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そのツイート炎上します!/本文

提供:唐澤貴洋Wiki
2019年8月21日 (水) 18:00時点における>Ostrichによる版
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そのツイート炎上します! > そのツイート炎上します!/本文

はじめに

 私は弁護士として、ネット上の法的問題をよく取り扱っています。専門家としてテレビでコメントする機会をいただくこともあります。弁護士として一般的にみなさんが想像されるような業務も数多く担当していますが、中でもネット問題に特に熱心に取り組んでいます。それは、私自身が過去にインターネット上で誹謗中傷や殺害予告を受けた経験があるからです。
 私に対する攻撃は2012年にネット上で誹謗中傷されていた少年の弁護を引き受けたことに端を発します。
 当時、掲示板「2ちゃんねる」は削除請求の依頼をすべてネット上で公開していました。つまり、中傷を受けている人が自分の被害を訴えて記事の削除を求めるとそれがまた心無い者の目に止まるということです。
 その結果どうなるか。削除されるどころか、さらに心無い記事が拡散される事態になりました。
 私はその少年の代理人として削除依頼を掲示板に書き込みました。当時、インターネット上の誹謗中傷などによる事件を担当する弁護士はあまり多くいませんでした。ですから、私の行動は目立ったのでしょう。

 掲示板が匿名で書き込めることを盾にして、心無い悪口や、人格を否定するようなことを繰り返し書き込む悪質な人間がいました。
 彼らは特定の人間を攻撃することを常習的に行っていました。
 当時はスマートフォンの普及時期と重なっていたので、インターネットがぐっと身近になり、ネット上の犯罪や誹謗中傷などが話題になった時期でもあります。
 私は仕事という枠を超えこの問題に熱心に取り組みました。そして、炎上問題に向き合うことを決意します。そのことが、惨事を招くとも知らずに。
 当時の私は34歳です。まだ弁護士としては駆け出しですし、若さと気力に溢れていましたから、自分のライフワークとも言える仕事に出会えたという感慨さえありました。誹謗中傷の被害者とも一生懸命に向き合ったつもりです。
 あることをきっかけに、ネット住民の中で、私の名前が次第に取りざたされるようになりました。
 少年への掲示板での複数の誹謗中傷に対し、削除依頼とともに発信者の情報開示請求を行ったことがどうも癪に障ったようです。弁護士という立場で法を振りかざし、自分たちの居場所を一方的に奪おうとする悪魔に見えたのかもしれません。私がさぞかし憎く思えたことでしょう。
 すると、私のツイッターのアカウントに粘着するものが現れました。アカウントはすぐに非公開にしたものの、そこに書かれていた情報やフォロワーなどから類推して、適当なネガティブワードの投稿が始まりました。
 例えば、グーグルなどのサーチエンジンで検索すると、同時によく検索されるワードが出てきます。私の名前とネガティブワードを並列した記事を投稿することで、もし一般の方が私の名前をグーグルなどで検索すると、そのネガティブワードがすぐに出てくるのです。これはサジェスト汚染といわれるもので、現在までも続く嫌がらせの一つです。

 同時に私に対する罵詈雑言も掲示板に多く投稿されるようになりました。今度は私が自ら自分に対する発言の削除依頼と発信者の情報開示請求を行ったのです。

 裁判所で仮処分申請を行ったその結果、私は大勢の悪意を一身に受けることになりました。まず私に敵意を向けたのは、掲示板で熱心に書き込んでいたネット住民です。彼らは自分自身の居場所を荒らそうとする私を敵とみなしたのです。
 私はその展開に驚き、元来小心者の私は日中も不安に苛まれ、睡眠はアルコールに頼るようになりました。いわゆる私の個人名が晒され「炎上」してからわずか数週間のことでした。

 その3ヶ月後のこと。
 想像していないことが起きました。私の殺害予告が書かれたのです。
 「唐澤貴洋を殺す」と言う投稿の存在に気がついた私は、すぐさま警察に相談しました。
 投稿の主は高校生でした。高校生は面白半分で書き込んだようですが、私は怒りを覚えるよりも先に、心の底から震えあがりました。見知らぬ人から殺すと予告される恐怖を皆さんは経験されたことがあるでしょうか。その日から私への無数の殺害予告が始まりました。
 ある時は事務所への爆破予告がありました。その時はテレビクルーが撮影に来ましたが、もちろん実際に爆弾が爆発することもなく、テレビ局のクルーは緊張感のない顔で帰って行きました。おそらく、爆破などされない単なる脅しであることもうすうすわかっていたのでしょう。
 掲示板では私に対する誹謗中傷は当たり前となっていました。殺害予告も頻繁に行われるようになります。本当に殺したいわけではなく、「殺す」という予告を書き込むことがブームのようになっていったのです。
 殺害予告は日夜繰り返されました。その数はなんと100万回以上もあったといいます。
 そして、私についたあだ名が「炎上弁護士」でした。

