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恒心文庫:チンチロリン

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

分娩台に縛り付けられた男の局部から赤子が産声をあげた。
オレンジの裸電球がその光景を薄暗く照らしていた。
三人の男が競うように赤子を取り上げ、赤子の右手、左手、股間を順に目で追った。
「2-3-1のヒフミで負け、山岡くんにはこの前のペットの処理を任せたナリよ」
太った男が言う。
親番を踏んだ彼は先々の出産で3-3-0を出し、出目の合計数では同じ六と並んでいた。
しかし彼にとっては運のいいとこに、出目が1-2-3は役目として無条件で敗北という取り決めが存在していた。
「最近の中学生はでかいですよね」
7-3-1で大勝した男が言う。
「俺が代わってやってもいいですよ、身内に医者がいますから」
彼は言いつつ、生まれたての子供の足を縛って天井から逆さに吊るした。
何人となく並んだそれは、指の欠けた手を振り回して部屋中に響く声で休みなく鳴き喚いていた。
靄ができるほどの熱気でおぼろになったそれは、洞窟の蝙蝠が間断なく合唱しているかのように見えた。
「僕がやります」
大敗した男が言う。
「ご主人様には女の子に触れて欲しくないんです」
太った男は思わず噴き出した。
「お前がそういうなら」
"ご主人様"は先ほどの提案を取り下げ、太った男の方に目線を向けた
「先輩の方も頼みましたよ」
男はうめいた。好みの画家の一日レイプ券に釣られて実家の墓を賭けの対象にしてしまったのだ。
勝てばいいつもりだったが、先祖の墓に向かって裸で脱糞する姿をカメラに収められることは
今後どうあっても映像の持ち主に歯向かえないという事実を示していた。
「夜は長いナリ、次の勝負で挽回して脱糞もレイプ券も取り返すナリ」
ひとりごちて分娩台を見やると、また新たな命が誕生しようとしていた。

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