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  '''炎上弁護士満絹の[[唐澤貴洋]]'''
  '''炎上弁護士満絹の[[唐澤貴洋]]'''
{{スタブ}}


== まえがき ==
== まえがき ==
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これは、私の永遠の問いです。<br>
これは、私の永遠の問いです。<br>
今、私は弁護士であり、弁護士として行くべき道を突き進むだけです。
今、私は弁護士であり、弁護士として行くべき道を突き進むだけです。
== エピローグ すべては人権のために ==
=== 新たな被害者が今でも生み出されている ===
不審な郵便物が届いたり、事務所に私への誹謗中傷を書いた貼り紙をされたり、インターネット上での書き込みは今でも断続的に続いていますが、<br>
実害が一番ひどかった[[恒心年表|2014~2016年当時]]に比べたら、今はだいぶ落ち着いてきたと思います。
[[恒心教|私をネタに誹謗中傷やプライバシー侵害、殺害予告などをしていたコミュニティ]]にも変化が生じているようです。<br>
それは、[[臭芋|私への書き込みを行っていた複数の者の誰か]]が、私の代わりのターゲットとなって新たな炎上被害を受けているようです。<br>
つまり、「唐澤貴洋」というアイコンに飽きたので、そのコミュニティにいる人間を「唐澤貴洋」のすげ替えとして新たな標的に据えたのです。<br>
そうして手を替え品を替え、続いていたコミュニティも、今では収束しつつあります。
なぜ、身内ともいえるコミュニティの人間を、私の代わりにターゲットにしたのでしょうか。<br>
それは彼らが、何か目的を持って言動を発している集団ではないため、終着点がわからないからでしょう。<br>
そのとき楽しければ、楽しめれば、ターゲットが自分以外の誰かであればいい、といった場当たり的なコミュニケーションを続けているだけなのです。<br>
ただ、私があずかり知らないだけで、おそらくまた違うターゲットを見つけて、ほかで同じようなことを行っている可能性は高いと思います。
悪質な動きとして、[[岩間好一|インターネット上で目立った動きをする人物]]の家に突然行って壁に落書きをしたり、誹謗中傷を書いた紙を家に貼りつけたり、<br>
集団で彼をからかいに行ったり、自転車を破壊したり、モデルガンで彼を撃ち続けたりするという現象が起きています。<br>
しかも彼は、そういうことをされている動画を自ら撮影して、ユーチューブにアップするのです。<ref>他にも複数人教徒のターゲットにされている人は居るが、ここではエアガンとつべ投稿が出てるので100%岩間</ref><br>
彼にとっては、自分がされていることを白日の下にさらして証拠として残すという自己防衛なのかもしれませんが、いたずらをする側にとっては、その反応がかえって面白くて仕方がない。<br>
だから、やめられない。何度もいたずらをしに行くという悪循環のスパイラルに陥っています。<br>
反応もすべて炎上のネタとして消化していっているわけです。
このように、インターネット上でのやりとりだけならまだしも、その動画などを見ている人たちが実際に自宅にまで押しかけてくるようになると、正直、何が起こってもおかしくないでしょう。
誰かが、インターネットなどでターゲットを見つけて、そのターゲットをいじり始める。<br>
ターゲットが無視すればそれで終わることもありますが、私のように反論や反駁をし始めると、それを面白がる悪ノリ人間が増えて、収拾がつかなくなる。
それが盛り上がっていると判断され、「何だか面白そうだから、俺も加わろう」とまた新たにまったく関係のない人がどんどんその悪ノリに参加していく……。<br>
そして、個人的な恨みも、大義名分もないまま、ターゲットにした人間に実害を加えてしまっているのです。<br>
「共通の敵を一致団結して倒そう」という旗の下に、カモにされた人間討伐が、そこかしこで起こっているのです。
これは本当に恐ろしいことだと声高に叫びたくなります。古代ローマにおいて行われた、コロッセオ(円形闘技場)で剣闘士や猛獣が殺し合い、<br>
それを市民が見て楽しむことに近いことが、インターネット上で炎上を通じて行われているのです。
