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>黒水力 (→「10年続くネット中傷被害」唐澤貴洋が語る“木村花さん問題” 「もはや重罰化が必要だ」(2020/06/08): 本文に対する解説の追加。) |
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弁護士ドットコム(べんごしどっとこむ)とは日本の法律ポータルサイト及びその運営会社。弁護士のマーケティング活動を支援する無料法律相談や法律事務所の検索サービスを提供している(詳細についてはmuyopedia参照)。本項目では同サイト上における唐澤貴洋に関するページ・記事について記載する。
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https://p13.bengo4.com/a_13103/l_137348/(魚拓) → https://www.bengo4.com/tokyo/a_13103/l_137348/(魚拓)
からさわ たかひろ 唐澤 貴洋弁護士 ☎03-6435-8073 法律事務所クロス → 法律事務所Steadiness 東京都港区虎ノ門3-16-7ピュア虎ノ門4階 → 東京都港区三田2-2-15三田綱町デュープレックスR’s3階
プロフィール
1 迅速,正確に。 2 常に情熱を持つ。 3 常に冷静であれ。 4 全てはお客さまのために。
取扱分野
遺産相続 労働問題 債権回収 詐欺被害・消費者被害 インターネット問題 犯罪・刑事事件 不動産・建築 企業法務・顧問弁護士 税務訴訟・行政事件
自己紹介
IT分野に詳しいです。 IT関連紛争(不正競争防止法,著作権法,不正アクセス禁止法,プロバイダ責任制限法等関連)でお悩みの方ご相談下さい。 また,インターネット上の誹謗中傷(個人のプライバシー侵害も含む)にお困りの方,お気軽にご相談ください。 2chにおける書き込みでお困りの方,2chコピーサイトでお困りの方にも対応いたします。 現代は,インターネット上における信用管理が重要視される時代です。企業の商品の宣伝,企業での採用,企業への就職,個人間の人間関係(結婚等),学校におけるいじめ これらに全てインターネット上の情報流通がかかわってきます。企業及び個人の情報は企業及び個人が自己決定(どのような情報を出すのか)してマネージメントすることが求められます。 信用は全ての関係における基礎となっております。 所属弁護士会 第一東京弁護士会 弁護士登録年 2010年
経歴・技能
学歴
- 慶應義塾大学総合政策学部
- 早稲田大学法科大学院
資格
- 法務博士
使用言語
- 日本語
- 英語
主な案件
- 2011年 - 意思能力が争われた事件において相手方から出された医師の診断書の証拠価値を問題にし,最終的に訴えの取り下げに持ち込んだ。
- 2011年 - 遺産分割調停で依頼者に有利な形で一部調停成立
- 2011年 - 権利関係が入り組んだ土地を整理
- 2011年 - 渉外的要素のある相続を遺言執行者として適正に処理
- 2011年 - 2chコピーサイト等の誹謗中傷削除
- 2011年 - 2chにおける書き込みについて削除及び発信者情報開示仮処分 複数件
- 2011年 - ストーカー案件について刑事対応
- 2011年 - 未払い残業代請求についての労働審判
- 2011年 - 売掛金の回収を求める訴訟において1審勝訴 相手方は当初売買契約そのものを否認していたが,証拠を丹念に収集し1審勝訴に導いた。
- 控訴されたが,控訴審も勝訴
- 2011年 - 企業の不正調査
- 2012年 - ドメイン紛争
- 和解により解決
- 2012年 - 競業避止義務違反が問われ損害賠償請求債権を被保全権利とする債権の仮差押決定に対し,保全異議を出し,勝訴。
- 2012年 - 2ちゃんねるへの誹謗中傷記事を投稿した者を特定し,損害賠償請求及び刑事告訴
- 複数件
- 2012年 - 不法に解雇された労働者側に立ち,経営者と示談交渉。
- 示談成立。解決金を獲得。
- 2012年 - 被疑者段階で弁護人として入り,弁護。
- 複数件不起訴。
- 2012年 - グーグルに対し,サジェストワード及び関連検索ワードの削除請求。
- 2013年 - 企業買収に伴う法務DD
- 2013年 - 学校を退学させられた生徒側に立ち,学校を相手に生徒たる地位確認の仮処分命令申立て
- 勝訴。
- 2013年 - インターネット上の誹謗中傷者を特定。
活動履歴
講演・セミナー
- 2012年 - 従業員の精神疾患をめぐる法的責任と実務対応
企業管理職向けセミナー
人となり
趣味 | 映画・音楽・落語鑑賞 散歩 |
特技 | 見知らぬ人と話す。強い心を持ち,諦めない気持ちを持つ。 |
個人 URL | http://www.koushin-lawfirm.jp/measures/ |
好きな言葉 | 素心若雪 |
好きな本 | 「二十歳のころ」(立花ゼミ),「青春漂流」(立花隆),「勝者もなく,敗者もなく」(松原耕二) |
好きな映画 | Civil Action |
好きな観光地 | 山口県角島,福岡 |
好きな音楽 | John Mayer,Linkin Park,Bruce Springsteen |
好きな食べ物 | 刺身,焼酎 |
好きなスポーツ | 水泳 |
好きなアート | 日本画 |
好きな有名人 | 寺島実郎 |
ツイッターアカウント | koushinlawfirm |
弁護士ドットコムニュース
2012年に、Yahoo! JAPANと連携した ニュースメディア「弁護士ドットコムトピックス」(現在の「弁護士ドットコムニュース」)を開始、ソーシャルメディアでの拡散を通じて、アクセス数増加に繋がった。2013年には、朝日新聞社出身でJ-CASTニュースやニコニコニュースで編集長を歴任した亀松太郎を編集長に迎えてニュース記事を強化。月100本以上の記事を配信し、月間サイト訪問者数は2014年現在、661万人に及ぶ。現在はハフィントンポストやBLOGOSにも記事を提供している。社会で話題となっているニュースなども取り扱い、1,000から1,500字と読みやすく、後半部分には弁護士の法的観点からの解説を入れる体裁を取っており、読者が普段から法律に親しみを持てる内容とする工夫がされている。
「インターネットの闇は深い」 匿名の「誹謗中傷」と戦う唐澤貴洋弁護士インタビュー(2015/6/25)
インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷がたえない。個人に対する悪口から、読むに耐えないおぞましい罵詈雑言まで、毎日のようにネットのどこかで書き込みがされている。インターネットの怖いところは、そんな悪意のある言葉が、匿名の多数の人間によって拡散され、増幅していくところだろう。 今年2月に川崎市の多摩川河川敷で中学1年生の少年が刺殺された事件では、ネット掲示板で「犯人探し」が展開された。加害者とされる高校生の顔写真やプロフィール、過激な中傷が匿名で書き込まれていった。 インターネットが社会に広まって約20年。このような問題はこれまで何度も指摘されてきたが、解消されていない。むしろ悪化しているようにも思える。ネット上の終わりのない匿名攻撃に、私たちはどう向き合えばいいのだろうか。 インターネット上の誹謗中傷問題に専門的に取り組み、その副作用として自分自身もネット上で根拠のない誹謗中傷を受けながら、1年で100件を超える個人や企業から相談を受け、被害者を救済すべく精力的に活動している唐澤貴洋弁護士にインタビューした。 ●「動物的な感情」のぶつけ合いが野放しになっている ――匿名掲示板をはじめとして、インターネットには誹謗中傷の言葉があふれています。どう見ていますか? インターネットの誹謗中傷を専門にあつかったり、自分も攻撃を受けるなかで、気付いたことがあります。一口で言うなら、それは「インターネットの闇は深い」ということです。他人を傷つける誹謗中傷をおこなっている人は、想像以上にたくさんいます。 ――どんな恐ろしいことがあるのでしょうか? いったん、攻撃の対象になってしまうと、情報が本当なのかウソなのかきちんと検証されないまま、悪口がどんどん書き込まれます。しかも、真偽不明であるにもかかわらず、たくさん書き込まれることで、あとから見た人が「本当」のことだと思ってしまう。 さらに、炎上すると、住所などの個人情報がさらされます。その情報にもウソが含まれていることが多いのですが・・・。丸裸にされて、叩かれてしまうのです。 ――普通の人からしたら、たまらないですね。 住所を知られてしまうと、四六時中、監視されるようなことも起こりえます。たとえば、家の外で、知らない誰かに背後をつけられることがあったら、まったく落ち着くことはできないでしょう。普通の神経ではいられなくなる人も、いるかもしれません。少なくとも生活に支障が出るし、引っ越しをせざるを得ないケースもあるでしょう。実際、私について、盗撮に成功したなどという情報が出回り、インターネット上で話題にされたことがありました。 ――ネットで炎上したケースをみると「集団リンチ」のようなことが起きています。その点については、どういう考えでしょうか? 川崎市の中学生殺害事件でもそうでしたが、犯人の過度な追及など「ネット私刑」が横行しています。そこでは「悪い奴に対しては何をやってもいい」という風潮がみられます。何の検証プロセスも経ずに、個人を攻撃する情報がどんどん積み上げられていきます。さらに悪質なのは、犯人とされる家族の方も標的となり、誹謗中傷ないしプライバシー権侵害の対象にされることです。 しかし本来なら、これはおかしなことです。犯罪については、それを捜査するための法律があり、それにもとづいて捜査機関が対応することになっています。曲がりなりにも国民自らが決めた法律を無力化するようなことがあってはなりません。 真実を知りたい気持ちはわからなくもありませんが、たとえ、その人が悪いことをやっていたとしても、一般人が何の責任も負わずにやみくもに攻撃していいわけではないのです。ましてや、犯人とされる家族の方を標的にするのは、法的に許されるわけがありません。 もちろん、きちんとした議論が行われて、成熟した民主主義に貢献するような言論だったら、問題ありません。