷を苦にして2020年5月23日に自殺した問題である。
本項目では、この事件についての尊師のコメントと、その問題点について記述する。事件そのものの経緯や概要についてはこちらを参照されたい。

発言の推移

Twitterの恒心再開(2020年3月20日)

スパム広告目的で設置された恒心法律綜合事務所のTwitterは2014年6月の恒心を最後に、約6年にわたり放置されていた。ところが、「週刊文春」2020年3月26日号に森友学園問題で自殺した財務省職員が遺した告発文書が公開されたことをきっかけに、2020年3月20日から再び頻繁に恒心されるようになった。このSNS復活の流れから、木村花に関する一連のコメントに繋がっていく。

Twitterの恒心(2020年5月24日)

木村自殺の翌日となる24日、尊師の怒涛のTwitter恒心が始まる。ところが、他の弁護士のような誹謗中傷を戒めるもの、法的対処を勧めるものではなく、法改正やTwitter社のプライバシーポリシーを無視した開示を求めるものであった。
プライバシーや表現の自由との兼ね合い、(特に加害者の多い炎上事件における)責任の軽重の判断の難しさなどを無視した過激な主張に教徒は驚愕した。

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264535717755023363(魚拓)

尊い命が失われた。
誹謗中傷によって。
このような事態はもう許されない。

プロバイダ責任制限法、刑法を改正し、ツィッター社がきちんとした対応をして、発信者が被害者負担なく特定され、損害賠償責任を相応の金額負担して、重い刑事罰を受けるようにしなければ、この事態は無くならない。

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264535835870810113(魚拓)

法律を変えるしかないんだ。

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264536037738438657(魚拓)

誹謗中傷している側は、感情の発散をしているに過ぎない。
それで人の命が失われていいのか。
国会議員は目を覚ました方がいい。

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264536203186941952(魚拓)

立憲民主党はやる気があるのか[1]

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264536346502107137(魚拓)

もう終わりにしよう。
こんな殺伐とした世界。

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264536520335036416(魚拓)

声なき声に力を。
愛なき時代に愛を。
被害者救済に新しい時代を。

https://twitter.com/KoushinLawfirm/status/1264541676623687680(魚拓)

ツィッター社は、木村花さんの件で、誹謗中傷したアカウントを自発的に警察に提供し、告発すべきである。
ツィッター社はこの事態について何ら声明を出していない。
企業として社会的責任を果たすべきだ。

弁護士ドットコムニュースへの登場(2020年6月8日)

事件発生から2週間程度経過した2020年6月8日に、弁護士ドットコムのインタビュー記事に尊師が登場。

ツッコミどころの多い記事であり、他にも「他人事ではない」「お会いしたことはなくともショックです」、などの白々しい発言が鼻につく。

また、冒頭の紹介において尊師について「ネット中傷の被害者を精力的に助ける一方、~」とされている。尊師が、自分で炎上被害者を見つけてきて救済した、プロボノ[2]として極端に安価な報酬で業務を行った、といった事例は確認されていない。むしろ『炎上弁護士』において「新規の客はおらず、知り合いからの紹介がほとんど」とされており、受動的に、業務としてパカ弁をやっているものと思われる。弁護士ドットコムが何をもって「精力的に助け~」としたのかは不明である。

主な問題点

  • テレビ局の責任を問う節があるが、非常に曖昧な物言いに留まっている。
    • 大企業であるテレビ局と出演者の力関係、番組出演の任意性に留まらず、「やらせ」に関わる放送倫理など多くの法律的な問題があるにも関わらず踏み込まない。
    • 尊師が言及している『花が鼻につく』はフジテレビが公式に配信した動画であり、局側が積極的に中傷を煽った代表例とされていたが、そういった説明が無い。
  • 「アルコール依存に陥った」としている。
  • 「ネット上の誹謗中傷を簡単・低額で相談できる第三者機関の設置」
    • 長谷川亮太は、法律問題を簡単・無料で相談できるサービスである「法テラス」から尊師を紹介されている。これ以外のどういった機関を想定しているのか不明。
  • 安易に名誉棄損罪の量刑を傷害罪と同様に引き上げることを主張している。
    • 名誉棄損罪、ないし侮辱罪は社会的な名誉を守る法であるため、要件には「公然と」発言を行うことが必要。尊師の主張する「精神的な負担」は公然であるかを問わないと思われるため、保護法益の変更など大きな解釈の変更が必要で、非現実的。
    • 量刑を引き上げたところで実際に課される刑がどの程度かは別問題であり、量刑を上げれば刑が重くなるわけではない。
  • 週刊誌、ラジオといった既存メディアは誹謗中傷行為を行わないとしている。
    • 週刊誌に顕著であるが、芸能人への誹謗中傷記事が掲載されることは頻繁にある。[4]
    • 既存メディアに関しては、行き過ぎた取材合戦などの特有の問題[5]があるにも関わらず、無批判に称揚している。

