日刊サイゾー
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日刊サイゾー(にっかん-)とは、株式会社サイゾーが運営するニュースサイトである。
日刊サイゾーインタビュー
尊師の自伝本である炎上弁護士の発売やバラいろダンディの出演など、大恒心が次々とされる2018年後半、12月13日に日刊サイゾーが「“炎上弁護士”唐澤貴洋弁護士が語る「日本人最多殺害予告」の真実とは?」(魚拓)と題し尊師のインタビュー記事を発表した。13日は炎上弁護士の発売日でもあったため既に活気づいていたなんJやカラケーでは尊師インタビューに一同は身を震わせた。
更に2019年の6月11日にも『“炎上弁護士”唐澤貴洋に盛大なブーメラン!? 「炎上弁護士が教える危機管理」ってナンだ!』(魚拓)と題したインタビューが掲載され、意外な尊師の日常生活が明かされた。
また、2020年の年明け早々1月1日と翌日の2日に同じ株式会社サイゾーが運営する「サイゾーウーマン」に唐澤貴洋を取材した記事が掲載された。
炎上弁護士”唐澤貴洋弁護士が語る「日本人最多殺害予告」の真実とは?(2018/12/13)
日本人最多とされる殺害予告を受け、6年以上に渡って誹謗中傷を受け続ける「炎上弁護士」唐澤貴洋が、初の著書『炎上弁護士 なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか』(本実業出版社)を12月13日に上梓する。自身の生い立ちから弁護士を目指すまで、そして“炎上”との戦いの日々が赤裸々に明かされた1冊となっているが、同時に唐澤弁護士は『AbemaPrime』(AbemaTV)、『バラいろダンディ』(TOKYO MX)に出演、メディア露出にも積極な姿勢を見せるようになっている。 同書では「ネット炎上に巻き込まれない方法」として、「情報発信には細心の注意を払う」こと、究極には「ネット上に書き込み自体しない」とまでつづられているが、一体なぜ“炎上弁護士”は、自ら公の場に登場するようになったのか。本人を直撃した。 唐澤 一番の目的としては、本を出したことと同じ理由になりますが、法改正に向けて新たな手法を取ることにしたからです。さまざまな場所で主張していることですが、現在のプロバイダ責任制限法には複数の問題点があります。犯罪が行われている場所を提供する、プロバイダーや掲示板管理者にかかる「責任」を「制限」するということを主とした法律になっているのです。 ――殺害予告やプライバシーの侵害といった、ネット上の犯罪をもっと厳しく取り締まるべく、法整備を進めたいということですね。 唐澤 はい。罰則の強化に加えて、義務教育でネットリテラシーを扱うなど、改善すべき点はいくらでもあります。以前は自分が矢面に立つことに抵抗があり、メディア露出は最低限に控えていたのですが、誰かが問題を問題と言わないと現状は改善しないと思うようになりました。そこで、親しくさせていただいているメディア関係者の方々の助言もあって、「今後は自ら出ていくことにしよう」と考えたんです。 ――でも、それでは余計に炎上を招きかねないのでは? 唐澤 悪目立ちはしたくありませんが、これまで縁のなかった方々と知り合う機会も増えていて、これが法改正や状況改善に発展すればと思います。その過程で叩かれることも覚悟しています。 ――しかし、ネットで出回っている似顔絵よりも、ややふくよかになられた印象です。 唐澤 あのイラストは一応オフィシャルなんですよ。ネット上の事件を担当するようになった当時は、やはり自分の顔を出すことに恐怖感があったため、知人のクリエイターに依頼して描いてもらいました。その後、あれよあれよと“炎上弁護士”になってしまい、その知人からは「絶対に自分の名前を出すな!」と言われているのですが(笑)。 ――あのイラストも恒心教(※唐澤ウォッチャーの総称)の作品なのかと思っていました。 唐澤 実は違います。それを勝手にシールにされたり、MMD(※MikuMikuDance=3DCGソフトウェア)のモデルまで登場したり。中にはとても面白いものもあって、ついつい見てしまいます。 ――弁護士が自分のMAD動画を面白がったらダメじゃないですか。著作権違反ですよ。 唐澤 著作権は侵害されているし、何より私の名誉が著しく毀損されています。でも、笑っちゃうんですよね。