しかし、あるのはディスカッションではなく、刹那的な「動物的な感情」のぶつけ合いです。そんな状況が野放しになっているのです。 こういう状況に対して、弁護士として取り組みつつ、もっと多くの人に、問題があることを知ってもらいたいと思います。 ――ご自身も攻撃の標的となっています。 私の場合は、インターネット上で起きたある誹謗中傷事件で、権利侵害をおこなった人たちを特定しようとしたことがきっかけです。それで目をつけられて以降、私に対する誹謗中傷はやみません。事務所に不審な電話がかかってくるなど、様々な業務妨害を受けております。 ●弱い人ほど自分でものが言えず、悩みや苦しみを抱えてしまう ――そこまでして、誹謗中傷対策の活動を続けているのは、なぜですか。そもそも、弁護士になったきっかけから聞かせください。 今から考えると、10代後半に1歳下の弟が死んだことが背景にあります。 弟は当時、ある非行グループから、資金集めのためにパーティ券を売りつけるように迫られていました。真面目で人が良い弟は、結局、パーティ券を売りさばくことができず、グループから集団暴行にあって、その翌日、人生を悲観して自殺しました。亡くなった弟は、苦しみ抜いた「死に顔」をしていました。 弟が死んだとき、初めて「悪の存在」を認識しました。世の中には、人を傷つけても平気な悪い人間がいるんだと、深く心に刻まれました。 ――そのとき、弁護士になることを選んだのですか? いいえ。すぐに弁護士を目指そうと思い立ったわけではありません。まずは社会問題を解決しよう、そのために政治は避けて通れないだろうと考えて、大学では国際政治を専攻しました。 社会問題を解決するための政策が決まるには、どういう過程を経るのか。それだけでなく、小さな組織で、どうやってものごとが決まっていくのか。そういうことを学んでいくうちに、どうも政治学というのは、人間社会で苦しんでいる人を今すぐ助けることができる学問ではないと感じました。 人間社会では、弱い人ほど自分でものを言えず、悩みや苦しみを抱えたままです。法律家になれば、そんな人たちの役に立てるんじゃないか。自分なりの「正義」を実現できるんじゃないかと思ったのです。そして、大学卒業後、法科大学院に入って、司法試験に合格し、弁護士になりました。 ――誹謗中傷を専門にしたのは? 弁護士になった後、ある事務所に入所しましたが、6カ月という短期間で独立しました。独立した当初、主としてどの法律に取り組もうか悩んでおりました。そのとき、インターネット上では匿名による誹謗中傷が横行していました。非常に無責任で、その人の名誉を傷つける言論です。一生残るかもしれない「烙印」と言っていいかもしれません。 どうせなら、人があまりやっていないこと、そして意義があることをやりたかったので、ネット上の誹謗中傷で苦しむ人たちの役に立ちたいと、この道を選びました。 ●ある意味で「使命」だとも思っている ――ネットの誹謗中傷対策というのは、具体的に、どんなことをやるのでしょうか? まず、権利侵害にあたる記事の削除を請求します。ネット掲示板では、誹謗中傷が匿名で書き込まれているため、誰が権利侵害をおこなったのかを特定する必要があります。そのため、掲示板管理者に対して、IPアドレスを開示してもらう裁判手続きをとります。 それが開示されたら、今度は、IPアドレスを管理する経由プロバイダ―に対して、「発信者情報開示請求訴訟」を起こします。そこで発信者情報の開示を受けることができたら、ようやく損害賠償請求などの手続きに入ることができます。 権利侵害とは、名誉毀損やプライバシー侵害などです。また、刑事告訴も何件もおこなったことがありますし、実際に逮捕者が出たケースもあります。 ――難しいことはありますか? ウェブサービスが変化すると、権利侵害も多様化していく点ですね。たとえば、10年前には、ツイッターというサービスは存在していませんでした。その後、サービスが生まれて、今度はツイッターを使った権利侵害が登場しました。そういった環境の変化に適応していく必要があります。 ――弁護士としてのやりがいは、どこにあるのでしょうか? 困っている人の役に立つことが、根本にはあります。また、ネットの誹謗中傷への対応は難しいケースが多いので、知的好奇心が湧いてきます。 また、自分自身も攻撃を受けている今の状況では、ある意味で「使命」だと思っている部分もあります。先が見えないこともときにはありますが、少しずつ道を切り拓いていきたいと考えています。 ――その道を切り拓くうえで、今後どういう制度が必要でしょうか? 権利侵害をおこなった加害者の責任をより追及しやすくする制度が必要だと思っています。発信者情報を獲得するまで、時間とコストがかかりますが、現状では被害者がそれを負担しています。このような状況は、被害者にとって、酷です。 また、権利侵害を受けた人がどのようにして平常な生活を取り戻していくかという問題にも、公的な制度として対応していく必要があると考えています。 ――私たちは、ネット上の誹謗中傷とどう向き合えばよいのでしょうか? インターネットを良くするのも悪くするのも、利用している私たちしだいなのだと思います。誹謗中傷をはじめとする権利侵害は、他人ごとではありません。自分の問題として捉えてほしいです。 ネット上の加害者になるのも、自分しだいなのです。どうも、多くの人は、その危険性を知らないのではないかと危惧しています。安易に誹謗中傷を繰り返すことで、人生を棒に振るようなことがないようにしてほしいと思います。 <了>
女子に人気の男子生徒の「ツイッター乗っ取り」で逮捕…「なりすまし」の法的問題(2017/2/6)
女子に人気の男子生徒の「ツイッター乗っ取り」で逮捕…「なりすまし」の法的問題 同級生の男子生徒のツイッターアカウントを乗っ取り、本人になりすまして、女子高生らに300回以上メッセージを送ったとして、兵庫県警は1月30日、同県の高校3年の男子生徒(18)を不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕した。 報道によると、逮捕容疑は2016年9月から11月にかけて、同じ高校の女子生徒に人気のある男子生徒(18)のツイッターの認証サーバーにパスワードを入力して、63回ログインし、アカウントをフォローする他校の女子生徒らに「体を見せ合おう」「エッチな話をしよう」などとわいせつなメッセージを送ったというもの。本人は容疑を認めているという。 今回の乗っ取りを図ったとされる男子生徒の行為は、法的にはどのような問題があるのか。ネット上の誹謗中傷の問題に取り組む唐澤貴洋弁護士に聞いた。 ●アカウント乗っ取り、民事・刑事双方の責任を負う可能性 ツイッターアカウント乗っ取りにより生じる法的問題は2つあります。 1つは、乗っ取り犯の刑事責任の問題です。男子生徒が逮捕された今回の報道のように、他人のIDとパスワードを用いて、他人に無断でツイッターアカウントを利用する行為は、不正アクセス禁止法(第11条、第3条、第2条4項1号)に違反するとして、刑事責任(3年以下の懲役又は100万円以下の罰金)を問われる可能性があります。 もう1つは、乗っ取り犯の民事責任の問題です。民事責任の中でもその内容で大きく2つに分かれると考えられます。 民事責任の1つ目は、被害者本人が乗っ取られたアカウントを利用して自由な表現活動をできなくなったことについての損害賠償責任です。 また、乗っ取り犯が、乗っ取ったツイッターアカウントを用いて、社会的に問題とされるツイートやDM(ダイレクトメッセージ)を投稿することによって、あたかも被害者本人が当該投稿を行ったかのような印象を閲覧者に与えてしまいかねません。 そのことによって、被害者本人の名誉権等が侵害されたとして、乗っ取り犯に損害賠償責任が生ずる可能性があります。これが2つ目に考えられる民事責任です。 ●なりすまし、どう特定すればいいのか? 本人になりすます行為をされた場合、そもそも、なりすましをした者を特定できるのかが問題となります。 なりすましをした者が、元々あるアカウントを乗っ取ることにより不正アクセス禁止法に反する行為をしていれば、警察による捜査を期待できます。 しかし、本人の名義等を用いてなりすましでアカウントを新設された場合、アカウント新設行為を取り締まる法律がないため、刑事責任の追及は困難です。 この場合の法的手段として、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求をすることが考えられます。 アカウント新設の際に、本人の名前が無断で利用されて、閲覧者から本人のアカウントであると認識される状態であれば、いわゆる氏名権(正当な理由なく、その氏名を第三者に使用されない権利)が侵害されたとして発信者情報開示請求を行う余地があります。 さらに、なりすましアカウント上で社会的に問題とされる表現行為が公開された場合も、同様に名誉権侵害を根拠に発信者情報開示請求を行いうると考えられます。 このような発信者情報開示請求により、発信者特定の問題が解決できれば、なりすましによってわいせつなDMが第三者に送信された場合、自己の氏名を正当な理由なく利用されたことにより精神的苦痛等の損害が生じたとして、なりすましをした者は本人から損害賠償請求される可能性があります。 【取材協力弁護士】 唐澤 貴洋 (からさわ・たかひろ)弁護士 インターネット上の法律問題(名誉毀損・誹謗中傷への法的対応(投稿記事削除、投稿者の特定)など)を専門的に取り扱う。 インターネット上の権利侵害の問題に対して強い警鐘を鳴らし、新たな立法の必要性を主張している。 事務所名 :法律事務所クロス 事務所URL:https://cross-law.jp/
メディアも騙された「唐澤弁護士の姪は麻央さん」偽ツイッター、善意巻き込み被害拡大(2017/6/26)
「小林麻央親戚成りすまし事件」も参照。
