2024年2月11日 (日) 04:52時点における>吉田陶平による版
(
差分)
← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
高橋嘉之に関する裁判の一覧。
唐澤貴洋の担当した案件
平成26年(ワ)第20848号
事件番号
|
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20848号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成26年11月25日
|
結果
|
請求認容
|
裁判官
|
山原佳奈
|
収録DB等
|
LEX/DB25522911
|
被告
|
KDDI株式会社
|
訴訟代理人弁護士
|
渡部英人,春田大吾
|
備考
|
高橋嘉之が唐澤貴洋に依頼した2chの開示請求の内のKDDI分3件をまとめて起訴した裁判。 1件目は「BB Chat TV[1]」において高橋嘉之が不貞行為を行っていたとされる疑惑[註釈 1]のコピペを作成した者[5]。2件目は高橋嘉之が運営した疑惑のある「ネット犯罪追跡グループのブログ[6]」を名指しで晒した最初の者[7]。3件目は高橋嘉之による山一[註釈 2]、日立[註釈 3]、リソー教育[21]への中傷を指摘し、これから起こるであろうCSKやIIJへの中傷を警告した者[22]の情報開示を求めるものである。3件とも開示された。
|
判決全文[23]
発信者情報開示請求事件
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20848号
平成26年11月25日民事第43部判決
口頭弁論終結日 平成26年10月14日
判 決
原告 P1
同訴訟代理人弁護士 唐澤貴洋
被告 KDDI株式会社
同代表者代表取締役 P2
同訴訟代理人弁護士 渡部英人
同 春田大吾
主 文
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は,原告が,インターネット上のウェブサイトの電子掲示板に投稿された記事が原告の名誉を毀損することが明らかであるなどとして,上記投稿記事の経由プロバイダである被告に対し,
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,上記投稿記事の発信者情報(氏名又は名称,住所,電子メールアドレス)の開示を求めた事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠及び弁論の全趣旨により認めることができる事実)
(1)被告は,電機通信事業を営む株式会社であり,法4条1項の「特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」に該当する(争いなし)。
(2)インターネット上のウェブサイトの電子掲示板「ネット人権侵害者を徹底的に叩くコンシェルジュ」(以下「本件掲示板」という。)において,
平成○○年○月○○日別紙情報目録[1]記載の記事(以下「本件投稿記事1」という。)が,同月○○日別紙情報目録[2]記載の記事
(以下「本件投稿記事2」という。)が,同年○月○日別紙情報目録[3]記載の記事(以下「本件投稿記事3」といい,本件投稿記事1ないし3を「本件各投稿記事」という。)が投稿された(甲4)。
3)被告は、本件各投稿記事が投稿された際の経由プロバイダであり,契約者情報として,本件各投稿記事の投稿に使用されたIPアドレス使用者の氏名又は名称,住所,電子メールアドレスの情報を保有している(争いなし)。
(4)原告は,本件各投稿記事の発信者(以下「本件発信者」という。)に対し,後記の権利侵害を理由として,不法行為に基づく損害賠償請求等の準備をしている(弁論の全趣旨)。
3 主たる争点及びこれに対する当事者の主張
(1)権利侵害の有無
(原告の主張)
ア 本件投稿記事1について
本件投稿記事1には,原告が「BB Chat TVに齢40にして36と称してキモい出会い系書き込み連発」と記載されているところ,
「BB Chat TV」は女性と知り合うことができるウェブサイトであり,本件投稿記事1の上記記載は,一般の閲覧者に,既婚者である原告がいわゆる出会い系サイトを利用していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
イ 本件投稿記事2について
本件投稿記事2には,原告について,「詐欺・逃亡野郎P1にエヅ民,2ちゃんねる民が恫喝されています」,「P1の経歴上かかわった経営層・
部下・上司等が自分を棚に上げて誹謗中傷されています」などと記載されており,一般の閲覧者に,原告が他者に対して恫喝や誹謗中傷を行っている上,
犯罪行為に関与していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
ウ 本件投稿記事3について
本件投稿記事3には,「旧山一證券のP1関連部署の皆様 日立製作所のP1関連部署の皆様,
リソー教育のP1研修担当の皆様 P1により一方的な誹謗中傷が行われています。」などと記載されており,一般の閲覧者に,原告が他人を誹謗中傷し,
違法行為を行っていると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(被告の主張)
否認ないし争う。
ア 本件投稿記事1について
(ア)本件投稿記事1には,人物の経歴らしき内容が記載されているが,
これが原告の経歴であることを示す記載は一切ないから,本件投稿記事1を読んだ一般の閲覧者が,本件投稿記事1は原告のことを記載したものであると判断することはできない。
(イ)また,原告は,本件投稿記事1中の,原告が「BB Chat TV」を利用しているとの記載は,一般の閲覧者に,既婚者である原告がいわゆる出会い系サイトを利用していると理解される内容であり,原告の社会的評価を低下させるものである旨主張する。
しかしながら,「BB Chat TV」が具体的に何なのか不明であるし,本件投稿記事1には「BB Chat TV」に書き込みをしているといった程度の抽象的な記載がなされているにとどまり,何ら具体的な事実は記載されていない。これに加え,
インターネット上の掲示板における投稿は信用性が高いものとして評価されているわけではないことをも勘案すれば,
本件投稿記事1を読んだ一般の閲覧者が,原告が出会い系サイトを利用していると理解するとは考えられないから,同記事の内容は原告の社会的評価を低下させるものであるとはいえない。
イ 本件投稿記事2及び3について
本件投稿記事2及び3には,原告が誹謗中傷をしているといった程度の抽象的な記載がなされているにとどまり,
何ら具体的な事実が述べられていない。これに加え,インターネット上の掲示板における投稿は信用性が
高いものとして評価されているわけではないことを勘案すれば,本件投稿記事2及び3を読んだ一般の閲覧者が,原告が違法行為を行っていると理解するとは考えられないから,本件投稿記事2及び3の内容が原告の社会的評価を低下させるものであるとはいえない。
(2)違法性阻却事由の有無
(原告の主張)
本件各記事に記載された内容は真実ではない。また,上記記載は一個人の私生活に関する情報であり,公共の利害に関する事項とはいえない上,
根拠を明確に示すことなく原告を誹謗中傷しており,積極的な加害意思しかみて取ることができないから公益目的も認められない。
したがって,本件各投稿記事の投稿につき違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情は存在しない。
(被告の主張)
否認ないし争う。