――ネットを見て笑っている唐澤弁護士は、ちょっと想像がつきません。 唐澤 ネット炎上と戦ってはいるものの、ネット自体が嫌いというわけではありません。今の唯一の癒やしは深夜に見るYouTube。好きなYouTuberはかずさん、ヒカルさん、ラファエルさん、MEGWINさんとか。「オレがオレにオンデマンド!」。 ――そんな意外な趣味が(笑)。ネット界隈というか文化みたいなものは、もともと好きだったんですか? 唐澤 学生の頃から好きでした。なんというか、メインストリートにあるもの、例えばゲームでいうと周りの友達は『スト2(※ストリートファイターII)』で盛り上がってるんですけど、僕はそちらにはいかなくて、光栄(現在はコーエーテクモゲームス)の『水滸伝・天命の誓い』とか、『シムシティ』みたいなゲームにハマりました。CD-ROMではなく、フロッピーディスクの時代だったと思うんですけど。サウンドボードをPCに差し込んで、それまで鳴らなかった音が鳴ったときの感動は忘れられません。 ――明らかに“お前ら”寄りの青春時代。 唐澤 おっしゃる通りです。でもアニメとかアイドルとか、いわゆるオタク方面には食指が動かず、どちらかといえばアングラ界隈の住民だったと思います。「探偵ファイル」とか「あやしいわーるど」も見ていましたし、三才ブックス、鉄人社の本とかも読んでいました。サイゾーももちろん愛読していますよ! ――それはどうも(笑)。その頃はBBSに悪口を書き込んだりなんてことも……? 唐澤 いえ、書き込みをしたことはありませんでした。あめざー(※リンク集とBBS群からなる有名サイト「あめぞう」ユーザーのこと)だったとは思いますが。
――ROM専(Read Only Member)だったと。聞けば聞くほど、ネット炎上の“加害者側”の素養をお持ちのような。 唐澤 自分に対する殺害予告犯が逮捕されて、接見した時には、少なからずそう感じている自分がいました。まったく擦れてない、自分がやったことが罪になるとは夢にも思っていないような少年の顔を見て、「ああ、彼は俺なのかも知れない」と。 ――唐澤さんはぶっちゃけ、いじめられっ子でしたか? 唐澤 それはないと思いますが……でも小学生の時、自分をからかってきた同級生を思い切り突き飛ばして、教室が騒然となったことはありました。そのときから、周囲からの見られ方が変わったというか。 ――それは、見直されたというよりも……? 唐澤 完全に引かれましたね(笑)。その頃からずっと浮いてる子どもだったと思います。陰キャの中二病で、パリピという言葉は当時ありませんでしたが、そういった人と真逆の人間でした。 ――そんな唐澤少年が弁護士になられた経緯は、ぜひ『炎上弁護士』を手に取って確認していただくとして。「ネット炎上」以外の弁護士活動以外に、何か印象的なエピソードはありますか? 唐澤 まだ弁護士として活動を始めたばかりの頃に請け負った仕事なのですが、とても印象深いことがあります。当時は営業活動に必死で、タクシーの中でまで名刺を配っていたのですが、あるとき運転手さんから「自分の知人を助けてやってくれないか」と、依頼人を紹介されました。詳しくはお話できませんが、その方はとてもお金に困っていて、弁護士費用は勝訴して取り返したお金の一部だけで構わない、という条件で引き受けることにしたんです。 ――それは業界的には珍しいことですよね? 唐澤 あんまりないでしょうね。依頼主の方もそこは理解していたのか、裁判所で「せめてこれくらいは受け取ってください」と、裁判所の地下でコーヒーをご馳走してくれました。最終的に勝訴して報酬もいただきましたが、あのときのコーヒーには、それ以上の価値があったと今でも思っています。 ――最後に余談ですが、これだけネット炎上で有名な唐澤さんにも、有名人や芸能事務所から依頼がくることはあるのでしょうか? 唐澤 お名前は言えませんが、いくつも頂いていますよ。掲示板の根も葉もないウワサの書き込みを消してほしいとか、昔のグラビア写真を削除したいとか。アップする方は軽い気持ちでも、当事者たちからすれば、死活問題でしょうからね。 ――やはりネット上に、安易な気持ちで悪口や個人情報を書き込む風潮自体、今後見直されていくべきですね。 唐澤 それ、サイゾーが言っちゃダメなんじゃないですか?(笑)。 (取材=編集部)
余談
- 自身のMMD作品を見て笑うことがあると語ったことで、恒認を得たと解釈した教徒らにより芸術路線の活動が活発化し始めた。法律事務所Steadiness掲示板にあった芸術路線スレではレス数が伸び、新たなモデルが作られたりMMD動画がニコニコ動画に投稿されるなどした。