メディアも騙された「唐澤弁護士の姪は麻央さん」偽ツイッター、善意巻き込み被害拡大 - 弁護士ドットコムニュース 2017年06月26日 15時05分 小林麻央さんの死去が明らかになった6月23日、あるアカウントのつぶやきがネット上をかけめぐった。 実在する弁護士の名を騙ったツイッターアカウント(6月25日午前6時30分ごろに凍結)が、麻央さんの夫である市川海老蔵さんが会見するよりも早く、麻央さんの死去を「伝えた」からだ。 〈私の姪の小林麻央、先ほど亡くなられたとの第一報。初めて出会ったよく泣く元気な赤ちゃんのときが昨日のよう。最期まで笑顔を絶やさなかったようで。ご冥福をお祈りいたします。〉(原文ママ) 「法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士」を名乗るそのツイッターアカウントが投稿したのは、6月23日、午前2時50分ころ。 唐澤貴洋弁護士(法律事務所クロス)は、確かに実在する弁護士であるが、このアカウントは唐澤弁護士を騙った何者かによる「なりすまし」である。 ところがリツイート数は4040を超えた(6月24日午前0時)。 本物と騙された人たちからは「心がないんでしょうか」「早く削除すべきです」などと批判が殺到し、複数のメディアがこの投稿を伝える事態に発展した。 唐澤弁護士は「このアカウントは『なりすまし』であり、小林麻央さんが私の親族という事実も一切ない。 このようなかたちで、話題になってしまったことに申し訳なさを感じている」と、困惑した面持ちで話す。 唐澤弁護士はかねてより、ネットでの殺害予告など、ありとあらゆる嫌がらせを受けてきた。 今回、何があったのか。唐澤弁護士に聞いた。 ●6月23日、何があったのか ーーなりすましの投稿が大きく広がりました 6月23日、午前9時30分を過ぎた頃、複数のメディアから「親戚としてツイートしているが、あの内容は本当なのか?」という問い合わせが次々に事務所へ連絡があり、投稿があることを知りました。 これまでにも、ツイッターのなりすましや、誹謗中傷は数多くされてきましたから、最初はその類だろうと考えていました。 しかし、メディアの問い合わせ内容から、そのツイートが信じられている可能性があると認識し始めていきました。 ーーメディアからの問い合わせは、どのような内容だったのでしょうか 「あれは唐澤さんのアカウントですか?」と聞くメディアもありましたが、中には、アカウントの真偽を聞かれるのではなく、私が親族であることを前提にした質問もありました。 あるメディアには、「(弁護士の)公式ツイッターからの投稿だった」と書かれました。 編集部に抗議をし、「公式ツイッターを装うアカウントからの投稿」と修正をしてもらいました。 ーーただ、午後からは徐々に「なりすまし被害」という報道も出てきましたね そうですね。しかし、なおも「アカウントはなりすまし」という記事よりも、問題のツイッター投稿が拡散していきました。 事務所の公式サイトにも否定する内容を掲載しましたが、ツイッターでの批判、事務所への電話、メールでの問い合わせが続きました。 ーーツイッターでの拡散も、これまでとは様子が違ったのでしょうか 違いました。私がこれまで中傷被害にあっていることをご存知の方も多いかと思います。 しかし、今回はこれまでのようなくだらない投稿内容ではありませんでした。 私を全く知らない人たちが投稿内容を信じた上で、小林麻央さんのことを思って、不謹慎な売名行為をする弁護士は許せない、「最低ですね」と、怒っているようでした。 問題のなりすましが投稿したのが午前2時50分。その後、小林麻央さんの夫である市川海老蔵さんが会見したのが、午後2時30分です。 この間、確定情報がなかったことから、なりすましの投稿が拡散してしまったのでしょう。 それだけに、日頃は中傷とは無縁である方々も正義感などから感情を刺激されてしまったのだろうと考えています。 ーーこれまで標的になった誹謗中傷とは性質が違ったのですね 投稿を最初に見た時は「ただのいたずら」と思いました。 しかし次第に、ことのほか真剣な問題として取り上げられ、批判されていくのをみて、書き込む人たちは正義感に駆り立てられていったように感じました。 ●ツイッターへの凍結申請、一度は却下される ーー火消しのため、どのような対応をされたのでしょうか 事態を重く受け止め、投稿があった金曜日の夕方、ツイッター社に対し、なりすましアカウントを通報するフォームから、アカウントの凍結申請をしました。 翌土曜日の昼前にツイッター社からメールが届き、「ご報告いただいたアカウントを調査いたしましたが、なりすましに関するTwitterのポリシー違反にはあたらないと判断いたしました」と、はねられたわけです。 しかし到底、納得がいく判断ではありませんから、その日に再度、今回の件に関する報道も添付した上で申請し、日曜日の午前6時30分ころになって、ようやく凍結したとの連絡がメールで届きました。 ーー結局、あの投稿はどのくらい拡散したのでしょうか 投稿されたのは、金曜日の午前2時50分ころ。それから日曜日の朝6時30分ころまでの、約52時間ですね。 金曜日深夜の時点でリツイートが5000を超えたことは確認しましたが、その後、どこまで膨らんだのかは把握していません。 ーーツイッター社がなぜ、一度は申請を却下したのかわからないですね 一度、却下された時は、本当に審査されているのか疑問を感じました。 私は過去にも、なりすまし被害にあっていますが、申請を出しても却下されたことが少なからずあります。 一般の人は、なりすましのフォームもわからないし、形式的にはねられると、どうしたらいいのかわからない。 対応の仕方に困るだろうと。これは今後の課題ですね。 ●今後の対応、刑事手続は? ーー今後、何らかの法的な対応を考えているのでしょうか 民事、刑事ともに検討しています。 アカウントが凍結されても、通信ログの情報はツイッター社は保全しています。 そこで、発信者に関する情報を手にいれる法的手続き(発信者情報開示仮処分命令申立)を準備中です。 刑事については、業務妨害と名誉毀損とで被害届の提出を検討しています。 メールや電話での問い合わせにより業務に支障が出ましたし、名誉毀損についても該当し得ると考えています。 私だけでなく、複数の弁護士たちの協力を得て、対応していく予定です。 ーー被害届が受理されたら、処罰される可能性もありますね 業務妨害罪は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」。名誉毀損罪は「3年以下の懲役もしくは禁錮、50万円以下の罰金」となります。 ーー今回のケースとは別に、唐澤弁護士への殺害予告では、刑事事件になったものもありますが、まだ被害は続いているのでしょうか 殺害予告、爆破予告で刑事事件となった被害は10件をこえています。 殺害予告や中傷の被害数は把握しきれていませんが、前よりは減ったと思います。 しかし減ってきているとは言え、いまだ根強くやっている者もいます。 ●「偽情報」に惑わされないためには? ーーRTしたり、反応した人の中には、唐澤弁護士への誹謗中傷を行ってきた人たちとは異なるタイプの人たちが、真剣に腹を立てたり、信じたりしている様子が見てとれました。 今回なぜこんなにも多くの人が信じたのでしょうか 事実の確認もなく、まず初めに拡散してしまいました。 そして、噂が噂をよび、読む人のなんらかの感情を刺激し、批判、バッシングが行われてしまったのだと思います。 ーーどうしたら、私たちは偽情報に惑わされないのでしょうか 発言があろうがなかろうが、出処をちゃんと正しいかどうかを考える視点を持たないといけないと思います。 ニュースの出処についての知識を得ることです。 例えば、私の名前で調べていただけば、過去にもなりすまし被害にあっていること、刑事事件の被害者という立場になっていることを知ることができます。 その時点で、「この投稿はあやしい」と思えたはずです。 その上で、記事内容についても、鵜呑みにせず、他メディアでも調べるなど、ちゃんと事実を確認することが大切です。 ーー今回、これだけ拡散されてしまった背景には、小林麻央さんを思う善良な気持ちから、過激な書き込みがあった可能性もあるのではないでしょうか 災害の時など、不安が先行し、情報が少ない状況では、扇動するような情報があると、どんな情報でも鵜呑みにしてしまう可能性があります。 今回わかったのは、メディアを通して否定しても、それでもなお、嘘の情報が拡散してしまう恐ろしさです。 今回も、凍結されたとはいえ、投稿を信じた人が残り続けるという危機感があります。 小林麻央さんが死去され、日本中が悲しみに包まれる中、ネット上では私に対する狡猾な扇動行為が行われてしまった。 これは小林麻央さんの死を冒涜するものでもあり、許しがたい行為です。 このようなかたちで話題にされてしまったことが、申し訳ないと考えています。改めて、お悔やみ申し上げます。 【取材協力弁護士】 唐澤 貴洋 (からさわ・たかひろ)弁護士 インターネット上の法律問題(名誉毀損・誹謗中傷への法的対応(投稿記事削除、投稿者の特定)など)を専門的に取り扱う。 インターネット上の権利 侵害の問題に対して強い警鐘を鳴らし、新たな立法の必要性を主張している。 事務所名 :法律事務所クロス 事務所URL:https://cross-law.jp/
麻央さん死去めぐる「唐澤弁護士」の偽ツイート、多くの混乱を生んだその内容とは?(2017/6/26)
麻央さん死去めぐる「唐澤弁護士」の偽ツイート、多くの混乱を生んだその内容とは?- 弁護士ドットコムニュース 2017年06月26日 15時15分 なりすましによる投稿(アカウントは凍結された) 小林麻央さんの死去をめぐり、唐澤貴洋弁護士をかたるツイッターアカウントによって6月23日深夜、「私の姪の小林麻央、先ほど亡くなられた」などのデマが発信された。 事の顛末については、別の記事「メディアも騙された『唐澤弁護士の姪は麻央さん』偽ツイッター、善意巻き込み被害拡大」( https://www.bengo4.com/internet/n_6277/ )として、取り上げたが、このなりすましアカウントは、批判を受けた後も巧妙に情報を発信し続けたため、多くの人を混乱におとしいれた。 現在、一連のツイートは削除されているが、検証の意味も込めて、どのような内容だったのか、紹介したい(唐澤弁護士には掲載について説明しています)。 ●一連のなりすましツイートとツイートに対する反応 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 2:50 私の姪の小林麻央、先ほど亡くなられたとの第一報。初めて出会ったよく泣く元気な赤ちゃんのときが昨日のよう。 最期まで笑顔を絶やさなかったようで。ご冥福をお祈りいたします。 3921リツイート、2353いいね <リプライ> ・こんな濡れ濡れの法律事務所には依頼したくないよね ・弁護士とは思えない愚行 ・最低ですね。日本弁護士会に通報しました。 ・頭おかしいんじゃないですか? たかがTwitterで話題になりたいからってしょうもない理由で……やめてください。