インターネットにおける有名人の殺害を予告した罪で逮捕者が出たなどと報道されるようになったのは、本当につい最近のことです。<br>
それでも、予告ぐらいで捕まるという認識も持ち合わせていなければ、匿名でやっているのだから自分の名前や素性がバレることはないだろうとタカをくくった人たちが、<br>
いまだに多いのが実状です。本当に嘆かわしい現状といわざるを得ません。
=== ネット広告の功罪 ===
インターネットでは、「まとめサイト」という形態のサイトがあります。<br>
その名の通り、インターネット上や現実に起こったことについて、情報をまとめて掲載するサイトのことをいいます。<br>
まとめサイトの中には、断片的な情報を集めて、根拠があいまいなまま掲載してアフィリエイト広告によって収益を得ているものがあります。<br>
また、大手企業が同様のまとめサイトやQ&Aサイトを運営し、その中にある権利侵害記事についても広告を掲載している場合があります。<br>
権利侵害情報がまとめサイトの管理者、コンテンツサイトの運営者、そして、広告代理店に収益をもたらしているという現実が存在するわけです。<br>
広告代理店においては、広告主は、本来であれば、違法なコンテンツに広告掲載をすることは望まないにもかかわらず、<br>
掲載先の情報を精査せずに、アフィリエイト広告を掲載しているとすれば、企業倫理が存在していないと言わざるを得ません。<ref>アフィブログに対する教徒の動きは[[片平騒動]]を参照</ref>
最近では、漫画を無料で読めるサイト「漫画村」におけるアフィリエイト広告の掲載や2017年のユーチューブにおいて投稿されていたヘイトスピーチ動画に広告が掲載されていたことからも、<br>
インターネット上における広告問題は今後も注視する必要があります。
=== 被害者を守る法律をつくりたい ===
私が今回、本書を出したいと思った理由のひとつに、法律を改正したいということがあります。<br>
今、人がインターネット上で被害を受けたときに、基本的に利用するのは、民法、民事訴訟法、刑法、<br>
そして、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称「プロバイダ責任制限法」)です。<br>
これら法律を利用する際に、いくつかの問題が存在します。その問題点を踏まえて、私なりの改善策を提言させていただきます。
第一に、インターネットによる被害者が犯人を特定しやすくすべきだと考えています。<br>
現行の法律では、裁判手続きを利用しないと基本的に犯人が特定できません。<br>
「[[2ちゃんねる]]」、[[Twitter|ツイッター]]、[[Faithbook|フェイスブック]]、ユーチューブ、グーグル、FC2などを相手とした場合、裁判手続きを利用しなければ発信者情報の取得が困難なのが現実です。<br>
先述しましたが、私が被害に遭った、故・小林麻央さんの叔父を騙ったなりすましの事件も、実際に裁判手続きをしてから発信者の特定までに約1年も費やしています。<br>
そして、もし弁護士を利用する場合には、弁護士費用がかかります。
問題なのは、裁判手続きを仮にとったとしても、発信者を特定できない場合が、それなりにあるという現実です。
発信者を特定するための通信ログについて、保存義務をプロバイダは課されておらず、保存期間、保存内容については、プロバイダの自主的な判断に委ねられています。<br>
このため、発信者の特定に役立たない通信ログしかないという場合が実際に存在しています。<br>
時間やお金がかかり、さらには、手続きをとったとしても特定できない場合があるとなると、一般の方にとってはハードルが高く戦い続けることは困難を極めます。
そこで、プロバイダが保存すべき通信ログの内容と、通信ログの保存期間を法律で定め、発信者特定の基盤をつくるべきだと考えています。<br>
また、インターネット接続業者に対する発信者情報開示請求を行った際に、権利侵害があるかどうか明白ではないから発信者情報の開示には応じられないという抗弁が出されることが多々あります。<br>
このような抗弁が安易に出されないようにするために、何が権利侵害にあたるかの指針を明確にしていく必要があると考えています。<br>
実際、私に対する殺害予告について、某プロバイダに裁判外で開示請求を行ったときに、権利侵害があるかどうか明白ではないという回答が返ってきたことがあります。<br>