原告が他者を誹謗中傷する投稿をしているとすれば,かかる事実は名誉毀損罪や信用毀損罪といった犯罪行為に該当する可能性があるから,
広く社会に知らしめて公衆の批判にさらす必要があると考えられる。
したがって,本件投稿記事2及び3は,公共の利害に関するものであり,その目的は公益を図るものに他ならないというべきである。
そして,本件投稿記事2及び3は,原告の言動に詳しい人物が投稿したものと思われるから,いずれも真実であるか,
仮に真実でなかったとしても真実であると信じるにつき相当の理由があったというべきである。したがって,本件投稿記事2及び3については違法性阻却事由が認められる。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(権利侵害の有無)について
(1)本件投稿記事1について
ア 本件投稿記事1には,「1988年4月 山一證券株式会社に就職」,「1998年3月 株式会社日立製作所に入社」,「2008年4月 株式会社CSKに新事業の立ち上げ役として部長職で入社」などの人物の経歴が記載されているところ,
本件掲示板には,「旧山一證券のP1関連部署の皆様」,「日立製作所のP1関連部署の皆様」,「CSK(SCSK)のP1の関連部署の皆様」などの記載のある本件投稿記事3が投稿されており,
本件投稿記事1と本件投稿記事3を併せ読めば,本件投稿記事1に記載された経歴が原告の経歴であることは明らかであるといえるから,一般の閲覧者は,本件投稿記事1が原告に関する記事であると特定できたと認めることができる。
イ 本件投稿記事1には,「19?年 小学校時代の同級生の妻と結婚」,「2006年11月 BB Chat TVに齢40にして36と称してキモい出会い系書き込み連発」と記載されているところ,上記記載中の
「BB Chat TV」は不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトであり(甲6),「BB Chat TV」が上記のようなサイトであることは本件投稿記事1中の「齢40にして36と称してキモい出会い系書き込み連発」
との記載からも理解することができるといえる。そして,本件投稿記事1は,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,既婚者である原告が,
不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトを利用しているとの事実を摘示していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(2)本件投稿記事2について
本件投稿記事2には,「>あらぬ情報を垂れ流したり,誹謗中傷の限りを尽くすものが大勢います。P1ですねわかりますwwwwwwwwwwwww」,
「その他P1の経歴上かかわった経営層・部下・上司等が自分を棚に上げて誹謗中傷されていますボスケテwwwwww」と記載されており,
一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,原告が真実でない情報を流したり,過去に関わりのあった者を誹謗中傷したりしているとの事実を摘示していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(3)本件投稿記事3について
本件投稿記事3には,「旧山一證券のP1関連部署の皆様 日立製作所のP1関連部署の皆様 リソー教育のP1研修担当の皆様 P1により一方的な誹謗中傷が行われています。」,
「CSK(SCSK)のP1関連部署の皆様 IIJのP1関連部署の皆様 今後P1により一方的な誹謗中傷が行われる可能性が高いです。お気を付けください。」と記載されており,
一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,原告が過去に関わりのあった者を一方的に誹謗中傷しており,今後も誹謗中傷を行う可能性が高いとの事実を摘示していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
2 争点(2)(違法性阻却事由の有無)について
(1)本件投稿記事1について
本件投稿記事1が摘示する,既婚者である原告が不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトを利用しているとの事実は,
原告の私生活上の行状に関する事実であって公共の利害に関する事実には当たらないし,本件掲示板に上記事実を記載することの目的が専ら公益を図ることにあったと認めることもできない。
したがって,本件投稿記事1の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
(2)本件投稿記事2について
本件投稿記事2が摘示する,原告が真実でない情報を流し,過去に関わりのあった者を誹謗中傷しているとの事実は,
私人である原告の私生活上の行状に関するものであって公共の利害に関する事実と認めることはできないし,本件投稿記事2において上記事実を摘示する根拠が何ら明らかにされていないこと,
同記事には原告を揶揄するような表現が用いられていることに照らすと,本件投稿記事2が公益を図る目的で投稿されたと認めることはできない。
したがって,本件投稿記事2の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
被告は,原告が他者を誹謗中傷する投稿をしているとすれば,かかる事実は名誉毀損罪や信用毀損罪といった犯罪行為に該当する可能性があるから,
本件投稿記事2は公共の利害に関するものであり,その目的は公益を図るものと認められる旨主張するが,摘示された事実が犯罪行為に該当する可能性があるというだけで,
当該事実が公共の利害に関するものであり,その事実の公表に公益目的があるということはできないから,被告の上記主張を採用することはできない。
(3)本件投稿記事3について
本件投稿記事3が摘示する,原告が過去に関わりのあった者を一方的に誹謗中傷しており,
今後も行う可能性が高いとの事実は,私人である原告の私生活上の行状に関するものであって公共の利害に関する事実と認めることはできないし,
本件投稿記事3には,上記事実を摘示する根拠が何ら明らかにされていないこと,本件発信者が,その公表に公益目的の認められない本件投稿記事1及び2の投稿から間もなく本件投稿記事2と同様の内容の本件投稿記事3を投稿していることに照らすと,
同記事が公益を図る目的で投稿されたと認めることはできない。したがって,本件投稿記事3の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
被告は,本件投稿記事3についても本件投稿記事2について主張するのと同様の理由により,公共の利害に関するものであり,その目的に公益を図るものと認められる旨主張するが,この主張が採用できないことは上記(2)で説示したとおりである。
3 結論
以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第43部
裁判官 山原佳奈
平成26年(ワ)第20849号
事件番号
|
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20849号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成27年5月12日
|
結果
|
請求認容
|
裁判官
|
齋藤岳彦
|
収録DB等
|
LEX/DB25530281
|
原告
|
A
|
訴訟代理人弁護士
|
○○○○
|
訴訟復代理人弁護士
|
○○○○
|
