日本経済新聞
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日本経済新聞(にほんけいざいしんぶん)とは、日本経済新聞社の発行する新聞。通称「日経」。
概要
過去に、唐澤貴洋の記事が3回、山岡裕明の記事が5回、その他恒心教に関する記事が1回掲載された。
唐澤貴洋の掲載
ネットに「殺す」 重い結末 少年、被害者に謝罪・反省(2015年4月6日)
関東地方の10代後半の少年は群馬君であるとされる。
ネットに「殺す」 重い結末 少年、被害者に謝罪・反省(魚拓) 「インターネットなら身元はばれないと思った」。ネット掲示板に弁護士の殺害を予告する書き込みをした少年が、掲示板の管理人に発信元の情報を公開され、観念して警察に出頭した。悪ふざけのつもりでも脅迫や中傷を書き込まれた側の恐怖や心の傷は大きい。少年と面会して謝罪を受けた弁護士は「逮捕など重大な結果をもたらすこともある」と警告した。 「指一本で多くの人を傷つけてしまうことが分かりました。今後はネットとのかかわり方を見直します」。関東地方の10代後半の少年が3月、第一東京弁護士会の唐沢貴洋弁護士(37)の事務所を両親と訪れ、震えながら頭を下げた。 悪ふざけの書き込みが重大な結果をもたらすことも唐沢弁護士はネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策に取り組む弁護士事務所を共同経営しており、過去にネット掲示板に関連する事件を引き受けたのを機に、掲示板上で複数の投稿者から脅迫や中傷を受けていた。 少年は自分も加わろうと2月上旬、掲示板「2ちゃんねる」に「ナイフでメッタ刺しにする」と書き込んだ。 しかし警視庁がすぐに殺人予告に気づき、2ちゃんねるの管理人に発信元を開示するよう請求。投稿の3時間後には少年のネット上の住所にあたるIPアドレスが掲示板上に公開された。 それを見て現実に引き戻された少年は翌日、自宅近くの警察署に出頭。 警察から連絡を受けた唐沢弁護士が面会を求めたため事務所を訪れた。 「高校の同級生が大学や仕事に行っているのに自分は部屋に閉じこもっていることにストレスを感じていた」。 自宅で浪人生活を送っていた少年は、約1年前からスマートフォンで掲示板に投稿するようになっていたという。 警視庁は少年の書き込みについて脅迫容疑などで捜査。 同庁によると、唐沢弁護士を巡っては、これまでに少なくとも4人が同容疑などで逮捕・書類送検された。 唐沢弁護士は自らプロバイダーにIPアドレスを開示請求したり、警察から情報提供を受けたりして判明した容疑者数人と面会。 「書き込む人は10~30代の仕事を持たない男が多い。注目を集めたいという自己顕示欲が膨らみ、相手のことを考えられなくなっていた」と指摘する。 その上で「悪ふざけのつもりが逮捕などの重い結果につながることを知ってほしい」と強調。「今後も書き込みによる被害の救済に取り組んでいく」と話している。
私見卓見「ネットの中傷 責任追及の仕組みを」(2017年6月27日)
法律事務所クロス(現法律事務所Steadiness)公式サイトのトピックス「弁護士唐澤貴洋の寄稿が日本経済新聞に掲載されました。」で本人による寄稿記事であったことが確定。
ネットの中傷 責任追及の仕組みを 唐沢貴洋氏(魚拓) インターネット上で個人を標的にした誹謗(ひぼう)中傷が氾濫している。 見知らぬ人から執拗に攻撃される被害を受けた経験を踏まえ、ネット空間における中傷対策について意見を述べたい。 私への攻撃は2012年3月、匿名掲示板に関連する事件を引き受けたのを機に始まった。 複数の投稿者からネット上で中傷や殺害予告などの脅迫を受けた。 家族が盗撮されたり、親族の墓にペンキをかけられたりするなど被害は現実世界にも及び、まともな社会生活を送れなくなった。 投稿者を突き止めて警察に通報し、10人以上が脅迫容疑などで逮捕・書類送検された。 しかし投稿者特定までの道のりは困難を極めた。 サイト運営者や通信事業者にネット上の住所に当たるIPアドレスや契約者の氏名を明らかにするよう任意で求めても開示されることが少ないためだ。 通信事業者などの多くは契約者情報を開示する条件に裁判所の判決といった司法判断を挙げる。 