 「炎上」とはなんでしょうか。
 インターネット上の炎上とは、ひとことで言えば、「インターネットユーザーが行った投稿が集まった様子」を表します。
 多くの投稿が集まる、その現象が「炎上」と表現されるのです。
 実際には「炎上」という言葉は、ネガティブな意味として用いられることが多いでしょう。「炎上芸人」「炎上作家」「炎上弁護士」といった言葉がどんな文脈で使われるか想像していただければおわかりいただけると思います。
 投稿とは何のためにするのでしょうか。 文字、画像、音声を利用してわざわざ発信する目的。それは他のインターネットユーザーに言いたいことを伝えるための行為です。誰にも伝わることを求めていないのであれば、ワードにテキストをただ打ち込み、パソコンに保存すればいいだけですよね。つまり、投稿とは自分から他者に向けたひとつのコミュニケーション行為なのです。
 また、自分に対する他人の評価を、より自分が思っている自分に近づけるために、自分に関する情報をインターネット上に投稿する人もいます。  他者と自分が全く同一の存在であれば、何かを伝える必要はありません。しかし、この社会に自分と同一の他者は存在しません。
 人が何かを伝えるという営みは、自分に対する他人の理解を深めることを目的とした行為と言えます。

 投稿が「言いたいことを伝えるための行為」だとしたら、炎上とはコミュニケーションの集合体ということになります。
 そもそも、人が「誰かに何かを伝えたい」と思うのはどういう状態でしょうか。
 人は何かの事象が起こったときに、自分の頭の中で1認識して、2理解して、3感情が発生します。
 その際、人それぞれが持っている倫理観・思想・価値観に基づき、自分の中に事象を取り込みます。その後、感情が発生することもあります。そして、他者に自分の感じ方や考え方、「その事象についてどう思ったのか」を伝えようとします。
 この場合の感情とは、怒り、喜び、悲しみ、妬み、憂い、孤独感などです。


インターネット上で事象が発生
(わかりやすい表現としては「ネタの投下」)

人が認識、倫理感、価値感、論理的考え方、思想に基づく理解

人の感情の変化

事象に対する評価

評価の伝達としてのインターネット上での投稿

ネタの投下…

 炎上とはそれらの感情が大きく集まった状態を指します。
 このプロセスは決して単発的なものではなく、ネタとしての情報が投下されることが続く限り、永遠に連鎖を続けるのです。
 繰り返しになりますが、炎上とは単発的な投稿のことではなく、多数の投稿がなされることを指します。
 ここで大事なのは、「多数の投稿」という表現を使ったことです。『ネット炎上の研究』(山口真一著)によると、「インターネットで炎上に参加し投稿するのは0・5%しかいない」という研究が発表されています。多数の投稿はなされているが、マジョリティが参加しているわけではありません。
 本書では炎上のメカニズムから、炎上が起こった事例をもとにして、なぜその炎上が起こったのかを解説、さらに炎上を避ける心がけをご紹介したいと思います。
 次章では、日本や海外で起こった炎上の現象について、解説しましょう。

炎上百景

01 悪ふざけ 悪ふざけがネット上に流出して店もアルバイトも炎上

厨房内で不衛生な動画や写真を投稿して拡散、炎上。店の業績は大きく下がった。その結果、当該店員に対して損害賠償請求も

 東京都多摩区のそば屋でアルバイト店員が「洗浄機で洗われてきれいになっちゃった」というコメントをつけて、厨房の備品を使って仲間内でふざけて撮影した画像をツイッターに投稿したところ、あっという間に拡散。「不衛生」などのクレームの電話が相次ぎ、もともと店の業績が良くなかったこともあり、その後破産に至った。店はアルバイトに対し1385万円の損害賠償請求をした。  この事件を端緒に、世間の目はアルバイトによる「バイトテロ」に目を光らせるようになった。だが、その後もアルバイトによる不適切投稿は相次いだ。  記憶に新しいところでは回転寿司大手の「くら寿司」で、厨房で制服を着た男性が、魚の切り身を包丁でさばいて、「これは捨てます」と言いながらゴミ箱に投げ入れたあと、拾い上げてまな板の上に置く動画を投稿。くら寿司もその事実を把握し事態の収拾に動いたが、上場会社を舞台にしたバイトテロに世間は注目した。どちらもアルバイト店員の身分はネット上で特定され、個人攻撃が始まったことにも注意したい。  くら寿司運営会社は2019年には店売上高4カ月連続前年割れを記録。本件の影響だけではないだろうが、イメージダウンは避けられなかったということだろう。