“炎上弁護士”唐澤貴洋に盛大なブーメラン!? 「炎上弁護士が教える危機管理」ってナンだ! (2019/6/11)
数年間に及ぶ殺害予告を始めとした“ネット炎上”に巻き込まれるも、自ら公に立って情報発信を行うなど、懸命に戦い続ける弁護士・唐澤貴洋。いつしか彼は“炎上弁護士”と呼ばれ、また自称するようになった。日刊サイゾーでは昨年末、初の著書『炎上弁護士 なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか』(日本実業出版社)刊行に際し唐澤弁護士にインタビューを行ったところ、ネットを中心に大反響を呼んだ。 今回は二冊目となる『そのツイート炎上します! 100万回の殺害予告を受けた弁護士が教える危機管理』(カンゼン)の発売を祝して、再び“炎上弁護士”を直撃した。 ――早くも二冊目ということで、炎上弁護士もすっかりメジャーな存在になりましたね。 唐澤貴洋(以下、唐澤) いや、全然そんなことはないですよ。でも、サイゾーさんのインタビューはとても好評を頂いておりまして、その節は大変お世話になりました。おかげさまで体感的にですが、殺害予告も減りました。 ――そうなんですか(笑)。自らMMDに言及、学生時代は「陰キャの中二病」など、他メディアではあり得ない内容でしたからね。前回はサイゾー編集部にお越しいただき、社内は騒然としていたのですが、今回は「恒心綜合法律事務所」にお邪魔させていただいております。 唐澤 「法律事務所Steadiness」です。 ――はい。先ほど東京都港区三田の「日向坂」を通ってきましたが、やはり先生はアイドルとご縁があるようで。 唐澤 いきなりアイドルいじりですか。相変わらず“アイドルオタク”として見られているようですが、私は「48」と「46」の区別もキチンとついていないですよ。それこそテレビでもネタにされてしまったので、むしろ詳しくならないといけないのではないかと思っています。教えてくれる人がいましたらサイゾーまでご連絡ください。 ――さっそく本について聞いてまいりましょう。「炎上弁護士が教える危機管理」ということなのですが、先生は「ブーメラン」という言葉をご存知ですか? 狩猟道具ではなく。 唐澤 西城秀樹の「ブーメラン・ストリート」は知っていますが(真顔)。で、この本はネット炎上に際してのHow toを、実在のケースや被害者の方との対談なども交えながら、分かりやすく解説する内容になっています。色々なところでお話させていただいていますが、一番大切なのは「そもそも炎上に巻き込まれない・起こさない」ことなのですが。 ――……。おっしゃるとおりですね。 唐澤 本の中でも触れていますが、SNS、特にTwitterは『動物的』な危険性が含まれているサービスです。どういうことかというと、スマホの普及もあって、日常での怒りやふと思ったことについて、一瞬の疑問も抱かぬまま直感的に投稿をするという行為が、ごくありふれたものとなりつつある。これは非常に危険なことで、ほんの1分、数十秒でもいいから、投稿内容が全世界に配信されることについて、考えてほしいんです。それだけでも世の中の炎上は相当減ると思います。いきなり結論ありきで、プロセスもなく直接的な言葉を無意識的に吐くという行為は、あらゆる意味で炎上の危険性をはらんでいます。 ――なるほど。被害者側には、対談で登場しているスマイリーキクチさんのように「防ぎようがない」ケースもあるかと思いますが、炎上を根本から止めるには、むしろ加害者側の意識改善が最短ルートに思えますね。ところで動物は好きなんですか? 唐澤 断然犬派ですね。これまでペットを飼ったことはないんですが、疲れて仕事から帰ってきた時にお迎えされたらと思うと、想像するだけで癒やされます。私が犬を好きになったきっかけは、中学生の頃、「少年ジャンプ」を読みながら下校していたのですが、ふと気付くと後ろから野良犬が、静かについてきていたんです。その時は驚きましたが、吠えもせず従順にただ後ろからついてくる犬を見て、なんて可愛いんだと……。 ――(動物ネタ、めっちゃ食いつくな……)そういえば前回、YouTube鑑賞が趣味とおっしゃっていましたが、相変わらずですか? 唐澤 就寝前の唯一の癒やしですね。最近はケイタササグリさん、星野るりさんら競馬ユーチューバーにハマっています。 ――また意外な趣味が。馬券も買われるんですか? 唐澤 いえ、いまユーチューブで勉強しています。馬券師の方々が様々な予想を展開して、いざレースを見ると「全然間違ってる!」という流れがものすごく面白くて。