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2022年5月13日 (金) 21:04時点における版
当ページ名「西田弁護士インタビュー」は暫定的なものです。 |
西田弁護士インタビューとは、第一東京弁護士会に所属する西田章弁護士が自身のnoteに2022年3月22日ひまわりサーチの八雲法律事務所の求人内容に関する投稿を行い、その反響を受け、同4月20日に実際に山岡裕明にインタビューしたものである。本項目は便宜上、1つにまとめて記載する。
概要
西田章(魚拓) - note 弁護士(第一東京弁護士会)で、キャリアコンサルティング&ヘッドハンティングをしています。著書「新・弁護士の就職と転職」(商事法務、2020年)。商事法務ポータルに「弁護士の就職と転職Q&A」を連載中 https://www.shojihomu-portal.jp/gyoukai
西田弁護士は、弁護士のキャリアコンサルティングを研究しており、商事ポータルや自身のnoteで弁護士の就職や転職についての記事を投稿している。新興事務所である八雲法律事務所のひまわりサーチでの求人[1]に興味を抱き、noteに記事を投稿、反響があったため、山岡にインタビューという形になったようだ。八雲法律事務所の経営者としての山岡の一面が垣間見れる内容となっている。
なお、Twitterで記事を紹介した際に「山岡先生は以前お話お伺いしたとき、専門分野の確立とともに組織開発にも力を入れていたのが印象的だった。[2]」と述べている。西田弁護士が商事ポータルに連載している有料記事[3]での件なのか山岡が商事法務の法律実務のためのデジタル・フォレンジックとサイバーセキュリティ発表時の講演会での件なのか、あるいは教徒未確認の講演会での件なのかは不詳である。
『ひまわり求人』を読む(9)八雲を題材として
ひまわり求人ナビは、検索結果の一覧だけしか見ない利用者が多い。そのため、既に評判を確立している事務所や企業であれば、掲載していることだけで意味があるが(「『ひまわり求人ナビ』を読む(5)三井物産を題材として[4]」参照)、新しい法分野においてクライアントからの信頼を獲得し始めている「尖った事務所」が見落とされがちである。
現在のひまわり求人に掲載された情報一覧の中では、八雲法律事務所が、そのような「尖った事務所」の代表格と言える。
前回は、のぞみ総合を取り上げたが、のぞみ総合のパートナーの結城大輔弁護士は、一般社団法人リーガル・リスクマネジメント研究機構の代表理事も務めておられる。その研究機構において、2021年4月に開催して大好評を博していたのが、八雲法律事務所の代表である山岡裕明弁護士による「DX時代に企業が晒されるサイバーリスクの実態」[5]と題するウェビナーである。
山岡弁護士については、まず、その経歴において、米国のカリフォリニア大学バークレー校でMaster of Information & Cybersecurityの修士号を取得しているのが目を引く。インターネット上に掲載されている日本公認不正検査士協会の藤沼亜起理事長との対談記事においては、山岡弁護士が、バークレー校の情報大学院において、米国空軍のエンジニアやマイクロソフト社のエンジニア等のコンピュータサイエンスのプロをクラスメイトとしながら、元FBIの捜査官によるサイバー犯罪の実践的レクチャーや、オバマ政権時代のセキュリティ担当官の講義を受けて学んでいた様子が語られている。
ひまわり求人における「その他取扱事件の特色等」と「事務所アピール・特色」にも、代表弁護士の経歴を活かした専門分野が紹介されている。
M&Aやファイナンスに関する企業法務のマーケットは、50期代までの弁護士によって、既に、高い参入障壁が構築されているため、60期代以降の若手にとっては、新規参入がきわめて難しくなっている。そのため、これら法分野の専門家になりたいならば、「実績がある事務所に弟子入りして、スキルを磨く」「引退するパートナーからクライアントを相続する」しか道がないようにも思われていた。
しかし、サイバーセキュリティのような新しい業務分野については、60期代の弁護士にもまだ第一人者になる余地が残されている、ということを生きた実例として示してくれたのが八雲である。
それでは、なぜ、八雲は、新規分野でクライアントの信頼を勝ち取ることができたのであろうか。事務所のウェブサイト[6]を眺めてみると、「内閣府」「サイバーセキュリティ戦略本部」「タスクフォース」といった文言が目に入る。
従来型の企業法務弁護士のように、民間企業の間の利害調整を担う純粋なビジネス活動を行っているのとは異なり、サイバーセキュリティは、国際的な犯罪から日本企業を守る公益性もある活動であり、政府も、動きの速い分野において、積極的に弁護士のノウハウを活用して自らの政策立案に活かそうとしている姿を想像することができる。