殺害予告という究極の権利侵害に対して、権利侵害にあたるかどうかわからないという回答を許してしまう土壌が現行法にはあります。
さらに、裁判手続きのような時間がかかる形ではなく、プロバイダではない第三者機関が判断し、迅速に発信者情報の開示がなされるようにすべきです。<br>
なお、万が一、犯人を特定して裁判に持ち込めたとしても、損害賠償額は高くはありません。<br>
これでは、加害者への反省を促すことも、金銭的なダメージを与えて「ネットでの誹謗中傷やプライバシー侵害はやってはいけないこと」と一般の人に注意喚起することもできませんので、<br>
裁判例上で、損害賠償額の高額化の判断が図られるべきだと考えています。
第二に、インターネット上での権利侵害について、新しい処罰規定を設けるべきだと考えています。<br>
インターネット上で、プライバシー侵害がなされたとしても、刑事上取り締まる法律がありません。<br>
実際、私の実家や私の住まいについてインターネット上で書かれたことは多数ありますが、これらの行為について立件されたことがないのが現実です。<br>
そこで、プライバシー侵害をインターネット上で行った場合も、犯罪として立件できるようにすべきです。
また、日本においては、差別的な言動について、処罰する規定がありません。<br>
そこで、ヘイトスピーチなど差別的な言動についても、刑事罰によって処罰できるようにすべきでしょう(2016年にいわゆる「ヘイトスピーチ対策法」が成立しましたが、罰則規定がなく啓蒙的な内容にとどまっています)。
インターネットでは、繰り返し誹謗中傷をする人間がいます。このような繰り返しの誹謗中傷行為については、より加重した刑罰が科されるべきだと考えています。<br>
現行の刑法では、名誉毀損罪は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金と軽い刑罰となっています。これについても、見直しが必要だと考えています。
第三に、匿名で発信者情報開示請求訴訟を提起できるようにすべきだと考えています。
被害者が犯人を特定しようとすると、プロバイダに対して、契約者情報の開示を求めていくことになります。<br>
この際に、プロバイダは犯人に対して発信者情報の開示をしていいかの意見照会をかけます。<br>
この意見照会がきっかけで、さらに犯人がインターネット上に被害者を攻撃する投稿をするということがあります。
このような事態を避けるためには、誰が発信者情報開示請求訴訟を提起しているかを知られないようにするために、匿名で裁判ができるようにすべきだと考えます。
第四に、現在は、個別的な権利侵害を受けた者にしか、裁判上の原告適格(原告として訴訟を起こし、判決を受けることができる資格のこと)が認められません。<br>
しかし、これでは、民族的な差別的言動をした者、動物を虐待して殺した者など、明らかに問題がある行動をしている者を特定するのが、困難な状況にあります。<br>
そこで、一定の団体については、裁判上の原告適格を認め、発信者情報開示請求訴訟を提起できるようにすべきです。
第五に、インターネット上に残った画像や書き込みをどうするのかという問題があります。<br>
言論の自由があるから、ずっと残しておいてもいいという意見もあるかもしれませんが、そういうことではないのです。<br>
この問題は、検索エンジンに対する問題として考える必要があります。<br>
人がインターネットで情報を得ようとするとき、検索エンジンでキーワード検索をして、<br>
検索結果として出てきたサイトを訪れます。誹謗中傷がどこまで拡散されているのかを、被害者個人が特定することは到底、不可能です。<br>
ですから、被害者がいちいち申請して個別のサイトから記事を削除してもらうのではなく、<br>
検索エンジン提供会社での対応として被害者に対する誹謗中傷記事が包括的に、人の目に触れにくくされるべきです。
実際にこのような案件を法律として成り立たせるには相当の時間がかかることが想定されます。<br>
なぜなら、手続きの改正、犯人の特定、損害賠償額の高額化、検索エンジンからの削除など、それぞれ難しい問題をはらんでいるため、<br>
それを一つひとつ解決していくにはかなり細かい内容まで精査して立案しないとならないからです。
私としては法案成立まで5年を目標にしていますが、こうした事情から10年かかってしまうかもしれません。<br>
