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恒心文庫:厚子が数の子を出産した

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

厚子が数の子を出産した。太陽はもう見えなくなっていた。

仕込みは数日前に終わっていた。
愛の巣で厚子は自らのどす黒い女性器を広げ、そこに洋が精液を注ぎ込んだ。
快楽など感じない。
数の子を産む機械として自分は生かされているのだと厚子は思っていた。

だから厚子のひりだす数の子は例外なく受精していた。
この数の子を放っておけばやがて子に育つ。有能か無能かは分からないが、とにかく子が育つ。

休む暇はない。
数の子をひりだしひりだしひりだす。
その繰り返し。
洋も虚ろな眼をして、その数の子に射精する。
単なる生命の営みであった。
愛や欲望によらない、生物としての純粋な行為。

彼女の産み落とした数の子の一部は、スーパーで売られどこかの食卓の上にお節として並ぶかもしれない。
だからこそ何万何十万という数の子を産み落とし、生存可能性を高めるのである。

太陽の届かない海の底、今日もこのニシンは暗い顔をして卵を産む。
子どもたちの顔を思い浮かべながら。

リンク

ここでは厚子が化け物のような姿となっている作品のみリンクを掲載する。この他にもメインとして登場している作品、叙述トリック物がある。

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