「著作権、無自覚の侵害が問題」の版間の差分
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'''著作権、無自覚の侵害が問題'''(ちょさくけん、むじかくのしんがいがもんだい)とは、[[日本経済新聞]]のコラムコーナー「私見卓見」に2019年1月21日に掲載された[[山岡裕明(弁護士)|山岡裕明]]の投稿である。 | |||
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文化庁は2018年末、著作権法を改正し、著作権を侵害する漫画や写真などの静止画のダウンロードを違法行為の対象とする方針を示した。現在の著作権法では、著作権を侵害する動画と音楽のダウンロードは禁じているものの、静止画は対象外であった。改正の背景には、いわゆる海賊版サイトによる著作権侵害の拡大がある。 | |||
私はインターネット上の法律問題を専門に扱っている。昨今は著作権侵害の相談が非常に多い。無料でアップロードされた海賊版サイト上の漫画、YouTube上の音楽・映像、ウェブサイト上の写真についてである。指摘しておきたいのは、悪質な海賊版サイトは別として、多くのケースで侵害者側に悪意が無いことだ。 | |||
あるアーティストの音楽を他の人に聞いてほしいがために、ファンが昔のライブ映像を動画サイトにアップロードしたり、ネット上でみつけた写真をフリー素材と誤って自分のウェブサイトで利用したりする例である。地方自治体や上場企業が無断使用するケースもあった。 | |||
著作者が膨大な時間と労力、費用をかけて創作活動に取り組んでいることを踏まえると、悪意がないといって、著作権侵害行為が容赦される理由にはならない。紹介した実例はもっぱらアップロードによる侵害事例だが、法改正されれば、著作権を侵害する漫画や写真をダウンロードする行為も違法となる。インターネットを利用する誰もが日常的に著作権を侵害する危険がさらに広がる。 | |||
著作権の基本は、著作者らの利益を保護するというところにある。つまり著作権法は、著作物から生じる著作者らの利益に対し、利用者がただ乗りするのを防ぐ法律ともいえる。 | |||
ネット上では、交流サイト(SNS)をはじめ、無料のサービスが多い。無料での利用に慣れてしまいがちだが、アップロードでもダウンロードでも、他人の作品を無料で使う場合は、特に著作権を侵害する危険が潜んでいるという点を認識し、注意すべきである。 | |||
侵害事例の中には、著作権への正しい認識や少しの注意があれば避けられただろうと感じるものも多い。昨年から問題となっている海賊版対策とともに、法改正に関する議論や報道を通して著作権の正しい理解が広がり、インターネット利用に伴う著作権侵害事例が減るのを期待したい。 | |||
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== 余談 == | |||
*中央大学法科大学院の大杉教授は「中央ローOBの山岡裕明弁護士の書いた短い記事が、日経朝刊の「私見卓見」に掲載されました。」と自身のTwitterで紹介している<ref>{{Archive|https://twitter.com/osugi1967/status/1087200148030074882|https://archive.ph/AixXJ|大杉教授のTwitter}}</ref>。 | |||
== 関連項目 == | |||
* [[山岡裕明(弁護士)|山岡裕明]] | |||
* [[日本経済新聞]] | |||
== 外部リンク == | |||
* {{Archive|https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40179550Y9A110C1KE8000/|https://archive.vn/bpKNz|(私見卓見)著作権、無自覚の侵害が問題 弁護士 山岡裕明 :日本経済新聞}} | |||
== 脚注 == | |||
<references /> | |||
{{山岡裕明}} | |||
{{デフォルトソート:ちよさくけんむしかくのしんかいかもんたい}} | |||
[[カテゴリ:山岡裕明]] | |||
[[カテゴリ:資料]] | |||
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2022年7月25日 (月) 10:21時点における最新版
著作権、無自覚の侵害が問題(ちょさくけん、むじかくのしんがいがもんだい)とは、日本経済新聞のコラムコーナー「私見卓見」に2019年1月21日に掲載された山岡裕明の投稿である。
本文
文化庁は2018年末、著作権法を改正し、著作権を侵害する漫画や写真などの静止画のダウンロードを違法行為の対象とする方針を示した。現在の著作権法では、著作権を侵害する動画と音楽のダウンロードは禁じているものの、静止画は対象外であった。改正の背景には、いわゆる海賊版サイトによる著作権侵害の拡大がある。 私はインターネット上の法律問題を専門に扱っている。昨今は著作権侵害の相談が非常に多い。無料でアップロードされた海賊版サイト上の漫画、YouTube上の音楽・映像、ウェブサイト上の写真についてである。指摘しておきたいのは、悪質な海賊版サイトは別として、多くのケースで侵害者側に悪意が無いことだ。 あるアーティストの音楽を他の人に聞いてほしいがために、ファンが昔のライブ映像を動画サイトにアップロードしたり、ネット上でみつけた写真をフリー素材と誤って自分のウェブサイトで利用したりする例である。地方自治体や上場企業が無断使用するケースもあった。 著作者が膨大な時間と労力、費用をかけて創作活動に取り組んでいることを踏まえると、悪意がないといって、著作権侵害行為が容赦される理由にはならない。紹介した実例はもっぱらアップロードによる侵害事例だが、法改正されれば、著作権を侵害する漫画や写真をダウンロードする行為も違法となる。インターネットを利用する誰もが日常的に著作権を侵害する危険がさらに広がる。 著作権の基本は、著作者らの利益を保護するというところにある。つまり著作権法は、著作物から生じる著作者らの利益に対し、利用者がただ乗りするのを防ぐ法律ともいえる。 ネット上では、交流サイト(SNS)をはじめ、無料のサービスが多い。無料での利用に慣れてしまいがちだが、アップロードでもダウンロードでも、他人の作品を無料で使う場合は、特に著作権を侵害する危険が潜んでいるという点を認識し、注意すべきである。 侵害事例の中には、著作権への正しい認識や少しの注意があれば避けられただろうと感じるものも多い。昨年から問題となっている海賊版対策とともに、法改正に関する議論や報道を通して著作権の正しい理解が広がり、インターネット利用に伴う著作権侵害事例が減るのを期待したい。
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余談
- 中央大学法科大学院の大杉教授は「中央ローOBの山岡裕明弁護士の書いた短い記事が、日経朝刊の「私見卓見」に掲載されました。」と自身のTwitterで紹介している[1]。