iRONNA
iRONNA(いろんな)とは産経デジタルが運営するオピニオンサイトである。
概要
公式サイトによると「『iRONNA(いろんな)』(ironna.jp)は、オンライン、オフラインの世界に散らばるさまざまな意見、解説などをまとめ、ユーザーに寄稿や議論の場を提供する総合オピニオンサイト」であるとされている。
尊師の寄稿
2018年7月9日、唐澤貴洋が「リアル殺人を厭わない『ネット弁慶』に突然変異などいない」という記事を寄稿していることが判明した[1]。
また後の2018年10月25日に「『防弾サーバー』がある限り、海賊版サイトへの法的追及は難しい」[2]、2019年2月12日に「『Twitterで炎上させようぜ』この手の私的制裁を止める方法はある」[3]を寄稿していることも教徒により発見された。
iRONNAにおける尊師のプロフィール
iRONNAでは記事の執筆者のプロフィールページが設けられており尊師のプロフィールもこちらから確認する事ができる。
以下は、2019年2月12日現在のプロフィール。
『弁護士』 唐澤貴洋 弁護士。早稲田大法科大学院修了。インターネット上の法律問題(名誉毀損・誹謗中傷への法的対応(投稿記事削除、投稿者の特定)など)を専門的に取り扱う。平成27年、法律事務所クロス(現法律事務所Steadiness)を設立。近著に『炎上弁護士』(日本実業出版社)。事件
ネット社会
インターネット
リアル殺人を厭わない「ネット弁慶」に突然変異などいない
記事
唐澤貴洋(弁護士) 6月24日、福岡市でインターネットセキュリティー会社社員の岡本顕一郎さんが、42歳の無職の男によって刺殺される痛ましい事件が起きた。岡本さんは「Hagex」(ハゲックス)のハンドルネームで、「Hagex-day.info」というブログを、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「はてなブックマーク」で開設していた。報道によると、容疑者の男はインターネット上で荒らし行為をしていた「低能先生」と呼ばれる人物だという。 「おいネット弁慶卒業してきたぞ」 「これが、どれだけ叩かれてもネットリンチをやめることがなく、俺と議論しておのれらの正当性を示すこともなく(まあネットリンチの正当化なんて無理だけどな)俺を『低能先生です』の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ」 「ただほぼ引きこもりの42歳」 「これから近所の交番に自首して俺自身の責任をとってくるわ」 はてなブックマークの匿名ブログ「匿名ダイアリー」には、低能先生と呼ばれる男の犯行声明とみられる上記のような文章が投稿されていた。この男は「動機」について、「通報&封殺」されたことにあると記していたのである。 「低能先生という荒しがいる。はてなブックマークに出現し、IDコール利用して複数のユーザーに対して誹謗中傷を繰り返している」 「低能先生からコールが来る度に、私ははてなに通報を行っている。当初は『私も含めて、他のユーザーに罵詈雑言を行っている人間です』と丁寧に理由を書いていた。が、最近では『低能先生です』と一言だけ書いて送っていた。その後低能アカウントは凍結される」(岡本さんのブログより) 岡本さんは生前、低能先生による中傷行為を運営側に報告していることをブログで書いていた。つまり、低能先生と呼ばれる男は、はてなブックマークで荒らし行為をしていたことについて、通報されてアカウントを凍結されたことを逆恨みして犯行に及んだと理解できる。 この事件について、インターネット上での争いが現実社会での殺人事件にまで発展してしまった点で、驚きをもって世間では受け取られている。果たして、これは特異な事件といえるのだろうか。 私は弁護士として、ネット上の法的問題をよく取り扱っている。私自身、インターネット上のある誹謗(ひぼう)中傷事件の弁護をきっかけに、ネット上での誹謗中傷に始まり、殺害予告や爆破予告をされた経験がある。 果ては、親族の墓にペンキをまかれる、事務所周辺にビラをまかれる、カッターナイフを送られるなど、現実でも無数の嫌がらせを受けた。 唐澤貴洋弁護士になりすましたツイッターの投稿。現在は閲覧できなくなっている(ツイッターより) 現実社会での嫌がらせをしてきた犯人のうち、何人かについては刑事処分が下され、その人物像を私も知ることとなった。そこで見たのは、ネットにしか居場所がない人物の悲しみであった。 私の身に起きた事件の犯人たちは、現実社会では無職だったり、学生であっても通学できていなかったりしていた。そうした他者から肯定的な評価を得る機会が少ない者が、インターネットで居場所を見つけていたのである。 