こんなに競馬アツくなったのは、学生時代にダビスタ(ダービースタリオン、競馬シミュレーションゲーム)をプレイして以来ですね。 ――深夜ベッドでYouTubeを観ている先生の姿は、想像するだけで面白いです。 唐澤 あまりにも真剣に観ていると、あっという間に朝になってしまうので、なんとか“ながら観”を意識しています。 ――夜中、無音が寂しいので、テレビをつけっぱなしにするみたいな。 唐澤 いや、ラジオ感覚ですね。ここで初めて申し上げますが、実は私、大のラジオファンで。憧れの人は伊集院光さんです。 ――またぶっこんできましたね。『馬鹿力』(伊集院光 深夜の馬鹿力、TBSラジオ)ですか? 唐澤 その前にニッポン放送でやっていた『オーデカ』(伊集院光のOh!デカナイト)からのリスナーです。伊集院さんを尊敬するあまり、学生時代ニッポン放送に行って、ノベルティグッズをもらったこともありました。ご本人とはすれ違ったくらいですが、本当に体が震えましたね。「荒川ラップブラザーズ」(伊集院と久保こーじのユニット)のCDも買いました。 ――近頃はピエール瀧が騒動になっていますが、電気グルーヴも聞いていた? 「電気グルーヴは、伊集院さんのラジオのつながりで聞いていました。ピエール瀧さんは俳優としても素晴らしいし、復帰してほしいですね。伊集院さんの“トーク一本勝負!”というスタンスが、一番琴線に触れていたんです」 ――ラジオ詳しいんですね……。 唐澤 ラジオネタならいくらでも話せますよ! 伊集院さんがテレビのゴールデンに出演し始めた時には、なんか自分の親戚がテレビに出ているくらいの気持ちで、いつも応援していました。この間、大竹まことさんの『ゴールデンラジオ!』(文化放送)に出させていただいたのですが、この番組も受験時代に聞いていて、出るときとても緊張しました。大竹まことさんは、ラジオの印象と同じでとても知的で素敵な方でした。 ――今日イチ笑顔が輝いています。ところで先生、ちょっと痩せました? 唐澤 ………(数秒の沈黙後)あれ、気付きました? ――いや、そういうのマジで要らないです。 唐澤 サイゾーの影響か炎上も大分落ち着きがあるものになりまして、そのことからくる精神面の安定からか、過食がなくなりました。以前は深夜にラーメンを食べてしまうこともありましたが。 ――事務所の近くには「ラーメン二郎」もありますが、ジロリアンだったり? 唐澤 二郎は神保町の二郎とインスパイア系しか食べていないので、語っちゃいけない気がします。自分は家系派ですね。六角橋にあった「六角家」とか。あ、最近は蒲田にある「ニュータンタンメン」にも通っています。 ――カロリー自体はあまり意識していないようですね。では最後に、読者の方に伝えたいことはありますか? マウスの持ち方(※「唐澤 マウス」でご検索ください)についてとか。 唐澤 マウスネタを引っ張りますね……。実はサイゾーは、愛読書の一つなんです。そこで、恐れ多いですが、次はサイゾーさんから本を出したいです! そのためには、是非、連載をいただけましたら幸いです。 ――むむ、そうきましたか。サイゾーで連載をするということは、どういう覚悟が必要だか分かっていますか。本を出すとなれば、握手会やトークイベント、サイン会をしたりとか、なんでもやってもらいますよ? 唐澤 ということは、OKということですか。 ――(会場に殺害予告がきたらどうしよう……)えー、こちらが「ブーメラン」になりそうなので、要検討とさせていただきます。そして今回もありがとうございました! またのご登場に期待しております!! (取材=編集部)
余談
- この取材に応じた尊師は明らかに痩せており、「シナシナ尊師」などと渾名されることとなった。
- 取材ではドルオタ疑惑や逆さマウスについても質問されたことから、記者はガチの教徒なのではないかという説も話題になった。
動画
以下の動画は、上の2つの記事をMMDアニメーション化したものである。
制作者は芸術教徒の名無し芋。
- 2018/12/13の記事
- 2019/6/11の記事
サイゾーウーマン
その名の通り、株式会社サイゾーが女性向けに情報を発信しているウェブサイト。2020年1月1日と翌日の2日に唐澤貴洋のインタビューが掲載された。
【ユーチューバー炎上まとめ2019】ゆたぼん、ジョーブログ、わかにゃん……“炎上弁護士”唐澤貴洋氏が物申す! (2020/1/1)
