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恒心文庫:オフィスわらし

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

当職は弁護士唐澤貴洋弁護士、押しも押されもせぬ有能弁護士だ。
当職は有能であるが故に私は夜遅くまで仕事が舞い込んでいつも夜遅くまで仕事をしている。
ある日はコピーをまっすぐ撮るために四苦八苦し、またある時は裁判のための資料を準備する。やれやれ、有能というものも考えものである。
ある熱帯夜の日、当職が深夜まで業務をしていると。誰もいないなずのオフィスでクスクスと笑い声が聞こえた気がした、なんだ?またなんかの集団の悪戯か?国営セコムを呼ぶべきか?それとも気のせいか?そう考えながら仕事をしているとやはりどこからともなくクスクスと子共の笑い声と走り回る足音がする、子共は体重を全部足に乗せて歩くので足音が響く。
どこかの子共が入り込んだのだろうか
女児か男児かで対応を変えねばならない、急いで捕獲しなければ。当職が重い腰を上げようとした時、視界の端に子共がかけていく姿を捉えた、しかしそこは行き止まりだ。
当職は子共を追い詰める、しかしつきたありに子共の影はなかった。
また子共がクスクスと笑いながら駆けていく
「ささのはに うつやあられのたしだしに」
なんだ?こいつは何を言ってるんだ?
ガキをおいかけるが姿が見えない、声だけが聞こえる
「いねてむあとはひとはかゆとも」
かゆとも?訳のわからないことを、当職は少し苛立ちを覚えた、怒鳴りつけてやった。
しかしガキはクスクスと笑いながら訳のわからない短歌を姿をくらましたまま、また口にする。
「別るれど うれしくもあるか 今宵より あひ見ぬ先に 何を恋ひまし」
薄気味悪いガキだ、とっ捕まえてお灸を据えるのは中止して当職は事務所を後にした
クソガキは事務所の中だ、閉じ込めたとて死にはしないだろう。
翌日、事務所を訪れると昨日のままで何一つ手がついていなかった。
窓も開いていない、一体あのガキはどこから逃げたのだろうか。なるほどこれが幽霊なのかと管理人を問いただすと、このビルにはオフィスわらしなる
童のもののけが現れるという話を聞いた。
当職はゴネまくり結局家賃1ヶ月分払わず、寧ろ引越し代をもらい、三田の事務所に引っ越すことにした。
まったく、座敷童の類なら当職に幸運をもたらしてもバチは当たらないはずだとガリガリくんを齧りながらぼんやりと考えていたところ
またどこからかクスクスと笑う声が聞こえてきた気がした。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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