平成26年(ワ)第20848号
事件番号
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東京地方裁判所平成26年(ワ)第20848号
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事件名
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発信者情報開示請求事件
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判決日
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平成26年11月25日
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結果
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請求認容
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裁判官
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山原佳奈
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収録DB等
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LEX/DB25522911
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被告
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KDDI株式会社
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訴訟代理人弁護士
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渡部英人,春田大吾
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190 風吹けば名無し 2015/04/23(木) 00:42:32.25 ID:x0wnfMcz0
>>1までの経緯
高橋社長、ネットで煽られ発狂
↓
削除要請板に煽りに来る
↓
当時暇を持て余していた教徒がおちょくった結果さらに発狂
↓
教徒が面白半分で尊師を紹介したところ「依頼した」と言い出す
↓
その後Twitter恒心等で忘れ去られていたが今回本当に依頼していた事が判明
発信者情報開示請求事件
東京地方裁判所平成26年(ワ)第20848号
平成26年11月25日民事第43部判決
口頭弁論終結日 平成26年10月14日
判 決
原告 P1
同訴訟代理人弁護士 唐澤貴洋
被告 KDDI株式会社
同代表者代表取締役 P2
同訴訟代理人弁護士 渡部英人
同 春田大吾
主 文
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は,原告が,インターネット上のウェブサイトの電子掲示板に投稿された記事が原告の名誉を毀損することが明らかであるなどとして,上記投稿記事の経由プロバイダである被告に対し,
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,上記投稿記事の発信者情報(氏名又は名称,住所,電子メールアドレス)の開示を求めた事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠及び弁論の全趣旨により認めることができる事実)
(1)被告は,電機通信事業を営む株式会社であり,法4条1項の「特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」に該当する(争いなし)。
(2)インターネット上のウェブサイトの電子掲示板「ネット人権侵害者を徹底的に叩くコンシェルジュ」(以下「本件掲示板」という。)において,
平成○○年○月○○日別紙情報目録[1]記載の記事(以下「本件投稿記事1」という。)が,同月○○日別紙情報目録[2]記載の記事
(以下「本件投稿記事2」という。)が,同年○月○日別紙情報目録[3]記載の記事(以下「本件投稿記事3」といい,本件投稿記事1ないし3を「本件各投稿記事」という。)が投稿された(甲4)。
3)被告は、本件各投稿記事が投稿された際の経由プロバイダであり,契約者情報として,本件各投稿記事の投稿に使用されたIPアドレス使用者の氏名又は名称,住所,電子メールアドレスの情報を保有している(争いなし)。
(4)原告は,本件各投稿記事の発信者(以下「本件発信者」という。)に対し,後記の権利侵害を理由として,不法行為に基づく損害賠償請求等の準備をしている(弁論の全趣旨)。
3 主たる争点及びこれに対する当事者の主張
(1)権利侵害の有無
(原告の主張)
ア 本件投稿記事1について
本件投稿記事1には,原告が「BB Chat TVに齢40にして36と称してキモい出会い系書き込み連発」と記載されているところ,
「BB Chat TV」は女性と知り合うことができるウェブサイトであり,本件投稿記事1の上記記載は,一般の閲覧者に,既婚者である原告がいわゆる出会い系サイトを利用していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