私も法的手段を取らざるを得ず、脅迫者の身元特定まで1年近くかかった。労力や費用を考えて泣き寝入りしている被害者は多い。 投稿者を特定するための通信履歴(ログ)を保存する形式や期間が決まっていないことも問題だ。 形式が不十分だったり、保存期間が過ぎたりして投稿者が特定できないことがある。 法律で保存方法を定め、少なくとも1年間は保存を義務付けるべきだ。 契約者情報の開示も柔軟な対応を求めたい。 どんな権利侵害なら契約者情報を開示してよいのか、国が通信事業者にガイドラインで示すことが必要だ。 「文章の中に理由(根拠)も示さずに中傷する」といった基準があれば事業者も判断しやすくなる。 最近は発信者の身元を隠せる特殊なソフトを使った投稿が増えている。 サイト運営者が設定を変更し、匿名化ツールを使った接続を遮断して投稿をできなくすることも中傷を防ぐ有効な手段だ。 私たちは日本国憲法21条で「表現の自由」を手にした。 国家権力による市民の抑圧を防ぐための規定だが、ネット空間では本来の目的と違った形で「表現の自由」が乱用され、市民同士の無益な争いを生んでいる。 匿名性はネットの特徴であり、その利点は否定しない。 とはいえ、書き込みをした人物の法的責任が最終的に追及される担保があってこそ、ネット上でも本当に意義ある言説が展開されるはずだ。
ネット中傷後絶たず 人権侵害1900件(2018年1月12日)
ネット中傷後絶たず 人権侵害1900件(魚拓) インターネット上の事実無根の書き込みが発端で、いわれのない中傷電話やメールなどに苦しめられる被害が後を絶たない。法務省によると、ネット上の人権侵害は4年連続で過去最多を更新した。 「容疑者の勤務先です」。北九州市の石橋建設工業の石橋秀文社長(47)は、「ある日」を境にネット上の書き込みを常に確認するようになった。 神奈川県大井町の東名高速道路で2017年6月、ワゴン車の夫婦が死亡した追突事故。神奈川県警が容疑者を逮捕した直後から、ツイッターやネット掲示板には石橋社長を「容疑者の父」などとする誤った情報が書き込まれた。会社の電話番号や自宅住所も拡散された。 会社には「罪を償え」といった中傷や脅迫めいた電話が相次ぎ、ピーク時は1日100件以上も。福岡県警は、ネットに情報を流した数人の関係先を名誉毀損容疑で家宅捜索。石橋社長は「事実無根で取引先の信頼も失った。同様の被害が出ないように捜査してほしい」と訴える。 17年12月には米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)近くの「緑ケ丘保育園」の屋根に米軍ヘリコプターの部品が落下した事故が発生。「自作自演疑惑が浮上」など根拠のない情報が一部サイトで拡散した。以降、園には中傷の電話が殺到。「子供を預けられない」などと書かれたメールも送られた。神谷武宏園長(55)は「なぜこんな被害に遭わなければいけないのか」と途方に暮れる。 被害は全国各地に及ぶ。法務省によると、誹謗(ひぼう)中傷やプライバシー侵害などのネット上の人権侵害は16年に1909件に上り、4年連続で過去最多を更新した。背景にはスマートフォンの普及に伴い、誰もが気軽に投稿できるようになったことがある。 サイト開設者が閲覧数を稼いで、広告収入を得るための書き込みにより被害を受けたケースもある。ある俳優は「違法薬物で逮捕」などと虚偽の中傷記事をまとめたサイトが掲載され、俳優の仕事に影響が出るなどしたという。警視庁は17年7月、偽計業務妨害容疑で男女3人を書類送検しており、調べに対し「興味を引いて閲覧数を伸ばし、広告収入を増やしたかった」などと供述した。 法務省は被害者に、サイト管理者に削除依頼する方法を教えたり、直接管理者に削除要請するなどの対応を進めている。自身もネット上の中傷を受けた経験を持つ唐沢貴洋弁護士は「ネット上で中傷する人には罪の意識がない人が目立つ。ネットリテラシーを高める教育を充実させることが必要」と指摘する。
山岡裕明の掲載
日本経済新聞より確認できる
アマゾンに開示命令 中傷書評の投稿者情報巡り東京地裁(2016年4月11日)
「サイモントン療法協会」も参照。
弁護士ドットコムの「アマゾン「中傷レビュー」投稿者の発信者情報開示を命じる判決」でほぼ同内容のものが読める。
