恒心文庫:ミルキーウェイ
本文
汗で背中が透けたシャツを掴みパタパタと空気を取り込む。
夕刻の商店街を唐澤洋は仕事帰り歩いていた。
ガラガラとシャッターの音が右から左から聞こえる。
丁字路のとこに差し掛かり、正面の駄菓子屋に目がとまる。
よく唐澤貴洋が来る店だ。
入口の脇に短冊が吊るされた笹が置いてある。
そうか、今日は七夕か。
洋は息子の短冊がないかふと気になり、笹に近づき目を動かす。
色鮮やかな短冊の中に浮いた茶色の短冊に意識が全て持っていかれる。
まさかと思いながら手を伸ばし引き寄せて見つめる。
紙にはデカデカと書いてあった。
唐澤貴洋
一面使って名前を書くとは、なんと堂々とした子供だろう。
日頃から小さい人間になるなと言っている賜物だ。
紙を裏返す。今度は面食らってしまった。
当職にを彼女をくれ。
言いたいことはわかるが深刻な国語の成績がそこに表れていることが悲しかった。
しかし唐澤貴洋ももうそんな年頃か。
まあ、薄々と感づいていた。
家の中に唐澤貴洋の部屋から漂う栗の匂いが常に立ち込めていたから。
何とかしなければいけないな。
その夜、織姫に彦星、いや唐澤貴洋は出会う。
唐澤貴洋の寝室。
むさ苦しい思春期の猛々しい分泌物が唐澤貴洋から放っせられているのが分かる。
洋は息子の部屋に忍び込んでいた。
身を真っ赤なキャミソールとTバックに包んで、そう織姫と呼ぶにふさわしく。
息子の熱で暖かくなった布団を半分めくり上げる。
唐澤貴洋は少し足元が寒くなったのを感じ唸り声を上げる。
が、目は醒めない。
洋は手をさらに動かす。
息子の寝間着を下ろしさらに下のブリーフもするすると奪う。
暗闇の中にポロリと棒が現れる。
性欲と反比例してずいぶん小ぶりだ。
まず手に唾をつける。
そして親指と人差指だけで息子のムスコをスクラッチする。
唐澤貴洋がんぅ・・・と喘ぐ。
夢を見ているのだろう。
さて、巡りあうではないか。
織姫と彦星。父と息子。
洋は大きく口を開けた。小さい塔を覆う。
口の中は熱いドームだ。
エルサレムにあるアレさながらの構造。
洋は唐澤貴洋の亀頭を内頬にこすりつける。
口の中でハンドミキサーのように回転させて皮を甘噛する。
プチプチと音を立て癒着が剥がれていく。
甘噛をやめ今度は下を包皮と竿の間に滑り込ませる。
ゴロゴロとした恥垢が溢れだす。口の中は満天の星空になる。
ドクドクドク。
タカヒロの脈、心音が性器から伝わる。
会えるんだな、やっと。目頭が熱くなる。
洋は、昔噴射した精子が唐澤貴洋となり
また唐澤貴洋から精子が出るこの瞬間に森羅万象を感じるのを禁じ得なかった。
デデデデデデデデデデデデデデデデ
デデデリュヨオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
七夕の夜、ミルキーウェイが親子を引きあわせた。
完
リンク
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