そういった者が、ネットでの反応が見たいがために、インターネットや、その延長線上の現実社会で、ネタを作ろうとして異常行動を起こした。ネタとなった行動をした者は、ネット上で無責任な称賛を受け、その賛辞をもって自分の存在を確認していたのである。 彼らはネット上の無秩序の感覚に慣れ親しんでいるためか、ネタを作るためであれば、現実社会で違法と評価されることもいとわない。器物損壊、建造物侵入、窃盗、脅迫、恐喝、業務妨害…。実際、私が受けた行為はれっきとした犯罪だった。 こうした犯罪が刑事事件として立件され、容疑者が逮捕されると、必然的に報道される場合がある。事件報道によって、ネット上に氏名が掲載されることになれば、事件報道は記事として拡散する力が強いために、半永久的に記事が残ることになる。 現実社会で生きている人間からすれば、実社会で何ら関係ない第三者に嫌がらせをして、その行為を犯罪行為として罰せられるリスクを引き受けるということ自体、よく理解できないだろう。 しかし、ネットでのコミュニケーションを通してでしか自己の存在確認ができない孤独な者にとって、ネットでの反応は欠かすことのできないレゾンデートル(存在意義)となっている。 今回刺殺事件を起こした犯人の怒りの根拠は、はてなブックマークで「通報&封殺」されたことだ。この怒りは、たかだかネットで、特に、一部のブログサービスで発言できなくなっただけだと考えるのであれば、理解などできないだろう。 2018年6月、福岡市内の松本英光容疑者の自宅アパート インターネット上で居場所として見つけた空間で、アカウントがなくなり、発言もできなくなるということは、引きこもりで現実社会との関係が薄い犯人にとって、自分の存在理由にかかわる重大な事態と映ったのではないか。自らの犯行声明をネット上に投稿した行動からは、結局、自分の行為を伝えて評価を受ける場所がインターネットしかなかったからに他ならない。 インターネットでの存在確保のために、現実社会で異常な行動に出てしまうという理路は、ネット空間での自己認識こそがリアルとなっている者の存在を知らなければ理解できない。自らに起こったことからも考えれば、このような孤独な環境にいる者は少なからずいるのではないかと、私は考えている。 今回の事件は決して何か突然変異で起こっているわけではない。私は、インターネットが出現して人間社会に欠かすことができない存在として扱われるようになったことから、起こるべくして起こった事件であると考えている。
教徒からの評価
この節の加筆が望まれています。 |
「防弾サーバー」がある限り、海賊版サイトへの法的追及は難しい
記事
唐澤貴洋(弁護士) 10月15日、内閣府の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の第9回会合が開催された。 だが、ブロッキング賛成派と反対派の意見が平行線をたどり、両論併記の中間とりまとめすらできなかっただけでなく、次回開催予定が決まっていないなど、法制化の先行きについて見通しが立たない状態になっている。本稿では、ブロッキングの法制化の行方について私見を述べさせていただく。 そもそも、なぜブロッキングが必要とされるのか。これは、権利侵害サイト「漫画村」「Anitube」「MioMio」における著作権侵害について、現在取り得る手段では有効に対応できないからだ。 その際、インターネットサービスプロバイダ(ISP)がブロッキングを行うことにより、一般利用者の「通信の秘密」を侵害する危険性は存在するが、緊急避難(刑法第37条)という観点から、ブロッキングが通信事業者による電気通信事業法違反にならないとされている。 そこで緊急避難の要件を検討すると、権利侵害サイトが著作権侵害をしていることについては、疑いはなく、誰でもアクセスし得る状態においては、「現在」の危難は存在している。そして、他に取り得るべき侵害性の少ない手段があるかどうかが検討される。 ※写真はイメージ(ゲッティ・イメージズ) この点については最近、権利侵害サイトが利用していたコンテンツ配信ネットワーク(CDN)である「クラウドフレア」について法的手段を取れることから、ブロッキングに正当性がないとされている。 これは、①クラウドフレアに対する米国における裁判手続きの利用により、漫画村についての利用契約者情報の開示に成功したこと、②クラウドフレアに対して、データを所蔵しているサーバー管理会社の情報開示及び同社に残る権利侵害記事のキャッシュデータの削除請求を命ずる仮処分決定が出たこと、を理由としている。これらの法的対応については、敬意を表したい。しかし、以下のような問題がいまだ残っている。 ①については、米国の裁判手続きにはそれなりの費用がかかる。この費用を被害者に負担させること、そして他国の司法制度の利用まで求めることを含めているのか、議論されなくてはならない。 