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恒心文庫:桜の季節

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

春は桜の季節である。
温室栽培や、地球温暖化など、季節感を狂わせる要因は多い。
しかし、競馬の名実況として知られる「菊の季節に桜が満開!」ということはないのである。
もちろん、その逆もしかり。桜の季節に菊が満開になることもない。

そんなことを考えながら虎ノ門周辺を歩いていると、なんと菊が咲いていた。
見た目は四つん這いになった全裸の男である。
手足には錘がつけられ、動けないようになっている。
背中には「菊 ご自由にお使いください」とマジックで大書されていた。
その菊の花からは、まるで昆虫を誘う蜜のように、誰かの肉茎から放出された跡が半乾きになっていた。

ご自由にお使いください、とあったので、その菊を仰向けにした。
髭を生やした男で、片方の乳首には弁護士バッジがはめられており、もう片方の乳首ははちきれんばかりに勃起していた。
一方、彼の肉茎は勃起していない。
そして、植えた者が気を遣ったのか、花のまわりに穴が開いているゴムのパンツを履いていたのである。
口には猿轡がされており、時々呻き声を出していた。
目は開いていたが、どこか焦点があっていない。
このシチュエーションに興奮しているかのようであった。

そこまで確認したところで、花を元通りの四つん這いに戻した。
他人が使った菊花をもう一度使うのも気が引ける。
ではどうするか。
草花に必要なのは、例えば日光、水分、栄養分であり、栄養分は窒素化合物のことが多い。
そこで、この菊に、水分と窒素化合物を与えることにした。
マナーは良くないが、植物のためである。
私は気持ちよく菊の花に向けて放尿し、今年の桜はいつ満開になるのだろうかと考えながらその場を去った。
狂い咲きする菊もあるが、やはり春は桜の季節である。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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