02 有名人であるがゆえ 若い女性が政治的発言をすると炎上しやすい傾向にある

ローラさんが政治的発言をしたら袋叩きに。若い女性や芸人が政治的発言をすると反論が必ずくる

 もともとおバカキャラで知られていたタレントのローラさんは、現在アメリカに拠点を移している。日本ではCMやインスタグラムでの活動が主だが、若者に対する彼女の影響力はとても大きい。  彼女が昨年12月に辺野古の基地問題について発言をしたところ、世間からの大バッシングを浴びた。日本には芸能人が政治的発言をすることを良しとしない風潮がある。中でも大きい意見は、タレントがどちらかに肩入れすると、その反対派の支持を失うというものだ。CMなどの生命線とする[原文ママ]タレントにとってそのリスクは大きいようだ。  彼女がインスタグラムで辺野古移設反対を表明すると、あっという間に袋叩きにあった。  中でも若い女性が声をあげたことに対して、賞賛よりも、「勉強不足だ」「ハリウッドセレブが政治的発言をすることにあこがれただけ」という否定的な声が相次いだ。  同時に右寄りの著名人からも[原文ママ]名指しで非難を開始。インフルエンサーの反応に呼応するかのように、ローラさんのインスタグラムには苦情コメントが殺到した。  その投稿は削除されたものの、わけもわからないのに政治発言に首を突っ込みたがるというレッテルを貼られることになり、ますます意見を言うものが減った。  言論の自由が認められている以上、論理的な戦いをすべきであり、勉強不足だと単に責めるだけでは何の意味もない。ローラさんのように自分の意見を自由に言える社会でなければならない。

03 暴言 ZOZOの前澤友作社長がツイッターで失言→株価下落

トップの軽率な発言でツイッターが炎上。株価は急落して企業はその対応に追われる

 「月に行く」と宣言したり、有名女優と浮名を流したり、個人納税額が70億だと公表したり、ツイッターのフォロワーに1億円をプレゼントしたりと話題を提供し続けたカリスマ経営者といえば「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの前澤友作社長だ。最近では服の原価を公表して炎上が起こり、最終的に株価が低下するなどツイッターでの話題作りにことかかない。  前澤社長のツイッターの失敗は2012年10月に遡る。送料と手数料がかかることに対して不満のツイートをした顧客に対して、「二度と注文しなくていい」と発言したのだ。それも、前澤社長宛てのリプライではなく、本人がエゴサーチして見つけたという経緯もあって、前澤社長のツイッターは炎上した。  前澤氏に対する擁護意見もあったが、企業の社長という立場にある人間の感情的かつ軽率な発言に対して株主はもちろん現場からも非難の声が相次いだ。  その後、この問題の余波からか、11月からはそれまで1万円以下の買い物の際にかかっていた送料を無料にすると発表。顧客離れ対策に必死となった。  近年も話題を振りまき続けた前澤社長だが、2019年2月にツイッター休止を宣言したところ、その直後に株価が上昇した。企業のトップとしては、情報発信をするときに、PR会社なりに任せるなど慎重な対応が求められる。

04 勘違い 東名高速事件の犯人の親と勘違いされた建設会社に威力業務妨害

デマ情報を鵜呑みにし正義感にかられたネット住民が電凸。迷惑電話をかけ、会社の機能を麻痺させ業務に支障を与えた  神奈川県の東名高速道路で2017年6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した。発端となったのは高速道路のパーキングエリアでのささいなトラブルで、それに激昂した男性は、あおり運転を繰り返し最終的に高速道路上で夫婦を車外に出ざるをえない状況に追い込んだ。そこにトラックが追突し、夫婦は死亡した。  センセーショナルな事件ゆえ、このニュースは大体的[原文ママ]に報じられ、あおり運転が法規制される大きな端緒となったが、同時にとある建設会社が加害者の実家であるとのデマがネット上を駆け巡った。「容疑者の勤務先」であり「実父」が経営するとネット上で拡散された建設会社には、中傷や嫌がらせの電話が殺到した。  もともとはネット上の一つのデマだったが、やがてまとめサイトに掲載されると情報が爆発的に拡散。会社には嫌がらせの電話が殺到し、会社の機能は完全に麻痺した。  実害を被った建設会社の社長はテレビのインタビューで「どれだけ否定しても罵声を浴びせてくる」とその恐怖を語っている。  この件で建設会社社長は名誉毀損で告訴状を提出。書き込みをした人物は特定され、11人が書類送検されたが、最終的に不起訴とされた。デマを流したものが罰せられなければ、デマを流す人間があふれかえることになってしまう危険がある。