このような最先端の事務所は、どのようなスペックの人材を求めているのだろうか。ひまわり求人の記載を見る限り、特に、エンジニアとしてのバックグラウンド等の特別な知見を求めているようには思われない。
成長途上にある事務所においては、エンジニアの素養があれば、それを活かせることは確実だろうが、それだけでなく、語学力があれば、それを活かした活躍ができるだろうし、そのような特殊技能がなくとも、地頭がよい若手弁護士であれば、事件を通じてOJTで成長していくことが期待されるのだろう。
なお、八雲においては、給与水準が十分な水準で明示されているだけでなく、個人事件の受任も許容されているとのことである。
企業法務の道を究めるに知的好奇心を抱きながらも、「困っている人の力になれる職業」としての弁護士像への憧れを心のどこかに保持している者にとってみれば、親族や友人などを経由してきた相談を、採算度外視で受けるためにも、個人事件の受任の許容はありがたいところである。
ひまわり求人記載のとおり、インハウスや任期付公務員から法律事務所への転向を検討している若手も含めて、足許での十分な経済条件を確保しながら、インターネットに関連する新規分野を開拓してスペシャリストとなることを目指すための魅力的なキャリアパスが存在するのは、このような「尖った事務所」にあるのかもしれない。そう思わされる求人広告だ。
『ひまわり求人』掲載先へのカジュアル面談:八雲法律事務所
「『ひまわり求人』を読む(9)八雲を題材にして」に対しては、大手法律事務所に勤めるアソシエイトからの感想が届きました。それには、ポジティブとネガティブの2側面がありました。
まず、ポジティブな側面としては、「既存の法分野はすでにパートナー枠が埋まっているので、シニア世代からのクライアント承継を狙う以外に売上げを獲得する方法がない。新規分野を開拓しなければならないとは思っていた。」「その点、IT、インターネット系は、もともとシニア世代が苦手とする分野なので、サイバーセキュリティに顧客開拓のチャンスがあるというのは納得できる。」という内容でした。
もうひとつが、ネガティブな側面。それは「とはいえ、なんだかんだいって、サイバーセキュリティでも、大手事務所にいるほうがチャンスに恵まれるのではないか?」「それに、サイバーセキュリティの第一人者であるパートナーがいても、アソシエイトは、いつまでもその下請けを続けるだけで、将来的に自分で案件を取れるようになる気がしない。」という内容でした。
なるほど。。。。そう言われたら、単に、ひまわり求人の広告だけに基づいて、「大手事務所に所属するアソシエイトにとっても、八雲法律事務所に応募することがキャリア形成上のチャンスがある」と無責任に述べるのはよくないような気もしてくる。せめて、自分で訪問して話を聞いてくるべきではないか?
そんな思いを抱いて、八雲法律事務所代表の山岡裕明弁護士に事務所訪問をお願いしたところ、快く取材に応じて下さいました。
そのカジュアル面談の結果として、私が抱いた感想は、
- 八雲法律事務所は、サイバー攻撃対応の専門性を維持してトップ・ランナーとして走り続けていくだろうと期待することができ、大手法律事務所に比べてもその優位性は揺らぐものではない、
- これから八雲法律事務所に参画していく若手弁護士にとっても(事務所案件とは別に)個人事件も受任しながら、独自の専門分野を開拓していくチャンスが存在する、
というものでした。
丁度、面談を終えて本記事を執筆している最中に、政府からの「サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス検討会の開催について[7]」というニュースリリースに接しました。
検討会の委員の顔ぶれを見ると、弁護士として選ばれた3人の委員には、森・濱田松本法律事務所、西村あさひ法律事務所という大手法律事務所と並んで、八雲法律事務所から選出されているのを確認して、自分の解釈に裏付けを与えてもらった気持ちになりました(所属事務所のウェブサイトによれば、森・濱田松本のシニア・アソシエイトである蔦大輔弁護士には近畿財務局や総務省の個人情報保護推進室に勤務されたご経験が、西村あさひのカウンセルである北條孝佳弁護士には警察庁で勤務されたご経験があるとのことです。これに対して、米国のカリフォルニア大学バークレー校の情報大学院でMaster of Information & Crybersecurityの修士号を取得している八雲の山岡弁護士は、他の弁護士委員のお二人とは専門とする分野を棲み分けているようにも感じられました)。
以下では、八雲法律事務所訪問を経て、上記の感想を抱くに至った事情を箇条書きに列挙してみます。