アマゾンに開示命令 中傷書評の投稿者情報巡り東京地裁(魚拓) 通販大手アマゾンジャパン(東京・目黒)のサイトに投稿された書評によって社会的評価が低下したとして、本の著者側が同社に投稿者情報の開示を求めた訴訟の判決があり、東京地裁が投稿者の氏名や住所、メールアドレスの開示を命じていたことが11日までに分かった。裁判所がプロバイダー(接続業者)以外に利用者情報の開示を命じるのは異例。 判決は3月25日付で、同社が控訴しなかったため11日までに確定した。 アマゾン側は訴訟で日本法人のアマゾンジャパンがサイトを運営していることを認めた。海外に本拠を置くネットサービス企業が本国法人以外がサイトを運営していると認めるのは珍しく、国内で訴訟を起こしやすくなる。 判決によると、投稿者は2013年に複数回、アマゾンのサイトの書評に著者らについて「人を欺くかのような活動をしている」などと投稿したが、同地裁は「真実ではない」と認定。そのうえで社会的信用を低下させたとし、運営するアマゾンジャパンに対し投稿者情報の開示を命じた。 アマゾンは氏名やメールアドレスなどを登録してアカウントを作成しなければ書評を投稿できない仕組み。著者側がアマゾン側に投稿者情報の開示を求めていた。 これまで投稿者情報を知るためには、サイトの管理者に投稿者のIPアドレス(ネット上の住所)の開示を求め、そのIPアドレスの契約者についてプロバイダーに氏名などの開示を求めるという2段階が必要だった。 著者側代理人の山岡裕明弁護士は「ネット上で誹謗(ひぼう)中傷された被害者にとっては訴訟期間や費用が大幅に軽減される。非常に意義のある判決」と話している。投稿はすでに削除されている。今後、開示された投稿者情報に基づき、対応を検討するという。 アマゾンジャパンは「個別の事件についてコメントできない」としている。
権利侵害記事、保存も違法 東京地裁が米社に仮処分(2018年10月10日)
弁護士ドットコムの「クラウドフレアに「発信者情報開示」命令、海賊版サイト「ブロッキング」に影響も」でほぼ同内容のものが読める。
権利侵害記事、保存も違法 東京地裁が米社に仮処分(魚拓) ウェブサイトへのアクセスを効率化するサービス「コンテンツ配信ネットワーク(CDN)」大手の米クラウドフレアに、東京地裁が肖像権などを侵害する記事のデータ削除などの仮処分命令を出したことが10日分かった。多くの海賊版サイトはCDNを利用しており、サイト運営者の特定につながる手段の一つとなりそうだ。 CDNは、原本となるサイトの内容をコピーしてネットワーク上に複数設置し、アクセスを分散させるサービス。特定のサーバーにアクセスが集中し通信速度が低下することを避けられるため、データ量が膨大な動画配信などに欠かせないサービスだが、海賊版サイトなどが"隠れみの"として悪用すると、違法なコンテンツの原本の保管場所が分かりにくくなる。 申立代理人の山岡裕明弁護士によると、ある日本語サイトに掲載された無断撮影の人物写真と記事が、肖像権など人格権を侵害していると主張。サイトにCDNのサービスを提供していたクラウドフレアに対し、記事コピーの削除と、原本保管元サーバーの情報開示を求め、7月に同地裁に仮処分を申し立てた。 10月9日付の地裁決定はこの主張を認め、記事コピーを保管し、アクセスさせたCDNサービスも権利侵害に当たると判断した。山岡弁護士はクラウドフレアが仮処分命令に従い情報を開示すれば、原本の保管元に改めて記事削除などを請求する。 クラウドフレアは漫画違法ダウンロードサイト「漫画村」が利用していたことでも知られる。 山岡弁護士は「著作権侵害でもCDNに同様の仮処分命令が出る可能性がある」と指摘。CDNを利用する海賊版サイトの運営者を割り出しやすくなり、海賊版対策につながる可能性がある。 海賊版対策の一つとして議論されているサイトのブロッキング(接続遮断)を巡っては、「通信の秘密を侵害する」との懸念から慎重論が強い。ブロッキング以外の解決策として、今回の地裁の判断がこの議論に影響する可能性もある。
私見卓見「著作権、無自覚の侵害が問題」(2019年1月21日)
詳細は「著作権、無自覚の侵害が問題」を参照。
配信中継にも画像削除命令 著作権侵害巡り、米社に(2019年1月28日)
