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「「インターネットの闇は深い」 匿名の「誹謗中傷」と戦う唐澤貴洋弁護士インタビュー」の版間の差分

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>唐澤貴洋殺す
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== 要約 ==
== 要約 ==
=== ●「動物的な感情」のぶつけ合いが野放しになっている ===
=== ●「動物的な感情」のぶつけ合いが野放しになっている ===
・インターネットには誹謗中傷の言葉があふれているが、どう見るか?<br>
・インターネットには誹謗中傷の言葉があふれているが、どう見るか<br>
唐澤:一口で言えば、「インターネットの闇は深い」。誹謗中傷を行う人間は想像以上に多い。
唐澤:「インターネットの闇は深い」。誹謗中傷を行う人間は想像以上に多い。


・どんな恐ろしいことがあるのか?<br>
・どんな恐ろしいことがあるのか<br>
唐澤:攻撃の対象になると真偽不明の情報が数限りなく書き込まれ、後から見た人間がそれを本当のことだと思ってしまう。炎上に至ると住所をはじめとして個人情報までも丸裸にされ攻撃される。
唐澤:攻撃の対象になると真偽不明の情報が数限りなく書き込まれ、後から見た人間がそれを本当のことだと思ってしまう。炎上に至ると住所をはじめとして個人情報までも丸裸にされ攻撃される。


・普通の人からしたらたまらないですね。<br>
・普通の人からしたらたまらないですね。<br>
唐澤:住所が知られると四六時中監視されるようなことも起こりうる。生活に支障が出、引っ越しをせざるを得ないケースもある。実際、私の盗撮に成功したという情報が出回り、インターネット上で話題になったことがある。
唐澤:住所が知られると常に監視されるようなことも起こりうる。生活に支障が出、引っ越しせざるを得ないケースもある。実際、私の盗撮に成功したという情報がインターネット上で話題になった。


・ネット炎上での「集団リンチ」のようなことに付いてどういう考えか?<br>
・ネット炎上での「集団リンチ」のようなことに付いてどういう考えか<br>
唐澤:犯人の過度な追及など「ネット私刑」が横行している。「悪人には何をしてもよい」という風潮が見える。個人攻撃のための情報が検証されないままに積み重なっていき、標的になった人物の家族までも誹謗中傷・プライバシー侵害の対象にされる。
唐澤:犯人の過度な追及など「ネット私刑」が横行している。「悪人には何をしてもよい」という風潮が見える。個人攻撃のための情報が検証されないまま積み重なり、標的の人物の家族までもが誹謗中傷・プライバシー侵害の対象にされる。
しかしこれらは間違ったことであり、犯罪については、捜査するための法律があり、それに基づいて捜査機関が対応するものである。先のように国民自らが決めた法律を無力化するようなことがあってはならない。
しかしこれらは間違っている。犯罪は捜査するための法律が存在し、それに基づいて捜査機関が対応するもの。先のように国民自らが決めた法律を無視するようなことがあってはならない。
(犯人・犯行に対して)正しい議論が行われ、民主主義に貢献する言論が交わされるのであれば問題はない。しかし(炎上に付随したネット上での集団リンチに際して)存在するのは議論ではなく刹那的な「動物的感情」のぶつけ合いであり、それが野放しにされている。この状況に対して弁護士として取り組みつつ、より多くの人にこの問題を知ってほしい。
(犯人・犯行に対して)正しい議論が行われ、民主主義的な言論が交わされるのであればいいが、(炎上に付随したネット上での集団リンチに際して)存在するのは議論ではなく刹那的な「動物的感情」のぶつけ合いで、それが野放しにされている。弁護士としてその問題に取り組むとともに、より多くの人に問題を知ってほしい。


・自身も攻撃の標的となっている。<br>
・自身も攻撃の標的となっている<br>
唐澤:私の場合、[[長谷川亮太|インターネット上で起きたある誹謗中傷事件]]で、[[唐澤貴洋#炎上に至るまでの経緯|権利侵害した人間をを特定しようとした]]ことがきっかけだった。それで目をつけられて以降誹謗中傷がやまない。事務所に不審電話がかかってくる等、様々な業務妨害を受けている。
唐澤:私の場合、[[長谷川亮太|インターネット上で起きたある誹謗中傷事件]]で、[[唐澤貴洋#炎上に至るまでの経緯|権利侵害した人間をを特定しようとした]]ことがきっかけになり、誹謗中傷がやまなくなった。事務所に不審電話がかかってくる等、様々な業務妨害を受けている。
 
