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恒心文庫:カラコロ

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

名家と言われる唐澤家には、或る仕来たりがあった。
それは息子が二人共16歳を過ぎた時
互いを殺しあって勝った者が後を継げる”カラコロ”という儀式だ。
唐澤家の跡継ぎになって得るものは
遺産、地位、権力、コネクション、得られる利潤は計り知れない。

早速真面目な弟アツシは戦いを申し込んだ。
「兄さん、僕カラコロしたい 今日の夜・・・なんてどう?」
気弱で卑怯な兄、タカヒロは急な誘いにたじろぐ。
「今日ナリか?!そそそそそんなのダメナリ!
 当職は今日見たいアイドル番組があるナリ!」

体格も頭脳も自分より上のアツシにタカヒロが敵う筈はない。
タカヒロはその晩、布団を被り考えた。

兎に角、弟が死んでも当職が助かればどうでもいいナリ。
どんな汚い手を使ってでも”カラコロ”に勝ちたい、と。
するといきなり布団から這い出して一心不乱に電話を掛け始めた。
「・・・・ナリ、・・・・で・・・・・ナリ」

翌日の朝タカヒロはほくそ笑みながらアツシに話しかけた。
「アツシ、提案があるナリ。
 今日の夜、”カラコロ”がある多摩川の河川敷に下見に行かないナリか?
 年下というハンデがあるアツシにフェアな戦いをしてほしくてね、現場の地理を確認させたいナリ。」
「兄さん・・・、だから昨日”カラコロ”を断ったんだね。
 僕のことを気遣ってくれてありがとう。」

日も暮れはじめ二人は多摩川へ到着した。
その日は豪雨で多摩川もかなり増水していた。
二人は傘も差さず、神妙な面持ちで淡々と歩く。
二人の服はずぶ濡れで歩くたびビシャ、ビシャと水音が弾く。

沈黙を破るかのように、ふとタカヒロが声を発した。
「当職、喉が渇いたナリ。
 コンビニでオランジーナを買ってくるよ。」
「わかったよ、兄さん」

数分後
「にい・・・さん・・・?」
なんとアツシの目の前にはタカヒロではなく地元で有名な不良グループが立っていたのだ。
不良たちの後ろにタカヒロは居た。
「アツシ、お別れナリよ!!!!!!!!!!!!!!」
「お前ら殺っちまえナリ!!!!!!」
バキッ、ガツッ、ゴリッ
鈍い音が絶え間なく聴こえた後、”アツシ”という名前だった無残な肉塊がそこに在った。

タカヒロは洋の書斎をガラリと開け
オランジーナを飲み干し言った。
「洋、”カラコロ”勝ったナリよ。」

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