「Twitter逮捕歴削除請求裁判」の版間の差分
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== 二審・東京高裁 == | == 二審・東京高裁 == | ||
Twitter社はこれに控訴。2020年6月29日、第二審の東京高裁は、Twitterが全世界で6番目にアクセスが多いサイトで情報流通の基盤として大きな役割を果たしているという事実を認め、公表の利益と比べてプライバシーの保護が明らかに優越するとはいえないことから投稿の削除請求を退け、田中一哉側は逆転敗訴となった<ref>{{archive|https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60932800Z20C20A6CR8000/|https://archive.ph/0EKwf|逮捕歴の投稿削除認めず、プライバシー保護か公表利益か 東京高裁}} - 日経</ref>。('''Twitter側の勝利''') | Twitter社はこれに控訴。2020年6月29日、第二審の東京高裁は、Twitterが全世界で6番目にアクセスが多いサイトで情報流通の基盤として大きな役割を果たしているという事実を認め、公表の利益と比べてプライバシーの保護が明らかに優越するとはいえないことから投稿の削除請求を退け、田中一哉側は逆転敗訴となった<ref>{{archive|https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60932800Z20C20A6CR8000/|https://archive.ph/0EKwf|逮捕歴の投稿削除認めず、プライバシー保護か公表利益か 東京高裁}} - 日経</ref>。('''Twitter側の勝利''') | ||
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{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_11405/|https://archive.ph/AEbCp|逮捕歴ツイート、削除認められず 男性が逆転敗訴 東京高裁}} - 弁護士ドットコム | |||
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ツイッターの検索で過去の逮捕歴が表示され、人格権などが侵害されたとして、男性がツイッター社にツイートの削除を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(野山宏裁判長)は6月29日、削除を認めないとする原告逆転敗訴の判決を言い渡した。 | |||
一審は、ツイッターの役割や性質などについて整理したうえで、グーグルなど検索事業者よりも緩和した要件での削除基準を示し、ツイートの削除を認めていた。一審判決を不服として、ツイッター社が控訴していた。 | |||
男性の代理人をつとめる田中一哉弁護士は「『明らか』という削除基準がついたことについては不当。グーグルとツイッターの違いというのが十分に理解してもらえなかったというのが原因ではないか。グーグル検索結果の削除をめぐる最高裁判決自体が、検索事業者限定のものであることが十分理解されていないと思う」と話した。 | |||
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'''●高裁の判断は''' | |||
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男性は2012年に建造物侵入罪で逮捕され、罰金10万円の略式命令を受けた。今回削除請求していたのは、男性の逮捕を報じる記事と引用元URLが貼られたツイート。いずれも男性の名前を引用してツイートしており、ツイッターで検索すると検索結果として表示された。 | |||
現在、引用元の報道記事はいずれも削除されており、グーグルで男性の名前を検索しても、検索結果として表示されることはない状態だった。 | |||
高裁判決は、ツイート削除の判断基準について、 | |||
(1)事実の性質および内容 | |||
(2)事実が伝達される範囲と申立人の具体的な被害の程度 | |||
(3)申立人の社会的地位や影響力 | |||
(4)ツイートの目的・意義 | |||
(5)ツイートが掲載された時の社会的状況とその後の変化 | |||
(6)その事実を記載する必要性 | |||
など、事実を公表されない法的利益と、ツイッターの公表が継続される理由とを比較衡量した結果、「事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」に削除が認められるとした。 | |||
その上で、今回の逮捕事実に関するツイートについて、男性の逮捕事実は「公共の利害に関する事実にかかり、公益目的に出たもの」と指摘。 | |||
ネット上の実名報道記事はすでに削除されており、ツイッター検索の利用頻度はグーグル検索ほど高くないこと、他の検索サイトでは投稿記事の検索ができず具体的な不利益を受ける可能性が低下していることなどと比較し、「不利益を受ける可能性は残るものの、事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない」と結論づけた。 | |||
