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「唐澤貴洋Wiki:チラシの裏/プロバイダ責任制限法改正案」の版間の差分

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>長谷川良平
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このように、感情的かつ非論理的で場当たり的な主張を行う尊師とは冷静な法的議論が行えるわけもなく、尊師とネットの法規制を議論する法曹関係者の存在は、今のところ確認することができない。
このように、感情的かつ非論理的で場当たり的な主張を行う尊師とは冷静な法的議論が行えるわけもなく、尊師とネットの法規制を議論する法曹関係者の存在は、今のところ確認することができない。


== 【問題点1】不法行為の成立について ==
== 【問題点2】不法行為認定の難しさ ==
尊師は弁護士ドットコムニュースにおいて'''「ネット上の名誉毀損行為、執拗な侮辱行為について、傷害罪と同程度の罰則にすることを提案します。」'''と主張している。
問題点1では、サービス事業者から任意開示を引き出すことで効率よく誹謗中傷に対応した事例を紹介した。


現行の刑法204条で定められている傷害罪の法定刑は'''15年以下の懲役または50万円以下の罰金'''である。一方、刑法230条で定められている名誉毀損の法定刑は'''3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金'''である。
では、サービス事業者や第三者機関が明らかな誹謗中傷に対してより積極的な任意開示を行えば誹謗中傷は抑制されるのではないか、という考え方ができる。


よって、尊師の主張を言い換えると'''「刑法を改正して名誉毀損罪の法定刑の上限を懲役15年まで引き上げろ」'''ということになる。
しかし、この「明らかな誹謗中傷」の線引きが非常に難しい(故に事例ごとに裁判所の判断を要する)、というのが実情である。


しかし、インターネット上の書き込みによって裁判所が発信者情報の開示を認めるのは刑事・民事を問わず、{{wpl|不法行為}}が成立している、もしくは成立している蓋然性が高い場合に限られるのである。(プロバイダ側のIP自主開示については問題点2~3を参照)
明らかな誹謗中傷と思われるものに対して、不法行為が成立しなかった事例として、唐澤貴洋の担当した[[川上量生]]vs{{wpl|山本一郎 (実業家)|山本一郎}}の裁判(平成30年(ワ)第38265号)がある。
 
尊師はなぜか刑法改正による名誉毀損の重罰化のみに固執しているが、名誉毀損以外にも侮辱、脅迫、威力業務妨害、著作権侵害などの様々な不法行為が存在する。また、不法行為は刑事だけでなく民事でも同様に成立する。
 
仮に、尊師が主張するように特定の不法行為における刑事罰の上限を引き上げたところで、該当の事件を起訴するかどうかは検察の判断に委ねられるし<ref>不思議なことに、尊師はこの点を完全に無視している。</ref>、裁判所が認定する不法行為の程度により量刑は変動する<ref>これまで判明している限りでは、尊師は刑事裁判の実務経験が全くない。そのため、不法行為の認定や量刑の相場に関する状況などの実際の刑事裁判が抱える難しい課題を考慮せずに、名誉毀損の法定刑引き上げばかりを声高に主張しているのではないかと推測される。</ref>。すなわち、尊師が主張するような「名誉毀損の法定刑上限引き上げ」は「名誉毀損の重罰化」と同義ではないので、ネット上の誹謗中傷行為のブレーキになる可能性は低い。
 
不法行為の成立要件は、民事事件でも基本的に刑事事件と概ね同一である。[[川上量生]]{{wpl|山本一郎 (実業家)|山本一郎}}を相手取って起こした民事裁判(平成30年(ワ)第38265号)では、尊師が川上の代理人を務めており、法廷において名誉毀損や侮辱を主張したが、東京地裁は2020年3月、原告(川上)全面敗訴の判決を言い渡した。この裁判は名誉毀損ならびに侮辱の不法行為成立における尊師の法的知見の乏しさが露呈しており、本項における教材としてきわめて有用なので、該当の判決内容を引用する。


山本の書き込みのうち、尊師が不法行為を指摘したのは以下の3件である。(太字強調は引用者による)
山本の書き込みのうち、尊師が不法行為を指摘したのは以下の3件である。(太字強調は引用者による)
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  3 '''貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ'''
  3 '''貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ'''