とはいえ、サイバーセキュリティに無知な私が、山岡弁護士からの話を聞いて自分なりに解釈した内容に過ぎません。そのため、誤解に基づく事実誤認が含まれているかもしれませんが、それは全て筆者の責任に基づくものであることをあらかじめお詫びさせて下さい。
1.事務所の専門性
「八雲法律事務所は、サイバーインシデントレスポンス(サイバー攻撃を受けた企業のインシデント対応)における国内最高水準の専門性を備えており、今後も、その専門性を磨き続けていける可能性は高い」と考えた事情は、以下のとおり。
- 八雲法律事務所においては、これまで「サイバーインシデントレスポンス(サイバー攻撃を受けた企業のインシデント対応)」を中核として業務がその大半を占めてきたが、今年度は、企業法務を専門とする弁護士チームが新たに参画したことにより、M&Aやコーポレート分野の業務拡大が見込まれている。
- サイバーインシデントレスポンスには、「セキュリティベンダーのアサイン」、「日本国内の当局への対応」、「GDPRに基づくEU当局への対応」、「取引先からのNDA違反に関するクレームや紛争対応」、「消費者からの個人情報漏洩に関するクレームや紛争対応」、「コールセンターの設置」、「ダークウェブの調査」等の多数の関係者を巻き込んだ対応が求められるため、司令塔の役割を担うプレイヤーが必要となる(米国では、それを「インシデントレスポンスマネージャー」と呼ぶこともある)。
- 八雲法律事務所は、そのインシデントレスポンスマネージャーとしての役割を果たしている。
- サイバー攻撃は、被害を受けた企業(及びその役員)にとって、最終的には自己の法的責任を生じさせかねない問題であるため、法的責任を回避するという目的から逆算して対応を検討することが求められる。
- 特に、米国では、インシデントレスポンスの過程におけるコミュニケーションが、事後的にディスカバリーの対象となる可能性が高い。そのコミュニュケーションの守秘性を保持するためにも、インシデントレスポンスマネージャーに弁護士を選任して「弁護士・依頼者間秘匿特権」メリットがあると言われている。
- 日本においては、秘匿特権のメリットがあるわけではないが、八雲法律事務所の弁護士には、技術の裏付けがあるために重宝されている。
- 企業の情報システム部門やセキュリティベンダーは「企業法務の世界で著名かどうか?」ではなく、「こいつは技術のことがわかっているのかどうか?」で弁護士を品定めする。インシデントの発生報告に対して、「こことここを重点的に調べる必要がありますね」とセキュリティの専門家の感覚に即した指示ができると、「この弁護士はわかっている」と信頼してもらえる。
- そのため、インシデントが発生した企業の顧問弁護士からの紹介を受けて、八雲法律事務所が受任することもある。その場合、八雲法律事務所の役割は(法務部というよりも)主として情報システム部門のニーズに応える業務が仕事の中心となるため、既存の顧問弁護士との間でも協調関係を維持することができる。
- ランサムウエアのように深刻なサイバー攻撃に対して、八雲法律事務所では弁護士チーム(代表弁護士+中堅弁護士+若手弁護士)での対応がなされている。企業側からは、経営層からは取締役専務が来て、担当部署としては、情報セキュリティ部門、法務部門、広報・IR部門等が関与するため、対策会議には企業側からの出席者数は20名規模になる。また、海外にも子会社を抱える大企業グループをクライアントとする場合には、海外子会社へのサイバー攻撃もスコープに入るため、八雲法律事務所では(代表弁護士の留学経験も活かして)欧米のローファームとも連携して対応できることが強みとなっている。
- 他方、Emotet(エモテット)やECサイトからの情報漏洩のような事件では、対応の方針も類型化されている面も大きいので、八雲法律事務所では、中堅弁護士や若手弁護士が主任となってインシデントレスポンスのハンドリングをすることもある(技術が深く関わるイシューについては、要所要所で代表弁護士のレビューを経ることになるが)。
- なお、八雲法律事務所の代表弁護士は、2016年に、日本で初めてアマゾンジャパンからレビューの投稿者情報の開示請求での認容判決を獲得したとの報道が弁護士業界で広く認知されたこともあり、発信者情報開示については、現在でも「米国のディスカバリー制度を利用して巨大IT企業への情報開示請求を行いたい」という、同業たる弁護士からの相談が続いている。
2.若手弁護士のキャリアの将来性
「八雲法律事務所に所属する若手弁護士には、事務所案件とは別に、個人事件を受任していきながら、独自の専門分野を開拓する機会も存在するであろう」と考えた事情は、以下のとおり。