それでも、一歩一歩前へという信念を持って進めていこうと決意しています。<br>
弁護士である私の役割は、法律をつくる手伝いなら何でもするということと、ネット上で起きていることに鈍感な世の中に、<br>
「明日はあなたが被害者になるかもしれない」という注意を喚起することであり、法案の重要性を知ってもらうべく情報を発信し続けることが職務だと思っています。
私の例を出すまでもなく、決して他人事ではないのです。<br>
これだけインターネットが日常生活に密着していると、明日は我が身に起こってもまったくおかしくない時代になっているのです。<br>
読者の皆さんは、ここまで読まれても、まだなお他人事と感じられますか。<br>
いつ、どこでターゲットにされるかわからない世の中だといわざるを得ません。
=== なぜ被害者を守る法律がないのか ===
なぜ被害者を十分に守る法律がないのか。<br>
ここまでお読みいただいた皆さんは不思議に思うでしょう。<br>
それは、端的にいってしまうと、被害者が軽視されている現実があるからです。
被害者が犯人を特定するために利用する法律は、「プロバイダ責任制限法」という法律です。<br>
これは、ネット上で何らかの権利侵害行為が生じた場合、発信者側にサービスを提供しているプロバイダ事業者の責任を制限するとともに、<br>
被害を受けた側が発信者情報の開示を請求できる権利があることを定めた法律です。<br>
しかし、この法律の問題点は、インターネットサービス事業者であるプロバイダの損害賠償責任を軽減してあげることが主目的となっているものであって、<br>
被害者を十分守る法律になっていないことです。<br>
被害を受けた者は、プロバイダ責任制限法を利用して、犯人特定に努めます。<br>
運よく、犯人がわかったとしても、損害賠償額はたいして認められません。そのことを前提として損害賠償請求を犯人に行い、場合によっては、刑事告訴するしか方法がありません。
インターネット上に投稿された権利侵害記事の削除請求は、被害者側で対応しなければなりません。<br>
実際に権利を侵害された者の社会的評価の回復、精神的損害の慰謝については、現行の法律では十分に対応できていないのが現実です。
日本の場合、振り込め詐欺や薬害などによって被害者が増えると、それに対処する法律をつくろうとする動きが出るものですが、<br>
インターネットでは炎上した人は基本的にインターネット上から退場します。<br>
どんなに被害があったとしても、結局裁判にまでこぎ着ける人はほんのわずかで、ほとんどの人が泣き寝入り状態です。<br>
実際に声をあげて、最後まで戦う人は少ないのが現状です。<ref>ちなみに、古くから言われている[[炎上]]の対処法は'''沈黙である。'''裁判まで持っていくと'''逆効果になるので注意。'''</ref>
私に対する被害が減った現在でも、私自身「それでよし」とは思っていません。<br>
私ではない誰かが、今でもインターネット上において、そうした被害で苦しんでいるのを知っているからです。<br>
インターネット上での人権侵害という意味では、先述した在日韓国・朝鮮人の方々や被差別部落の方々なども被害に遭われています。<br>
そうした被害を受けている方すべてと一致団結して、法律をつくる方向に持っていけたらいいなと思っています。
=== インターネットは新しい非行・犯罪の温床に ===
いいか悪いかの判断はさておき、昔は暴走族や地元の不良少年・少女、ヤンキーがいたとしても、<br>
深夜に公園やコンビニの前にたむろして、シンナーを吸っているところを警察が補導するなど、非行の形が目に見えてわかりやすかったように思います。<br>
しかし、インターネット上の問題行為は、子どもの部屋やネットカフェでパソコンを使って、<br>
あるいはスマホなどの携帯端末で行われるために、親が把握することがまったくできていません。<br>
当然、警察も訴えがない限り詳細は知りようがありません。
こうした状況が温床になって、子どもたちはどんどんハマっていく。<br>
子どもが変な大人たちとやりとりして取り込まれていく可能性があったとしても、それを周りが気づかないために、<br>
相手が見えない犯罪に巻き込まれることが、今後どんどん増えていくと思います。<br>
いや、相手の顔が見えないことでかえって抵抗感なく犯罪に手を染めてしまう子どもたちも出てくるでしょう。