藤田ニコル、辻希美、速水もこみち……彼らは全員、2019年にYouTubeで公式チャンネルを開設した、“芸能人YouTuber”である。Webサイト「ユーチューバーNEXT」の調査によると、現在芸能人が開設したYouTubeチャンネル数は350に上ると見られ、そのうち3分の1にあたる118チャンネルが、19年に開設されたものだという。同調査では、17年が32チャンネル、18年が47チャンネルの開設だったというから、19年にどれだけ芸能人YouTuberが増えたかよくわかる。 数字だけを見ると、活気のある明るい業界のように思えるが、その半面で問題も多い。19年9月には、人気YouTuberグループ「東海オンエア」が、約1カ月間宿泊し“ゴミだらけ”になったホテルの部屋を動画で公開し、「迷惑行為!」「調子に乗ってる」とネット上で批判を浴び、大炎上した(既報)。最近活動を始めたばかりのYouTuberならば、「注目されたいがための軽率な行動」と言えるかもしれないが、彼らは13年から動画投稿を始めたベテランな上に、HIKAKINらが所属する大手YouTuber事務所「UUUM」の一員。言い逃れが許される立場ではないだろう。 「東海オンエア」の一件以外にも、19年はYouTuberの“炎上案件”が相次いだ。なぜ彼らは、ここまで頻繁に燃えてしまうのだろうか? 現在もネット上で誹謗中傷を受け続け、殺害予告を受けた数は日本人最多だという、“炎上弁護士”こと唐澤貴洋氏に、その理由を聞く。自身もYouTubeの動画をよく視聴しており、「弁護士唐澤貴洋の CALL IN SHOW」というチャンネルを運営している唐澤氏は、YouTuberの炎上をどう見たのか。特に大きな話題となった案件をピックアップし、月ごとに振り返っていく。 わかにゃん騒動・所属事務所からの給料未払い、所属メンバーからのいじめを告発|1月 メイク動画などで人気のわかにゃんが、所属事務所・株式会社VAZから給料が支払われておらず、一部家賃のサポートも滞っていると動画で告発。さらに、事務所所属のメンバーからいじめを受けているとも明かし、『めざましテレビ』(フジテレビ系)や「デイリー新潮」がこの問題を取り上げるまでの騒動に発展した。 わかにゃんからの告発を受け、VAZは公式サイトに「所属YouTuberに関する発信・報道について」と題した“声明”を発表。しかし、給料の未払いについては「事実ではありません」、家賃サポートについても「合意書の締結がなされておりません」と、わかにゃん側に不備があったとしている。 ――唐澤弁護士は、この一件をご存じでしたか? 唐澤弁護士(以下、唐澤) はい、リアルタイムで見ていました。最も興味深い点は、本来だったら内輪かつ密室で話し合われるような内容を、YouTubeの告発動画とVAZの“公式文書”を通して、誰にでもわかる形でやりとりが行われたところです。見る人にとっては面白いんだけど、問題を解決する方法としてはよくなかったんじゃないか、と思います。 ――これって、結局誰が一番悪かったんですか? 唐澤 うわっ、危ない質問。それを僕に答えさせようとするなんて……。そもそも、「何が本当か」がわからないんですよね。問題は大まかに、「報酬不払い」「家賃負担によるゴタゴタ」「いじめ」の三つで、どれもわかにゃんさんがVAZ側に対応を求めていることです。 わかにゃんさんの弁護士が出したプレスリリースから経緯を追うと、結果的に報酬は支払われているけれど、その支払いは遅れていたとか。また家賃については、お互いの主張が食い違っており、真相はわかりません。「誰が一番悪い」というより、当事者間のコミュニケーションがしっかり取れておらず、話が噛み合っていないのがよくなかったと思います。 ――企業の対応として見た時に、気になる点はありますか? 唐澤 わかにゃんさんの告発動画に対し、VAZが“公式文書”でアンサーを出していたことですね。これは過去にあまり例がないように思います。というのも、公式文書は「結果」が出てから公開するのが一般的だと思いますが、この場合は「途中経過」が全部出てしまっているんです。わかにゃんさんに動画を作られたから、VAZとしては反応せざるを得なかったんでしょうけど、公式文書を出す前に、まずは時間をかけて本人と話すべきではないのかなと。会社にとって、損な行動だと思いましたね。 ――ちなみに、唐澤弁護士はYouTubeをよくご覧になるとのことですが、わかにゃんさんのことはお好きですか? 唐澤 世代的に見る動画が違うので、この件で初めて知りましたよ。最近見ているYouTubeチャンネルといえば、競馬予想を取り上げる「キングスポーツカリスマ」、競馬予想をされている星野瑠利さんのチャンネル、水上学さんの「KEIBA大学」くらいなので。