弁護士ドットコムの「クラウドフレアに著作権侵害の「一時ファイル」削除命令…東京地裁」でほぼ同内容のものが読める。
配信中継にも画像削除命令 著作権侵害巡り、米社に(魚拓) イラストの著作権者の男性が情報サイトに無断投稿された画像の削除などを求めた仮処分申し立てに対し、東京地裁は28日、情報サイトを複製して配信を中継する米IT(情報技術)大手クラウドフレアに画像削除とサイト管理者情報の開示を命じた。同社サービスは海賊版サイトも利用している。弁護士は「海賊版被害の解決や運営者特定がしやすくなる」と話している。 クラウド社は米カリフォルニア州に拠点を置く「コンテンツ配信ネットワーク(CDN)」の大手。CDNは大規模なサイト配信に不可欠で、海賊版サイトも大量のアクセスを集めて広告料などで利益を得るため、CDNを利用することが多いとされる。 仮処分の申し立てを担当した山岡裕明弁護士によると、イラストを情報サイトに無断投稿された著作権者の男性が2018年12月11日に同地裁に仮処分を申し立てた。情報サイトの管理者は配信のためにクラウド社のサービスを利用していた。 仮処分の申立書では、「氏名不詳のサイト運営者が著作権を侵害した」とした上で、「クラウド社にも侵害を理由とする『条理上』の削除義務がある」と主張していた。 同地裁の決定では、クラウド社に削除義務があることを認め、さらに情報サイトの管理者のログイン時のIPアドレス開示などを命じた。著作権法の趣旨などを踏まえた判断とみられる。 同社を巡っては、山岡弁護士が担当した別のケースで18年10月、著作権ではなく肖像権侵害を理由に同地裁が同社にデータ削除などを命じる仮処分命令を出した。著作権侵害は侵害行為の主体などの要件が肖像権侵害よりも厳格とされるが、同地裁は著作権侵害の場合でも画像削除などの仮処分を認めた。 クラウド社に対する司法手続きとしては、これまで国内で裁判を起こした上で同社から訴訟外で一部情報の開示を受けたケースや、米連邦地裁の司法手続きで情報の開示に応じさせたケースもある。一方で同社への司法手続きには一定の費用や期間が必要なことが課題だった。 仮処分の申し立てが認められたことについて、担当した山岡弁護士は「約1カ月半で今回の決定が出た。費用も数十万円で済み、より簡単な手続きで著作権侵害サイトに対応できるようになる」と話している。 クラウド社を巡っては、欧州連合(EU)がインターネット上の知的財産侵害についてまとめた「偽造品・海賊版監視リスト」に含まれるなど、海賊版対策で国際的に問題視されている。
漫画サバイバル 第4回 「ラブひな」が戦う見えない敵 読者奪う海賊版(2019年2月15日)
詳細は「漫画サバイバル」を参照。
ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に(2020年8月9日)
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ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に(魚拓) インターネット上で後を絶たない個人・企業への中傷や著作権侵害の対策に、米国の裁判所を通じて発信者情報の開示を求める司法制度の活用が日本国内で広がり始めた。投稿先のSNS(交流サイト)の多くを米国企業が運営することもあり、国内制度より迅速に情報が開示され、その内容も幅広い。弁護士からは「普及すれば不正投稿の抑止につながる」との声も上がる。(岩沢明信) 総務省によると、ネット上での匿名による不正な投稿...
サイバー被害、保険各社が法務サポート(2020年9月9日)
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サイバー被害、保険各社が法務サポート(魚拓) サイバー保険を提供する損害保険大手が、企業に対する法務面の支援を相次ぎ拡充している。東京海上日動火災保険は法律系コンサルティング会社と共に、年内にも新商品を開発。三井住友海上火災保険は法律事務所と連携し、弁護士と初動対応を支えるサービスを始めた。背景には改正個人情報保護法など、規制の強まりがある。 「取引先から不審なメールが届いたので調べてほしいとの連絡があった」。7月、東京都内の中小企業の社長が...