検索結果の削除をめぐっては、最高裁が2017年1月の決定で、検索結果を表示することの社会的な意義などと比較したうえで、「プライバシー保護の利益が優越することが明らかな場合に削除を求めることができる」という判断基準を示している。 | |||
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== 最高裁判所 == | == 最高裁判所 == | ||
2022年4月6日、最高裁は上告審の弁論期日を5月27日に指定。高裁判決の見直しが行われる可能性が高くなった。 | 2022年4月6日、最高裁は上告審の弁論期日を5月27日に指定。高裁判決の見直しが行われる可能性が高くなった。 | ||
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なお、唐澤貴洋は上記のように明確なコメントを残していないが、何かコメントすると[[長谷川亮太]]の件を蒸し返されることを恐れ、あえて避けているのではないかという説がある({{nicodic|お前が言うな|おまいう案件}})。 | なお、唐澤貴洋は上記のように明確なコメントを残していないが、何かコメントすると[[長谷川亮太]]の件を蒸し返されることを恐れ、あえて避けているのではないかという説がある({{nicodic|お前が言うな|おまいう案件}})。 | ||
統計的には民事訴訟において最高裁判所で判決がひっくり返るのは極めて稀であり、大半が受理もされず門前払いにされる。高裁の判決がひっくり返る確率については、諸説あるが1%もないとされる<ref>{{Archive|http://www.shomin-law.com/saibansaikousai.html|https://archive.ph/ZJp6e|2020年度は0.78%}} - 庶民の弁護士 伊東良徳のサイト</ref>。その意味でも[[田中一哉(サイバーアーツ法律事務所)|田中一哉]]の評価が高まったと言えよう。 | |||
== 所感 == | == 所感 == | ||
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更に、ニュースを見たTwitterユーザーがTwitterが削除する前に該当のツイートを特定しスクリーンショットを取って拡散<ref>{{Archive|https://twitter.com/SEKAI_NO_OWACON/status/1540277677130944512|https://archive.ph/nZVJA|特定した人物のツイート}}</ref>、無関係の人物の[[質問箱]]に原告の名前が大量投下される事件が発生している<ref>{{Archive|1=https://twitter.com/search?q=鈴木文刀&src=typed_query&f=top|2=https://archive.ph/tJDuT|3=原告の名前のTwitter検索結果}}</ref>。原告と田中の努力空しく2022年7月現在も削除されておらず、これでは最高裁で勝訴した意味が揺らいでいるのではないだろうか。 | 更に、ニュースを見たTwitterユーザーがTwitterが削除する前に該当のツイートを特定しスクリーンショットを取って拡散<ref>{{Archive|https://twitter.com/SEKAI_NO_OWACON/status/1540277677130944512|https://archive.ph/nZVJA|特定した人物のツイート}}</ref>、無関係の人物の[[質問箱]]に原告の名前が大量投下される事件が発生している<ref>{{Archive|1=https://twitter.com/search?q=鈴木文刀&src=typed_query&f=top|2=https://archive.ph/tJDuT|3=原告の名前のTwitter検索結果}}</ref>。原告と田中の努力空しく2022年7月現在も削除されておらず、これでは最高裁で勝訴した意味が揺らいでいるのではないだろうか。 | ||
なお、こうした民事訴訟の判決が無意味な紙切れになる事例は多く、古くは[[西村博之]] | なお、こうした民事訴訟の判決が無意味な紙切れになる事例は多く、古くは[[西村博之]]が民事訴訟の賠償金(一説には10億円以上)を時効まで踏み倒した他、昨今では著名人が「誹謗中傷をなくす」と称し、[[はあちゅう|自身の炎上案件に対して安易に訴訟を持ち込んだた]]めに、かえって炎上の過激化・陰湿化を招き、放置していれば自然鎮火したはずの炎上を鎮火できないケースも増えている(最悪の場合[[恒心教徒]]が行っている嫌がらせと同じような被害を被ることもある)。また最悪の場合相手が[[tor]]やノーログ[[VPN]]を使用していて、そもそも金だけを溝に捨ててしまうケースも考えられる。総じてインターネットの炎上の前には、効果があるのは稚拙な素人のみであり、知識に長けた人の前では訴訟が無力というケースは多い。 | ||
== 脚注 == | == 脚注 == |