「週刊文春」における木村花の実母の証言

2020年7月2日に発売された「週刊文春」7月9日号[6]に、自殺した木村花の母親である女子プロレスラー・木村響子のインタビューが掲載された。
引用文中の年齢以外のカッコ書きはすべて編集者注。

「自殺の8日前、娘から“やらせ”を打ち明けられました」。花さんの母・響子さんが初めて口を開いた。「娘が遺していたLINEや契約書、すべてお見せします。スタッフの指示通りにしただけなのに、なぜ娘がバッシングを受け、死ななければならなかったのでしょうか」
「このままだと花の死が『暴力的な女子が男性に乱暴を働き、SNSの批判を苦にして自殺した』というストーリーで片付けられてしまう。真相は、全然違うんです。彼女はスタッフの指示通り、ヒール役に徹しただけ。私も娘から話を聞いていたし、彼女の携帯電話に証拠は全部残っています。大人たちにウソをつかれ、丸め込まれて最後は逃げ場がなかった。亡くなった今、せめて花の名誉を回復してあげたい。応援してくれた方々にも真実を知ってほしいと思ったからこそ、取材を受けました」
 女子プロレスラー木村花さん(享年22)の写真を手に、涙ながらに語るのは、母親の響子さん(43)だ。
 事件後はじめて取材に応じた響子さんは十時間にわたり、“やらせ”をはじめとする「テラスハウス」への不信感、そして愛娘への思いを明かした。
 YouTubeに未公開映像が公開された翌日の五月十五日、花さんは、響子さんと共に、祖母の誕生会を開いた。
 その帰り道、響子さんは花さんを自宅まで車で送る。すると助手席に座る花さんが涙を堪えていた。響子さんは車を止めて娘と向き合った。
 花さんはこう語り始めた。
「テラハに出た当初からプロレスラーらしく振舞えって……。一のことを百にして盛り上げて欲しいって言われて。コスチュームの件(炎上のきっかけとなった番組内のエピソード)はスタッフにめっちゃ煽られた。『いいじゃん。あんな奴(木村のコスチュームを洗濯機で傷めたとされる男性共演者)、ビンタぐらいしたらいいじゃん』って。盛り上げなきゃと思ったけど、プロレスラーとしてビンタはさすがにできないから(格闘家が素人相手に傷害事件を起こした場合、刑事的な処分も重くなる上引退を余儀なくさせられるケースも多い)、苦し紛れで帽子をはたいたの。スタッフは信用できないよ」
 響子さんが振り返る。
「この時、初めて花からテラハの話を聞き、撮影現場で想像以上のことが起きていると驚きました。花の不注意もあってコスチュームが縮んだことは事実ですが、スタッフが『ビンタしたら』って……。花の言動を炎上の燃料に使っているのは明らかでした」
 そしてついに五月十八日には、地上波のフジテレビで第三十八話「コスチューム事件」が放送される。Netflix会員ではない視聴者も加わり誹謗中傷はさらにヒートアップ。

さらに、文春の記事では労働問題に詳しい生田秀弁護士がコメントを寄せている。

 なぜ花さんはスタッフの要求に従い続けたのか。そこには“契約書”の存在があった。花さんがフジテレビと制作会社のイースト・エンタテインメントと一九年九月二日付で交わした「同意書兼誓約書」だ。
(中略)
 特に目を引くのが「演出指示に従う」という次のような一文だ。
〈私は、本番組収録期間中のスケジュールや撮影方針(演出、編集を含みます。)に関して、全て貴社らの指示・決定に従うことを誓約します〉
 労働問題に詳しい生田秀弁護士が指摘する。
 「契約に違反し、放送が中止になった場合、放送回分の制作費を最低限とする賠償額を請求するとありますが、これは数百万、数千万円単位の金額となるはずです。つまり番組の指示・決定に従わなければ、巨額の損害賠償が発生する可能性があり、出演者が演出を含めて番組の意向に背くことは現実的に難しい。『台本なしで自由に暮らす』という番組の看板に偽りがあると認めるようなものです。出演者の意思でリタイアできないなど対等性を欠く面もあり、非常に拘束性の高い契約と言えます」 

