恒心文庫:ぶっかけ汁だく素材集 おてがるお試し版
本文
―東京都新宿区・弁天町某マンションの一室
薄暗い部屋の中、椅子に座った一人の男がパソコンの画面に釘付けになっていた
画面に映るは妖艶な女性の喘ぐ姿、肌にうっすら汗を滴らせながら腰を振り、その股ぐらにはがっちがちに硬くなった魔羅が咥えられていた
画面を見つめる彼も、男優のそれと比べると頼りない珍宝を握りしめながら女優が腰を振る動きに合わせてしごいていた
女優がその身を激しく揺らし、やがて絶頂するのが見えてきたと同時に男は椅子の上に乗り出し画面にその矛先を向けた
画面でまぐわう男女が果てると同時に男も口をぱくぱくさせながら精を放出する
脳が真っ白になり、身体が震えるごとにその精はびゅる、びゅると吐き出される
力なくうなだれる女性の映る画面が彼の滴る精液で白く汚れる
それを見た瞬間一時停止をかけて今度は目にも留まらぬ早さで魔羅をしごき始めた!
息遣いも荒くなり、汗とよだれ、魔羅から溢れ出す我慢汁がだらしなく床や椅子に垂れていく
まるでさっきまでのシゴきが遊びであるかのように目を血走らせ、イチモツを扱く
そう、彼は病的なレベルでぶっかけが大好きで、勉強する間も惜しんでこうして毎日AVを見つつ画面にぶっかけてはそれをオカズに興奮するのであった
男の身体が仰け反ると同時に股から水鉄砲のように精液が発射され、ビシャリと画面にへばりつく
よく見るとその画面は水滴の汚れが残っており、かなり黄ばんでいた
ちなみに風俗などのリアルで女性にぶっかけられる所は彼が底なしの陰キャであるため行きたくないらしい
事を終えると下着を履き直し、汚れた画面のままもう一つの日課であるWikipedia編集に勤しむ
男の名は石渡貴洋
後にとある集団におもちゃにされる男の知られざる行動を追ってみようと思う
ある日の昼下がり
親の心付けで将来が約束されていた石渡は大学にも行かず今日も猿のように魔羅を扱き、日課のぶっかけオナニーを行った
お小遣いも人並み以上に与えられているためオカズには困らなかった
しかし今日に限っては吐き出す精も心なしか少なく、一回画面にぶっかけただけで事を終えてしまった
彼の中の二大双璧である鉄板オカズの一人、熟女AV女優の長瀬涼子も彼の股間には響かなかった
もう一つのVRの天使である音市美音を使っても同じ結果が見えてるからか諦めてWikipedia編集に勤しむ
しばらくして休憩がてら新しいオカズを探そうと某ダウンロード販売サイトを巡っていると一つの商品が目に止まった
“ぶっかけ汁だく素材集 おてがるお試し版”
概要を見るとどうやらありとあらゆる精液の出し方・垂れ方の映った合成用透過PNG素材の詰め合わせ、いわゆる精液自作モノらしい
これを見て彼が今日いまいち勃たない理由がわかった
実はずっと前からぶっかける精液の量が足りていなかったのだ
これは性機能が低下してるとかそういうものではなく、ただ身体の周期が精の出にくいようになってるだけなのだがそれが厄介だった
実は無意識に買って服用していた亜鉛のサプリメント・料理するわけでもないのに買った片栗粉・木工用ボンド
どれも試したが納得のいく結果には及ばなかった
それでもギリギリぶっかけオナニーを続けられたがもう限界が近づいていた
藁にもすがる気持ちで購入ボタンを押しダウンロードされるのを待つが容量の割には要する時間が妙に多いのだ
40.298MBしかないそれが2〜3時間も要するのを不思議に思った石渡であったが次第に気にしなくなり今度はYahoo知恵袋でクソみたいな質問をクソ真面目に投稿し始めた
しばらくするとダウンロードバーが100%まで貯まる
急いで解凍するもフォルダの中に入っていたのは一つのテキストファイル
そこには「お買い上げありがとうございます!たっぷり楽しんでくださいね❤」の一文が添えられているだけ
騙された!と頭に血が上った彼がクレームと返金申請を行おうとベトベトのキーボードに触れた瞬間チャイムが鳴る
苛つきを抑えられぬまま足音を強く立てて玄関へと向かう
チェーンのついたドアを開くとずんぐりとした男が見えた、と同時にドアの向こうの男がチェーンの金具を引きちぎる勢いでドアをこじ開けた!
