「少年と罪」の版間の差分
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2019年1月29日 (火) 21:56時点における版
少年と罪(しょうねんとつみ)とは、中日新聞の少年犯罪をテーマとした連載記事である。2017年11月4日から連載されていた第4部「ネットの魔力」においてカランサムウェアおよび唐澤貴洋へのインタビュー記事が掲載された。
概要
https://twitter.com/chunichi_shonen/status/928307890821021696 中日新聞「少年と罪」取材班認証済みアカウント@chunichi_shonen 連載「少年と罪」第4部「ネットの魔力」の6回目「私刑」。中傷の投稿削除を求めた結果、ネットで激しく攻撃され、実生活でも多大な被害が出るようになった弁護士を通して、ネットの闇の深さの一端を描きました。
第4部「ネットの魔力」
⑤劣勢「驚く研究力 捜査後手」(2017/11/08)
カランサムウェアがイメージ画像として登場
⑥私刑「匿名の攻撃 実害次々」(2017/11/09)
書き起こし 事務所の玄関に「死ね」と落書きされた時の画像をパソコンで示しながら、殺害予告の経験を語る唐沢=東京都港区で 目の前に座っているのは、自分を「殺す」と宣言した十九歳の少年だった。 二年前の春、東京都港区の法律事務所。弁護士唐沢貴洋(三九)の前で、関東地方の男子浪人生がうな垂れていた。インターネットの掲示板に、唐沢を「ナイフでメッタ刺しにする」と書き込んだ。警視庁のサイバーパトロールで見つかり、自宅近くの警察署へ出頭。その後、両親と謝罪に来た。 「投稿している時は嫌なことを忘れられた。過激な内容を書くと、周りが反応するから」。動機は、受験の失敗などによるストレスの発散だった。 唐沢は弁護士として、ネット上の名誉毀損や不正アクセス問題に取り組む。巨大掲示板の旧「2ちゃんねる」を巡る弁護活動を契機に、ネット空間で「標的」になった。依頼人の高校生への悪質な書き込みの削除を掲示板で要請したら、自分への中傷が始まったのだ。 「僕は『遊び場を荒らす人物』と見做されたのだろう」。まもなく「殺す」と書き込まれた。この投稿を境に、脅迫や嫌がらせはネットの中から外へも広がり、現実の生活が危険にさらされるようになった。 唐沢の事務所が入居するビルに掲示板の利用者が不法侵入して、その動画を公開。実家の住所を晒されて、近くにある祖父の墓はスプレーで落書きされ、やはり画像が公開された。事務所や裁判所の周辺には不審な若者が潜むようになった。唐沢の盗撮が目的だ。 「一線越えたやろ」「もうちょっと面白い嫌がらせしろよ」。ネット空間が“炎上”するたびに、匿名の攻撃は過激化していった。 殺害予告は手口や日時を記すなど具体化した。なりすましも横行、北海道から沖縄までの学校や役所に唐沢を名乗る爆破予告メールが相次ぎ、警備強化や休校が続いた。事務所の表札に「死ね」と落書きした男子高校生は、駆け付けた唐沢を見ても薄ら笑いを浮かべただけだった。 もちろん、犯罪だ。唐沢によると、これまでに十数人が威力業務妨害や脅迫の容疑で立件された。半数近くは未成年で、殺害予告で書類送検された大分県の男子高校生=当時(16)=は「目立つと思ったから」と供述した。 「僕は彼らの“ネタ”にされているだけ」と唐沢。盗撮を避けるために通勤ルートを頻繁に変え、買い物や外食は控える。気が休まるのは事務所の一室だけ。その事務所も嫌がらせへの防犯対策などで2回の移転を強いられた。 唐沢は、投稿者を簡単に特定できるようにするなど、悪質な書き込みへの法整備が必要と訴える。そして、何より大切なのは学校教育。相手の痛みを感じ取りにくいネット空間の怖さと、すぐに標的が変わる流動性を教えてほしいと願う。 唐沢を揶揄するサイトには、殺害予告をした少年らの顔写真も“仲間”によって晒されている。まるで、騒ぐ理由を求めているだけに見える。唐沢は自分と重ねて、言う。「加害者と被害者は紙一重。誰がいつ僕と同じ目に遭ってもおかしくない」 (敬称略)
出典・註釈
外部リンク
- Twitter:@chunichi_shonen - 中日新聞「少年と罪」取材班公式アカウント