これを聞きながら眠りにつくんです。競馬チャンネルはみんな馬と向き合っていて、平和ですよ(笑)。 ジョーブログ炎上・渋谷スクランブル交差点にベッドを持ち込み書類送検|3月 旅系YouTuber「ジョーブログ」のジョーが、渋谷スクランブル交差点の真ん中にベッドを持ち込んで寝転がり、その様子を撮影・投稿したとして、協力者も含む7人が書類送検された。スポーツ紙やワイドショーでも扱われるほどのニュースとなったが、ネット上では「面白い!」「誰も傷つけてないし、いいのでは?」とジョーを支持する声も。本人もこの動画のコメント欄に「炎ジョーブログ!!」と投稿しており、“炎上”を歓迎するかのような態度をとっていた。 ――炎上案件は数多ありますが、なぜジョーさんは書類送検までされてしまったのでしょうか。 唐澤 彼は「道路交通法違反」(交通妨害物件放置)で書類送検されましたが、基本的に刑事手続は、「警察が捜査したら送検する」というルールがあります。特に今回は渋谷のど真ん中ということもあり、いろいろな人がその現場を見ていて、警察に通報される確率が高かったと思います。人が少ない場所で同じことをしても、警察が認識すれば送検されるレベルの案件です。 こういった「面白ければいい」というスタンスには、「誰かが被害を受けたわけじゃないし、いいでしょ?」といったニュアンスも含まれるのだと思いますが、道路には「道路交通法」という“ルール”がありますからね。それを認識していなかったのが、一番の問題だったのではないでしょうか。 ――渋谷のスクランブル交差点といえば、サッカー日本代表の試合後やハロウィンの際、もはや“公式イベント会場”と言っても過言ではない様相を呈しています。そういったカオス状態の時に、ジョーさんがベッドを持ち込んだなら、書類送検はされなかったでしょうか? 唐澤 いいえ、やはり交通を妨害すると思いますし、より多くの目撃者がいるわけですから、誰かが警察に通報して、同じような展開になるんじゃないでしょうか。基本的に、人に迷惑がかかるようなことはやっちゃダメなんですよ。 ――ちなみに「面白ければいい」とは言いますが、実際ジョーさんのこれ、面白いと思いましたか? 唐澤 いや、これはマズい質問です(苦笑)。感想を言うならば、立場上少し引いてしまいましたね。個人的に、興味は引かれませんでした。でも、人がやってないことというのは、とても刺激的なんですよね。今って、みんなが脳に刺激的な情報を浴びせたい社会だと思うんです。だから、ジョーさんのこうした刺激的な動画がウケるんでしょうね。 ゆたぼん「学校に行かなくてもいい」発言で炎上・少年革命家&パパに批判|5月 “少年革命家”を名乗る小学生YouTuber・ゆたぼんが、大きな話題に。宿題を拒否したにもかかわらず、無理矢理やらされたことから学校へ不満を抱いたというゆたぼん。担任の言うことを聞く同級生がロボットに見えるとも語り、「俺までロボットになってしまう」と感じたことから、“自由登校”するようになったそう。「学校には行きたい時に行く」と豪語し、ゆたぼんの地元の新聞でも彼の主張が紹介されていた。「学校だけが学びの場ではない」とゆたぼんを支持する著名人やネットの声もあったが、「ただのわがまま」といった批判も続出。また、「義務教育とは何か?」と学校の在り方にまで話が及んだ。 ――唐澤弁護士は、ゆたぼんさんを知らなかったそうですね。今回、初めてご覧になっていかがですか? 唐澤 別にいいんじゃないか、と思います。ゆたぼんさんが「学校に行きたい」と言っているのに、親が「おまえはYouTubeをやらなきゃダメだ!」と強制していたら問題ですけど、そうではないんですよね? ――ネット上では、判断能力がまだ未熟な子どもに、保護者が「学校に行かなくていい」と“洗脳”めいた思い込みをさせているのでは……といった論調もあります。 唐澤 なるほど、世間が反応しそうな視点ですね(笑)。義務教育の“義務”って、子どもが「教育を受ける義務」ではないんですよ。子どもにあるのは「教育を受ける権利」だけで、国や親に「教育を受けさせる義務」があるんです。子どもが教育を受けたいと思っているのに親が学校に行かせないという場合、教育委員会から「それはダメですよ。学校に行かせないと」と出席を求める督促が行われます。この“義務履行の督促”を受けた上でも学校に行かせないとなると、罰金が科されます。 ――もしも親による“洗脳”が立証されたら、罰金刑に該当するのでしょうか? 