本当に本当にあほみたい。こんな人が日本にいることが恥ずかしいです。そして本当に反省しているならツイート消すべきです。 ・売名やんwwwwwwwwwwwwww 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 12:21 ◆故小林麻央様に関するtweetについて◆ 現在私の昨夜のtweetに関して炎上中で、厳しいお言葉もたくさんいただいております。 いくつかのご指摘の通り私唐澤貴洋は小林麻央の叔父ではなく血縁関係にもございません。 事の次第は私の仕事上の知人(依頼者)の医師からの情報提供に始まります。 1253リツイート、227いいね <リプライ> ・医師、弁護士って守秘義務ありますよね? 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 12:26 ◆故小林麻央様に関するtweetについて★2◆ 昨夜、その医師から小林麻央さんが亡くなったとの情報を頂いた当職は、「この情報をtweetすればリツイート等話題になれるのではないか」と考えました。 しかし、ただ医師から聞いたとしただけではさすがに倫理的に問題があると思い留まりました。 871リツイート、201いいね <リプライ> ・イタズラが大事になってますね 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 12:33 ◆故小林麻央様に関するtweetについて★3◆ でも、せっかく情報を頂いたのだから話題になりたいと考えた当職は、親族であれば情報を知っていてもおかしくないのではと思い至り、当該tweetを致しました。 夫の市川海老蔵氏をはじめ関係者様、ご迷惑をおかけした皆様大変申し訳ございません。 823リツイート、194いいね <リプライ> ・ふざけないでください 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 12:43 ◆故小林麻央様に関するtweetについて★4◆ 今朝の海老蔵氏のブログ更新、報道の大きさを見て当職が自分でしてしまったことの愚かさを実感するところです。 当職の浅はかな行動が当職に関係のないところにまで影響を与えてしまい、当職は本当に後悔しております。 549リツイート、165いいね <リプライ> ・SNSの書き込みはこういう風に見えることは知りませんか 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 12:54 ◆故小林麻央様に関するtweetについて★5◆ 売名行為などと言われておりますが、しかし当職がこのtwitterを始めたのは何よりも困っている方に当事務所に相談に来ていただいて一様に安心なさった顔になって頂きたい一心でございました。 弁護士になったのも全ては人助けのためです。 479リツイート、133いいね 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 12:59 ◆故小林麻央様に関するtweetについて★6◆ 昨夜の小林麻央さんにかんするtweetも、話題になれれば当事務所を知った、今現在苦しんでいるどうすればいいか分からない声なき声にも当職が力になることが出来るかもしれないと考えたためです。 当職は困っている方の力になりたいだけです。 462リツイート、125いいね <リプライ> ・売名やんwwwwwwwwww 法律事務所クロス 弁護士唐澤貴洋弁護士 2017/06/23 13:12 ◆故小林麻央様に関するtweetについて★7◆ 最後に当職の行為での迷惑をおかけした関係者の方々大変申し訳ございません。 なお当職に対するネット上での誹謗中傷につき弁護士に対する名誉毀損行為を行った者には今後しかるべくした対応を検討しております。 ネット上は無法地帯ではないのですよ 802リツイート、238いいね
松居一代さん、止まらない『YouTube』動画投稿…削除対象にならないのか?(2017/07/12)
松居一代さん、止まらない『YouTube』動画投稿…削除対象にならないのか? 離婚調停中の夫・船越英一郎さんについて、YouTubeやブログなどを通じて日々、発信を続ける女優の松居一代さん。 2人の間に実際のところ何があったのかは定かではないが、その内容をめぐり、ブログを運営する「サイバーエージェント」社が松居さんに対し、名誉毀損にあたる部分の記事の削除を要請した。 サイバーエージェント社によれば、船越さんの所属事務所からの要請を受け、「名誉毀損にあたるブログ記事について、アメブロの利用規約に則り、松居さまご本人様への該当記事の削除依頼を行いました」という。 また、名誉毀損にあたる部分(該当記事)を削除しない場合は、「『ブログ閉鎖』ではなく、『該当記事の削除』をさせていただく場合がある旨をご連絡させていただきました」という。その後、該当記事は松居さん側は対応した。 しかし、気になるのは、ブログよりも詳細を語っているYouTubeの動画だ。 明らかな権利侵害が起きているようにも見えるが、YouTube側に、船越さんは削除要請できるのか? また、どのように削除要請を進めていくことができるのだろうか。唐澤貴洋弁護士に聞いた。 ●どう対応したらいい? 「YouTubeには、時々刻々と新しい動画が投稿されます。YouTube運営の人員も無数にいるわけではありませんから、投稿動画についての投稿前の事前審査はなく、投稿後に権利を侵害された人などからの通報等があったときに、はじめて審査対象になります。 審査に際しては、YouTubeはコミュニティガイドライン(以下、「ガイドライン」といいます)という自主ルールを定め、ガイドラインに反した投稿を削除対象にしています」 今回、松居一代さんが投稿された動画は削除対象になるのか。 「動画のうち、松居さんの現在の夫である船越英一郎さんが罹患している病名、血液検査の数値等を公表している部分や、性的機能不全の有無やそれに関する薬剤の服用の有無、日常的に彼が視聴している動画の内容等を公表している部分は、一般的に書かれた本人が他人に知られたくない事実である可能性がありますので、『プライバシーの保護』に反する動画に該当し得ます。 また、『他人の個人情報の暴露』や『他人を侮辱するコメントの意図的な投稿』『他人に苦痛を与えるような否定的なコメントや動画』として、削除対象項目としての『嫌がらせやネットいじめ』にも該当しうるといえます。 さらに、『法律に関するポリシー』内の『名誉毀損』の動画にも該当しうるでしょう」 ●第三者でも手続きはできるのか? 投稿動画が削除対象になりうるとして、どのような手続きを踏めば動画は削除されることになるのか。 「削除方法を検討する際、手続きをとれるのが、船越さんやその他直接の権利侵害を主張しうる方に限られるのか、それ以外の広く一般の第三者にも可能なのかが気になるところです。 YouTubeでは、動画が投稿されているページの『その他』オプションからの『報告』により、第三者からでもガイドライン違反の報告ができます。 ただし、この『報告』については非常に簡易な形式しか準備されていないことから、すべての『報告』をYouTube運営側が綿密に検討しているのかどうか、および実際に『報告』により削除がなされるかについては未知数だといえるでしょう。 この簡易な『報告』以外に、権利を侵害されたと主張する方だけが利用できる手続きとして以下のようなYouTube運営に対する通報手続きがあります」 ●「ユーザーへの直接の連絡は、事態を悪化させることも」 手続きをする上で、注意すべき点はないのか。 「以上の手続きを利用する場合に注意が必要なのは、YouTube運営側が予定する手続きを踏まないと、削除対象の動画も削除してもらえない可能性があることです。たとえば動画が『プライバシー侵害』に該当するにも関わらず『名誉毀損の申し立て』の手続きで通報を行っても、削除処理を行ってもらえない可能性があるということです。 また、いくつかの手続きでは、YouTube運営側への報告の前に、動画を投稿したユーザーへの連絡をするよう勧められていますが、動画を投稿したユーザーへの直接の連絡は、当該ユーザーを感情的にしたり、嫌がらせの効果を実感させたりする効果を招き、事態を悪化させかねませんので、この点も注意してください」 もし削除申請をしても、応じてもらえなかった場合はどうしたらいいのか。 「前述したようなYouTube運営への削除申請をしても、何の削除処理もなされない場合があります。この原因は、通報の手段が間違っているなどの理由で単にYouTube側に門前払いをされている場合と、YouTube運営側が審査した上でガイドライン違反に該当しないと判断した場合の2通りが考えられます。 門前払いの場合には、改めて別のルート(たとえば「プライバシー侵害」ではなく「名誉毀損の申し立て」によって申請してみるなど)で通報することによって削除される場合もあるでしょう。 門前払いではなく、YouTube運営側の審査でガイドライン違反に該当しないと判断されているような場合には、 1)書面(郵送)でのYouTube運営に対する削除請求による削除 2)裁判所に削除仮処分申請を行い、仮処分命令を出してもらうことによる削除 というような手段もあります。 経験上、YouTubeのサイト経由での申請では削除処理がされなかったものが、以上の1の書面での請求を行った場合に削除できたこともありますので、削除されるまで粘り強く申請を行うことが重要です。 なおこれらの手続きは、YouTube運営側のガイドライン記載事由に限らず、あらゆる権利侵害を根拠に行うことができます。 以上のように、手段は複数ありますが、YouTube運営側も十分な人員を割いて削除を行っているとはいい難いことから、全てを綿密に検討することもできないと考えられ、簡単には削除に応じてもらえないことが多いです。 そのことを肝に命じ、うまくいかなければ手段を変えてトライするなど粘り強く削除を求めていくことが重要だといえるでしょう」 【参考リンク集】 YouTubeのこのような手続き関連のページはなかなか複雑に作られているため、トップページからたどり着くのは困難かもしれません。 ご参考までに代表的なものをご紹介します。 「プライバシー侵害の申し立て手続き」 https://support.google.com/youtube/answer/142443?hl=ja 「名誉毀損の申し立て」 https://www.youtube.com/reportingtool/defamation?rd=1 「セキュリティや嫌がらせ行為に関する報告ツール」 https://www.youtube.com/reportabuse 【取材協力弁護士】 唐澤 貴洋 (からさわ・たかひろ)弁護士 インターネット上の法律問題(名誉毀損・誹謗中傷への法的対応(投稿記事削除、投稿者の特定)など)を専門的に取り扱う。 インターネット上の権利 侵害の問題に対して強い警鐘を鳴らし、新たな立法の必要性を主張している。 事務所名 :法律事務所クロス 事務所URL:https://cross-law.jp/