これらの山本一郎の書き込みを見ると'''「狂ってる」「馬鹿」'''に加えて、'''「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」'''という、一見すると[[神聖六文字]]にも似た内容の文章があるため、外形的には不法行為が成立するように見える。しかし、'''東京地裁は下記の理由で、尊師の主張を全て却下した'''。(以下は判決の要点を要約したものである。判決文全文は山本一郎のブログ<ref>{{archive|https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13248908.html|http://archive.vn/EDPXG|やまもといちろうブログ 川上量生さん、盛大に批評されてムカついても裁判起こしても1円の名誉毀損も勝ち取れず}}</ref>を参照されたい)
これらの山本一郎の書き込みを見ると'''「狂ってる」「馬鹿」'''に加えて、'''「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」'''という殺意の表明とも取れる文言があり、非常に強い中傷、脅迫であるように思われる。しかし、'''東京地裁は下記の理由で、尊師の主張を全て却下した'''。<br>(以下は判決の要点を要約したものである。判決文全文は山本一郎のブログ<ref>{{archive|https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13248908.html|http://archive.vn/EDPXG|やまもといちろうブログ 川上量生さん、盛大に批評されてムカついても裁判起こしても1円の名誉毀損も勝ち取れず}}</ref>を参照されたい)


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'''尊師の渾身の主張は、東京地裁によって法的観点からあっさりと全否定されるに至ったのである'''
こうして'''上記すべての文言は誹謗中傷には当たらない'''という判断が下ることとなった。
 
このように、誹謗中傷による不法行為の判断は、文脈、両者の関係などの様々な要素が考慮されるため、パッと見て「死ね」と書いてあれば違法、というような簡単なものではないのである。


この判決において、'''「社会通念上許される限度を超える」「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評のしての域を逸脱したもの」'''という点は名誉毀損裁判における不法行為の重要な判断ポイントである。
この判決において、'''「社会通念上許される限度を超える」「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評のしての域を逸脱したもの」'''という点は名誉毀損裁判における不法行為の重要な判断ポイントである。
このように、名誉毀損については不法行為の認定がきわめて難しい。よって、尊師が主張するように、仮に刑法を改正して名誉毀損などの罪を重罰化したところで、'''不法行為が成り立たない場合は発信者情報の開示自体が認められないのである'''。


名誉毀損とは異なり、「殺す」「爆破する」などのわかりやすい犯罪予告は脅迫や威力業務妨害に該当するので、刑事事件として処理しやすい。しかし、単純に神聖六文字を書き込めば脅迫になりうるが、例えば「「[[唐澤貴洋殺す]]」とネット上で大量に書き込まれているかわいそうな弁護士がいる」といった表現であれば、文脈にもよるが同じ神聖六文字でも違法性が阻却され、名誉毀損や脅迫にはならない可能性が高い。また、「殺す」と類似した内容で、書き込まれた対象者に精神的苦痛を与えかねない'''「死んでくれ」については脅迫に該当しないとされるため、警察も全く動かないという'''<ref>{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_11458/|https://archive.vn/w60fA|ネットの中傷地獄で自殺未遂、そして出家…元女性アナ、執念で加害者を特定 「被害者の駆け込み寺つくりたい」弁護士ドットコムニュース、2020年7月11日}}
名誉毀損とは異なり、「殺す」「爆破する」などのわかりやすい犯罪予告は脅迫や威力業務妨害に該当するので、刑事事件として処理しやすい。しかし、単純に神聖六文字を書き込めば脅迫になりうるが、例えば「「[[唐澤貴洋殺す]]」とネット上で大量に書き込まれているかわいそうな弁護士がいる」といった表現であれば、文脈にもよるが同じ神聖六文字でも違法性が阻却され、名誉毀損や脅迫にはならない可能性が高い。また、「殺す」と類似した内容で、書き込まれた対象者に精神的苦痛を与えかねない'''「死んでくれ」については脅迫に該当しないとされるため、警察も全く動かないという'''<ref>{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_11458/|https://archive.vn/w60fA|ネットの中傷地獄で自殺未遂、そして出家…元女性アナ、執念で加害者を特定 「被害者の駆け込み寺つくりたい」弁護士ドットコムニュース、2020年7月11日}}
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== 【問題点3】プロバイダ責任改正法のスラップ訴訟への悪用の危険性 ==
== 【問題点3】プロバイダ責任改正法のスラップ訴訟への悪用の危険性 ==
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