イ 本件投稿記事2について
本件投稿記事2には,原告について,「詐欺・逃亡野郎P1にエヅ民,2ちゃんねる民が恫喝されています」,「P1の経歴上かかわった経営層・
部下・上司等が自分を棚に上げて誹謗中傷されています」などと記載されており,一般の閲覧者に,原告が他者に対して恫喝や誹謗中傷を行っている上,
犯罪行為に関与していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
ウ 本件投稿記事3について
本件投稿記事3には,「旧山一證券のP1関連部署の皆様 日立製作所のP1関連部署の皆様,
リソー教育のP1研修担当の皆様 P1により一方的な誹謗中傷が行われています。」などと記載されており,一般の閲覧者に,原告が他人を誹謗中傷し,
違法行為を行っていると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(被告の主張)
否認ないし争う。
ア 本件投稿記事1について
(ア)本件投稿記事1には,人物の経歴らしき内容が記載されているが,
これが原告の経歴であることを示す記載は一切ないから,本件投稿記事1を読んだ一般の閲覧者が,本件投稿記事1は原告のことを記載したものであると判断することはできない。
(イ)また,原告は,本件投稿記事1中の,原告が「BB Chat TV」を利用しているとの記載は,一般の閲覧者に,既婚者である原告がいわゆる出会い系サイトを利用していると理解される内容であり,原告の社会的評価を低下させるものである旨主張する。
しかしながら,「BB Chat TV」が具体的に何なのか不明であるし,本件投稿記事1には「BB Chat TV」に書き込みをしているといった程度の抽象的な記載がなされているにとどまり,何ら具体的な事実は記載されていない。これに加え,
インターネット上の掲示板における投稿は信用性が高いものとして評価されているわけではないことをも勘案すれば,
本件投稿記事1を読んだ一般の閲覧者が,原告が出会い系サイトを利用していると理解するとは考えられないから,同記事の内容は原告の社会的評価を低下させるものであるとはいえない。
イ 本件投稿記事2及び3について
本件投稿記事2及び3には,原告が誹謗中傷をしているといった程度の抽象的な記載がなされているにとどまり,
何ら具体的な事実が述べられていない。これに加え,インターネット上の掲示板における投稿は信用性が
高いものとして評価されているわけではないことを勘案すれば,本件投稿記事2及び3を読んだ一般の閲覧者が,原告が違法行為を行っていると理解するとは考えられないから,本件投稿記事2及び3の内容が原告の社会的評価を低下させるものであるとはいえない。
(2)違法性阻却事由の有無
(原告の主張)
本件各記事に記載された内容は真実ではない。また,上記記載は一個人の私生活に関する情報であり,公共の利害に関する事項とはいえない上,
根拠を明確に示すことなく原告を誹謗中傷しており,積極的な加害意思しかみて取ることができないから公益目的も認められない。
したがって,本件各投稿記事の投稿につき違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情は存在しない。
(被告の主張)
否認ないし争う。
原告が他者を誹謗中傷する投稿をしているとすれば,かかる事実は名誉毀損罪や信用毀損罪といった犯罪行為に該当する可能性があるから,
広く社会に知らしめて公衆の批判にさらす必要があると考えられる。
したがって,本件投稿記事2及び3は,公共の利害に関するものであり,その目的は公益を図るものに他ならないというべきである。
そして,本件投稿記事2及び3は,原告の言動に詳しい人物が投稿したものと思われるから,いずれも真実であるか,
仮に真実でなかったとしても真実であると信じるにつき相当の理由があったというべきである。したがって,本件投稿記事2及び3については違法性阻却事由が認められる。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(権利侵害の有無)について
(1)本件投稿記事1について
ア 本件投稿記事1には,「1988年4月 山一證券株式会社に就職」,「1998年3月 株式会社日立製作所に入社」,「2008年4月 株式会社CSKに新事業の立ち上げ役として部長職で入社」などの人物の経歴が記載されているところ,
本件掲示板には,「旧山一證券のP1関連部署の皆様」,「日立製作所のP1関連部署の皆様」,「CSK(SCSK)のP1の関連部署の皆様」などの記載のある本件投稿記事3が投稿されており,
本件投稿記事1と本件投稿記事3を併せ読めば,本件投稿記事1に記載された経歴が原告の経歴であることは明らかであるといえるから,一般の閲覧者は,本件投稿記事1が原告に関する記事であると特定できたと認めることができる。
イ 本件投稿記事1には,「19?年 小学校時代の同級生の妻と結婚」,「2006年11月 BB Chat TVに齢40にして36と称してキモい出会い系書き込み連発」と記載されているところ,上記記載中の
「BB Chat TV」は不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトであり(甲6),「BB Chat TV」が上記のようなサイトであることは本件投稿記事1中の「齢40にして36と称してキモい出会い系書き込み連発」