05 ネット上のデマ ライオンが逃げたとデマを流して犯人が捕まる

災害時の不安な精神状態ゆえ思わずリツイート。だがその情報がデマである可能性も

2016年4月14日に発生した熊本地震の直後に「熊本の動物園からライオンが逃げた」というデマをツイッターに投稿したとして20代の会社員の男が逮捕された。「地震のせいでうちの近くの動物園からライオンが放たれた」という文とともに、コンクリート舗装された市街地を歩くライオンの写真が投稿されると、またたくまにリツイートされ、デマは一気に拡散した。同時に熊本市動植物園には問い合わせの電話が相次いだ。  このケースではネットで拾った画像に適当なキャプションをつけて投稿。犯行の理由について「悪ふざけだった」と罪を認めたという。  東日本大震災の当時も、被災地を荒らしまわる外国人窃盗集団などの情報や性犯罪の目撃談などが駆け巡ったが、実際に確認されたという報告はない。  関東大震災の朝鮮人大虐殺に例を見るように、非常時におけるデマは拡散しやすいので注意が必要だ。  災害時にデマを流し逮捕されるのは、熊本の事件が初めてであった。

06 広告の表現、主に男女に対するステレオタイプな描き方 牛乳石鹸の広告で家庭を顧みない父親を描き炎上

家庭を顧みない古き良き男性像、家庭を守る女性像。そのステレオタイプな価値観が消費者の怒りを増幅させる

 かつてはステレオタイプな男女像があった。男は夜遅くまで家庭を顧みず働くのがいいとされ、女は子供を産んで家事をしっかりこなし育児に専念するものだと。  現在、炎上するCMや広告の問題でよくあるのは、その男女像に起因するものだ。広告を作る現場にいる人間、企業でその広告にゴーを出す人間が旧態依然としているとしか思えない。だから、問題の原因がどこにあるか、制作段階で問題であることが議論にすらなっていない可能性もある。  炎上する理由は様々だが、すでに時代遅れの「男らしさ」「女らしさ」といった価値観の押し付けは大きな原因となる。  2017年の牛乳石鹸のCMは、仕事に邁進するお父さんが、息子の誕生日を忘れて会社の同僚と酒を飲み帰宅する。酒宴の最中には何度も妻からの着信は[原文ママ]無視している。そして最後に風呂に入ってさっぱりして家族と仲直りするというストーリーだった。これはお父さんは仕事が何より大切という価値観を根底に敷いた物語であり、公開されるとすぐに非難の声が殺到した。  特に石鹸のメインの購入層である女性からの否定的な意見が多く、企業はすぐにCMを削除した。

07 主に韓国人・在日に対するヘイトに反対するものへの嫌がらせ 炎上させる人たちの魔法の言葉「反日」

有田芳生議員に対して右寄りの有名人が批判。有田議員のツイッターは常に炎上状態に

 国会議員の有田芳生議員はもともとジャーナリストという経歴を持ち、オウム問題でその名を広く世間に知られるようになった。社会的弱者に積極的に手を差し伸べる政治スタンスを貫いており、特に「在日特権を許さない市民の会」などの保守と名乗る団体などが行う活動への批判を継続して行っている。  朝鮮学校への学費無償化、外国人参政権の推進などの活動から、「反日」というレッテルを貼られ、ことあるごとに、いわゆる右寄りの著名人からの名指しの非難を受けている。拉致問題にも積極的に関わっているが、それに対しても「拉致問題を政治利用している」などの批判を受けることもある。  この様に、一度「反日」と認定されると、その後は人格を否定するようなリプライが殺到する。有田議員は特に「熱狂的な」アンチを多く抱え、発言をするたび粘着質なコメントがつくことでも知られる。  右寄りの著名人は名指しで有田議員を批判し、それに呼応するように、批判コメントの量は増える。  在日韓国人である女性に対しても、脅迫や嫌がらせが相次いで行われ問題になったが、それらはすべて「反日ゆるすまじ」という御旗のもとに行われている。  ヘイトに基づく言論は、到底許されるものではなく、政府としても、ヘイトスピーチを厳罰に処す立法を行うべきという声も多い。