子どもがどういうやりとりを誰としているか、また家からいなくなったとしても、どこに誰と行ったのかわからない。<br>
そういう状況が、子どもを持つ皆さんの家庭でいつ起きてもおかしくないのです。<br>
昨年、座間市で起こった凄惨な事件のように、自殺願望のある子どもに同調すると見せかけ、誘い出して実際に殺してしまう。<br>
家出願望のある子どもをうまく言いくるめて誘い出してイタズラをするなど、コミュニケーションスキルに長けている悪い大人からすれば、容易なことなのかもしれません。
未成年の子どもに対しては、必要に応じてフィルタリング機能を使うのも大切だと思いますが、<br>
ラインやインスタなどのSNS上でどういうコミュニケーションがなされているかまでは、カバーしきれません。<br>
スマホなどの携帯端末でインターネットを子どもに使わせるなら、今一度、保護者がその危険性をきちんと説明して、<br>
改めてネットの怖さを教えていかなければ、簡単に非行や犯罪に巻き込まれてしまうのです。
=== 未成年者のインターネットの使い方 ===
[[山梨学院大学|知り合いの弁護士の紹介で、ある大学でインターネットの危険性について講演をしたことがありました。]]<br>
そこで、「いいですか。私が今話しているところを写真に撮って、インターネット上にアップ(投稿)したら、<br>
あなたも被害者になる可能性があるんですよ」と言っているそばから、「カシャッ」というシャッター音が聞こえてきました。<ref>恐らく[[なんJ]]に"尊師"というスレタイで立てた芋</ref><br>
子ども(大学生を子どもというのは失礼かもしれませんが)には危機感がまったくないのです。<br>
自分自身が被害者にならない限り、まったく理解しようとしないのです。想像力が欠如しているとしかいいようがありません。<br>
しかし、本当に被害に遭ってからでは遅すぎるのです。
個人的な意見ではありますが、携帯端末などの情報機器におけるインターネットの使い方やリテラシーなどは、<br>
学校教育、特に義務教育の中にカリキュラムを組んで学ばせるべきだと思っています。
まず使い方を教えるには、「どう発信したらいいか」「問題のあるコミュニティに取り込まれないようにするにはどうしたらいいか」「人間関係をどう築けばいいか」などというスキルの話をしなければいけません。<br>
たとえば、悪い大人に「あなた、死にたいんだね。実は僕も死にたいんだよ」といいように、どんどん共感させられて相手の懐に取り込まれてしまったら、そこから引き戻すのは大変です。<br>
取り込まれる前に、警戒心を持って関係を遮断できるような術を教えていかなければなりません。<br>
しかし、それを各家庭で教えるには限界があります。<br>
やはり教育の一環として国を挙げて取り組んでいかなければならない課題であると思っています。
現代社会は、ありとあらゆる情報にさらされている時代です。<br>
子どもも例外ではありません。だからこそ、義務教育中に情報教育の授業を絶対に入れるべきなのです。
算数や国語のように毎日学習する必要はありませんが、月に1回でも、情報教育の専門家を呼んで、定期的にきちんとインターネット教育をして、その怖さを教えていくことが絶対に必要です。<br>
2018~2019年にかけて小中学校で道徳が「教科」として実施されるので、ぜひ、この授業の中にインターネット教育の時間を設けてほしいと考えています。
人間も技術もたえず進歩しています。<br>
今さらインターネットがない時代に後戻りすることはできません。<br>
ましてや、生まれたときからインターネットがある環境に生まれた子どもたちに、危険だからという理由だけで使うな、と言うのは、時代に逆行していることにもなります。<br>
便利で気軽に誰でも使えてしまうからこそ、便利さと危険は表裏一体であるという危機感を持って使うことを教える責任が、私たち大人にはあると思っています。
「私」という人間の輪郭は、「私」が生きている社会の中で形成されていく側面が強くあります。<br>
誰かに認められているから自分の存在意義が感じられるなど、他人との関係性の中で「私」は規定されていきます。<br>
できれば、「私」にとってプラスの方向に向かってほしいのですが、マイナスの向きともいえる誹謗中傷であっても、<br>