被告
|
ビッグローブ株式会社
|
訴訟代理人弁護士
|
平出晋一,高橋利昌,太田絢子
|
備考
|
高橋嘉之によるrevニキの取り巻きをしていた者(あるいは模倣犯)[24]の情報開示請求裁判。
|
判決全文[23]
発信者情報開示請求事件
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20849号
平成27年5月12日民事第44部判決
口頭弁論終結日 平成27年4月14日
判 決
原告 A
同訴訟代理人弁護士 ○○○○
同訴訟復代理人弁護士 ○○○○
被告 ビッグローブ株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 平出晋一
同 高橋利昌
同 太田絢子
主 文
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 事案の概要
1 本件は,原告がいわゆる経由プロバイダである被告に対し,インターネット上の匿名掲示板に原告が少女買春に及んだという虚偽の投稿をされ,その名誉を毀損されたとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の情報の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがない又は証拠等により容易に認められる事実)
(1)ア 原告は,株式会社インターコンシェルジュの代表取締役である。(甲2)
イ 被告は,インターネット等のネットワークを利用した情報通信サービス等の提供を目的とする株式会社である。(弁論の全趣旨)
(2)「2ちゃんねる」は,インターネット上の多数の匿名掲示板からなるウェブサイトであるが,平成××年×月××日頃,その掲示板に「○○○○○○○○○○」という題名のスレッドが作成された。同スレッドには,別紙情報目録の「投稿日時」欄記載の日時・時刻頃に,同「レス番号」欄記載の投稿番号で,匿名で同「投稿内容」欄記載の内容の各投稿(以下「本件各投稿」という。)が同「IPアドレス」欄記載のIPアドレスを利用してなされたものであった。(甲1)
(3)本件各投稿は,不特定多数の誰もが自由に閲覧できるものであり,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条1号所定の特定電気通信に当たり,別紙情報目録の「IPアドレス」欄記載のIPアドレスは,被告が提供するインターネット接続サービスの会員に対して割り当てられた。(争いがない,弁論の全趣旨)
(4)原告は,本件各投稿の投稿者を特定できれば,損害賠償請求又は刑事告訴の手続をとることを予定している。(甲7)
3 争点
権利侵害の明白性
4 当事者の主張
(原告の主張)
本件各投稿は,一般の読者をして原告が少女買春をしていると誤信させ,もって原告の社会的評価を低下させるものであり,公共の利害に関する事項ではなく,公益目的を欠いた虚偽の書込みであるから,原告の権利侵害は明白である。
(被告の主張)
被告は,本件各投稿の内容について何も知らず,その真偽や違法性阻却事由の存否についても判断することができないから,原告の権利侵害が明白であるとは判断できない。
第3 当裁判所の判断
1 原告の権利侵害の明白性について判断するに,本件各投稿のうち,「A、少女買春をしていた」との記載部分は,いずれも原告が女子児童の買春行為に及んだという事実の摘示に当たる。当該事実は,原告が未成年者の人格を顧みず,青少年保護育成条例に違反する破廉恥な犯罪行為に及んだことを想起させるものであるから,本件各投稿が原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
そこで,違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情についてみるに,私人である原告による少女買春の事実については,これまでに捜査機関や報道機関から関心が寄せられたなどといった事情はうかがわれず,原告が代表取締役を務める株式会社インターコンシェルジュの事業内容が子育てなどを始めとする各種相談に関するコンサルティングサービスであることを考慮しても,公共の利害に関する事実には当たらないと認められる。また,本件各投稿は,その際に利用されたIPアドレス及び記載内容の類似性から同一投稿者によるものであることがうかがわれるところ,別紙情報目録の「レス番号」欄記載の×××番の投稿には,「A君,ここばかり埋めてないでほかのスレにも行かないとw」などと原告を揶揄する記載がみられる上,1つの投稿中に多数の異なるリンク先が貼り付けられており,当該リンク先の直上には全て「○○○○○○○○○○」旨執拗に記載されていることからすれば,本件各投稿は,公益を図る目的ではなく,原告の名誉をおとしめる意図をもってなされたものと優に推認される。そして,原告作成の各陳述書(甲6,7)において,原告は,少女買春に及んだことを明確に否定しており,本件全証拠を検討しても原告の陳述記載の信用性を疑うべき証拠はないから,原告が少女買春に及んだという事実が重要な部分において真実ではないものと認められる。
したがって,本件各投稿は,原告の社会的評価を低下させる事実を摘示するものであり,違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情もないことが明らかであるから,本件各投稿による権利侵害が明白であることをいう原告の主張は理由がある。
2 以上の次第で,原告の被告に対する特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の情報の開示を求める請求は理由がある。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第44部
裁判官 齋藤岳彦
発信者情報目録
別紙情報目録記載の投稿日時における別紙情報目録記載のIPアドレスの利用者(発信者)に関する次の情報
1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス
情報目録
平成26年(ワ)第20853号
事件番号
|
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20853号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成27年1月30日
|
結果
|
請求一部認容
|
裁判官
|
岡本利彦
|
収録DB等
|
LEX/DB25524697
|
被告
|
アルテリア・ネットワークス株式会社
|
訴訟代理人弁護士
|
石新智規,岩田裕介
|
備考
|
revニキの投稿にたまげた「グッドゲーム長谷川/長谷川R[註釈 4]」という者[27]の情報開示請求裁判。IPアドレスがマンションのものとされたため、開示されたのがマンション所在地のみ。氏名等の開示は受けられず、裁判費用も半分負担であるため実質敗訴である。
|
判決全文[23]
発信者情報開示請求事件
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20853号
平成27年1月30日民事第50部判決
口頭弁論終結日 平成26年12月19日
判 決
原告 a
同訴訟代理人弁護士 ○○○○
被告 アルテリア・ネットワークス株式会社
同代表者代表取締役 b
同訴訟代理人弁護士 石新智規
同 岩田裕介
主 文
1 被告は,原告に対し,別紙1情報目録記載の投稿日時における同目録記載のIPアドレスの利用者(発信者)に関するマンション所在地に係る情報を開示せよ。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,別紙2発信者情報目録記載の情報を開示せよ。
