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恒心文庫:1/100 「五十歩百歩」

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「弁護士辞めろ」「ゲーム実況してイキってんじゃねえ」「お茶の間凍るだろ頃すぞ」

令和の世でもそのような当職に対する誹謗中傷は鳴り止まなかった。

また、pixivは東方キャラの可愛い画像を閲覧して癒される場所であり、このような股間にも涙腺にも響かない小説の価値は無に等しいとされている。

それでも当職は走り続ける、こんな私だが目標があるからだ。当職の腹に負けない位の大きな大きな目標が……。



「誰か来る…」

ここはC1。昨今話題の煽り運転と見なす気は更々無いのだ。

ヤフオクで23万円で買った煌めくベロシティマイカのRX-8の実力、特とご覧あれ。


当職のシビックは480万円掛けて改造した。EK9、誰かと違ってそれはそれは優秀な車だが、経年劣化。これは避けられない。

しかも、このEK9は外装はおろか、エンジンさえも抜き取られた状態で私の手元にやってきた。

他に選択肢はあった。

でも何故この車を選んだのかというと…。


仕事が終わって家に帰ったらこいつが郵便ポストの中に入っていた。それだけだ。



初めて見たとき、まだこのEK9は走りたがっている…!当職はそう確信した…!!



くしゃくしゃだったフレームも嫌という程の補強を重ね、レーシングカーにも負けないボディを手にした……!!

失ったB16Bの代わりに最新にしてFF最速を誇るエンジンであるK20Cを新品で取り寄せ備えた……!!!

負けるものか…!!



「AT限定は公道出るなよなwwwwww」


こないだ某掲示板でおもむろに書き込んだばかりだ。


このRX-8は値段のわりにな、なんと5MTなのである!!


タイプSでなくベースグレードという弊害は無くは無いが、公道で最重要なのはMT車に乗れることだ!!


「MT乗れる俺かっけぇええええええ!!!!」


EK9の男はフリッピングを駆使しRX-8に忍び寄る。


「ん、EK9じゃねえか!!」


「いつものMTマウントは取れないが…一層燃え上がるぜ!!」


千葉ナンバーのRX-8を追いかける。パワー的には言わずもがな、当然こちらが上だ。

エイトも軽快でいい車だが…当職のEK9には勝てないッ!!


仮ナンバーのEK9に追いかけられる。パワー的には劣っているかな。ルームミラーにうっすら映るメルカリで買ったGTウィングは効いてるのかどうかわからない。

EK9はバケモンだよな…俺のエイトは足回りもタイヤも純正だからな…でも負けないぞ!!

エイトの彼は逃げ続けた。狭いC1、ノーマルのRX-8で160km/hでコーナーをクリアするのは難しいものがある。

ルームミラーに映るGTウィングは一旦置いといて、もう1つ見えるものがある…。FRP辺りで作られてそうなバンパーから大きく覗かせるのは…インタークーラー!!


VTECにターボは邪道とは言ったものだが…。



ヤバそうな薫りがするぜ…!!



トンネルを抜け、隣に貼り付くEK9。


張り出したワイドボディ、


『いつでも勝てますよ』


と言わんばかりの風貌。


俺は生まれて始めて"負け"を悟った……。

"諦めたらそこで試合終了ですヨ"なる言葉も

この世界線での首都高のルール。オービスが近付いたらバトルは終わり。

変な顔なんてするな。


いい顔しとけ。


ルーレットなんてもっての他だ。悪いことをしているのに目立ってどうする。



勝負はスパッと短期間。バレないうちに終わらせるものだ……。



RX-8に乗る前、ポルシェ(48馬力)に乗っていた時の俺はそれがわからず、暴走した挙げ句壁に激突するという悲しく残酷な運命を辿った………。





さらばだ…EK9…。また会おう。



俺はゆっくりとRX-8のアクセルを抜いた。




今後幾度となくこのEK9と会うことになるとはこの時の俺は知る余地も無かった……。



俺は首都高を降り、最寄りのドンキに行きのれんの向こうのアレを買ったついでにLEDテープを5枚ほど購入した。


そして早速駐車場で取り付け。


室内が紫色に怪しく光るベロシティマイカのRX-8。なんて麗しいんだ。

この車の初バトルが黒星になったのは少々痛いが、得れたものはそれ以上かもしれない……。




エイト、改めてになるけど……





よろしくな!!

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