インターネット上で「おまえ、すごいな」「やるじゃん」などと褒められて、それがゆがんだ成功体験として認知されてしまうと、おかしな方向に進んでしまい、取り返しのつかない事態を引き起こしかねません。<br>
大人でもこうした事態を招く人は多いのですから、ましてや若くて未成熟・未発達な子どもたちは、いとも簡単にインターネットに取り込まれてしまいます。<br>
誤った方向に進んでからでは遅いのです。
だからこそ、早期の教育が必要なのです。<br>
インターネットが人間と切っても切れない関係となってしまった時代に生きる私たちには、こうしたことはこれまでも起こっているし、今も起こっているし、今後も起こります。<br>
いや、ますます事態は悪化の一途を辿る可能性だって否定できません。そのときどうするかということが問われているのです。<br>
私は、インターネットリテラシーの教育は、今後不可欠であると声を大にして言いたいです。
=== 信念は曲げない ===
私の弁護士業務として[[パカ弁|インターネット上の誹謗中傷案件しか担当していない]]と思われている方がいるのですが、独立から今までさまざまな案件を担当してきました。<br>
時には、生徒の立場に立ち、学校と戦い、時には、医療過誤の被害者の立場に立ち、病院と戦い、時には、労働者の立場に立ち、企業と戦ってきました。
炎上行為をされたからといってインターネット関連の相談をやめることも考えていませんし、<br>
それ以外の案件でも基本的に「ちょっと危なそうだからやめよう」といったリスク判断でお断りすることは一切ありません。<br>
依頼人にとって少しでもプラスになるなら、私の事情などは一切考慮せず、どんな案件でもお受けしています。<br>
ただ、私が弁護を担当したとしても依頼人の状況が、改善を望めそうにない場合は、変な期待を持たせるようなことはせずデメリットもきちんと説明したうえで、<br>
「お金を払うだけ無駄ですよ。だから、よく考えてください」などと、率直にはっきりと言うようにしています。<ref>なお'''[[長谷川亮太]]には言わなかったもよう'''</ref>
もちろん、弁護士として私が教えられる知識はすべて惜しみなく伝えますし、それで自分自身で戦えるのでしたら、そうしたほうがいい、とも。<br>
弁護士という職業は、下手をしたら人の弱みにつけ込むこともできてしまいます。<br>
依頼人にとって何ら改善の余地がないと思っても、とりあえず依頼を受けて、ただお金だけをもらってしまう弁護士も中にはいるかもしれません。<br>
しかし、私は、金銭的な価値基準で仕事は絶対に選びません。<br>
お金になりそうだからとか、お金持ちの上得意客であるとかはまったく興味がありません。<br>
依頼人が本当に弁護士を必要としているかどうかが一番で、次に私がやる意義があるか、を大切に考えています。
当然、今後もまた炎上するような案件が依頼されることもあるでしょう。<br>
私自身が誹謗中傷される恐れがあるからといって、それをもって依頼を引き受けないということは絶対にしたくありません。<br>
ただ、犯罪の臭いがしたり、人としておかしいと思ったり、変な片棒を担いだりするような案件はきっぱり断ります。<br>
2012年に自分が炎上し始めた頃に比べると、2018年10月現在におけるインターネット関連の案件は確実に増えていると実感しています。<br>
携帯端末一人1台が当たり前といえる時代にあって、インターネットがより身近になり、間違いなく生活の一部になっています。<br>
ある調査によれば、一日のスマホの利用時間は平均3時間を超えるそうです。<br>
そうなると、インターネット関連の問題はますます無視できない話になってくるでしょう。<br>
ところが、インターネット関連の問題は、なかなか目に見えないものであるとともに専門的な知識が必要とされるものでもあります。<br>
そのため私のところを訪れる依頼人は、誰にも相談できずに困り果てて来る方と、周りに相談したけれど専門的なことはわからないから私のところに辿り着いた方と、両方のケースがあります。<br>
その他、紹介を受けて訪れるケースもありますが、事務所への電話や問い合わせフォームからメールでの依頼も増えています。
インターネットの特性からすれば、本来なら、未成年の子どもたちのほうが悩んでいると思われます。<br>
実際、2018年10月に文部科学省が公表した調査結果によると、ネットいじめが過去最多になったと報告されています。