第2 事案の概要等
1 事案の概要
本件は,原告が,別紙1情報目録記載の閲覧用URLにより表示されるインターネット掲示板2ちゃんねる(以下「本件ウェブサイト」という。)内の「△△△△△△△△△△」と題するスレッド(以下「本件スレッド」という。)における氏名不詳者による投稿により名誉を毀損されたとして、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)に基づき,被告に対し,別紙2発信者情報目録記載の各情報の開示を求める事案である。
2 前提となる事実(争いのない事実,弁論の全趣旨及び証拠により容易に認められる事実)
(1)被告は,電気通信事業を営む株式会社であり,法4条1項の「特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」に該当するものである(争いなし)。
(2)氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)は,本件ウェブサイト内の本件スレッドに,別紙1情報目録記載の投稿日時に同記載の投稿内容(以下「本件投稿」という。)を発信した(争いなし)。
(3)本件投稿に係るIPアドレスは,別紙1情報目録記載のIPアドレス(以下「本件IPアドレス」という。)のとおりである。そして,同IPアドレスの管理者は被告であり,本件投稿は,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して発信された(甲2,6)。
3 争点及び当事者の主張
(1)本件投稿により,原告の権利が侵害されたことが明白といえるか(争点〔1〕)。
(原告の主張)
ア 本件投稿は,原告が少女売春をしていると記載し,一般読者をして原告が犯罪行為に及んでいると誤信させ,原告の社会的評価を著しく低下させるものである。また,本件投稿の内容は真実ではなく,公共の利害に関する事項とはいえず,原告を誹謗中傷するものであって,公益目的も認められない。
イ 確かに,本件投稿は,別の投稿を複製して再投稿するものであり,末尾に「ひゃーたまげたなぁこれマジなの?」との記載が存在する。しかしながら,本件投稿には,原告が少女売春をしていない可能性については一切記載がなく,一般読者をして同投稿を読んだ場合,原告が少女売春したとの事実以外を読み取ることはできない。
(被告の主張)
本件投稿の内,本件発信者自身が本件スレッドに書き込んだのは,末尾の「ひゃーたまげたなぁこれマジなの?」との文言のみである。同文言以外は,本件投稿の1つ前の投稿を複製したものであり,本件投稿内容は,その直前の投稿の内容が真実であるかを問いかけるものである。これを一般読者の注意と読み方を基準に解釈すれば,本件投稿は,単に直前の投稿の真偽を確認する内容というべきであり,原告に対する社会的評価を低下させるものではない。
(2)本件投稿について発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか(争点〔2〕)。
(原告の主張)
原告は,本件投稿による名誉毀損行為について,本件発信者に対し,不法行為に基づく損害賠償請求を行う予定である。そのためには,本件IPアドレスに係る利用者(発信者)に関する氏名又は名称,住所,電子メールアドレスの開示を求める必要があり,別紙2発信者情報目録記載の各情報の開示を受けるべき正当の理由がある。
(被告の主張)
原告の主張は争う。
(3)被告は,本件投稿に関して,別紙2発信者情報目録記載の情報を保有しているか(争点〔3〕)。
(原告の主張)
被告は,別紙2発信者情報目録記載の各情報を保有している。
(被告の主張)
本件IPアドレスは,特定のマンションに付与されているものであり,被告は,当該マンションの所在地に係る情報を保有するにすぎない。
第3 当裁判所の判断
1 前記前提となる事実,証拠(主要な証拠は各項末尾に掲記)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。
(1)本件スレッドは,平成●●年●月●●日午後×時××分××秒,本件ウェブサイト内の特定のスレッドが原告を誹謗中傷するものであること,同スレッドの削除を求めること,警察署には相談済みであることなどを内容とする「a/代表取締役」名による投稿で開始された。
そして,本件スレッド上では,上記投稿を揶揄したり,嘲笑したりするかのような投稿や,これらに対して文句を言ったりする内容の投稿などが繰り返された後,本件投稿直前の同日午後××時××分××秒に,「◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇」との文言及び他のスレッドへのリンクが設定された記載が9回に渡って繰り返された投稿(以下「本件直前投稿」という。)がなされた(甲1)。
(2)本件投稿の内容は,別紙1情報目録記載の投稿内容のとおりであるところ,同投稿内容中「〉〉□□」から「ひゃーたまげたなぁこれマジなの?」との記載の直前部分までは,本件直前投稿を複製して貼り付けたものであり,その後に,「ひゃーたまげたなぁこれマジなの?」との本件発信者による記載が付された構成となっている(甲1)。
2 争点〔1〕(権利侵害の明白性)について
(1)本件直前投稿は,「a」が少女売春をしていたとの事実を繰り返し摘示するものであり,一般読者をして,原告が,過去に少女売春をしたとの印象を与える内容となっていることからするならば,同投稿内容は,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(2)他方,本件投稿は,一見すると本件直前投稿を引用した上で,その真偽を問いかけている内容となっていると読むこともできる。しかしながら,本件投稿は,本件スレッド上で原告を揶揄したり,嘲笑したりするかのような投稿が繰り返されている中で投稿されたものであること,あえて本件直前投稿を全文複写して貼り付けていること,さらに,本件発信者による「ひゃーたまげたなぁこれマジなの?」との記載は,単に本件直前投稿の真偽を問いかけているというより,むしろ,本件直前投稿の内容について驚きを表現していると読むことができることに照らすと,単に本件直前投稿の内容について真偽を問いかけているというよりも,本件直前投稿を強調して「a」が過去に少女売春をしたとの事実を摘示した上で,驚きを示すものというべきであり,一般読者をして,原告が過去に少女売春をしたとの印象を与える内容となっているものといえる。
以上によれば,本件投稿は,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。そして,本件投稿が公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的に出た場合であって,摘示された事実が重要な部分において真実であることが証明され,仮に真実であることの証明がないときでも,行為者によって摘示された事実を真実と信じるについて,相当の理由があるといった違法阻却事由が存在するという事情を窺わせる証拠はない。したがって,本件投稿によって原告の名誉が毀損され,その権利が侵害されたことが明かであるというべきである。
3 争点〔2〕(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について
原告は,本件発信者に対し,本件投稿による名誉毀損を理由に損害賠償を請求する予定であることからするならば,本件投稿に関する発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるというべきである。
