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恒心文庫:司法取引

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「おい紫芋、風呂だぞ」
看守が独居房の扉を開け、髭面の男を外に連れ出す。
この男は恒心教の前身団体の元指導者であったが、ひょんとしたことからサティアンの隠し部屋でプルプル震えていたところ捕まり終身死刑囚となってしまったのであった。
死刑囚には本来風呂に入る権利はなく、週に一度のシャワーだけが身体を洗う機会であるのだがこの男の場合は例外が認められていた。
詳しくは後述するがいわゆる司法取引というものである。
しかしながら、社会的影響も鑑みて死刑を免除するということはできないので、死刑を執行しないという選択肢がとられていた。
死刑が執行されない代わりの条件、それが週に一度のお風呂入浴タイムである。
「当職は東京拘置所では脱糞ガイジとして振る舞っております」
と豪語してはばからないように、紫芋はところかまわず、とはいっても独居房のなかだけではあるが、
とにかく「うんこしたくなってきたな」と思うと躊躇なくその場にぶちまけ、自分がひり出した汚物の上をごろごろするので全身チョコレートペーストまみれであった。
紫芋が裸になり湯船に浸かると、うんこが体から離れ水中を漂う。その光景は、市民プールの水位が低く子どもたちがたくさん遊んでいる箇所のそれを思い出させる。
しばらくつかると湯船から上がり、シャワーを浴びて体を拭き、紫芋の代名詞、あのやたらとテカテカした趣味の悪いポンチョみたいのを着て独居房へと戻っていく。
このポンチョもどきは一週間後には例によってうんこまみれになるのだが、替えが何着もあるのでクリーニングに出して回しているのだという。
さて、本題はここからである。
紫芋の浸かった湯船のお湯はそのまま、某世界的ファストフードチェーンの食品工場へと運ばれていく。
長年の不摂生がたたり糖尿病を患った紫芋からはちょうどよい甘みの汗が排出され、それを含んだお湯はまさに絶品なのだという。
お湯の絶妙な甘さに目をつけた政府高官が各国企業に売り込みをかけ、手を上げたのがあのファストフード店なのである。
政府は外貨を獲得する代わりとして、紫芋に司法取引を持ちかけたということだ。
この紫芋の風呂の残り湯、通称ミラクルポンドを原料とした飲み物の開発が行われているが残念ながらまだ完成はしていない。
政府は今、紫芋のにが甘ドロドロ精液にも目をつけ、これも何かに使えないかと頭をひねっている。
例えば、ミラクルポンドに紫芋の精液を足せば、シェイクになるのではないかというように。

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