- 企業へのサイバー攻撃が行われた時、八雲法律事務所には、セキュリティーベンダー、被害企業の顧問弁護士等の様々なチェネルを介して依頼が来ている。そのため、八雲法律事務所の若手弁護士には、サイバー攻撃対応の経験を積む機会が十分に与えられる。
- また、八雲法律事務所においては、若手弁護士に対して、情報処理に関する資格取得が強く推奨されている。既に、情報処理安全確保支援士の資格までを取得している若手もいれば、現在、受験中の弁護士もいる。資格取得のために行う学習内容は、日々の実務に生かされ、実務での経験は資格取得の試験にも有益であり、座学と実務との間に相乗効果も認められる。そして、試験に合格して資格を取得すれば、本人は自信を抱くことができるだけでなく、情報システム部門やセキュリティベンダーの担当者との間で円滑なコミュニケーションを行えるようにもなる。
- 八雲法律事務所においては、資格取得のための勉強時間の確保のための配慮もなされている。事務所所定の勤務時間は午前10時〜午後6時までとされており、それ以降の時間帯を技術の勉強、留学に向けた英語学習、個人事件の開拓などの自己研鑽・自己投資に費やすことができる環境が確保されている。
- 八雲法律事務所が「事務所としての専門性」を追求する分野は、サイバー攻撃への対応を中心に特化されているため、その他に事務所がノウハウを蓄積してきた分野(発信者情報開示やシステム開発紛争等)については、若手弁護士が自由に個人事件として「横展開」を行うことができる。実際にも、八雲法律事務所に数年在籍している弁護士の下には、同期や知り合いの弁護士からの事件の紹介が相次いでおり、それは同弁護士の「個人事件」として受任されることになる。
- 八雲法律事務所は、技術に詳しいという評価を得ていることから、エンジニアとの人脈が豊富である。そのため、若手弁護士は、エンジニアを依頼者とする相談を受けて、システム開発紛争分野での経験値を深めていくこともできる環境にある。
- また、個人情報保護法の改正にも伴い、八雲法律事務所には、コンサルティングの相談が増えている。どの法律事務所でも、プライバシーポリシーぐらいならば、先行する他社事例を真似ることで、形だけのアドバイスをすることはできるかもしれないが、八雲法律事務所にいれば、システム上、データがどのように扱われているのかを技術的に理解した上でのアドバイスが可能であり、かつ、「実際に情報漏洩や不正利用がなされた後の対応」を踏まえたアドバイスが可能である点で、他の法律事務所との差別化を図ることも可能である。
- なお、八雲法律事務所はまだ若い事務所であるため、これまでに、若手弁護士を留学に送り出した実績があるわけではない。しかし、代表の山岡弁護士は、自身の米国留学が専門性の獲得と人脈の拡大に役立っていることを強く認識している。さらに言えば、八雲法律事務所は、今後の業務拡大の方向性を海外案件への対応力強化にも置いているため、若手弁護士が留学希望を示すことは、事務所の成長シナリオにも合致している。
3.求められる人物像(若手弁護士のキャリアの将来性を含む)
カジュアル面談の感想に基づく雑感として、「このような人材が求められているのではないか?」について(若手弁護士のキャリアの将来性を含めて)補足しておきたい事情は、以下のとおり。
- 八雲法律事務所においては、サイバーインシデントに対して、複数名で構成された弁護士チームで対応している。これから中途採用される弁護士にとっても、同種案件対応の経験豊富な弁護士の指導を得ながら案件に取り組むことができることから、未経験でも「別の形での貢献」ができる若手にはチャンスがある。つまり、「サイバーセキュリティ分野」については(その専門的知識や経験というよりも)「これから学びたいという意欲が高い」という点が重要であると考えられる。
- 「別の形での貢献」ための素養としては、実は(特に「尖った経験」である必要はなく、むしろ)「伝統的な弁護士業務をするスキル」が高く評価される可能性がある。また、「インハウス経験」を評価してもらえる可能性もある。
- 「伝統的な弁護士業務をするスキル」とは、通常のコーポレートロイヤーとしてのスキル、訴訟弁護士としてのスキル、労働弁護士としてのスキル、刑事弁護人としてのスキルである。というのも、八雲法律事務所は「大手法律事務所に比べて、伝統的な弁護士業務の基礎的訓練を積むのに秀でた環境」と言えるわけではない。八雲法律事務所が秀でているのは、「基礎的な訓練を積んだアソシエイトが自分で裁量を持って主体的に案件に関与する場数を踏める。」という環境を与えてくれるところにある。
- 伝統的な弁護士業務の分野(ジェネラル・コーポレート、訴訟、労働、刑事)についての基礎的な訓練を積んだ上で、八雲法律事務所に参画すれば、これらを「将来に独り立ちするために掛け合わせる専門分野(例えば、「テック」×「労働」)」にも育てていくことができる。