アマゾンで唐澤貴洋弁護士の「なりすまし本」、電子書籍の販売停止を要求(2017/07/19)
「Amazon Kindle」も参照。
アマゾンで唐澤貴洋弁護士の「なりすまし本」、電子書籍の販売停止を要求 - 弁護士ドットコムニュース ネット上での殺害予告、中傷被害をうけてきた唐澤貴洋弁護士の名を騙った「なりすまし本」の電子書籍が、Amazonのサイト上で発売されていることがわかった。 Amazonのサイトで確認したところ、唐澤弁護士の名を騙った本は2冊、発売されている。 唐澤弁護士は「私は1冊も出版しておらず、いずれもなりすましによるものだ。速やかな販売停止を求めたい」と話す。 唐澤弁護士は7月19日午後、同社に対して、販売の取り下げを求めたが、7月19日の16時30分現在、削除などの対応はなされていない状況だ。 Amazonの販売サイト上で見ると、2冊とも発売日は、7月17日と記されている。 紙ではなく、電子書籍の「Kindle版」のみの販売で、定価は2180円と20000円。2冊とも、月額980円で対象書籍が読み放題となる「Kindle Unlimited」の対象となっている。 インターネット掲示板でのやりとりを収めた内容とみられる。 唐澤弁護士は「すでに購入している人がいるかもしれないが、誤って購入しないで欲しい」と呼びかけている。
NHK「クロ現」に出演した唐澤弁護士「被害者救済のための法整備をすべき」(2017/11/30)
NHK「クロ現」に出演した唐澤弁護士「被害者救済のための法整備をすべき」( 魚拓) 唐澤貴洋弁護士 ネット炎上やネットリンチの問題がきわめて深刻だ。東名高速道路で夫婦が死亡した事故をめぐっては、ネット上で「容疑者の勤務先」とされた企業に1日100件を超える嫌がらせの電話が殺到するなど、無関係の人にまで被害が広がった。 こうした状況について、5年にわたりネットリンチのターゲットにされている唐澤貴洋弁護士は、新たな法制度の必要性を説く。 唐澤弁護士はこれまで、ネット上に膨大な数の殺害予告が書き込まれているほか、職場に嫌がらせの電話やカッターナイフが届いたりする被害にあっている。 11月13日放送のNHK「クローズアップ現代+」に被害者の1人として出演し、現行法を変えるべきだと訴えかけた。 メディアにほとんど顔出ししていなかった彼が伝えたかったことは何か。唐澤弁護士にインタビューした。 ●顔をさらすリスクがあったとしても ――どうしてテレビに出演するようになったのか? 昨年出演した「ニュースウオッチ9」では、この問題について非常に理解があり、深刻であるという認識を共有してくれている方が関わっていました。 単発の企画でなく、しっかりと社会に訴えていきたいという考えを持っていました。今回の「クローズアップ現代+」も、その方に関与していただきました。 顔を出すことを決断したのは、顔をさらすというリスクがあったとしても、それ以上に社会に認知されて、ネット炎上の現状と解決策について考えてもらうきっかけになったらいいと思ったからです。 ――テレビ出演で変化はあったか? ネット上では、相変わらず誹謗中傷がつづいています。私の問題も含めて、まだまだ知っている人は多くありません。 1回、2回の放送で、大きく変わるわけではないと考えています。 ――番組で伝えたかったことは? 大きく3つあります。1つは、ネット炎上やネットリンチが野放し状態で、悲惨な被害を生んでいること。 そして、その被害を生んでいる現状に対して、今の法制度が対応できていないこと。 最後は、ネット炎上やネットリンチに加担している人のほとんどが「ふつうの人」であることです。 ――ネット炎上やネットリンチの現状とは? ネット上の投稿や、現実の事件・事故をきっかけにして、ネット上で誹謗中傷・プライバシー侵害等の権利侵害がおこなわれています。 たとえば、ツイッターの投稿が気に入らないから誹謗中傷する。 さらに、どこに住んでいるか、どこの学校に通っているか、親族関係はどうなっているか――その人のプライバシーを暴露していく。 また、事件・事故が起きると、かならずトレンドブログやまとめサイトが作られて、デマも含んだ情報が集約されます。 その情報をもとにしながら、ネット上でコミュニケーションがされつづけている。 さらに、新しい「ネタ」を求めて、学校や会社に電話したり、自宅と思われる場所の周囲をうろついてみたりする。 インターネットにとどまらない「つきまとい・嫌がらせ」行為をはじめるのです。 ――そんなネットリンチの現状を変えたいと。 加害者に会うなどして、いろいろと考えてきた中で、やはりネット利用者側の問題があると思っています。 ほとんど罪の意識もなく、ときには歪んだ「正義感」を暴走させながら、誹謗中傷・プライバシー侵害をしています。 ●発信者情報開示が容易にできるように ――法制度の問題点は? 被害者側がすべて負担するかたちで権利侵害を是正しないといけないことです。 たとえば、ネット上で誹謗中傷されたとき、加害者の責任を追及しようとしても、発信者特定の負担は、被害者にあります。 プロバイダ責任制限法に基づいて特定しようとしても、プロバイダ側は裁判手続きを踏むことを求めてくる。 被害者側は、弁護士費用、時間、労力、精神的不安を負担することになります。 また、損害賠償で認められる金額の水準も低い。結局、被害者が泣き寝入りするになっています。 加害者を特定するのにハードルがあり、さらに加害者を特定しても、損害を埋められるような十分な賠償金を得られないのです。 誹謗中傷やプライバシー侵害の記事削除の請求を、被害者がしないといけないことも大変な負担です。 検索エンジンの会社に対応を求めることもありますが、どんな場合に対応されるのか不透明で、とても被害者の救済に役立っているとはいえません。 ――刑事事件にならないのか? 警察の立件もハードルが高いです。数年前にくらべれば、警察の対応も格段に良くなってきていますが。 ――法律をどう変えればいいのか? 発信者情報開示については、プロバイダが裁判外(ADRのような機関を利用して)でおこなえるようにすべきだと思います。 今よりも、加害者(発信者情報)を容易に特定できるようにしたいです。 また、プロバイダ責任制限法では、「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」に発信者情報を開示できるとされています。 「権利侵害の明白性」というのですが、この文言だけではよくわからない。 だから、ガイドラインをつくったり、もしくは条文で具体的な権利侵害を列挙すべきだと思います。 さらに、プロバイダ側の通信ログの管理について、一切規制されていません。 どう保存するのか、どれくらいの期間保存するのか、プロバイダによって対応がまちまちです。「うちはもう消していますよ」と言われたら、被害者は泣き寝入りしかない。 だから、発信者情報の開示を前提に、通信ログの管理方法を規定すべきでしょう。検索エンジンに対する削除請求権も法律上明確に認めるべきだと思います。 ●誰もがネットリンチの加害者になりうる ――刑罰については? 刑法上、個人のプライバシー侵害行為、たとえばインターネット上に個人の情報をばらまく行為も、刑罰が科される対象とすべきと思います。 具体的には、個人の住所、電話番号、同意を得ないで盗撮した写真などをばらまく行為です。 マスコミも含めて議論があるところだと思いますが、こういった行為が生活の平穏を害している事実は看過されるべきではなく、刑罰の対象にすべきだと思っています。 いずれにせよ、現実的には、刑法や検索エンジンへの法的規制はハードルが高いと思いますので、一番に発信者情報開示のところで法改正されるべきだと思っています。 ――プロバイダ制限責任法がつくられてから16年をむかえる。 もはや「古い法律」といえます。インターネットは技術的な進歩が早い分野です。 それなのに、プロバイダ責任制限法は、基本的なところがほとんど変わらず、現実の問題に対応できていない部分が出てきている。 おかしいと思いませんか。国が制度を大きく変えない限り、法的な対応が不十分にしかとれず、一生解決しないと思います。 ――ネットリンチに加担している人が「ふつうの人」というのは? これまで、ネットリンチの加害者と話をする機会がありました。「ふつうの人」でした。そのことについても世の中に知ってもらいたいと思います。 ネット炎上・ネットリンチの加害者に「ふつうの人」がなってしまうのです。つまり、誰もが加害者になりうるということです。 ――どう伝えていくか? 学校教育の一環で、ネットリテラシーを教えられるようになればいいと思っています。 「あなたはネットリンチの加害者になりますよ」という授業があってもいい。 そういう犯罪に陥らないように、教育の面でも、ネットの危険性が伝えられるようにしていきたいと思います。
ネットで100万回殺された弁護士、唐澤貴洋「それでも大した問題じゃないと言えますか」(2018/12/18)