08 報道姿勢 報道機関と記者に対する憎しみで炎上

一度反日のレッテルを貼られたら何かあるたびにすぐに憎しみの対象となる。「朝日嫌い」というジャンルも確立

 新聞はどこも同じでない。新聞には各社、明確な主張のスタンスがある。右寄り、左寄りと二つに分けられるほど単純ではないが、朝日新聞と毎日新聞、そして東京新聞はネットでは怨嗟の対象になりやすいようだ。中でも、朝日新聞は反日の象徴として広く認定されており、「朝日新聞はつぶれるべき」との言論を広く目にする。  過去に吉田証言をもとに事実と異なる記事を書いてしまった背景と、朝日新聞は日本を嫌いであるという過度な盲信によって批判は加熱[原文ママ]し、朝日新聞を批判する雑誌も多い。もはや「朝日嫌い」というジャンルが確立されたきらいもある。  安倍政権の支持層と朝日嫌いは重複する面もあるだろう。首相が公の場である衆議院予算委員会で朝日新聞批判を行ったことは記憶に新しい。  東京新聞の望月衣塑子記者に対する批判も最近は加熱[原文ママ]している。官邸から記者クラブへの望月記者の排除要請が報じられるに至って、海外からも批判の声が相次いだが、現実的にはネット上で「アンチ望月」がさらに加速している。  安倍政権のやることなすことに批判するジャーナリストというレッテルを貼られた望月記者た[原文ママ]彼女の一挙手一投足が一部のものによって批判の対象となっている。しかし、記者としては質問を行うことは当然のことであり、ジャーナリストとしての職務を全うしているという視点も忘れてはならない。

09 アイドルがらみ アイドルグループのずさんな運営で炎上

アイドルが暴行されるという衝撃的事件と、穏当に幕引きを図ろうとする運営との対立

 2019年1月9日、アイドルグループのNGT48に所属する山口真帆さんがファンに向けた生配信中に衝撃的な告白を行った。彼女が語ったのは、悪質なファンが自宅に押しかけて暴行されたというショッキングな内容であった。涙ながらにその被害を訴えたものの、途中で配信は中断された。  その後、グループ内部とつながっているメンバーが存在することを彼女が示唆した。  3月には運営会社が第三者委員会の調査に基づく報告を行った。ファンと関係があったメンバーの存在を認めたが、問題の事件に対する関与はないとし、メンバーへの責任追求は行われなかった。  この会見中に、山口さん本人がツイッターで異議を唱える。つながっているメンバーは全員解雇すると約束したこと、謝罪の手紙を書かされたことなどを暴露。運営の会見を根底から否定する内容に世間は騒然とした。  山口さんに対する応援の声は日増しに増え、運営への批判は加熱[原文ママ]した。同時に関与が疑われるメンバーのSNSには攻撃的なコメントが並び炎上状態となった。  そして問題が解決しないまま山口さんはグループからの脱退を宣言。運営から批判されたことを明かし、山口さんに対する同情が集まった。

10 義憤 モンスタークレーマーに対する義憤、すぐに本人が特定され炎上

店にクレームを入れる様子を撮影。さらにそれをSNSやユーチューブにアップしたことで事件が発覚、逮捕へ

 2013年10月。店で購入した商品に瑕疵があったことで、店にクレームを入れに訪れ、さらに店員に土下座を強要した女が逮捕された。女は土下座の様子を携帯電話で撮影しあろうことかツイッターに載せたことで、アカウントが炎上。個人情報が特定されるなどのお約束の流れになったが、その後女は強要罪に当たるとして逮捕された。  2014年にはコンビニの店員の対応にクレームをつけた集団が店長と本社社員を土下座させ、「おわびのしるし」としてタバコなどの商品を恐喝する。さらにその様子を撮影して動画サイトにアップしたことで問題が拡散。  ネット上で本人たちの素性が特定され、情報が拡散していることを知った犯人の一人が警察に出頭し逮捕され、その後、他の者も逮捕された。  どちらのケースも本人たちが自身の不法行為を無自覚にSNSにアップしたことで問題が発覚した事例だが、こういう場合の義憤に駆られたネット住民の行動は迅速で、すぐに犯人の個人情報が特定され、本人はもちろん家族の写真などがまとめサイトにアップされた。

以下執筆中

コラム「炎上による経済的損失・心理的負担」

なぜ炎上するのか

コラム「SNSの恐ろしさ」

対談 芸人 スマイリーキクチ

コラム「炎上に加担する人」

まずは炎上しないために

対談 ブロガー・作家 はあちゅう

コラム「広告代理店の責任とコンプライアンス」

炎上してしまったらどうすればいい

炎上で被害を受けた、さあどう戦う

対談 ジャーナリスト 渋井哲也

おわりに