ネット中傷、救済道半ば 木村さん侮辱容疑で書類送検へ(2020年12月17日)
ネット中傷、救済道半ば 木村さん侮辱容疑で書類送検へ(魚拓) SNS(交流サイト)上などで匿名のユーザーから誹謗(ひぼう)中傷を受けた場合、投稿者を特定して損害賠償などを求める対策が考えられるが、被害者側の手続きは煩雑で泣き寝入りするケースが多い。 一般的に被害者が賠償を求めるためには、SNS事業者に対して投稿者のインターネット上の住所にあたるIPアドレスの開示を請求し、開示されたIPアドレスに基づき、投稿者情報の開示をプロバイダーに求める必要がある。賠償請求に移るまでに複数回の手続きが求められるので、費用や時間がかかる。 木村花さんなどの問題を受け、総務省は8月に省令を改正し、被害者がSNS事業者などに求める開示情報の対象に投稿者の電話番号を加えた。しかし複数回の裁判が必要な状況は変わらず、同省の有識者会議は11月、迅速な救済に向け、投稿者の情報を1回の裁判手続きで開示できる新制度の創設などを盛り込んだ最終報告書案をまとめた。 武田良太総務相は報告書案を受け、11月の記者会見で「幅広い意見をうかがった上で最終とりまとめを行い、早期に法改正を含めた対応をとりたい」と述べた。 ネット中傷などの問題に詳しい山岡裕明弁護士は、木村さんへの中傷を巡る今回の警視庁の摘発方針を受け「匿名での発信であっても、重い責任が伴うことへの理解が社会に広がるきっかけとなってほしい」と指摘。「被害者にとって投稿者を特定するハードルは依然高く、救済を重視したスムーズな制度と運用が必要だ」と話した。
その他の掲載
ダークウェブ(中)17歳の掲示板 悪意群がる(2017年4月20日)
恒心教サイバー部に関する記事。「17歳の少年」は当時の管理人0Chiakiのことであり、インタビューを受けている「20代の男子大学生」は恒心史管理人の躍進冬井(虐殺初心)とされる。
ダークウェブ(中)17歳の掲示板 悪意群がる(魚拓)(魚拓画像) 「ハッカーの情報交換の場をつくりたい」。2014年暮れ、川崎市に住む17歳の少年がダークウェブ内に、ある掲示板サイトを開設した。名称は「恒心教サイバー部」。少年自身もハッカーで、企業サイトを改ざんする行為を繰り返していた。すでに海外ではダークウェブが広がっていた。 通常のネットユーザーが入れない掲示板で、高い技術を競い合う――。周囲の人によると、狙いは同じような仲間を呼び込むことだったようだ。少年が繰り返していたハッキングも違法行為。ただ興味半分だった本人の意図を超え、掲示板には様々な悪意を持つ人が集うようになる。 「ネットバンキングの口座情報求む」「犯罪の手口を教えてほしい」。ハッカーからの投稿は減り、犯罪による金稼ぎや児童ポルノの取引を目的にした投稿であふれた。暴力団関係者やIT(情報技術)の知識に乏しい人物の投稿も目立つようになった。 「恒心教」の名は国内の闇の世界で広まった。情報セキュリティー会社、ネットエージェント(東京)の杉浦隆幸会長は参加者について「ダークウェブを使う日本唯一の犯罪者集団」とみる。投稿内容から、多い時で約100人が参加していたと分析している。 少年は15年、企業に対する不正アクセス禁止法違反容疑で警視庁に逮捕された。ただ生みの親がいなくなったにもかかわらず、掲示板が閉鎖されることはなかった。何者かが管理用サーバーを乗っ取り、運営するようになったとみられる。 事件として摘発された事例もある。16年2月、掲示板でのやり取りを通じてコンピューターウイルスを入手するなどした高校1年の男子生徒が摘発された。同年の7月には他人のカード情報を売る広告を書き込んだ男が逮捕された。 摘発が相次いだためか、昨年から投稿は下火になった。今春の時点ではすでに閉鎖されたとみられている。しかし最近でも大手眼鏡店チェーンがサイバー攻撃を受けた事件で「恒心教」の名が使われるなど、余波は続いている。 当時、掲示板を頻繁に閲覧していた20代の男子大学生は振り返る。「犯罪の舞台になったのは残念だが、ハッカーが技術を競い合える場ができた意義は大きかった」。幼い頃からネットに慣れ親しんできたデジタルネーティブ世代の言葉からは、自分たちの行為に潜む危うさを深く考えた様子はうかがえない。