それに、漫画村の利用者契約者情報として開示された住所は、部屋番号まで記載されていなかったとされている。これが意味するのは、クラウドフレアに記載する利用契約者情報として正確な居住地を記載しなくても有料サービスの利用契約ができるということであり、このような認識はすでにクラウドフレアを、悪意をもって利用する者にとって共有されていると考えるべきであろう。 クラウドフレアについては無料サービスもあり、無料サービス利用においては、詳細な情報を要求されない。そして、CDNは米国を会社所在地としない会社も存在しており、クラウドフレアが必ずしもCDNの全てではない。 一方②は、私の権利侵害を行うサイトについて、私自身がクラウドフレアに対して問い合わせを行い、ポルトガルや米国のサーバー管理会社を特定したことがあるが、サーバー管理会社によっては、削除請求を行っても全く対応されないことがあった。 クラウドフレアがキャッシュデータを仮に削除したとしても、元のサーバー管理会社が「防弾サーバー」と呼ばれるサーバーを利用していれば、インターネット上には記事が公開されたままになる。「防弾サーバー」はデータの削除請求に一切応じないサーバーを指す。権利を侵害するサイトは、クラウドフレアが利用できなくなっても、結局防弾サーバーを利用するか、他のCDNを利用することで、法的追及を受けにくくすることが可能である。 このように、私の経験や、現在置かれているインターネット環境から言えば、必ずしもクラウドフレアに対して法的手段を取ったことをもって、ブロッキングの法制化の必要がなくなったとか、緊急避難の要件を満たさなくなったというのは疑問である。 ※画像はイメージ(ゲッティ・イメージズ) 最後に、価値の大きい法益のために価値が小さい法益を害してもよいとする「法益権衡」の観点から述べたい。著作権は財産権であり、被害回復の可能性がある著作物が一度インターネット上で流通されてしまうことについて、被害回復が不可能となる児童の権利などと同様にできないとの見解がある(安心ネットづくり促進協議会 児童ポルノ対策作業部会「法的問題検討サブワーキング報告書」)。だから、すでにブロッキングされている児童ポルノと著作権侵害を同列にすることはできないとの主張がなされている。 しかし、被害回復の可能性があるというが、インターネット上で一度著作権侵害がなされれば、著作物の複製・拡散は容易にできる。そして、財産的損害について被害回復が可能であるという議論も、権利侵害サイトにおいて権利侵害を受けた全著作権者の全損害が回復可能であるとするのは現実味がないと言わざるを得ない。加害者に資力があるかどうかや、強制執行できる財産が日本にあるかなども見据えた議論をすべきである。 以上のように、ブロッキングの手段としての必要性については否定できないところがあり、いまだ議論の必要があるように思われる。今後も継続的に健全な議論が行われ、権利侵害が一刻も早くなくなることを期待するばかりである。
教徒からの評価
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「Twitterで炎上させようぜ」この手の私的制裁を止める方法はある
記事
唐澤貴洋(弁護士) 東京都立町田総合高校の「教師暴行動画」がツイッターに投稿されたことに端を発して、インターネット上の「私的制裁」にまで発展し、問題となっている。本稿では、今回の炎上や私的制裁の是非について見解を述べたい。 炎上の経緯を簡単に説明すると、同高の教師が廊下で男子生徒の顔を一発殴り、倒れ込んだところを引きずる様子を撮影した動画がツイッターに掲載され、テレビでも取り上げられて大きな反響が集まった。その後、「Twitterで炎上させようぜ」という声の入った同様の長い動画が改めて拡散されたことから、撮影者や暴行を受けた生徒が全て仕組んだことであるかのような言説が流布し、大炎上した。 その間、暴行を受けた生徒や撮影者の名前、住所、電話番号だけでなく、家族の名前や勤務先と見られる情報が流出。写真投稿サイトのアカウントを特定されたことで、未成年である生徒の顔写真も拡散してしまった。さらには、関係生徒に対して「犯罪者」といった誹謗(ひぼう)中傷だけでなく、「退学させよう」「どう落とし前をつけるのか」「家族の勤務先に電話をしよう」などと私的制裁の「呼びかけ」まで連日ネット上で行われた。 また、炎上が発生する過程では、まとめサイトにこの話題に関するスレッドが「乱立」した。まとめサイトでは、ユーザーが大手アドネットワークによるアフィリエイト(成果報酬型広告)を利用した収益を目指し、国内の大手ホスティング(レンタルサーバー)サービスを利用し運営されている。