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恒心文庫:ヒトとの出会いで顔射

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「なんじゃ貴洋、こんな夜更けに」
「なりッ」ブスー
貴洋は後ろ手に隠し持っていた出刃包丁を、父の背中に突き入れた。振り向きかけていた父の目が驚愕に開かれ、顔が固まる。アヒル口が何かを言おうとヒクついているが、何も口にすることがない。まるで感じ入るかの様に、浅い呼吸を繰り返している。
貴洋は背骨と左肩甲骨の間に差し込んだ凶器をグリグリとひねりながら、父の姿を舐めるように眺めた。先ほどまで、専門書に目を通していた父。当職には内容がさっぱり分からない、分かろうともしないそれを読むことは、父の趣味であった。
何かしたいことがあったに違いない。この年になっても父はまだまだ生きることに貪欲なのだ。元々、父は自分の理想に対して、妥協を許せないタチなのだ。いつでも精力的に働き、止まることをしらない父は当職の誇りである。同時に、苦手なものであった。
妥協に妥協を重ねた当職にとって、父の姿はひどく輝かしく、自分の怠惰さを際立たせている様に感じるのだ。
だから当職はここにいる。
凶器をひねり続ける当職の腕を、父は止めようと腕を伸ばした。しかし届かず、当職の腰にすがりつく様に父は床へと転げ落ちる。当職の足元で輪郭を震わせる父。やがて父は普段の力強さを感じさせない震えた声で、こぼし始めた。
弱々しく、しかし口早に繰り返されるそれは、ありとあらゆる罵倒であった。はやく殺せばよかった。健常者として育てるべきではなかった。犯罪をもみ消すべきではなかった。そもそも産ませるべきではなかった。貴洋をひたすら否定する言葉はどれも、父の憎しみが絡みついて響いていた。
貴洋は悲しくなったが、しかしひどく興奮した。素晴らしい会計士であろう。素晴らしい人間であろう。素晴らしい父であろう。そうして自分を律してきた人物の、紛れもない本心が今この時にとめどなく溢れ出しているのだ。
やっぱり"開示"はたまらないナリね
ひどく興奮した当職は、意識する間も無く射精した。足元にすがりつく父の顔に、白い粘液が幾筋にも跳ねる。
ヒトとの出会いで顔射。

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