この記事によると、木村は単純に誹謗中傷を苦にしていただけでなく、フジテレビの一方的な契約書によりテラスハウス出演を中止することができず、しかもスタッフの要求が木村の特性を考慮しない理不尽なものであったという。
すなわち、視聴者の中傷は問題の一端に過ぎず、木村をヒールとして炎上の燃料とし、またそのリスクに対して相応のケアや退避を用意しなかった番組側の姿勢が問題の大きな部分を占めていると言える。
先述の弁護士ドットコムの記事はこういった裏事情が分かる前のものとはいえ、世論を鵜呑みにして誹謗中傷が主原因と断じていた上、「私が出演したときは台本があり演出されているものと思っていました」などと事情通のようなことを言いながら、「演出に従わなければ数百万を請求する」という契約を交わした番組を「リアリティー番組」として放送していた問題には何ら触れなかった放送局への気遣いから、尊師はまたしても嘲笑を浴びることとなった。

なお、木村響子はネット規制の強化に関しては反対していない。[7]

「テラスハウス問題」に関連した尊師発言の問題点

このようにして見ていくと、テラスハウス出演により木村が自殺に至った背景には、

  • 木村をヒールに仕立て上げようという演出
    • キャラクター付けの演出があったにもかかわらず、「リアリティー番組」として木村の自由意思で行ったかのように放送した「やらせ」問題
  • その演出に伴う、視聴者からの批判・中傷
  • 演出・出演の拒否や中止が難しい不利な契約

の3つの問題があったことが分かる。

当然、木村の自殺を論ずる際にはこの3つの問題を追及しなければならないが、この3点について尊師の主張を見てみると

  • TV番組には台本があり演出があるものであり、番組の性質に関わらずそれらが存在するとして視聴するべきだ。
  • ネットで誰かを批判しても何も良いことはない。自分の人生の目標に向かってはどうか。
  • 契約については言及無し(木村母のインタビュー記事で判明した事実が多いため当然)

となっている。

つまり、「TV番組は全て演出のあるフィクションであり、内容や発言の真実性を求めてはならない。」「他人の行為を批判することは無意味である」という一般の感覚から極めてかけ離れたものになってしまっている。
当然と言えば当然だが、尊師が今までしてきたテレビ出演の意図や内容、様々の批判の意図との整合性についても問われる内容である。
また、極めて不利な契約内容などの裏事情が伝わってからも全く言及をしておらず、木村母の危惧した「『暴力的な女子がSNSで批判され自殺』というストーリーの追認」に一役買っているといえる。

また、同記事内で尊師が主張している法改正についても、過激かつ現実味が薄い上、後に掲載する弁護士が指摘するような、違法性のある中傷と真っ当な批判の線引きの難しさ、スラップ訴訟増加の危険性といった副作用に全く触れていない。


被害者である僕が憎悪を向ける対象ではありませんでした。と、自らをプロのパカ弁ではなく炎上被害者と認識させるなどのいつもの悪徳振りも垣間見えた。

このような状況を総合的に考慮すると、尊師は木村花の自殺に「便乗」し、「番組出演者がSNS炎上を苦にして自殺」というストーリーを追認して弁護士タレントとしての活動場所であるTV局に肩入れし、一方で盛り上がる世論に便乗して言論封殺・スラップ訴訟といった副作用を隠したままパカ弁の活動しやすい環境[8]をどさくさに紛れて作ろうとしているのであろうと思われる。

「テラスハウス問題」に関するまともな弁護士の記事

テラスハウス問題が起きた後に、法的な観点から自らの見解を述べた弁護士が複数存在する。「テラスハウス問題」における尊師の一連の発言がどれだけ偏ったものかという位置づけを再確認する上でも有用と思われるので、以下に関連記事のリンクを記載する。