こうして、現在も続く炎上現象により、誹謗中傷及びプライバシー侵害の権利侵害が繰り返されたのである。 まず、動画が掲載された経緯について、事実を確認した人はいるのか。実際に学校関係者に取材し、取材内容を精査した上でネット上に記事投稿した人がどれだけいるのか。 上述の通り、暴行問題に対して、世間では「教師を炎上させようと、生徒側が全て仕組んだこと」という言説が、あたかも事実であるかのように受け取られている。炎上の原動力も、倫理感から来る反発やある種の正義感に基づいている。しかし、問われなければいけないのは、記事を投稿する側が動機とするものが果たして本当に真実なのかどうかであろう。 ※写真はイメージです(ゲッティ・イメージズ) 何よりも、生徒らの個人情報を流布すること自体、プライバシー侵害に当たり、法的責任を問われる行為である。生徒の顔写真を投稿する行為は、肖像権の侵害に当たる可能性がある。 もちろん、生徒の家族の勤務先など個人情報の投稿もプライバシー侵害にあたる。さらに、私的制裁としてネットユーザーが行う勤務先へのいたずら電話行為は、威力業務妨害罪の成立の可能性がある。このように、炎上という現象の中では、違法行為が憂いなく行われているのである。 炎上に加わっている側には、ある種の正義感に基づき、過激な行為に走ることに高揚感を覚えている側面はないか。しかし過激がゆえに、違法行為として法的責任を問われる可能性がある。違法行為が憂いなく高揚感をもって行われていることに、私は危機感を覚えずにはいられない。
確かに、今回の事象に何らかの意見を持つことは自由である。だが、その意見の表明方法が、いつの間にか違法行為にまで踏み込んでいるとしたらどうだろうか。しかも、そのことが後々違法と問擬(もんぎ)される事態になったとしたら、それは投稿する側も本来望んでいないであろう。 やはり、自らが今一度、炎上に関わることの意味や影響を冷静に捉え直す必要があるように思う。事実、私が過去に会った加害者は炎上に加担したことを後悔していた。 炎上の過程の中では、当事者のみならず、その家族や関係者に対してまで権利侵害が行われる。その家族や関係者は、本来何ら関係がない。しかし、家族や関係者に関して調べ上げられ、関連するさまざまな情報が投稿されている現状を考えると、「一族郎党にも累が及ぶ」中世的な発想の持ち主か、とさえ思う。 日本の法制度において、家族や関係者であることのみを理由として法的責任を問う法律は存在しない。法律で問われるのは、行為者に対する「個人責任」が原則である。監督責任を果たしていない場合や選挙犯罪における連座制など、行為者ではない者も法的責任が問われる場合もあるが、あくまで例外的だ。 そもそも、今回の事象では、生徒らに対して民事上でも刑事上でも法的責任が問われているわけではない。であれば、「家族や関係者にも責任がある」といった言説は、あくまで心情面から発生する責任論でしかなく、家族や関係者に対する権利侵害を正当化するものではないのである。 今回の炎上では、コンプライアンス(法令順守)に基づく経営が求められるはずの会員制交流サイト(SNS)やホスティングサービス、アドネットワークといった大手企業のサービスが利用され、生徒や関係者の権利侵害情報が流通している。権利侵害情報を投稿する人間が、最も悪質であることは言うまでもない。だからといって、さらにここで問われなければいかないのは、大手IT企業のサービスを利用して権利が侵害され続けている事実だ。 今回の事件がネット上で炎上しているという事実を、ネットに毎日触れる者であれば知らない者はいない。むしろ、IT企業であるがゆえに、内部でこの問題について知っている者も当然いることであろう。現在進行形で権利侵害情報が流通していることを認識しているのであれば、各企業は広告停止や送信防止といった対応を、法的な検討に基づき行うべきではないか。 ※写真はイメージです(ゲッティ・イメージズ) だいたい広告主にしても、権利侵害情報に対して広告費用を支払いたい企業などいないであろう。インターネット広告費が1兆円を超え、多くの企業がインターネット広告費を支出している中、企業の側にもネット広告の出稿先に対する厳格なチェックが求められている。 過去には、ユーチューブ上で人種差別動画が投稿され、その動画で大手企業の広告が表示されている実態を英タイムズ紙が報じたことから、一部企業がユーチューブからの広告を引き上げたことがあった。日本では、まだ、この問題についてきちんと論じられていないところがある。今後企業におけるコンプライアンスの内容として、適正な広告出稿先かどうか精査することが求められていくと、私は考えている。
教徒からの評価
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