IT法務コラム/FC2ブログ・動画等での誹謗中傷や名誉毀損記事を削除するには
FC2ブログ・動画等での誹謗中傷や名誉毀損記事を削除するには(えふしーつーぶろぐ・どうがとうでのひぼうちゅうしょうやめいよきそんきじをさくじょするには)とは、法律事務所クロスホームページのコンテンツ「IT法務コラム」にカテゴリ「FC2」で投稿された記事である。
内容
転職会議での会社への誹謗中傷・風評被害にあたる書き込みの削除方法[1] |
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1.FC2とは
1-1.FC2のサービス
FC2(エフシーツー)は、ブログ(FC2ブログ)や動画配信(FC2動画)、レンタルサーバー、アフィリエイトプログラム、レンタルWIKI(FC2WIKI)等、WEBに関する様々なサービスを提供している企業です。
特にFC2ブログは、日本国内でサービスを展開しているブログサービスの中でも、利用者数がトップクラスであることで有名です。
また、FC2動画も、無料で利用できるという点で利用者が多く、コンテンツも非常に豊富で、国内ではYouTubeに次ぐ利用者がいるとも言われています。
1-2.FC2は米国法人
FC2の設立当時の代表は日本人ですが、法人(FC2, Inc.)はアメリカのネバダ州ラスベガスにある米国法人です。FC2の日本向けサービスを開発・展開している会社は、おそらく日本国内にあるといわれていますが、その日本法人は米国法人から業務委託を受けてサービスを提供するという形式をとっているため、あくまでサービスの主体は米国法人であるFC2, Inc.ということになるようです。
もっとも、日本の民事訴訟法の規定により、本社が日本国外にある法人でも、日本において事業を行う法人に対する訴えについては、その訴えがその者の日本における業務に関するものである場合には、日本の裁判所に管轄が認められますので、FC2, Inc.に対しても国内法が適用可能になっています。
1-3.FC2の問題点
FC2では、提供するサービス内での運営会社の管理体制が十分でないことから、そのサービス内での様々な違法行為が問題になっています。具体的には、利用者の中には、FCのサービスを利用してわいせつ動画の配信や販売、違法薬物の販売等を行ったとの容疑で、逮捕者が出るほどです。2014年には、FC2の創業者や関連会社に、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪などの容疑で家宅捜査が入り、2017年には、京都地方裁判所で有罪判決が下されました(2017年4月現在、被告人控訴により未確定)。
また、裁判所により発信者情報開示仮処分命令が発令された案件で、FC2が当該命令に従った対応をしないというケースも存在しており、運営会社側の管理体制は決して問題ないとは言えません。
2.FC2ブログや動画において誹謗中傷されたり名誉を毀損されたりした場合は
もっとも、日本の民事訴訟法の規定により、本社が日本国外にある法人でも、日本において事業を行う法人に対する訴えについては、その訴えがその者の日本における業務に関するものである場合には、日本の裁判所に管轄が認められますので、FC2, Inc.に対しても国内法が適用可能になっています。
2-1.FC2への直接請求
FC2ブログ等への投稿によって誹謗中傷されたり、名誉を毀損されたりした場合は、まず当該投稿についてFC2に直接削除を依頼するという方法があります。
FC2には、「不適切サイト報告・異議申し立てフォーム」があり、このフォームを利用して、運営会社に対して直接削除を依頼することができます。このフォームは、ブログ、動画、掲示板など、FC2のサイト内での問題に共通で使えるフォームとなっています。
2-1-1.削除フォームを利用した削除依頼の留意点
この削除フォームには、注意書きとして、「当フォームは、原則として返答はいたしておりません。ご了承ください。」との記載があり、削除フォームを利用して削除依頼を行っても、削除を認めるかどうか等FC2からの対応は一切ありません。ですから、削除されたかどうかを知るためには、当該サイトを自分で逐一確認するしかありません。当然、削除されない場合であってもその理由等は一切わかりません。 2-1-2.「法的機関専用」の削除フォームを利用した削除依頼