4 争点〔3〕(発信者情報の保有)について
被告は,本件IPアドレスが特定のマンションについて付与されたものであり,当該マンションの所在地に係る情報しか保有していないと主張する。他方,原告は,本件IPアドレスの利用者(発信者)に関する氏名又は名称,住所,電子メールアドレスの開示を求めているものの,被告が,上記マンションの所在地に係る情報以外に本件IPアドレスの利用者(発信者)に関する情報を保有していることを認めるに足りる証拠はない。
したがって,被告が,本件IPアドレスの利用者(発信者)に関するマンション所在地に係る情報以外の情報を保有していると認めることはできない。
5 結論
以上によれば,原告の請求は,本件IPアドレスの利用者(発信者)に関するマンション所在地に係る情報の開示を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとする。
東京地方裁判所民事第50部
裁判官 岡本利彦
(別紙1)情報目録
(別紙2)発信者情報目録
別紙1情報目録記載の投稿日時における同目録記載のIPアドレスの利用者(発信者)に関する次の情報
1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス
平成27年(ワ)第4818号
事件番号
|
東京地方裁判所平成27年(ワ)第4818号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成27年6月16日
|
結果
|
請求認容
|
裁判官
|
後藤健
|
収録DB等
|
LEX/DB25530394
|
被告
|
株式会社ジェイコム札幌
|
訴訟代理人弁護士
|
萬幸男
|
備考
|
高橋嘉之が起こしたrevニキの情報開示請求裁判
|
判決全文[23]
発信者情報開示請求事件
東京地方裁判所平成27年(ワ)第4818号
平成27年6月16日民事第1部判決
口頭弁論終結日 平成27年5月19日
判 決
原告 a
同訴訟代理人弁護士 ○○○○
被告 株式会社ジェイコム札幌
同代表者代表取締役 b
同訴訟代理人弁護士 萬幸男
主 文
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
本件は,インターネット上の電子掲示板における投稿記事により権利を侵害されたとする原告が,当該記事を投稿した者に対する損害賠償請求権の行使のために,当該記事に係る経由プロバイダである被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,当該記事に係る発信者情報の開示を求める事案である。
1 請求原因
(1)原告は,株式会社インターコンシェルジュの代表取締役を務める者である。
(2)氏名不詳者は,インターネット上の2ちゃんねるという名称の電子掲示板(以下「本件掲示板」という。)の「△△△△△△△△△△」というスレッドにおいて,別紙情報目録記載の各情報(以下「本件情報」という。)を発信した。
(3)氏名不詳者は,被告の提供するインターネット接続サービスを利用して本件情報を本件掲示板において発信したものであり,被告は,本件情報に係るIPアドレスを保有している。
(4)本件情報は,不特定の誰もが自由に閲覧できるものであるから,プロバイダ責任制限法2条1号の特定電気通信に該当し,被告は,同条3号の特定電気通信役務提供者に該当する。
(5)本件情報は,次のとおり,原告の名誉権を侵害することが明らかである。
ア 本件情報は,原告が少女買春をしていると記載しているから,一般の読者をして原告が犯罪行為をしていると誤信させ,原告の社会的評価を著しく低下させる。
イ 本件情報は,公共の利害に関する事項ではなく,公益目的もなく,内容は真実ではないから,違法性阻却事由の要件を満たさない。
(6)原告は,本件情報の発信者に対し,名誉権侵害を理由として不法行為に基づく損害賠償請求の準備をしており,本件情報の発信者の氏名又は名称,住所及び電子メールアドレスの開示を求める正当な理由を有している。
(7)よって,原告は,被告に対し,プロバイダ責任制限法4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の情報の開示を求める。
2 請求原因に対する認否
(1)請求原因(1)(2)は不知。
(2)請求原因(3)の事実のうち,被告が本件情報に係るIPアドレスを保有していることは認め,その余は不知。
(3)請求原因(4)の事実は認める。
(4)請求原因(5)は否認ないし争う。被告が本件情報の発信者に意見照会をしたところ,同人及びその家族は,本件情報を発信したことを否認した。
(5)請求原因(6)は不知。
第3 当裁判所の判断
1 請求原因(4)の事実及び同(3)の事実のうち被告が本件情報に係るIPアドレスを保有していることは当事者間に争いがなく,証拠(甲2,3)によれば,同(3)のその余の事実が認められる。
2 証拠(甲4,5)及び弁論の全趣旨によれば,請求原因(1)(2)(6)の各事実が認められる。
3 証拠(甲1,5)及び弁論の全趣旨によれば,請求原因(5)の事実が認められる。
被告は,本件情報の発信者が本件情報を発信した事実を否認したことから,本件情報の発信者による権利侵害の事実の明白性は不明であると主張する。
しかし,本件情報の流通によって原告の名誉権が侵害された事実が認められることは上記のとおりであり,そうである以上は、特定電気通信役務提供者である被告は,その保有する本件情報に係る発信者情報を開示する義務があるのであって,発信者の上記の主張の当否は,被告の情報開示義務の存否に影響しないと解される。よって,被告の主張は理由がない。
第4 結論
以上によれば,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第1部
裁判官 後藤健
発信者情報目録
別紙情報目録記載の投稿日時おける別紙情報目録記載の契約者についての次の情報
1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス
以上
情報目録
その他案件
平成25年(ワ)第26837号
事件番号
|
東京地方裁判所平成25年(ワ)第26837号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成26年1月
|
結果
|
原告の訴訟取下げ[28]
|
裁判官
|
不明
|
収録DB等
|
|
備考
|
高橋嘉之が起こした教育掲示板インターエデュのコテハン『にかい』の情報開示請求裁判。
|
平成27年(ワ)第22603号
事件番号
|
東京地方裁判所平成27年(ワ)第22603号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成27年11月24日
|
結果
|
請求認容
|
裁判官
|
園部直子
|
収録DB等
|
LEX/DB25534791
|
被告
|
株式会社NTTドコモ
|
訴訟代理人弁護士
|
上村哲史,横山経通
|
備考
|
2chでスレ立て[29]した者の情報開示請求裁判
|
平成29年(少コ)第638号
事件番号
|
東京簡易裁判所平成29年(少コ)第638号
|
事件名
|
損害賠償請求事件
|
判決日
|
平成29年5月31日[30]
|
結果
|
請求棄却
|
裁判官
|
笹本桂輔
|
収録DB等
|
収録予定なし
|
平成28年(ワ)第20708号
事件番号
|
東京地方裁判所平成28年(ワ)第20708号
|
事件名
|
損害賠償等請求事件
|
判決日
|
平成29年8月3日[31]
|
結果
|
請求棄却
|
裁判官
|
中村さとみ
|
収録DB等
|