文春オンライン:弁護士が解説 木村花さん死去、テラハ番組側に法的責任は問えるのか?田畑純 弁護士(2020年6月6日)
該当記事へのリンク(魚拓))

海外の類似番組におけるトラブル事例を挙げ、放送局の法的責任追及とその限界を論じている。


Business Lawyers:リアリティー番組に潜むリスクと製作者の法的責任―「テラスハウス」事件を二度と起こさないためにできること 國松崇 弁護士(2020年6月23日)
該当記事へのリンク(魚拓) )

大手キー局TBSの企業内弁護士としての経験を持つ筆者による「リアリティー番組」に関する論考。客観的な立場から述べられており、上記の田畑弁護士の論考と併せて読むと、テレビ番組の製作関係者には有益な情報になると思われる。


日刊ゲンダイDIGITAL:「表と裏」の法律知識 木村花さん襲った誹謗中傷 断ち切るには2つの法改正が必要 髙橋裕樹 弁護士(2020年5月31日)
該当記事へのリンク(魚拓) )

ネット上での誹謗中傷について、「明らかな名誉毀損・侮辱の場合の投稿者情報の開示」「投稿者情報の1年程度の保存の法制化・義務化」とい尊師に近い内容を提唱している。ただし、髙橋弁護士は「何を以って明らかな名誉毀損とするかは難しい」とも指摘しており、言論の自由とネット上の発言規制を両立することの難しさについてもはっきりと言及している


東京スポーツ:「あいのり」出演の横粂弁護士が“テラハ事件”で緊急提言(2020年5月27日)
該当記事へのリンク(魚拓) )

「テラスハウス」の事実上の前身となる恋愛バラエティー「あいのり」に出演した経験を持つ横粂勝仁弁護士によるコメント。「あいのり」と「テラスハウス」の時代背景の相違や番組内でのヤラセ演出の有無、そしてネット上の書き込み規制の必要性を主張する内容である。東スポらしくゆるい内容ではあるが、「『死ね』は誹謗中傷です。『辞めろ』は批判。『無能』も批判の範ちゅうでしょう。」というコメントが注目される。横粂弁護士の見解に基づけば、尊師に対して「無能弁護士」と書くことは「批判」なので名誉毀損や侮辱に該当せずセーフということになる[9]


日経ビジネス:テラスハウス騒動で機運高まるネット中傷対策の危うさ(2020年6月22日)
本記事については、尊師の「法改正関連発言」の項目に移動したので、本項と併せて御確認いただきたい。発信者情報開示の容易化は、スラップ訴訟を起こす悪徳企業に有利になりかねないという内容である。

脚注

  1. プロバイダ責任制限法改正の主張は与野党問わずあり、なぜ立憲民主党を名指ししているのかは不明。[1]
  2. プロのボランティア。プロとして生計を立てている専門家が、社会貢献として無料・低報酬で業務を行うこと。尊師は『炎上弁護士』において「年一回はプロボノ活動をしなければならない」としていた。
  3. アルコール依存で懲戒を受けた例
  4. エド・はるみの中傷記事に対する対応
  5. デヴィ・スカルノの母が過剰取材のストレスにより体調不良のち早逝したことが代表的。
  6. 『週刊文春』7月9日号「木村 花さん<テラスハウス>母が衝撃告白<10時間>「娘はフジテレビに殺された」(魚拓)
  7. 読売新聞 2020年7月10日付で木村響子がインタビューに答えており、インターネット上の書き込みについて「モラルが通じない人には厳しい処罰が必要。悪質なものを削除する仕組みを作ってほしい」と訴えている。さらに「花の名前で(ネット上の中傷に悩む人たちを救う)NPOを作りたい」とも語っている。
  8. 国立音楽院サイモントン療法協会フジテックスなど尊師はスラップ訴訟と思われる案件を多数受任している。
  9. ただし、これはあくまでも一弁護士の個人的見解であり、文脈や用例などによってはアウトになるリスクもある。例えば、かつて沖縄君が尊師に対して異常な回数の殺害予告を行ったのと同様に、尊師に対して「無能」を何百回、何千回も繰り返した場合は「批判」の範囲を超え、名誉毀損や脅迫などの要件を満たす可能性がある。

関連項目

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