唐澤 義務履行の督促を教育委員会から受けたあとでも、無理にYouTuberを続けさせているとなると、その可能性はありますね。でも“洗脳”って、第三者からは自発的にやっているように見えるので、判断は難しいところです。教育の機会を与えた上で、最終的に子どもが「YouTuberをやりたい」と言うなら、それは“子どもの自発的な判断”なんでしょうけど……。子どもの言い分を鵜呑みにして「学校に行かなくていいよ!」と言うのではなく、親ならば慎重に対応するべきじゃないですかね。 ――例えば、学校側から保護者に「YouTuberをやめさせてください」と注意して、更新を止めることってできるんでしょうか? 唐澤 これは学校の外で行われている活動なので、学校側から何か働きかけをするのは難しいんじゃないでしょうか。 ――ちなみに、ゆたぼんさんは最近、著名人とのコラボ動画をアップしています。唐澤弁護士にオファーが来たら受けますか? 唐澤 いやあ……うーん……そう、ですね~……。私はまだ、ゆたぼんさんのレベルじゃないので。そこはもう、ねえ……恐れ多い話です(真顔)。 ――なるほど、やりたくないことは伝わりました。唐澤弁護士にお子さんがいたとして、「YouTuberをやりたい!」と言われたらどうしますか? 唐澤 (深刻な顔で)そういう未来があればですが……僕のYouTubeチャンネルのコメント欄を見せますね。「こんな恐ろしいことがあるんだぞ!」って。 ※後編は1月2日18時公開
【ユーチューバー炎上まとめ2019】レペゼン地球&ZOZO前社長・前澤友作氏に唐澤貴洋弁護士が忠告!? 「再生数主義の時代は終わり」 (2020/1/2)
2019年も、YouTuberの“炎上ニュース”が絶えなかった。ネット上で批判されたとしても、「再生数が伸びればいい」とあえて“炎上”を狙うYouTuberも少なくないが、ネット上で誹謗中傷を受け続ける“炎上弁護士”こと唐澤貴洋氏は、彼らに何を思うのだろうか。前編に続き、YouTuberが燃える理由を聞く。さらに後編では、自身のYouTubeチャンネルへの自虐も……? レペゼン地球、“パワハラ・セクハラプロモーション”が大炎上|7月 YouTuberのジャスミンゆまが自身のTwitterにて、レペゼン地球・DJ社長からパワハラ・セクハラを受けたと告発。ネット上で物議を醸し、その後、DJ社長が謝罪動画を投稿した。しかし、この一連の動きはすべて新曲「パワハラザホルモン」のプロモーションであったことが発覚。「本当に被害を受けている人が告発できなくなる」「パワハラやセクハラを“ネタ”として扱うなんて最低」など、ネット上は大炎上となった。 また「パワハラザホルモン」のミュージックビデオにマキシマムザホルモンが出演していたこともわかり、彼らに対しても批判が続出。公式Twitterにて謝罪文を公開したが、ファンからも「ずっと応援してたのに、目が覚めた」「ホルモンも落ちるとこまで落ちたな」と、失望のリプライが飛んでいる。レペゼン地球はこの騒動前、西武ドームでワンマンコンサートを行うと発表していたが、急遽中止に。『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)にDJ社長が出演予定だったが、これも弁護士・山口真由氏のゲスト放送回に“差し替え”となっている。 ――この件は、リアルタイムでご存じでしたか? 唐澤 はい。あの内容は、“超えちゃいけないライン”を超えて人の関心を得ようとした結果、西武ドームでのコンサートまで中止になりましたよね。炎上商法をしようとして、その塩梅を間違えてしまった、要するに倫理観の欠如が問題になった気がします。 「#MeToo」運動が起こるなど、女性をはじめ誰もが過ごしやすい社会になるべきだという思いが世界で強まる中、レペゼン地球さんのやってることは、時代遅れな感じがしますよね。ネットを主戦場とする彼らが、こういった文脈を知らないはずはないと思うんですけど。 ――結局この炎上商法により、稼ぐどころかコンサート会場やテレビ局から損害賠償を請求され、大損する可能性もありました。実際、今回の件でレペゼン地球が損害賠償を支払ったのかは不明ですが、炎上商法って、本当に儲かるのでしょうか? 唐澤 炎上商法には、「いい炎上」と「悪い炎上」があります。やっぱり、見ている人が傷つく炎上はよくないですよ。社会的に“許せないライン”を超えたら、それは商売になりません。トップYouTuberはもう、テレビと同じような基準で動画を作っているような人もいます。