収録予定なし
|
平成29年(ワ)第28318号
事件番号
|
東京地方裁判所平成29年(ワ)第28318号
|
事件名
|
発信者情報開示請求事件
|
判決日
|
平成30年1月24日[34]
|
結果
|
請求認容
|
裁判官
|
片山健
|
収録DB等
|
|
被告
|
株式会社NTTドコモ、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
|
訴訟代理人弁護士
|
不明
|
備考
|
panawave-gorihoomが起こした自身や父親及び病院を中傷し業務妨害を行った者の情報開示請求裁判。「けんま」が(原告を)訪問するよう呼びかける旨の記載であることが裁判で認められた[35]。
|
平成29年(ネ)第3762号
事件番号
|
東京高等裁判所平成29年(ネ)第3762号
|
事件名
|
損害賠償等請求控訴事件
|
判決日
|
平成30年1月31日[36]
|
結果
|
控訴棄却
|
裁判官
|
野山宏,宮坂昌利,大塚博喜
|
収録DB等
|
|
高橋がエビケーに投稿していた高橋側主張(一部修正)
あくまで高橋嘉之のコピペであるので、正確性は保証できないが、高橋嘉之が本騒動をどのように考えているのかが伺える。
読みやすさを考慮し、第1審被告→SMDMSK、第1審原告→高橋嘉之 カンマ→読点に置き換えた。
(1)上記1の認定によれば、SMDMSKは、かねて大橋とは根深い確執があったこと、
SMDMSKは、高橋嘉之がインターネット上で「にかい」らから誹謗中傷を受けており、
これに対し、高橋ブログを運営していることを知り、高橋嘉之に本件匿名手紙を郵送したこと、
本件匿名手紙の内容は、高橋嘉之に対して、「にかい」が「紀貫之ことO.K氏」すなわち大橋であると信じさせるとともに、
高橋ブログを活用して「紀貫之ことO.K氏」を追い詰める方法を具体的にアドバイスするものであったこと、
高橋嘉之は、SMDMSKの意図するとおり、高橋ブログ上で、「にかい」の正体は「紀貫之ことO.K氏」であるとして、
結果的に、大橋に対する誹謗中傷行為に加担させられたことが認められる。
以上の事実に照らせば、SMDMSKによる本件匿名手紙の送付行為は、自ら直接手を下すことなく、 インターネット上で高橋嘉之を利用し、
高橋嘉之をして、「にかい」は大橋であると誤認させて、無実の大橋に対する誹謗中傷行為を行わせる謀略であったと推認することができる。
そして、その結果、高橋嘉之は、大橋に対する理由のない攻撃的な言動を実行してしまい、大橋に対する謝罪及び示談金の支払を余儀なくされたのであり、
そのような帰趨は、SMDMSKにおいて現に予見していたか又は予見し得たものと認められる。
したがって、SMDMSKによる本件匿名手紙の送付行為は、第三者に対する不法行為を高橋嘉之に実行させるための行為として、
高橋嘉之の人格権及び財産権を侵害する不法行為に当たるというべきである。
(3)以上の諸事情を総合すれば、SMDMSKによる本件匿名手紙の送付は、高橋嘉之に対する不法行為を構成する違法な行為というべきではある。
3.本件誓約書に係る違約金請求について
(1)SMDMSKは、本件面会において話したことに虚偽等が発覚した場合には違約金として※※※※万円を支払う旨の本件宣誓書に署名押印した上、
平成26年6月~7月にO.K氏に手紙を書いたことがあるかどうかの質問に対し、書いていないと回答しその旨本件ヒヤリングシー トに記入したこと(上記1(4)エ)、
しかし、実際には、大橋は平成26年7月8日にSMDMSKから送付された本件書面を受領していること(上記1(3)イ)が認められる。
そうすると、SMDMSKの上記回答は、本件誓約書が定める※※※※万円の違約金の発生事由に該当するというべきである。
なお、大橋及び高橋嘉之において、本件書面が本件匿名手紙の送り主の特定に重要な意味を持つものと認識していたことは上記認定のとおりである。
(2)他方、高橋嘉之がSMDMSKによる違約金の約束を必要とした実質的な理由は、「にかい」の正体や本件匿名手紙の送り主の特定のため、SMDMSKに真実を述べてもらう必要があったからにほかならない。
そして「平成26年6月~7月にO.K氏に手紙を書いたことがあるか」との質問は、その時期に本件書面を大橋に送付した者(SMDMSK)が本件匿名手紙の送り主の可能性が高いという推論から発せられたものと考えられる。
第3 当裁判所の判断
1.前提事実に証拠(甲14のほか後掲のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。
(1)大橋と第1 審被告の確執(甲12、13、17の1、2)
ア 大橋は、平成17年4月から平成24年3月まで順心広尾学園の理事長を務めており、平成25年4月からは学校法人※※※※(三田国際学園の前身・戸坂学園)の学園長の職にある。また、学習塾を運営する俊英館の設立者でもある。大橋は、関係者の間では別名「紀貫之」で知られていた。
イ SMDMSKは、俊英館の総務部長であったところ、大橋は、順心広尾学園の理事長当時、SMDMSKを順心広尾学園の事務局長に抜てきした。ところが、その後、大橋とSMDMSKの間に深刻な確執が生じ(大橋の認識では、 SMDMSKが大橋の理事長退任を画策したというもの)、SMDMSKは平成24年1月をもって順心広尾学園を退職し、俊英館に復帰することとなった。SMDMSKは、その後も、順心広尾学園を退職させられた経緯に強い不満を抱き、順心広尾学園の理事の自宅を訪問して大橋を糾弾する話をして回ったり、退職から1年以上経った平成25年3月になっても、大橋に関して訴えたいことがあるとして順心広尾学園の理事会への出席を求めるなど、大橋に対する強い敵意を継続させていた。
(2)本件匿名手紙の送付及び高橋ブログの発信(甲2の1~26、甲11)
ア 高橋嘉之は、インターネットを利用した※※※※※※※※※※等を業とする株式会社※※※※※※※※※※(インターコンシェルジュ)の代表取締役である。
イ 高橋嘉之は、平成24年頃から、インターネット上の掲示板等で「にかい」のハンドルネームを使用する投稿者らから、自身及び家族についての執拗な誹謗中傷を受けていた。
ウ このような中の平成26年2月、高橋嘉之の自宅に1通目の本件匿名手紙が郵送されてきた。 その概要は、自分は事情があって匿名にしているが高橋嘉之の敵対者ではなく、高橋ブログの一読者である、自分の知人との雑談中に高橋ブログの話題が出て、その知人は「にかい」の正体を知っていると言っていた、そこで高橋ブログを通じてこの知人に犯人の情報を求めてみてはどうかというものであった。高橋嘉之は、これを受けて、高橋ブログ上で上記助言に沿った対応をした。
エ その後半年以上にわたり、平成26年9月まで、ほぼ毎週のように本件匿名手紙は高橋嘉之の自宅に郵送されてきた。その内容は、当初は、「にかい」を特定するヒント(教育関係との接点等)を小出しにし、上記知人からの伝聞という体裁で、「にかい」は「紀貫之」であると推理しているというにとどまっていたが、平成26年7月の手紙(甲2の20)で「ずばり、紀貫之氏は、教育界のイニシャルO.K氏である」と伝えた。 本件匿名手紙は、このように「にかい」が「紀貫之ことO.K氏」であると伝えるとともに、
「にかい」の正体が分かってきたというメッセー ジを高橋ブログに掲示して「にかい」を動揺させるのが効果的であると教示したり(甲2の13) 、「相手を特定し過ぎてしまうと、逆に相手に動く余地を失わせてしまう。・・・その点で前回のブログは踏み込み過ぎたきらいがある」と高橋ブログの表現の軌道修正を求める(甲2の22)など、
高橋ブログを活用して「紀貫之ことO.K氏」を追い詰める方法の具体的なアドバイスを行う内容であった。
(3)?