ネットで100万回殺された弁護士、唐澤貴洋「それでも大した問題じゃないと言えますか」(魚拓) 2018年12月18日 08時59分 2012年から現在まで、ネットで炎上し続けている弁護士がいる。唐澤貴洋弁護士。誹謗中傷の書き込みにとどまらず、殺害予告された回数は100万回。これは、殺害予告ランキングで1位のジャスティン・ビーバーに次ぐ多さという。自宅住所をさらされ、実家も特定され、プライバシーを丸裸にされた上で執拗な攻撃を受ける。実家の墓にはペンキを撒かれ、墓石に「貴洋」とまで書かれた。 唐澤弁護士が12月13日、上梓した著書『炎上弁護士』(日本実業出版社)につづられた、その炎上の記録は壮絶としか言いようがない。きっかけは、巨大掲示板「2ちゃんねる」で2012年3月、誹謗中傷されていた少年の代理人となり、削除請求をしたことだった。以来、止むことのない炎上に満身創痍となりながらも、ネットという新しい場で行われている犯罪行為の数々と、唐澤弁護士は戦い続けてきた。 「炎上」といえば軽く聞こえるが、刑事事件として立件された人は10人を超える。中にはなりすましによる爆破予告など、悪質な犯罪行為も少なくない。それでも、身を危険にさらしながら弁護士を辞めなかったのは、一体なぜなのだろうか。唐澤弁護士にインタビューした。 ●「炎上の問題をもっと広く知ってほしい」 ——この本は、発売前から反響が大きく、発売日には重版がかかったそうですね。この本を書かれた目的は? 「ネットの権利侵害をめぐる法律を改正してほしいという強い思いからです。そのために、この問題を広く知っていただく必要があると思いました。 ネット上の問題がどういう状態なのか、知っているようで、知られていないところがある。現実の被害にまでつながりますので、『ネットで起きた問題だから、大した問題じゃない』というところでとどまっていられません。しかし、ネット上の権利侵害などを規制する法律は、旧来の法律を無理に対応させて使っています」 ——唐澤弁護士がこれまでに被った実害は目を覆いたくなるものがあります。事務所にカッターナイフ入りの封筒が届く、あることないこと書かれたビラを撒かれる、自身や家族を盗撮される、事務所のビル入り口に不審な植木鉢(セシウム検出)を置かれる、不審者が事務所に不法侵入する、事務所の鍵穴にボンドを詰められる…。しかし、やっと最初に逮捕者が出たのは、2015年になってからです。繰り返し爆破予告をしていた人でしたが、それでも刑事裁判では執行猶予付きの有罪判決でした。 「現在の刑法では、ネット上の権利侵害に特化した条文はありません。これまで、プライバシーにあたる僕の情報がネット上で書かれてきたことは多数ありましたが、立件が難しいのが現状です。刑法がネット上の犯罪行為を想定していなかったわけです。しかし、これらの行為はプライバシーを崩壊させます。 名誉毀損についても、ここ数年で多少の理解は進みましたが、まだまだ立件までにハードルは高い気がしています。初犯だと不起訴か罰金で済んでしまう。これ以上、犯罪に走らせないためにも、きちんと刑事事件として立件できるようにして、重罪化するべきでしょう。 また、ネットをめぐる問題をみていると、ヘイトスピーチのように差別をむき出しにした言動にも、処罰する規定がありません。僕としては、そういったヘイトスピーチについても、刑罰法規で対応すべきじゃないかという疑義があります」 ●「加害者に会ったら、必ず握手して別れる」 ——唐澤弁護士は、炎上に加担して摘発された複数の人たちと実際に会い、そうした行為に走った理由を訊ねていらっしゃいます。なぜですか? 「彼らは全員、面識のない人たちでした。立件に及ばずとも、個人的に把握した殺害予告や爆破予告などの加害者の属性は、10代の学生がほとんどです。次いで、20代の学生および無職、30代の無職。すべて男性でした。 なぜ、僕に対して攻撃を加えるのか。問題の本質は何かを見極めたいと思って、実際に対面しました。犯罪者を憎むだけでは、問題は解決できません」 ——実際に会ったら、どういう人たちだったのでしょうか。 「彼らは、とてもリスクの高い行為をしてきたのですが、罪の意識を持っていませんでした。一人一人は、コミュニケーション能力が低く、周囲に加害者を理解してくれる人が少ない、孤独な環境にありました。 彼らは、唐澤貴洋という知らない人間への罵詈雑言、誹謗中傷を行いネタにすることで、楽しくコミュニケーションできる居場所があればいいのだろうと思います。炎上というある種のコミュニケーション空間にひたることで、満足感を覚えてしまっているわけです」 ——炎上行為を「居場所」と言われますが、どうしたらそこから抜けられるのでしょうか。 「僕について何かを書いたとしても、その人の現実は変わらない。でも、その空間では、他人から反応してもらえることが面白いから、炎上行為をする。そういうネットの使い方というのは、新しい問題じゃないかなと思います。ある種の中毒になっているという自己認識をまずは持ってもらった方がいいと思います」 ——本書では、炎上行為を行った人たちに対し、唐澤弁護士は「更生していてほしい」と願っているところも印象に残りました。 「10人を超える人たちが摘発されていますが、実際に会えば、思うような悪人ではありません。本当の悪人には、厳しい態度を取るべきだと思いますが、ネットで犯罪行為をしている人は、ある種の寂しい人たち。環境が生んだ犯罪なのかなと思っています。だから、彼らに会った時、僕は必ず握手して別れます」 ●「不条理なことには絶対、負けたくない」 ——しかし、ここまで執拗に攻撃を受け、弁護士を辞めようと思われたことはないのでしょうか? 「今のネットに取り込まれている、個々の人に対する憎しみはありませんが、弁護士という僕の立場としては、法律に不備があることで、被害や事件が取りこぼされることに憤りを覚えています。 被害にあった人が表に出て訴えれば訴えるほど、ネットで叩かれてしまう。そのために、被害を声を出せず、苦しんでいる人たちがいます。彼らの代弁をする形で変えていくのが、職業的な使命だと思います。この炎上経験をしたということは、そうした役割を任されてると思わなければならないと考えます」 ——唐澤弁護士が弁護士を目指したきっかけは、17歳の時に弟さんを自死で亡くされたと知りました。不良グループからパーティー券を押し付けられたものの売れず、多摩川の河川敷で壮絶なリンチを受けた日の夜のことだったと…。 「弟の経験は、強烈な絶望感と不条理がありました。結局、何もできなかった負い目がある。だから、不条理なことにどう対応できるのか、僕自身が問われています。絶対に負けたくないという気持ちが根底にあります。 それに、僕の青年時代は寂しいものでしたが、幸い、僕がネットに初めて触れたのは20代になってからでした。でも、10代の時にネットに出会っていたら、どうなっていたか。僕に攻撃を続けてきた人たちとそう変わらなかったかもしれません。ですから、彼らもいずれ大人になっていくでしょうから、自分の周囲にそういう人がいたら、きちんと諌めて正せるような人になってほしいと思います」 ●「被害者を守るための法律を作りたい」 ——ネット上の犯罪行為をどのように今後、対策していくべきでしょうか? 「被害者を守る法律を作りたいと思っています。現在、被害者が犯人を特定するために利用する方法は、『プロバイダ責任制限法』がありますが、プロバイダ側の損害賠償責任を軽減する目的のためであって、被害者を十分に守る法律ではありません。 また、ネット上に投稿された権利侵害記事の削除請求は、被害者側で対応しなければなりません。じっさいに権利を侵害された人の社会的評価の回復、精神的損害の慰謝料は、現行法で十分に対応できていないという問題があります。 これは一見、『表現の自由』と対立する問題にみえます。しかし、『表現の自由』は自己実現の価値と自己統治の価値を持ち、自己実現は人格としての成長、自己統治は民主主義の実現をそれぞれ期待されています。 この二つから鑑みても、ネット上の名誉毀損や誹謗中傷は埒外にあります。人を傷つけてまで、人格が成長するとは憲法も認めていないでしょう」 ——被害者を守るための法律の整備や、学校でのネットリテラシー教育が大事だということですね。 「私に対する被害は減ってきましたが、私でない誰かが、今でもネット上でそうした被害で苦しみ、泣き寝入りしているのを知っています。これをすべて実施することはとても難しい問題なのですが、色々な方法を使いながら。良い方向に持っていけたらと思っています」
「無限アラート」で女子中学生を補導、「リンク貼り付け」で摘発をどう考えるか(2019/03/07)
詳細は「兵庫県警ブラクラ摘発事件#田中一哉」を参照。
相次ぐ危害予告「一生を棒に振る」、ネットで100万回殺された唐澤弁護士が警告(2019/08/10)
相次ぐ危害予告「一生を棒に振る」、ネットで100万回殺された唐澤弁護士が警告(魚拓) 作家の川上未映子さんが8月5日、自身のインスタグラムで、ネット上で危害予告を受けて数カ月にわたり講演などに登壇できなくなった経験を告白した。川上さんは「卑劣な方法で他人をコントロールすることができるのだと暗に認めてしまったようで、忸怩たる思いをしました」と打ち明けている。 こうした悪質な脅迫行為にどう対応すべきなのだろうか。 殺害予告された回数が約100万回以上にのぼるという唐澤貴洋弁護士は「足しげく警察に通い、逐次、被害について報告することが何よりも重要」と話す。 ●「個人で対応するのは限界がある」 唐澤弁護士は2012年3月、掲示板「2ちゃんねる」(当時)で誹謗中傷されていた少年の代理人として削除請求をしたことをきっかけに、インターネット上で誹謗中傷され続けている。12年8月には「五反田で殺す」といった殺害予告が投稿され、次第にエスカレートしていった。 殺害予告について唐澤弁護士は「個人で対応するのは限界がある」として、まずは警察への相談をすすめる。 「インターネット上で殺害予告を受けた場合は、ウェブサイトのURLが表示された記事そのものを印刷して持っていきます。警察も被害申告の中で内容の具体性があるものについては、より対応しやすい」 唐澤弁護士も、警察に事務所付近の巡回を多くしてもらい、110番した際にすぐに状況を把握してもらえるよう警察に情報を登録してもらった。 それでも殺害予告は後を絶たず、2014年5月には逮捕者も出た。逮捕された派遣社員の男性(20)は「みんなが書き込んでいるので警察に捕まるとは思わなかった」と供述していると報道された。唐澤弁護士とは何のつながりもない男性だった。 こうした卑劣な殺害予告について、唐澤弁護士は「相手の行動を止めたいというのが一番の目的でしょう。個人の自由を止めることが、極めて安易に行われている」と指摘する。 ●「書き込みで一生を棒に振る」 8月7日には、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」の展示について、FAXで脅迫文を送った愛知県の会社員男性が逮捕された。こうした脅迫やテロ予告が複数寄せられたため、企画展は中止となった。 唐澤弁護士は、次のように指摘する。 「具体的な危険性が判断できない場合には、警備した上で、開催を維持すべきであった。実力行使による表現の自由の妨害には屈してはならない。 書き込みした側は、面白がってしたインターネットの書き込みで一生を棒に振る。自分のした行為とそこに発生する責任の重みをちゃんと考えて、行動してほしい」
