恒心文庫:包茎手術
本文
八雲参画以来大した実績をあげておらず、テクニックもないため存在感の薄い田村祥一は悩んでいた。自分よりも後に参画した弁護士は既に確固たる地位を築き上げているというのに、自分はただ八雲に所属しているだけの存在であった。
鬼畜な菊地、チンポケースの笠置、宮廷画家の小林、彼等は皆持ち前の処世術と特技で山岡所長のケツマンコを握っているというのに、自分はいつも後回しにされてしまっていた。自分はフェアネス時代から医療に強い弁護士として仕事に励み、山岡所長からも自分の医療に関する知識を買われて参画したというのに現時点で特に大きな活躍はしていないのである。
そんな中、7月19日、八雲にひとつ事件が起こる。
鬼畜が突如手錠をかけられた冴えない男を事務所を連れてきたのである。星野悠樹という自分から見たら後輩の弁護士にあたる人が八雲に参画すると言うのである。無論自分も人のことを言える立場ではないのだが、遂に一世一代のアピールチャンスがやって来たことが再度自分の人生を大きく変えることとなった。
星野の包茎を手術して欲しいと山岡所長から仰せがあったのである。
自分は医療に強い弁護士として参画したのだが、今まで日の目を見ることはなかった。しかし、今日、星野の包茎手術を成功させたら自分の評価が大きく変わると信じていた。
山岡所長から信頼されていること、それが知れただけでも自分にとっては非常に嬉しかった。後は手術を成功させるだけだ。
本気で手術に取り組むために、自分も全裸になって全裸の星野に立ち向かう。包茎の中でも真性包茎という、一番手術が難しい部類の包茎であった。亀頭直下埋没Vカット法という、包皮と亀頭との癒着を剥がし、余剰の包皮を切断、最後に包皮と亀頭を精密縫合するまでが一連の流れである。
しかし、包茎手術は始めてなのでユーチューブを見ながら見よう見まねで手術を行う他なかった。しかも麻酔は優先して病院に回ってしまう昨今の事情もあり、麻酔無しで手術しなければならなかった。当然のことながら、申し訳程度の粘液・精液を麻酔代わりにしているわけだから、星野には激痛が襲いかかっている。見よう見まねでカテーテルを穴に差して痛みを中和させようとするも、かえって悪化しているようにしか思えない。
泣き叫ぶ星野が五月蠅くて業務(意味深)集中できないから何とかしろと鬼畜からは叱責を受けてしまう。このままでは自分は星野を痛めつけているだけで手術は一向に成功しないと思い、自分は山岡所長に相談する。
すると山岡所長は皆で協力して手術すべきと言い、他の11人も手術に手伝ってくれることとなった。加えて、もう一つこんなアドバイスもあった。
「ここで鍛えられたカテーテルを使いなさい」
自分は何の為に八雲に来ていたのか。自分にはテクニックがないと思い込んでいたのだが、4ヶ月の努力の結晶を今ここで発揮するときではないのか。
11人の協力のもと、鍛え上げてきたテクニックで着々と手術を自分を先頭に進めていく。いつしか星野も痛がらなくなっていた。
手術は朝方までかかったが、無事に成功した。星野は自分のおかげで一皮剥けたのだ。
始めて八雲に加入しているという実感が湧いた瞬間だ。
「ようこそ八雲法律事務所へ。ようこそ13人体制へ。」
これからも八雲でテクニックを磨く日々が続く。素晴らしい一日の始まり。
床中に散らばったミルクをコーヒーにこっそり入れて今日も業務に取りりかかる。
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
この作品について
マヨケーで星野悠樹弁護士の八雲法律事務所参画が判明[1]したその日のうちに書かれた作品である。
リンク・脚注
- 初出 - デリュケー 初心者投稿スレッド☆1>>857(魚拓)
- 星野悠樹
- 恒心文庫:星野が欲しいの❤️ - 同じ出来事が星野悠樹視点で書かれている
- 恒心文庫:入れ墨
- 恒心文庫:無能犯
- ↑ 【山岡裕明】八雲・ニューポート法律事務所事実追及スレ【山本祥平】>>890(魚拓) - マヨケー