しかし、子どもが一足飛びに「弁護士に相談しよう」とはならないでしょう。<br>
子どもの間で収束することができないほどのトラブルに発展してしまってから親に相談して、その親がいろいろ調べて、<br>
私に辿り着くケースがありますが、それは親子関係がうまくいっているパターンでしょう。<br>
ところが、問題を抱える子どもが親と仲が悪かったり、コミュニケーションがとれていなかったりすると、弁護士である私のところまで辿り着くことができません。
私は自身の炎上体験も踏まえて、1年に数件は社会的意義のある案件を手掛けたいと思っています。<br>
ですから、この本を読んでくれた保護者の方で、自分のお子さんが今インターネットでいじめられていたり、困っていることがあったりするなら、いつでも相談に来てください。<br>
もちろん、お子さん自らが読んで、連絡をしてきてもかまいません。とにかく、一人で抱え込まず、相談に来てほしいのです。
悪意のある人たちからすれば、「売名行為だ」などと言われて、また炎上するかもしれませんが、そんなことはまったく恐れていません。<br>
大好きな法廷(社会派)映画の中のアメリカの法律事務所などでは、知識やスキル、経験などを生かして社会貢献するボランティア活動・プロボノの一環として、無料で弁護を引き受ける活動をしていました。<br>
だから、私は1年に最低でも1件は、プロボノ活動を行わなければならないと思っています。
=== それでも僕は人を救いたい ===
弟が亡くなったのを契機に、心底強い力が欲しいと願い、一度はドロップアウトした高校に入り直して、その後大学、法科大学院に進み、弁護士として独立もできました。<br>
当時、私が想定していた力を、今、持てているかどうかはわかりません。<br>
同じ場面に遭遇し、自分の力で解決しないと、その力が本物であるか、私にもわからないのです。
ですから、弟と同じようにいじめられたり、脅迫されていたりする人がいたら、私の力でどうにか救ってあげたいと思っています。<br>
弟が亡くなったとき、私は戦えなかった。相手を殺す勇気もなく、だからといって何か対策を講じることもできず、ただ呆然と立ち尽くすことしかできませんでした。<br>
弟を殺した悪い連中は何らお咎めもなく、おそらく弟を死に追いやったことも忘れて、現在も普通に暮らしていることでしょう。<br>
その悔しさは今でも胸に秘めてあります。<br>
私も私の家族も、片時たりとも弟のことを忘れたことはありません。時が経ち、悲しみは癒えつつあっても、弟を殺された事実は絶対に忘れられないのです。
最近になってようやく弁護士は法律という武器を使いながら、社会問題をどう解決できるのかが重要だと思うようになりました。<br>
私が理想とする弁護士は、目の前にある問題にどう立ち向かっていけるのかを、あきらめずに一生懸命考えている人です。<br>
きれいごとばかり言う人に興味はありません。「今、何をしているか」が大事なのです。<br>
だからこそ、私は社会的な問題を自らの手で解決できなければ、弁護士になった意味もないと思っています。
私は弱い者いじめをしている人たちが大嫌いです。<br>
瑞穂の國記念小學院の設置認可と国有財産払い下げについての一連の森友学園問題で、2017年7月31日に籠池泰典氏とその妻・詳子氏が補助金不正受給の件で夫妻ともども逮捕されました。<br>
その後、2018年5月25日までの約300日間、籠池夫妻は不当に勾留されていました。<br>
実は、私は籠池夫妻が勾留されていた大阪拘置所に通い、お二人の話を聞き続けていました。<ref>>[[ハセカラファミリー一覧/小物]]も参照</ref>
私は、人であれば基本的な権利がきちんと守られるという基本的人権を尊重することの大事さを、憲法で学びました。<br>
籠池夫妻をめぐる状況にいろいろな意見があるのは知っています。<br>
ただ、私には、籠池夫妻の人権が侵害されているように思えました。<br>
その基本的人権が侵されたときにどうするのかが、今、弁護士に問われていると思い、私は籠池夫妻のもとに通いました。
300日にもわたる拘留期間は、弁護士として見ても、不当の一言に尽きます。<br>
そういう理不尽な弱い者いじめが大嫌いなので、私は自ら会いに行ったのです。<br>
私が籠池夫妻に関わろうとしたとき、周りは「唐澤先生が炎上することになるから、<br>
