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2019年9月16日 (月) 16:23時点における版
転職会議での会社への誹謗中傷・風評被害にあたる書き込みの削除方法(てんしょくかいぎでのかいしゃへのひぼうちゅうしょう・ふうひょうひがいにあたるかきこみのさくじょほうほう)とは、法律事務所クロスホームページのコンテンツ「IT法務コラム」にカテゴリ「転職会議」で投稿された記事である。
内容
転職会議での会社への誹謗中傷・風評被害にあたる書き込みの削除方法[1] |
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1.転職会議とは
爆サイ.com(通称「バクサイ」)とは、2ちゃんねる(2ch.net)等と同様のインターネット上の電子掲示板で、様々な話題について自由に投稿できるサイトです。
転職希望者が一度は目を通すとも言われている「転職会議」。転職会議は、特定の企業の給与や休日等の労働条件、福利厚生、評価制度、社風などに関する口コミサイトです。実際にその企業で勤務している人や、過去に勤務していた人による投稿なされることから、その企業への就職や転職を考えている人にとっては、企業内部の生の情報を得られるサイトとして重宝されています。転職会議は、株式会社リブセンスが2010年から運営しており、同社の発表によれば、2014年に登録者が100万人を超えたとのことです。
2.転職会議における評判・口コミの影響
上記のとおり、転職会議は、現従業員や元従業員による書き込みから成り立っていることから、企業が自ら運営するHPや、企業が作成する求人情報等に記載された「建前」とは異なり、従業員サイドからみた「本音」の部分の情報であると捉えられがちです。そのため、閲覧者側も、書き込まれている情報が真実であると受けとめられやすいことから、良くも悪くも企業の採用活動に与える影響は大きいといえます。
例えば、上司に不満がある従業員や、問題を起こして辞めた従業員等が、逆恨みで企業や上司の悪口等を投稿したり、面接で落とされた人や、取引先企業の社員などが当該企業を誹謗中傷する書き込みをしたりするといった事例も多く見られるようです。
職務経歴の情報から、投稿者が誰かをある程度推測できるケースもありますが、投稿者は匿名ということもあり、過剰に批判的な評判を書き込むユーザーも多く、企業のブランドイメージを不当に損なうようなケースも多々あるようです。
転職会議における投稿は、無料会員登録している人であれば誰でも見ることができます。ですから前記のような悪意のある書き込みによって、「ブラック企業」であるとか、セクハラ・パワハラがある会社であるなどといった口コミを真に受けて閲覧者に悪い評判やイメージをもたれてしまうと、企業が求人広告を出しても応募者が集まらない等、企業の採用活動に悪影響を与えてしまいます。実際、転職会議に関するご依頼は企業の新卒等の求人時期に非常に多いように感じます。また、採用活動だけでなく、企業自体のイメージの悪化にもつながり、顧客が離れてしまうというおそれもあります。
ですから、転職会議において、自社のことがどのように投稿されているかをチェックし、事実無根の書き込みや自社を誹謗中傷するような書き込みがあれば削除するという対応をとることが、企業のリスク管理という観点からも求められるともいえます。
3.投稿者本人による削除依頼
書き込みの内容によっては、元従業員など誰が書き込んだかわかるような場合もあると思います。しかし、転職会議では投稿者本人による投稿の削除は認められていません。ですから、投稿者が判明してその者に削除するように要求できたとしても、運用上削除できないということになります。
※なお、投稿内容の修正であれば、投稿者本人でも可能ですので、修正してもらえばよい程度の書き込みであれば、投稿者本人に修正を求めるという手段も考えられます。
4.企業からの削除依頼
4-1.直接削除依頼を行う
4-1-1.直接削除依頼の方法・相手方
投稿者本人が削除できない以上、投稿によって被害に遭っている企業から、転職会議のサイトを運営する株式会社リブセンスに対して直接削除依頼を行うことが考えられます。
転職会議のサイトの中には、特に定められた削除依頼のフォーム等はありません。
ですから、任意の形式で株式会社リブセンスに対して削除依頼を行うことになります。
4-1-2.直接削除依頼の理由