ヘイトスピーチ、深刻なネットの人権侵害 「東京五輪までに新たな法律を」議員ら訴え(2019/11/05)
ヘイトスピーチ、深刻なネットの人権侵害 「東京五輪までに新たな法律を」議員ら訴え - 弁護士ドットコム(魚拓) 登壇した師岡弁護士(左)と唐澤弁護士 ヘイトスピーチ解消法の施行から3年。衆参両院の附帯決議では、インターネット上のヘイトスピーチについても取り組むこととしているが、現状、国による具体的な対策は取られていないままだ。 「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の総会が11月5日、参議院議員会館で開かれ、ヘイトスピーチ解消法の制定に携わった立憲民主党の有田芳生参議院議員は「ヘイトスピーチを含めたネット上の人権侵害について、東京五輪・パラリンピックまでに、何らかの対応をする議員立法を党派を超えて何とか成立させなければいけない」と訴えた。 ●川崎市の条例案「国の取り組みを進めるためのモデルとなる」 ヘイトスピーチ問題に取り組んできた師岡康子弁護士は、川崎市が現在検討している、公共の場所でのヘイトスピーチに罰金刑を科す条例案を紹介。「本来は国レベルで整備すべきものだが、国の取り組みを進めるためのモデルとなるものだ」と評価した。 川崎市が公表した「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)によると、市内の道路や公園、駅など、公共の場所で、特定の民族や人種に対するヘイトスピーチをおこなった場合、市長が勧告を行う。勧告に従わずに2度目の違反があった場合、市長がやめるよう命令し、命令にも従わなかった場合に、氏名や団体名などを公表し、罰金を科すという。 ヘイトスピーチかどうかは、市長が決めるのではなく第三者機関の意見を聴取して判断するのが特徴だ。師岡弁護士は「現場で警察官が直接内容を判断して、その場で逮捕することへの懸念があった。また、市長が乱用して、本来の表現の自由が侵害されることはあってはならないため、慎重な仕組みをとっている」と話した。 素案では、インターネット上での差別的言動の拡散を防止するため、具体的な事例を公表するなどの対策も盛り込んだが、罰金対象からは除外している。師岡弁護士は「審査会が認定した悪質なネット上のヘイトスピーチについては、市が発信者情報の開示を要請することができる規定を盛り込んで欲しい」と要望した。 ●「ヘイトスピーチは発信者情報開示が困難」 殺害予告された回数が約100万回以上にのぼり、自身もネット上の人権侵害を受けた経験がある唐澤貴洋弁護士は、ネット上で誹謗中傷やプライバシー侵害を受けてから発信者特定に至るまでの手続きの負担について説明した。 ヘイトスピーチについては、現状、特定個人に対する権利侵害でない限り発信者情報開示請求を行えないとし、「被害者は発信者もわからず、不安な日々を暮らさざるをえない現状がある。差別的言動については、法律が実効性のあるかたちで規制しなければいけない局面がきている」と述べた。
海賊版サイト運営者の「特定」に光明か…米ディスカバリーで「最短3日」の開示命令も(2020/02/05)
海賊版サイト運営者の「特定」に光明か…米ディスカバリーで「最短3日」の開示命令も(魚拓) 海賊版サイトによる著作権侵害や、SNS上の名誉毀損などの事件で、発信者の特定に使われてきた手続きよりも、すさまじい威力を発揮する「手段」がまさに編み出されようとしている。 米国で在外研究をおこなっている山岡裕明弁護士によると、現地の法律事務所の協力のもと、米国の証拠開示制度「ディスカバリー」を使ったところ、発信者のアカウント情報について「最短3日」で開示命令が発令されたというのだ。 ディスカバリーの活用によって、従来はハードルが高く、時間のかかった発信者の特定が、簡単で便利になるかもしれない。 ●「発信者情報開示」は時間がかかる 現在、著作権侵害や名誉毀損などの被害を受けた人が、発信者を特定するためには、通常、プロバイダー責任制限法にもとづく「発信者情報開示」の手続きをとる。次のようなものだ。 まず、サイト運営会社を相手取り、IPアドレスの開示を求める仮処分を申し立てる。裁判所が、IPアドレスの開示を命じると、次はプロバイダーを相手取り、氏名・住所・メールアドレスを開示するようもとめる。 CDN(コンテンツ配信ネットワーク)やSNSなど、米国のIT企業のサービスが利用されていた場合、海外送達の時間がかかるため、仮処分命令まで3カ月、氏名や住所の開示までは、さらに半年かかることも少なくないという。 しかも、その開示を受けて、ようやく、海賊版サイト運営者や、中傷を書き込んだ人に対して、損害賠償を請求することができるのだ。 ●ディスカバリーを活用したところ・・・ こうした状況に問題意識を持っていた山岡弁護士が、米カリフォルニア州の法律事務所の協力のもと、米国の証拠開示制度「ディスカバリー」を使ったところ、1〜3カ月で、IPアドレスだけではなく、開示対象となったアカウントに登録された氏名、住所、クレジットカード情報や電話番号も開示されたという。 これまで、最短3日で開示命令が発令されたケースもあるそうだ。一見、良いことずくめのようだが、もちろんボトルネックとして、費用面の問題はある。 通常、米国の法律事務所を通した場合、数百万円はかかるとされているが、山岡弁護士は、現地の法律事務所と交渉したうえで、日本の発信者情報開示の手続きの費用と同程度におさえているそうだ。 編集部注:ディスカバリーの詳しい手法はこちら https://www.businesslawyers.jp/practices/1176[1] ●サイバー犯罪でも威力発揮か ディスカバリーは、プロバイダー責任制限法にもとづく手続きでは対処できない「サイバー犯罪」の捜査でも威力を発揮する。 山岡弁護士によると、たとえば、米Googleのメールサービス「Gmail」で、殺害・脅迫の予告があった場合、プロ責法による開示は期待できない。 そのため、一般的には、刑事共助条約に基づいて、日本の警察が、米国の捜査機関に「捜査共助」を要請することになる。 しかし、捜査共助の完了まで、平均10カ月もかかるというのだ。IPアドレスは、一定の時間が経つと消去されるため、捜査が間に合わないおそれがあった。 山岡弁護士は「ディスカバリーの活用によって、サイバー犯罪などの解決の幅が広がります。国内事件を国内の手続きだけで解決するというパラダイムが、これから転換すると思います」と話している。
コインチェック流出事件、顧客の賠償請求を「認諾」 唐澤弁護士「初の事例だ」(2020/02/14)
コインチェック流出事件、顧客の賠償請求を「認諾」 唐澤弁護士「初の事例だ」 - 弁護士ドットコム(魚拓) 代理人を務めた唐澤貴洋弁護士(2020年2月14日、弁護士ドットコム撮影、東京都内) 仮想通貨取引所大手「コインチェック 」から、約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスにより流出したことをめぐり、顧客だった40代男性が、同社に数万円の損害賠償を求めた訴訟で2月14日、被告のコインチェック社が東京地裁で、請求を認諾した。 これにより、被害男性の損害約2000円(遅延損害金含める)が全額、補償されることになる。同社に対する損害賠償請求訴訟は複数件、起こされているが、男性の代理人によれば、裁判所において損害が認められた初の事例とみられる。 2018年1月に「NEM」の流出が発覚し、男性は翌2月に提訴。流出時、男性は150NEM(約1万5000円相当)を保有していた。その後、同社は全顧客に対して1NEMあたり88.549円の補償することを明らかにしたため、裁判ではその差額となる約2000円を求めた。 男性側は、サイバー攻撃に対するセキュリティー対策を怠った結果、NEMが流出し、損害を被ったと主張していた。 代理人をつとめた唐澤貴洋弁護士は「訴状の中で具体的にどのような経緯で、『秘密鍵』が盗まれたか追及する中で、突如、コインチェック社が認諾し、戸惑っている。裁判上、追及していたセキュリティ対策やNEM流出の経緯について、第三者委員会を設置の上で調査し、企業として公表し、しかるべき社会的責任を果たして欲しい」と話した。
「10年続くネット中傷被害」[2]唐澤貴洋が語る“木村花さん問題” 「もはや重罰化が必要だ」(2020/06/08)
「10年続くネット中傷被害」唐澤貴洋が語る“木村花さん問題” 「もはや重罰化が必要だ」 - 弁護士ドットコム(魚拓) 唐澤貴洋弁護士(2020年6月、弁護士ドットコム撮影) インターネットの誹謗中傷に苦しんでいたリアリティー番組「テラスハウス」出演のプロレスラー・木村花さんが22歳で亡くなった。「木村さんの死は他人事ではない」と声を上げたのが唐澤貴洋弁護士だ。 ネット中傷の被害者を精力的に助ける一方、彼自身もまた「100万回の殺害予告」を受けた被害者である。2012年3月、掲示板「2ちゃんねる」(当時)で、ある少年の代理人として削除請求をしたことをきっかけに、今も「炎上」させられている。 誹謗中傷だけでなく、自宅住所をさらされるなど、プライバシーを丸裸にされた上で執拗な攻撃も受けたという。自死寸前の崖っぷちの体験とともに、被害者支援の視点にもとづいた制度改革について提言してもらった。 ●ネットの誹謗中傷が社会問題化 ――木村さんが亡くなってネットの誹謗中傷が社会問題化しています 現在進行形のテレビ出演者が、ネットのバッシングを一因として亡くなられた。日本の芸能界でも類を見ない出来事です。 木村さんにお会いしたことはなくともショックです。殺害予告や誹謗中傷を何度も受け続けて、なんとか自分の中で整理できた僕の体験をお伝えしたかったです。 ――フジテレビは番組の打ち切りを発表しました。局の責任をどう考えますか 私がテレビ出演した機会には必ず台本がありました。テレビには進行が必要で、テラスハウスも「リアリティー番組」と言いつつ、「演出」されているのだろうという認識を持っていました[3]。 映画で役者が何を演じようが、批判は「演じた役」に向けられます。リアリティー番組では、出演者の振る舞いへの評価・批判が、現実の出演者個人への評価・批判につながってしまう危険性があります。 