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恒心文庫:厚史「兄さん、根の詰めすぎじゃないかな。」

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「お茶が入ったよ」
(ああ、うっかり眠ってしまっていたのか)
小さな事務所にお茶の香りが広がる。
兄弟二人で働き、貯金をし、やっとの思いで借りた事務所だ。
「ありがとう、優秀な弟を持つと仕事が多くて嬉しいナリよ」
「兄さんの方がずっと優秀な癖に」
ぽっちゃりとした自分と違い少し華奢な弟が笑う。
その姿は若い雪のようで、父いわく昔の母さんに似ている、だそうだ。
「さて、父さんに頑張ってるって所を見せる為にもう一仕事ナリね」
「ああ、頑張ろう、兄さん」
恒心会計士事務所の夜は遅い、仕事も山盛りだ。

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