FC2の特徴的な運用として、「法的機関専用 お問い合わせフォーム」が存在します。このフォームは、行政機関または法律事務所専用の削除要請用フォームとされていることから、運営会社側が、一般の削除要請と、行政機関または法律事務所からの削除要請とを別扱いしていることが窺えます。 2-1-3.送信防止措置請求
FC2に直接削除を求める方法としては、送信防止措置請求を行うという方法も考えられます。 送信防止措置請求を行うと、FC2運営会社側が、権利侵害を認めて自主的に投稿を削除するか、もしくは、投稿者等へ削除依頼があったことを通知し、7日以内に反論がないか、反論に理由がないと運営会社側が判断した場合に、投稿が削除されるケースがあります。
2-1-4.FC2への直接請求(送信防止措置請求を含む。)の問題点
FC2の削除フォームには、一般用と「法的機関専用」のものの双方とも、「削除を依頼する理由」の箇所に「(サイト管理人であるユーザーへ転送します。)」との記載があります。したがって、一般用も「法的機関専用」も、いずれにせよ削除フォームを利用すると、削除依頼をしたこと(理由も含む)が、ブログの作成者や投稿者に知られてしまうという問題点があります。 また、送信防止措置請求においても、削除依頼があったことがブログの作成者や投稿者に通知が送られてしまいますから、同様の問題があります。
削除依頼があったことを知られてしまうと、そのことで投稿者に対して火に油を注ぐ形になってしまい、かえって問題を深刻化させてしまうことがあるので、この点は慎重な対応が必要です。
2-1-5.「法的機関専用」フォームからの削除請求の特徴
以上のような点を考慮してか、「法的機関専用」フォームからの削除請求の場合、法律事務所側は、依頼者名を明らかにする必要はありません。これに対し、一般用の削除請求フォームからの削除請求の場合は、請求者本人の名前を明らかにする必要があります。そのうえで、サイト管理人であるユーザーへの「お名前の公開を許諾」「しない場合は、削除に応じられないことがあります」との注意書きも記載されていることから、事実上、削除請求者本人の名前をサイト管理人に知らせないと、容易には削除に応じてもらえないようです。 もっとも、「法的機関専用」フォームからの削除請求であっても、削除依頼をする本人の氏名は明らかにしなくてもいいものの、削除依頼の事実及びその理由はサイト管理人であるユーザーへ転送される旨の記載がありますので、削除依頼の事実及びその理由から依頼者本人を推測されないよう、注意が必要です。
2-2.裁判所を利用した削除請求
2-2-1.仮処分の申立
FC2に直接削除依頼を行う方法以外には、裁判所に削除を命じる仮処分命令を発令してもらうという方法が考えられます。仮処分とは、裁判所で行う手続の一つで、権利侵害などがあったときに裁判(訴訟)を起こすと時間がかかることから、裁判所から暫定的な決定をしてもらうことができる手続です。FC2のブログやホームページ等で名誉権侵害などの権利侵害があると裁判所が判断したときは、裁判所から相手方(FC2)に対して記事削除命令を出してもらうことができます。 2-2-2.仮処分の問題点
裁判所に仮処分を認めてもらうためには、権利侵害があったということを法的に書面で説明する必要があります。また、場合によってはそれを証明(仮処分手続の場合は疎明)する証拠を提出する必要があります。 インターネット上の投稿・表現には表現の自由が認められていることから、名誉毀損やプライバシーの侵害にあたるかどうか、誹謗中傷として個人や企業の権利を侵害する程度のものかどうかという判断は微妙な問題で、法的な知識が必要不可欠であり、個人で書面を作成し、証拠を提出するのは難しい場合が少なくありません。
3 弁護士へのご相談のメリット
以上のように、他の大手掲示板やブログ運営会社に比較すると、FC2については対応が不透明なところが多いと言わざるを得ません。これは削除請求のみならず発信者情報開示請求についても同様です。
ですので、現状、他サイトに関するご相談に比して、FC2での名誉毀損表現の投稿やプライバシー権侵害投稿に関するご相談について弁護士ができることは少ないのですが、それでも上記のように削除要請を行うことのデメリット等、経験を踏まえたアドバイスは可能ですので、慌てて自分の判断で動く前に、一度ご相談されることをおすすめします。
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解説
2017年6月15日に投稿された。
脚注
関連項目