関わらないほうがいい」「会ったからって金も稼げないし、絶対やめたほうがいい」などと、全力で止める人たちばかりでした。<br>
しかし、私は自分の信念、志に従って、間違っていることは間違っていると堂々と言える弁護士であり続けたいのです。<br>
それで炎上してしまうなら、潔く炎上を受け入れます。
法律を変えたいと言っても、「頑張って」と言ってくれる人はいても、実際に「一緒に頑張ろう」と名乗りを上げてくれる人はなかなか見つかりません。<br>
弁護士の本業でもないですし、やはり、面倒なことに巻き込まれたくないのでしょう。今は孤軍奮闘状態です。<br>
人権を大切にしている志ある弁護士が一人でも多く協力してくれることを願うばかりです。
現時点では、インターネットに関する法律を変えようとしたり、問題を改善しようとしたりする兆しといった喜ばしい動きはまだありません。<br>
どこまでできるかわかりませんが、私としては、とにかくこの10年間でインタ―ネットによる被害者を守る法律をつくり、己の正義を貫き、弁護士としての職務を全うしていきたいと思っています。
== あとがき ==
2018年10月から、私は、新たに、法律事務所を開設しました。<br>
法律事務所名は「[[法律事務所Steadiness]](ステディネス)」としました。<br>
Steadinessという言葉には、不変という意味があります。<ref>'''[[恒心]]'''という意味もある。</ref><br>
私は、馬鹿にされようが何をされようが、自分の信念を変えずに、弁護士として歩むという意味を込めて、この名をつけました。
インターネット上の権利侵害について弁護士としてどこまで取り組めるか。<br>
被害者を守るための法律をつくることができるのか。<br>
今、このあとがきを書いている自分には、一切見えない未来です。<br>
しかし、信じるしかありません。<br>
日に新たに、日々に新たなり。<br>
尊敬する、昭和を代表する実業家、土光敏夫さんが、著書『私の履歴書』で紹介した中国の殷時代の湯王の言葉です。<br>
自分の明日は今から始まっています。
今まで、弁護士として、そして、一個人として生きてきた道程の中で、私は多くの人に助けられてきました。そのすべての方に感謝しています。<br>
名前を出すと迷惑をかけてしまうため、個々の方の名前をあげることはできませんが、その方たちがいなければ、今こうして生きていることすらできなかったと思います。
今でも弟の夢を見ます。<br>
あのときに、弁護士として戻れたら、何かできただろうか。自分の中での問いは残ったままです。<br>
一生この問いと向き合っていくのが、私に課された使命なのかもしれません。<br>
唐澤貴洋 (からさわ たかひろ)
弁護士。{{要出典|date=2018年12月}}1978年1月4日生まれ。法律事務所Steadiness(https://steadiness-law.jp)を東京・港区三田にて運営する。<br>
インターネット上の権利侵害の問題に2011年から取り組む。2018年、NHKドラマ「[[炎上弁護人]]」の取材協力を務める。<br>
法律に関する相談は、info@steadiness-law.jpまで。
なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか<br>
炎上弁護士<br>
2018年12月20日 初版発行
著者 唐澤貴洋©T.Karasawa 2018<br>
発行者 吉田啓二
発行所 株式会社日本実業出版社<br>
東京都新宿区市谷本村町3-29 〒162-0845<br>
大阪市北区西天満6-8-1 〒530-0047
編集部 ☎︎03-3268-5651<br>
営業部 ☎︎03-3268-5161<br>
振替 00170-1-25349<br>
https://www.njg.co.jp/
印刷/壮光舎 製本/若林製本
この本の内容についてのお問合せは、書面かFAX(03-3268-0832)にてお願い致します。<br>
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ISBN 978-4-534-05648-1 Printed in JAPAN


== 脚注 ==
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