企業CMに出てる人なんかもいますし、「YouTubeだから何をやってもいい」「炎上しても再生数が伸びるならそれでいい」という時代は、終わったのではないでしょうか。 ZOZO前社長・前澤友作氏がYouTubeチャンネル開設も……“お金”動画に「下品」の声|11月 ZOZO創業者で現在はスタートトゥデイ社長の前澤友作氏が、突如自身のYouTubeチャンネルを開設。女優の剛力彩芽と破局、ヤフーがZOZOを買収と切ない話題とタイミングが重なったこともあり、投稿された動画にも注目が集まった。 初投稿の動画は「1000億円を記帳する」という内容で、本当に前澤氏が車に乗って銀行へ行き、通帳を見て笑顔を浮かべるだけという、シンプルなものだった。その後も「3.8億円の車を買う」「プライベートジェットを売る」といった“お金”にまつわる動画が投稿されており、「本物のお金持ちはすごい!」と感嘆の声がある一方、「お金の話ばっかりで下品」「本当の金持ちはこんなことしない」と批判的な意見も絶えない。 ――前澤さんのこと、どう思われますか? 唐澤 ちょうど昨日、3.8億円の車を買う動画を見ましたよ。前澤さん本人としては、何が起こっても楽しく生きている感じがしますよね。動画を見ても、「嫌な人だな」って感情が湧くような感じじゃないです。話しぶりなど、紳士的な、面白い人だと感じますし。批判的な声もあるようですが、動画を見ていない人が言ってるんじゃないでしょうか? 「1000億円記帳した」「3.8億円の車を買った」といった記号だけが一人歩きしている印象です。お金の話は炎上しやすい話題ですが、前澤さんは“あえてやっている”のではないかなと感じますね。だって前澤さん、お金の話題で炎上することは、昔からたびたびありましたよね? ――2019年1月に前澤さんが自身のTwitterで行った、「100万円×100人、総額1億円お年玉企画」がその最たる例ですね。前澤さんのアカウントをフォローして、指定の投稿をRTするだけで100万円が当たる抽選に応募できるとあって、およそ470万件もRTされました。 唐澤 そのときも賛否両論でしたが、炎上することをわかってやっていると思います。 ――ちなみに、この“バラマキ行為”は、法律的に問題はありませんか? 唐澤 法律上は問題ないです。贈与税がかかるのも、110万円からなので。前澤さんは11月下旬に動画投稿を始めたばかりで、すでにチャンネル登録者数は20万人以上。短期間でこの数は、本当にすごいことですよ。僕の場合、この強大な影響力を今後どう利用するのか? というところに興味がありますね。世の中のためになることをされるのかな? ――唐澤弁護士はすでに、世の中のためになる動画をアップされているじゃないですか。 唐澤 見る人に少しでも役に立つYouTubeチャンネルをやりたいと思って、実際に動画を投稿しています。 でも、まったく人気が出ません。再生回数、全然伸びないんですよ。「問題が起きたときに検索して、僕の動画に行き着いてくれたらいいな」とか、「気軽に弁護士に相談するきっかけになってくれたらいいな」と思っている程度なんでいいですが。長くどこかで見てもらえたらいいな、とは思ってます。 ――正直、あんまり面白くないですもんね……。 唐澤 いいですね、そのコメント記事に入れてほしいです(笑)。 ――ブロガーのはあちゅうさんが、先日「Abema Prime」(AbemaTV)に出演して、自身のアンチと電話で“対話”したことが話題になりました。唐澤弁護士もこれにならって、アンチと口論する動画などアップしたら、再生数が伸びそうです。 唐澤 僕は「良いヤツ VS 悪いヤツ」といった“二項対立”は嫌なんですよね。「私が被害者で、この人たちは悪いヤツなんですよ!」といった構図で悪口を言ったり、敵を仕立てて動画を作るのは簡単です。でも、僕はあんまり好きじゃないですね。それよりも、アンチだって我々と同じ人間なのに、なぜ度を超えた悪口が言えるのかを、一緒に考えるほうがいいです。ネット上って、レッテルを貼って“相手をこうだと決めつける人”があまりにも多いですよね。普通に対話すればいいのになあ、と思います。僕は本当に、争いごとが嫌いなんですよ。 ――「炎上弁護士」が言うと、言葉の重みが違いますね。 唐澤 そういえばこの記事って、年始に出るんですか? ……炎上したら嫌だなあ(真顔)。僕だって、落ち着いて新年を迎えたいので。 ――だったら、こういった取材は受けない方が……。 唐澤 うん? 何か言いましたか? それでは読者のみなさま、良い1年をお迎えください!
関連項目