すでに削除されたようですが、木村さんにクローズアップした本編の解説動画が配信されました。「花が鼻につく」というタイトルです[4]。 直接的な加害者は侮辱行為をした多数の人ですが[5]、フジテレビとしてはリアリティ番組の危険性について検証をし、今後の番組制作のガイドラインを作る必要があると思います。 ●絶望の淵で「アルコール依存」「自死寸前」だった ――今でもご自身への誹謗中傷はありますか 「太りすぎている」「無能」などの悪口などをSNSに書かれています。僕は侮辱され続けて、感覚が麻痺していますが、弁護士を辞めて20年後に書き込みを見たら傷つくと思うんです。 ――唐澤弁護士が「テラスハウスの22歳の出演者」だったなら、木村さんが受けたのと同じ誹謗中傷を乗り越えられたでしょうか うーん。悩むでしょうね。僕はネットで見ず知らずの人から「消えろ」「早く死ね」「バカ」「(自殺するまで)追い込むぞ」など言われ続けました。究極の存在否定の言葉を見続けていると、自分に存在価値がないと思うようになります。 あの時期は、精神的な落ち込みから3年以上も不眠症に悩まされて、酒に溺れました。シラフではいろいろと考えてしまって、飲まないと眠れないからです。 普段はビール1本で顔が赤くなる弱さなのに、焼酎水割りを何杯も毎日飲んでいた。今となってはアルコール依存だと思います。 誹謗中傷に絶望して、死に支配される寸前だったこともあります。でも、僕が10代後半のときに、弟がリンチを受けたことを悲観して自殺しました。弁護士を志す理由になった根本的な出来事です。 弟のことがあって、僕は理不尽と立ち向かう必要があるからと強く生きていけたんです。そういう特殊な経験でもなければ、もし木村さんと同じ目に遭っていたら死を選んでしまっていたかもしれません。 同じ誹謗中傷の被害者として、木村花さんの死はショックだった ●「マトリックスの世界」に生きる誹謗中傷者は天国に行けない ――ネットで誹謗中傷する人たちはどんな人たちなのでしょうか 僕の加害者に直接会ってみると、友達も少なく、自己肯定感の低い人ばかりでした。医師家系に生まれて医学部を2浪した青年は「唐澤殺す」と書くとネットが盛り上がって、鬱屈した気持ちを忘れることができたと話していました。 そこには罪悪感もありません。他人に対する誹謗中傷行為へのネット上の反応によって自己肯定し、感情を高ぶらせ、生を確認するために、僕や木村さんのような人を「消費する」わけです。 絵に描いたようなわかりやすい悪人ではなく、被害者である僕が憎悪を向ける対象ではありませんでした。 スマホで何も考えずに発信することって、心地よいんです[6]。映画「マトリックス」ではプラグに繋がれた人々が電気信号で夢を見せられていました[7]。誹謗中傷する人も脳がスマホを通じてネットに接続され、電気信号が脳とネットの間で往復する快感に麻痺しているんです。 プラグが繋がれたまま生きている亡霊になってしまって果たして幸せなのでしょうか。そんな世界で生きていてはいけません。僕や木村さんを叩いても、人生の目的は何一つ達成できません。徳を積むわけでもなく、天国にも行けません。 ●被害者負担のない制度を提言 ――悪意もなく誹謗中傷する加害者もいるんですね 加害者だけではありません。誹謗中傷に悩んだ僕の相談に、ほとんどの人が「そんなこと気にするなよ」と答えました。ネット上の暴力への軽視は今も昔も変わりません。拳で殴られた人に、いじめられた人に「気にするなよ」と言えますか? 言えませんよね。 問題解決に向けて、法律を変える必要があります。それとともに、ネットの誹謗中傷の問題を簡単・低額で相談できる第三者機関を設置するべきです[8]。 木村さんに誹謗中傷した人の侮辱行為は、1日以上30日未満の拘留または1万円未満の科料を科されるのみです。しかも、ほとんどは不起訴になるでしょう。 ●誹謗中傷の罪は傷害罪と同じだ ――法改正を含め、誹謗中傷をなくしていくため、何を変えていく必要があるのでしょうか ネット上の名誉毀損行為、執拗な侮辱行為について、傷害罪と同程度の罰則にすることを提案します[9]。15年以下の懲役または50万円以下の罰金にするのです。 人の生理的な機能に傷害を負わせたら傷害罪にあたります。被害者は精神的に大変な負担をかかえて、自殺することもあります。 ――匿名の誹謗中傷を解決するための発信者情報開示についてはどうお考えですか 現状、匿名の投稿者の特定には時間もお金もかかります。被害者は裁判所で手続きをする必要があって、半年〜1年の時間と弁護士費用などのお金のかかることが被害者のためになるか。ならないでしょう。 そこで、被害者の相談を受け付けて、判断を行う第三者機関の設置を提案します。発信者情報開示の申立てを受け付け、裁判所に頼らず、権利侵害について判断します。第三者機関の判断で侵害が認められたら、プロバイダは基本的に速やかに発信者情報を開示します。 すべての権利侵害情報について、第三者機関の利用はされるべきではなく、公務員に関する情報、犯罪情報、企業における労働環境などの情報は、従来通り、裁判所で慎重に判断されていく必要があると思います。 開示にかかわるプロバイダ責任制限法の見直しについて、総務省が検討を始めました。しかし、開示される発信者情報(氏名と住所)に電話番号を加えるだけの総務省令の改正で済ませようとしているのではないかと見ています。 開示手続きが迅速にならなければ問題解決になりません。早い段階で発信者を特定して、被害拡大を抑えることを目標とすべきです。これらの提言は「Change.org」で公表しています。 制度改革への提言 ●ネットを正しい本音の言える場所に ――木村さんの一件で、著名人が法的措置の意思を発信し始めました。「芸能人へのネット中傷は当たり前」という考えも変わりつつあります 週刊誌は、「芸能人は死ね」「この女優の顔は醜悪で見るに堪えない」なんて書かないじゃないですか[10]。ところが、SNSでの発言では、このような発言は多くみられます。今は、ひとりひとりが表現者の時代。リテラシーが必要になります。これは教育の問題になってきますね。 話は変わるようですが、高校を中退したころも、宮川賢や大沢悠里、荒川強啓の「デイ・キャッチ!」などラジオをよく聴いていました。最近聴くのは講談師神田伯山さんの「問わず語り」です。 伯山さんは番組冒頭で毎度、このように挨拶します。「子どものころ、私にとってラジオは大人の本音が聞ける場所でした。今ならネットで本音はあふれていますが、人に届く本音、言葉を選んだ本音を聞けるのは、私にとってラジオだったと記憶しています」 そんな本音を言える場所に、ネットも変わればいいと思います。 【取材協力弁護士】 唐澤 貴洋 (からさわ・たかひろ)弁護士 一般民事及び商事事件、刑事事件、入管事件、インターネットに関する法律問題を主に取り扱う。監訳を務めたネット上のヘイトクライム解説書「サイバーハラスメント」(明石書店)が6月15日に発売される。 事務所名 :法律事務所Steadiness 事務所URL:https://steadiness-law.jp/
出典・註釈
- ↑ 記事の魚拓
- ↑ 尊師がハセカラ騒動で当時の2ちゃんねるに降臨したのは2012年3月28日であり、本記事の掲載時点(2020年6月)では、炎上が始まってから8年3か月程度しか経っていない。該当記事で尊師本人は「10年続く炎上」と発言していないため、弁護士ドットコムニュース側が付けたタイトルと見られる。弁護士ドットコムによる客観的事実の歪曲、これはいけない。
- ↑ 尊師が2018年10月にAbemaTVに出演した際、台本を無視してひろゆきに食ってかかったことは有名である。
- ↑ 『花が鼻につく』はフジテレビ公式YouTubeチャンネル「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020 山チャンネル」に掲載された動画であり、『テラスハウス』司会者の山里亮太が生前の木村花を中傷した内容である(現在はチャンネルごと全て削除されている)。この箇所で意図的かどうかはともかく山里の存在やフジテレビ公式動画である点に尊師は一切触れず、あたかもネット住民が作成した匿名中傷動画とも取れるように発言している。
- ↑ 木村花を自殺に追い込んだ一義的な責任は、悪質なヤラセ脚本を作成して視聴者を誤誘導したフジテレビにあることは明白である。しかし、尊師はフジテレビの責任には一切触れず、いかにも今回の事件の全ての責任がネット住民にあるような方向に誘導している。後述の「週刊誌は誹謗中傷を行わない」発言もそうだが、マスメディアという長いものに巻かれたがる尊師の特異な価値観が見て取れる。
- ↑ 恒心教徒がなぜ全員スマホユーザーということにされているのか謎である。根拠もなしに事実を一方的に決めつける傾向にある、尊師の特徴が現れている一文である。
- ↑ 恒心教を映画『マトリックス』と唐突に結びつけている点も、このインタビュー記事の味わい深い点である。著作権事例を全く手がけたことがないにも関わらず「映画に強い弁護士」を自称していた過去を思い出させる一文である。
- ↑ ネットの誹謗中傷を含む法的問題を簡単・低額で弁護士に相談できる「法テラス」にハッセが相談に行ったことが、自らの炎上問題を招いたきっかけになっていることを、尊師は完全に忘却しているようである。尊師が提言するような機関を作ったとしても、該当の事件を担当する弁護士や担当者が無能な場合、第二・第三の尊師が出現するだけである。
- ↑ 牽強付会な理論に基づき、ネット上の誹謗中傷を傷害罪と同等の刑罰にするように主張する、尊師の特異な価値観が見て取れる。尊師が目指すのはあくまでも自分に都合の良いディストピアの早期実現化であることが、このインタビュー記事からはっきりと分かる。
- ↑ 尊師の発言とは異なり、過去から現在に至るまで、週刊誌や新聞など、マスコミの取材や報道によって深刻な状況に追い込まれた被害者は多数存在している。有名な例としては、デヴィ夫人はスカルノ・インドネシア大統領と結婚した後、マスコミの悪質な中傷や執拗な取材により、母は心労がたたって亡くなり、弟はガス自殺に追い込まれている。デヴィ夫人同様に弟が自殺しているはずの尊師が「悪いものたち」であるはずの週刊誌をここで擁護している理由が不明である。「当職を持ち上げてくれるマスコミは善、当職を批判するネットは悪の巣窟ナリ」という価値観が根底に存在するためではなかろうか。