イ 上記謝罪及び示談を巡るやり取りの際、高橋嘉之は、大橋に対し、差出人不明の本件匿名手紙が郵送されてきて、それを真に受けて高橋ブログの記載をしてしまったという事情を説明し、本件匿名手紙を大橋に開示した。大橋は、本件匿名手紙の文体や書式などから、その送り主はかねて大橋との間に確執のあったSMDMSKであろうと推定した。
また、大橋は、これに先立つ平成26年7月8日にSMDMSKから趣旨不明の手紙(甲3添付の本件書面)を受け取ったことがあった。その内容は、
「今、自分はエデュケーショナルバンク事業部なる部署におりまして、ここが担当する業務の一つに、教育法人様への様々な支援がございます。
・・・何かにつけトラブルが生じやすいのも学校改革期であります。ことトラブルシューティングについては、当方も一定の覚えがあるつもりでおります。
手前味噌ではございますが、大よそのトラブル案件は、相当程度の難度のものも平らにしてまいった経験もございます。
御校が改革の本分に邁進されるにあたって、阻害要因となるような事案が、もし今後生じることがございましたら、気軽にご用命頂ければと存じます。
・・・恩も讐もないところで、ビジネスパートナーとして対処する所存ですので、なんらご懸念いただくものではございません。」
などというものであった。
大橋は、SMDMSKの名前は伏せて、上記のような手紙(本件書面)が少し前に自分のところに送られた経緯があり、その送り主が本件匿名手紙の送り主である可能性が高いのではないかと高橋嘉之に話した。
(4) 高橋嘉之とSMDMSKの本件面会(甲6の1、 2、 甲7、8)
ア 平成28年1月20日頃、突然、SMDMSKの実名による手紙(甲6の1)が高橋嘉之に郵送されてきた。その内容は、 自分が退職した法人の情報を集めるために関連のインターネットを見ていて高橋ブログを知るようになった、是非直接会って話をしたい、「逃げも隠れも」しないつもりであるというものであった。
イ 上記手紙は、本件匿名手紙に直接言及するものではなく、高橋嘉之としても本件、匿名手紙との関係については確信が持てなかったが、「にかい」や本件匿名手紙の送り主の特定に役立つ可能性があると考え、面会の申入れに応じることとした。
そして、虚偽の説明で言い逃れさせることがないよう周到に準備を進め、質問事項に対し「YES」か「NO」で回答させる体裁の本件ヒヤリングシート(甲7)及び面会でSMDMSKの話したことに虚偽等が発覚した場合には違約金として※※※※万円を支払う旨の本件宣誓書(甲8)の文面を事前に準備して面会に臨んだ。
ウ そうして、平成28年2月5日、高橋嘉之とSMDMSKの本件面会が実現した。SMDMSKは、示された本件宣誓書の内容を了解し、これに署名押印した。そして、本件ヒヤリングシートの「あなたは『にかい』ですか?」と尋ねる質問、高橋嘉之を椰楡する目的で投稿、スレッド建てをしたことがあるかを尋ねる質問等には「NO」と回答する一方、本件匿名手紙に関わったことは自ら認め、自分1人でしたと回答した。
エ 高橋嘉之は、SMDMSKが本件匿名手紙の送り主であることを素直に認めるとは予想していなかったが、上記の回答を聞き、本件書面が平成26年7月頃大橋に送られてきたことがあったという大橋の話(上記(3) イ)を思い出した。
そこで、高橋嘉之は、この点を確認するため、平成26年6月~7月にO.K氏に手紙を書いたことがあるかどうかをSMDMSKに質問し、書いていないという回答を得て、その旨を本件ヒャリングシートに記入してもらった。その際、高橋嘉之は、この質問に対する回答も本件誓約書の対象となる旨の注意喚起をした。
2.本件匿名手紙の送付に係る不法行為について
(1)上記1の認定によれば、SMDMSKは、かねて大橋とは根深い確執があったこと、SMDMSKは、 高橋嘉之がインターネット上で「にかい」らから誹謗中傷を受けており、
これに対し、高橋ブログを運営していることを知り、高橋嘉之に本件匿名手紙を郵送したこと、本件匿名手紙の内容は、高橋嘉之に対して、「にかい」が「紀貫之ことO.K氏」すなわち大橋であると信じさせるとともに、高橋ブログを活用して「紀貫之ことO.K氏」を追い詰める方法を具体的にアドバイスするものであったこと、高橋嘉之は、SMDMSKの意図するとおり、高橋ブログ上で、「にかい」の正体は「紀貫之ことO.K氏」であるとして、結果的に、大橋に対する誹謗中傷行為に加担させられたことが認められる。
以上の事実に照らせば、SMDMSKによる本件匿名手紙の送付行為は、自ら直接手を下すことなく、インターネット上で高橋嘉之を利用し、高橋嘉之をして、「にかい」は大橋であると誤認させて、無実の大橋に対する誹謗中傷行為を行わせる謀略であったと推認することができる。
そして、その結果、高橋嘉之は、大橋に対する理由のない攻撃的な言動を実行してしまい、大橋に対する謝罪及び示談金の支払を余儀なくされたのであり、
そのような帰趨は、SMDMSKにおいて現に予見していたか又は予見し得たものと認められる。したがって、SMDMSKによる本件匿名手紙の送付行為は、
第三者に対する不法行為を高橋嘉之に実行させるための行為として、高橋嘉之の人格権及び財産権を侵害する不法行為に当たるというべきである。
(3)以上の諸事情を総合すれば、SMDMSKによる本件匿名手紙の送付は、高橋嘉之に対する不法行為を構成する違法な行為というべきではある。
事実及び理由
以下の点についてはその事実を認める
SMDMSKが大橋の理事長退任を画策したというもの、
SMDMSKは平成24年1月をもって順心広尾学園を退職し、俊英館に復帰することとなった。
SMDMSKは、その後も順心広尾学園を退職させられた経緯に強い不満を抱き、順心広尾学園の理事の自宅を訪問して大橋を糾弾する話をして回ったり、
退職から1年以上経った平成25年3月になっても、大橋に関して訴えたいことがあるとして順心広尾学園の理事会への出席を求めるなど大橋に対する強い敵意を継続させていた。
SMDMSKは、かねて大橋とは根深い確執があったこと、