との記載からも理解することができるといえる。そして,本件投稿記事1は,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,既婚者である原告が,
不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトを利用しているとの事実を摘示していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(2)本件投稿記事2について
本件投稿記事2には,「>あらぬ情報を垂れ流したり,誹謗中傷の限りを尽くすものが大勢います。P1ですねわかりますwwwwwwwwwwwww」,
「その他P1の経歴上かかわった経営層・部下・上司等が自分を棚に上げて誹謗中傷されていますボスケテwwwwww」と記載されており,
一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,原告が真実でない情報を流したり,過去に関わりのあった者を誹謗中傷したりしているとの事実を摘示していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(3)本件投稿記事3について
本件投稿記事3には,「旧山一證券のP1関連部署の皆様 日立製作所のP1関連部署の皆様 リソー教育のP1研修担当の皆様 P1により一方的な誹謗中傷が行われています。」,
「CSK(SCSK)のP1関連部署の皆様 IIJのP1関連部署の皆様 今後P1により一方的な誹謗中傷が行われる可能性が高いです。お気を付けください。」と記載されており,
一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,原告が過去に関わりのあった者を一方的に誹謗中傷しており,今後も誹謗中傷を行う可能性が高いとの事実を摘示していると理解される内容であるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
2 争点(2)(違法性阻却事由の有無)について
(1)本件投稿記事1について
本件投稿記事1が摘示する,既婚者である原告が不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトを利用しているとの事実は,
原告の私生活上の行状に関する事実であって公共の利害に関する事実には当たらないし,本件掲示板に上記事実を記載することの目的が専ら公益を図ることにあったと認めることもできない。
したがって,本件投稿記事1の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
(2)本件投稿記事2について
本件投稿記事2が摘示する,原告が真実でない情報を流し,過去に関わりのあった者を誹謗中傷しているとの事実は,
私人である原告の私生活上の行状に関するものであって公共の利害に関する事実と認めることはできないし,本件投稿記事2において上記事実を摘示する根拠が何ら明らかにされていないこと,
同記事には原告を揶揄するような表現が用いられていることに照らすと,本件投稿記事2が公益を図る目的で投稿されたと認めることはできない。
したがって,本件投稿記事2の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
被告は,原告が他者を誹謗中傷する投稿をしているとすれば,かかる事実は名誉毀損罪や信用毀損罪といった犯罪行為に該当する可能性があるから,
本件投稿記事2は公共の利害に関するものであり,その目的は公益を図るものと認められる旨主張するが,摘示された事実が犯罪行為に該当する可能性があるというだけで,
当該事実が公共の利害に関するものであり,その事実の公表に公益目的があるということはできないから,被告の上記主張を採用することはできない。
(3)本件投稿記事3について
本件投稿記事3が摘示する,原告が過去に関わりのあった者を一方的に誹謗中傷しており,
今後も行う可能性が高いとの事実は,私人である原告の私生活上の行状に関するものであって公共の利害に関する事実と認めることはできないし,
本件投稿記事3には,上記事実を摘示する根拠が何ら明らかにされていないこと,本件発信者が,その公表に公益目的の認められない本件投稿記事1及び2の投稿から間もなく本件投稿記事2と同様の内容の本件投稿記事3を投稿していることに照らすと,
同記事が公益を図る目的で投稿されたと認めることはできない。したがって,本件投稿記事3の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
被告は,本件投稿記事3についても本件投稿記事2について主張するのと同様の理由により,公共の利害に関するものであり,その目的に公益を図るものと認められる旨主張するが,この主張が採用できないことは上記(2)で説示したとおりである。
3 結論
以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第43部
裁判官 山原佳奈
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平成26年(ワ)第20853号
平成26年(ワ)第20849号
平成27年(ワ)第4818号