- ジェネラル・コーポレート分野を開拓したい若手弁護士にとってみれば、サイバーインシデント対応が経営層に「刺さった」クライアントからコーポレート業務を含めた対応を継続的に依頼される形での顧客開拓の方法が考えられる。また、サイバーインシデントのクライアントに限らず、八雲法律事務所での業務経験や情報処理関係の資格は、インターネット又はIT系のスタートアップからの信頼を得るのに大いに役立つであろう。
- また、紛争処理対応を専門とする若手にとってみても、インターネット、SNS、電子メール等を通じたコミュニケーションの記録が証拠関係に占める割合が増えてくれば、デジタル証拠の収集や分析に長けていることは、他の訴訟弁護士との差別化を図ることができる可能性がある。
- 「別の形での貢献」として「インハウス経験」を活かす方法には、「社内調整力」が挙げられる。サイバー攻撃への対応においては、社内の複数部署やセキュリティベンダー、関係当局等における多数の関係者とのコミュニケーションが行われる。これは「伝統的な弁護士業務をするスキル」とは異なり、大企業において社内調整に取り組んだ経験を活かすチャンスである(八雲法律事務所には、インハウス出身の若手弁護士が活躍している、という成功体験がある)。
- 「インハウス経験」は、大量のデータを取り扱うIT企業が思い浮かぶが、関係省庁(個人情報保護委員会等)における任期付任用公務員としての勤務で得た知見や経験も八雲法律事務所で直ちに役立つものと言えそうである。
以上が、八雲法律事務所のカジュアル面談を終えた筆者の感想です。
なお、事務所の名称である「八雲」とは、島根県出身である代表の山岡弁護士が、(1)歴史的な意味では、「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」の和歌に因んで、「八雲」が「出雲国」を象徴する言葉とされていること、そして、(2)現代的な意味では、「雲」が「クラウド」を象徴することから名付けられた、とのことでした。
山岡先生、大変にお忙しい中、私の素人質問に対して、初歩の初歩から親切かつ丁寧にご回答をいただきまして、どうもありがとうございました!
今回明らかになった事実
- 今までは「サイバーインシデントレスポンスを中核として業務」とのことだが、今まで活動実態が不明であった阿部通子もやはり参画の経緯はサイバー関連であること。
- 「今年度は、企業法務を専門とする弁護士チームが新たに参画した」とあるが、これは菊地康太のことであろう。
- カリフォルニアバークレー校の留学成果をアピールしており、経営が順調であること。
- 「企業の顧問弁護士からの紹介を受けて、八雲法律事務所が受任することもある」裁判だけではなく、コンサルティング業務で業績を上げていることが推測できること。
- 「サイバー攻撃に対応している弁護士チーム(代表弁護士+中堅弁護士+若手弁護士)」とあるがこれはおそらく情報処理安全確保支援士資格持ちの千葉哲也と畔柳泰成が中心となって活動していると推測される。
- 「八雲法律事務所では欧米のローファームとも連携して対応できる」とあるが、法とコンピュータ学会や弁護士ドットコムニュースで仄めかしていた海外の法律事務所との連携のことであろう。
- 「米国のディスカバリー制度を利用して巨大IT企業への情報開示請求を行いたいという、同業たる弁護士からの相談」と相変わらず山口貴士の功績を自分の利益として活用していること。木下喬弘のTwitter開示依頼は別の事務所である井上拓弁護士との共同受任であった。
- 「情報処理安全確保支援士を現在、受験中の弁護士」とは基本情報技術者を取得している田村祥一の可能性が高いこと。
- スタッフの中に留学を考えている弁護士がいること、山岡が留学した後に事務所に入所した畔柳か。
- 「数年在籍している弁護士の下には、同期や知り合いの弁護士からの事件の紹介」とあり、千葉が紹介を受けて他にも個人受任している可能性があること。
- システム開発紛争に関しては、知財に強い杉本賢太がチームで取り組んでいると推測されること。
- 「伝統的な弁護士業務をするスキル」では町田力、「インハウス出身の若手弁護士が活躍」では柏原陽平、「省庁における任期付任用公務員としての勤務」では笠置泰平の存在が念頭にあると推測される。
- 八雲の由来は教徒の推測通り八雲立つだったが、他にクラウドコンピューティングも意味していたこと。
なお、マヨケーでは「そんだけ稼いでるなら駐輪場くらい金出して確保しろ[8]」という熱い声援や、日々の自転車通勤で日焼けしている様子、普段は白Tシャツでの勤務が想像できることに対してメスイキスレで心無い書き込み[9]が見られた。