SMDMSKは、高橋嘉之がインタ ーネット上で「にかい」らから誹謗中傷を受けており、これに対し、高橋ブログを運営していることを知り、高橋嘉之に本件匿名手紙を郵送したこと
本件匿名手紙の内容は、高橋嘉之に対して「にかい」が「紀貫之こと0. K氏」すなわち大橋であると信じさせるとともに、
高橋ブログを活用して「紀貫之こと0. K氏」を追い詰める方法を具体的にアドバイスするものであったこと、
SMDMSKによる本件匿名手紙の送付行為は、 自ら直接手を下すことなく、インタ ーネット上で高橋嘉之を利用し、高橋嘉之をして、「にかい」は大橋であると誤認させて、 無実の大橋に対する誹謗中傷行為を行わせる謀略であった
SMDMSKによる本件匿名手紙の送付行為は、第三者に対する不法行為を高橋嘉之に実行させるための行為として、
高橋嘉之の人格権及び財産権を侵害する不法行為に当たるというべきである。
SMDMSKによる本件匿名手紙の送付は、高橋嘉之に対する不法行為を構成する違法な行為というべきではある。
SMDMSKの上記回答は、本件誓約書が定める2000万円の違約金の発生事由に該当するというべきである。
なお、大橋及び高橋嘉之において、本件書面が本件匿名手紙の送り主の特定に重要な意味を持つものと認識していたことは上記認定のとおりである。
平成29年(ハ)第27765号
事件番号
|
東京簡易裁判所平成29年(ハ)第27765号
|
事件名
|
損害賠償請求事件
|
判決日
|
平成30年2月5日[37]
|
結果
|
請求一部認容
|
裁判官
|
鈴木秀夫
|
収録DB等
|
|
備考
|
高橋嘉之が恒心教徒panawave-gorihoomを訴えた裁判
|
主文
1 被告は,原告高橋に対し,40万7000円及びこれに対する平成28年9月7日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 被告は,原告会社に対し,3万3000円及びこれに対する平成28年9月7日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用はこれを10分し,その7を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。
5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
平成30年(ワ)第27083号
事件番号
|
東京地方裁判所平成30年(ワ)第27083号
|
事件名
|
損害賠償請求事件
|
判決日
|
|
結果
|
|
裁判官
|
|
収録DB等
|
|
原告
|
学校法人順心広尾学園
|
訴訟代理人弁護士
|
パカビジと縁のなさそうなベテラン2名+イソ弁1名
|
被告
|
高橋嘉之,高橋敏美
|
訴訟代理人弁護士
|
瀧口徹
|
備考
|
高橋嘉之の誹謗中島を広尾学園がついに訴えた裁判。
|
傍聴記録[39]
485 :無名弁護士[]:2018/11/28(水) 19:19:17.85 ID:7b3VFrfP0
東京地裁民事第45部
損害賠償請求事件
11:10~ 東京地裁613号法廷で公開
・原告代理人は尊師でもKNDでもなく、パカビジと縁のなさそうなベテラン2名+イソ弁1名
・被告代理人は瀧口氏の単独受任らしい
・原告代理人弁護士、傍聴席で高橋嘉之公式ブログの写しを手に「これひでえよなあ」と一言
開廷前から湯気が立っている様子
(通常弁護士は当事者の怒りのクッション役だから法廷で怒りをあらわにしないし、
事件記録も傍聴席で扱わないのが原則)
・開廷。準備書面陳述と書証の確認
・被告は乙2号証(高橋嘉之公式ブログと思われる)の作成者が成りすましと主張する方針
原告代理人激怒「こっちは当人から一切の書類貰ってて筆跡まで特定できるんだよ」
裁判官「成りすましについて専門的なことはわからないんで、そこは適宜主張していただいて」
・乙1号証の作成年月日が証拠説明書と証拠の実物で食い違いがあった様子
原告代理人再び激怒「これ(乙1号証)さあ、SMDさんという方との裁判の書類の使い回しなんだよ」
裁判官「その裁判についても必要であれば主張していただいて」
・次回は弁論準備手続なので法廷オフはありませんとりとり
平成30年(ワ)第39502号
事件番号
|
東京地方裁判所平成30年(ワ)第39502号
|
事件名
|
損害賠償等請求事件
|
判決日
|
令和元年9月17日[40]
|
結果
|
請求棄却
|
裁判官
|
鈴木友一
|
収録DB等
|
|
備考
|
高橋嘉之が島田を訴えた裁判。判決文の中に高橋が自身のブログで島田の個人情報や島田を侮辱した記事を提出したと思しきものが記述されている(「判決文」(15/15))。
|
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
脚注
註釈
- ↑ 高橋嘉之の過去垢(quattroms06s[2])によく似た名称の「kuwatoroms06s」と名乗る者[3]が迷惑な客として晒され、その時現れ反論した者が高橋と似た論理展開を行った[4]という程度の疑惑である。
- ↑ ◇(株)インターコンシェルジュ◇スタッフからのブログ 株式会社インターコンシェルジュ 代表取締役CEOから皆様へ[8][9][10][11]
- ↑ ◇(株)インターコンシェルジュ◇スタッフからのブログ 株式会社インターコンシェルジュ 代表取締役CEOから皆様へ[12][13][14][15][16][17][18][19][20]
- ↑ 高橋嘉之とのレスバトルの末ちばけんまに高橋の興味を一時的に誘導させた[25][26]。
- ↑ 塗りつぶし部分上から「4」「2603」「13」「橋嘉之」「瀧口徹」「株式会社NTTドコモ」「上村哲史」「横山経通」
- ↑ 塗りつぶし部分上から「代表が大橋清貫三田国」「際学園長・新時代教育研究所に全面謝罪する事態になりましたが,」
- ↑ 塗りつぶし部分上から「第18部」「園部直子」
出典
関連項目