株式会社リブセンスの発表によると、「プライバシー侵害や名誉毀損に該当することが明らかであると判断できた場合や、転職会議の利用規約等に抵触する投稿を除き、原則として全て掲載させていただいております。」とされていることから、削除を依頼する際には、削除して欲しい対象の投稿が、「プライバシー侵害や名誉毀損に該当することが明らか」であることを法的な根拠をもって説明する必要があります。
インターネット上の投稿や書き込みを行う投稿者には、表現の自由が認められており、特に、転職会議のような企業の評価に対する書き込みは、公益性のある書き込みであるとして表現の自由の保障が及ぶ範囲内であると判断されることが少なくありません。そのため、ただ、「困っている」とか、何の根拠もなしに「虚偽の内容である」と説明しても、削除依頼を受け入れてもらえない場合があります。
ですから、削除依頼を行う際は、削除して欲しい書き込みが、どういった理由でプライバシーの侵害や名誉毀損に該当するのかといった法的根拠について、適切な証拠資料を添付して説明する必要があります。そのためには、インターネットに関する法律に詳しい弁護士に依頼して、削除依頼を代理してもらうことが削除への早道といえます。
4-2.裁判所に削除の仮処分の申立を行う
転職会議を運営する株式会社リブセンスが直接削除依頼に応じない場合は、同社を相手方として、裁判所に削除を命じる仮処分を求める方法があります。
同社が「プライバシーの侵害や名誉毀損に該当することは明らか」と判断しなかった場合であっても、裁判所がプライバシー侵害や名誉毀損に該当すると認定してくれる可能性があります
ここ数年で、インターネット上の投稿に対して削除を求める仮処分の数は増加しており、裁判所によっても判断が異なるような事例も出てきています。ですから、裁判所に仮処分を認めてもらうには、法律的な知識はもちろん、直近の裁判例や各地の裁判所ごとの判断傾向等にも詳しいことが求められます。
4-3.送信防止措置請求を行う
直接削除依頼や裁判所への仮処分の申立とは別に、いわゆる送信防止措置請求を行うことも選択肢の一つです。
送信防止措置請求を行うと、転職会議の運営会社である株式会社リブセンスが請求に応じて自主的に投稿を削除するか、もしくは、自主的に削除しない場合は、投稿者へ削除依頼があったことを通知します。後者の場合、7日以内に投稿者から反論がないか、反論があっても理由がないと同社が判断した場合、投稿が削除されることになります。
送信防止措置請求は、削除を依頼する側の企業の担当者が行うこともできますが、通常の削除依頼や裁判所への仮処分申立と同様、プライバシー権や名誉権の侵害に当たるという法的理由をしっかりと記載する必要があります。ですから、この請求を行う場合も、弁護士が書面を作成して法的な説明をすることで、削除される可能性は高くなるといえるでしょう。
5.転職会議で自社に不利益な書き込みを発見したときは
企業にマイナスイメージを与えるような書き込みは、放置しておくと他の媒体に転記されたり、SNSで拡散してしまったりして被害が拡大するおそれがあります。ですから、転職会議において、自社にとって不利益なことが記載されているときは、速やかにこれを削除する手段を講じる必要があります。
また、企業が被ったダメージによっては、投稿者本人に損害賠償請求を行うことも検討しなければなりません。インターネット上の投稿は投稿者名が匿名であることがほとんどですから、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求等を行って投稿者を特定することが求められます。
このように、問題のある書き込みを発見した場合は、書き込みの削除と被害の拡大防止、投稿者に対する損害賠償請求を並行して検討しなければなりませんが、どの手続をどのタイミングで進めていくべきかが非常に重要です。
確かに、弁護士に依頼すると、会社の担当者が対応するのに比べると一定の費用がかかります。しかし、インターネット上での悪い評判や口コミは瞬く間に拡散することがあり、予想もしない損害を企業に与える可能性がありますから、多少費用が発生しても早急に対応することが大切といえます。
ただ、このようなインターネット上の法律問題については、弁護士によって得手不得手の差がある分野といえますから、インターネット上の法律問題に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。
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解説
2017年4月25日に投稿された。
脚注
関連項目