=== ●弱い人ほど自分でものが言えず、悩みや苦しみを抱えてしまう ===
・そこまでして誹謗中傷対策活動を続けるのは何故か。そもそもの弁護士になったきっかけから聞かせてほしい<br>
唐澤:10代後半の頃の[[唐澤厚史|弟]]の死が背景。弟は当時、[[悪芋|非行グループ]]からパーティ券を売るよう脅迫されていたが弟はパーティ券を売れなかったため、グループから集団暴行にあいその翌日に人生を悲観し自殺した。苦しみ抜いた「死に顔」をしていた。弟の死に際し初めて「悪の存在」を認識し、世の中に人を傷つけても平気な悪い人間がいるのだと深く心に刻まれた。
 
・そのとき、弁護士になることを選んだのか<br>
唐澤:最初から弁護士を目指そうと思ったわけではなく、まずは社会問題を解決するために[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B6%E6%87%89%E7%BE%A9%E5%A1%BE%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%B9%98%E5%8D%97%E8%97%A4%E6%B2%A2%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9 大学]で国際政治を専攻した。しかし政治学というのは実社会で苦しむ人をすぐに助けられる学問ではないと感じた。法律家になれば彼らの役に立てるのではないか、自分なりの「正義」の実現ができるのではと思ったので、大学卒業後に法科大学院に進み弁護士になった。
 
・誹謗中傷を専門にしたのは何故か<br>
唐澤:弁護士になり[[坂本総合法律事務所|ある事務所]]に入所も[https://twitter.com/fuzokubengoshil/status/539429187564482560 6カ月という短期間で独立]した。独立当初、どの法律に取り組もうか悩んでいた頃、ネット上での誹謗中傷が横行していた。[[パカ弁|どうせならあまり他の弁護士が手に付けておらずかつ有意義なこと]]をしたかったので、ネット上の誹謗中傷で苦しむ人たちの役に立ちたいと思いこの道を選んだ。
 
=== ●ある意味で「使命」だとも思っている ===
・ネットの誹謗中傷対策とは具体的にどういったことをするのか?<br>
まず権利侵害記事の削除を請求した上で、匿名で書き込まれるネット上の掲示板では誰が権利侵害したのかを特定する必要がある。そのため、掲示板管理者に対し、IPアドレス[[開示]]してもらう裁判手続きを取る。
開示成功後、IPアドレスを管理する経由プロバイダ―に対し、「発信者情報開示請求訴訟」を起こし、発信者情報の開示に成功したら、ようやく損害賠償請求などの手続きに移ることになる。
権利侵害とは、名誉毀損やプライバシー侵害等。(私は)刑事告訴を何件もしたことがあり、実際に逮捕者が出たケースもある。
 
・難しいことは<br>
唐澤:ウェブサービスの変化に伴い権利侵害も多様化していく点。10年前にはTwitterというサービスはなかったが、サービスが生まれると今度はTwitterを使った権利侵害が登場する。そういった環境の変化に適応していく必要がある。
 
・弁護士としてのやりがいは、どこにあるのか<br>
唐澤:困っている人の役に立つことが根本にある。また対応の難しいネットの誹謗中傷に対しては知的好奇心が湧いてくる。自分自身も攻撃を受けている今の状況を、ある意味「使命」だと思っている部分もある。先が見えないことあるが、少しずつ道を切り拓いていきたい。
 
・その道を切り拓くうえで、今後どういう制度が必要か<br>
唐澤:権利侵害者の責任を追及しやすくする制度。発信者情報の開示・取得にかかる時間とコストを被害者が負担しているのが現状であり、このような状況は、被害者にとって、酷です。
また、被害者が平穏無事な生活を取り戻していくための制度(作り)にも公的に対応する必要がある。
 
・ネット上の誹謗中傷とどう向き合うべきか<br>
唐澤:インターネットの善悪は利用している私たち次第。誹謗中傷をはじめとする権利侵害を他人ごとと考えず自分の問題として捉えてほしい。
ネット上の加害者になるかどうかは自分次第であるが、多くの人はその危険性を認識していないのではないか。安易に誹謗中傷を繰り返すことで、人生を棒に振るようなことがないようにしてほしい。
 
<了>


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