「唐澤貴洋Wiki:チラシの裏/プロバイダ責任制限法改正案」の版間の差分
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→【問題点1】不法行為の成立について
>長谷川良平 |
>長谷川良平 |
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このように、感情的かつ非論理的で場当たり的な主張を行う尊師とは冷静な法的議論が行えるわけもなく、尊師とネットの法規制を議論する法曹関係者の存在は、今のところ確認することができない。 | このように、感情的かつ非論理的で場当たり的な主張を行う尊師とは冷静な法的議論が行えるわけもなく、尊師とネットの法規制を議論する法曹関係者の存在は、今のところ確認することができない。 | ||
== | == 【問題点2】不法行為認定の難しさ == | ||
問題点1では、サービス事業者から任意開示を引き出すことで効率よく誹謗中傷に対応した事例を紹介した。 | |||
では、サービス事業者や第三者機関が明らかな誹謗中傷に対してより積極的な任意開示を行えば誹謗中傷は抑制されるのではないか、という考え方ができる。 | |||
しかし、この「明らかな誹謗中傷」の線引きが非常に難しい(故に事例ごとに裁判所の判断を要する)、というのが実情である。 | |||
明らかな誹謗中傷と思われるものに対して、不法行為が成立しなかった事例として、唐澤貴洋の担当した[[川上量生]]vs{{wpl|山本一郎 (実業家)|山本一郎}}の裁判(平成30年(ワ)第38265号)がある。 | |||
山本の書き込みのうち、尊師が不法行為を指摘したのは以下の3件である。(太字強調は引用者による) | 山本の書き込みのうち、尊師が不法行為を指摘したのは以下の3件である。(太字強調は引用者による) | ||
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3 '''貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ''' | 3 '''貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ''' | ||
これらの山本一郎の書き込みを見ると'''「狂ってる」「馬鹿」'''に加えて、'''「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」''' | これらの山本一郎の書き込みを見ると'''「狂ってる」「馬鹿」'''に加えて、'''「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」'''という殺意の表明とも取れる文言があり、非常に強い中傷、脅迫であるように思われる。しかし、'''東京地裁は下記の理由で、尊師の主張を全て却下した'''。<br>(以下は判決の要点を要約したものである。判決文全文は山本一郎のブログ<ref>{{archive|https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13248908.html|http://archive.vn/EDPXG|やまもといちろうブログ 川上量生さん、盛大に批評されてムカついても裁判起こしても1円の名誉毀損も勝ち取れず}}</ref>を参照されたい) | ||
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''' | こうして'''上記すべての文言は誹謗中傷には当たらない'''という判断が下ることとなった。 | ||
このように、誹謗中傷による不法行為の判断は、文脈、両者の関係などの様々な要素が考慮されるため、パッと見て「死ね」と書いてあれば違法、というような簡単なものではないのである。 | |||
この判決において、'''「社会通念上許される限度を超える」「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評のしての域を逸脱したもの」'''という点は名誉毀損裁判における不法行為の重要な判断ポイントである。 | この判決において、'''「社会通念上許される限度を超える」「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評のしての域を逸脱したもの」'''という点は名誉毀損裁判における不法行為の重要な判断ポイントである。 | ||
名誉毀損とは異なり、「殺す」「爆破する」などのわかりやすい犯罪予告は脅迫や威力業務妨害に該当するので、刑事事件として処理しやすい。しかし、単純に神聖六文字を書き込めば脅迫になりうるが、例えば「「[[唐澤貴洋殺す]]」とネット上で大量に書き込まれているかわいそうな弁護士がいる」といった表現であれば、文脈にもよるが同じ神聖六文字でも違法性が阻却され、名誉毀損や脅迫にはならない可能性が高い。また、「殺す」と類似した内容で、書き込まれた対象者に精神的苦痛を与えかねない'''「死んでくれ」については脅迫に該当しないとされるため、警察も全く動かないという'''<ref>{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_11458/|https://archive.vn/w60fA|ネットの中傷地獄で自殺未遂、そして出家…元女性アナ、執念で加害者を特定 「被害者の駆け込み寺つくりたい」弁護士ドットコムニュース、2020年7月11日}} | 名誉毀損とは異なり、「殺す」「爆破する」などのわかりやすい犯罪予告は脅迫や威力業務妨害に該当するので、刑事事件として処理しやすい。しかし、単純に神聖六文字を書き込めば脅迫になりうるが、例えば「「[[唐澤貴洋殺す]]」とネット上で大量に書き込まれているかわいそうな弁護士がいる」といった表現であれば、文脈にもよるが同じ神聖六文字でも違法性が阻却され、名誉毀損や脅迫にはならない可能性が高い。また、「殺す」と類似した内容で、書き込まれた対象者に精神的苦痛を与えかねない'''「死んでくれ」については脅迫に該当しないとされるため、警察も全く動かないという'''<ref>{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_11458/|https://archive.vn/w60fA|ネットの中傷地獄で自殺未遂、そして出家…元女性アナ、執念で加害者を特定 「被害者の駆け込み寺つくりたい」弁護士ドットコムニュース、2020年7月11日}} | ||
</ref>。 | </ref>。 | ||
== 【問題点3】プロバイダ責任改正法のスラップ訴訟への悪用の危険性 == | == 【問題点3】プロバイダ責任改正法のスラップ訴訟への悪用の危険性 == |