流石に石渡も恐怖心が勝ったのか青ざめた顔で床にうずくまるも、ふと顔を見上げると見覚えのある姿が見えた
「本日はお買い上げありがとうございます。当職、汁だく提供者の唐澤と申します。」
バラエティで見たことのあるふくよかででっぷりとした、ふてぶてしい面構えの弁護士が今目の前にいる
何故このような行為を及ぶに至ったのか、ありとあらゆる疑問を投げかけたかったが陰キャの彼はどもって何も言い出せずにいた
すると唐澤が「こっちナリね」と勝手に部屋の奥へと向かっていく
パソコンのある部屋にたどり着くと唐澤がスーツケースから透明な保護フィルムを取り出し、画面に貼って勝手に石渡の動画ライブラリを探し始めた
しかしため息をつくと「なんで当職の好きなロリドル無修正がないのか」と営業用のナリ口調も忘れ石渡に文句をつけはじめた
すると勝手に他人のパソコンで某ファイル共有ソフトを開きアウロリ動画を落とし始めたではないか!
流石の石渡もキレて以前画面に垂らした木工用ボンドを剥がすのに使ったカッターナイフで唐澤を刺すも肉の厚みでポキンと折れてしまう
それを意にも介さず唐澤は動画を解凍し再生し始めると、ピッチピチのスーツのスラックスごと下着を脱ぎ皮を被った悪臭のキツイ息子を出した
流石に呆れ果てたのか黙って見ることにした石渡だったがしばらくして唐澤の行為に驚くことになる
それが魔羅なのかどうかもわからない出っ張りにぎりぎり届く手を添えて、軽く扱くと恍惚の表情を浮かべながらまるで濁流のように精液を放射したではないか!
(ドピュドピュドピュビュルルルルルル!!!!!!ビュルルルビュビュビュリュリュリュリュビュルルウルビュビュビュビュゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)
まるでエロ漫画の世界にでも来たかのような精液の量と本来ありえない発射音に度肝を抜かれた石渡を尻目にいつの間に現れた別の男が台車にスキャナーを載せてやってきた
電源を繋ぐと画面のフィルムを剥がしてスキャンにかけた
「原田くん、今回は何コースだ?」
「お試し版と言ったじゃないですか。あと2枚、“かける”はもうやったので“とばす”と“たれる”です。」
会話の内容が頭に入ってこない
石渡が呆然としてる間にも唐澤がもう一枚、今度は“とばす”を仕上げて原田がスキャンする
肝心の動画の方は早漏な唐澤に合わせて射精直前まで飛ばして再生していたがもはやそんなのは関係なかった
ふと最後の1枚を持つとこっちに向き直ってきた
疑問に思ったのが表情に出たのかすかさず原田が口を開く
「石渡さん、最後の“たれる”はお客様にも協力していただくことになります。“たれる”は一点に集中した精液を垂らすという仕様上通常のぶっかけでは……」
協力ならお前のロリ動画を落としてやっただろと強く言いたかったが言い出せずにどもる中、話が終わったのか石渡の顔に保護フィルムが貼られた!
苦しい!フィルムが張り付いて息ができないところに、さっきまで扱かれてた短小のペニスがあてがわれる
すると石渡の頭を掴み、フィルム越しに舐めるよう強要しはじめた
唐澤はかつて精通が済んでない頃、父・洋の口でやさしく舐められて出した経験があった
流石にいい年(41)なので父に舐められて出すという行為が恥ずかしくてできず、しばき隊と共にアナルをしばいていた
しかしあの頃の感触が忘れられず、こういう形であらゆる人にフィルム越しフェラをさせることで性欲を満たしていたのだ
石渡は白目を剥きながらフィルムを突き破ろうと舌を押し当て舐め回す
当然フィルムは破れないが唐澤が吐息を漏らしながら表情を歪めるあたり相当気持ちいいのだろう
思わず唐澤が腰を振り始める
顔を青ざめた状態で腹肉と太もものダブルパンチが脳を揺らす
吐瀉物を出そうとするも口と鼻両方が塞がれているのでどうしようもなく苦しい
幸いなのがそのペニスの匂いがフィルムで届かないところだろうか
かすかな意識が舌を動かそうという行動を起こし、唐澤のペニスを舐める
腰の動きが早くなる
脳が唐澤の肉壁でシェイクされて意識が所々途切れる
フィルムを剥がそうとするも原田が腕を後ろ手に縛り付けたことでそれも叶わなかった
涙で視界がにじむ
しかしその向こうに見えたのは、かつてぶっかけオナニーのときに画面の反射で見えた自分の顔そのものだった
死の直前の幻覚か?そう思ったが彼はおぼろげな意識の中答えを見出してた
こいつ、俺と同じ――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」(ビュルッ!)
先の二枚で出しすぎたこともあってか唐澤は絶叫に比べて常識的な量の精液を出すとフィルムを剥がし、口でできたくぼみに溜まった精液を垂らしてスキャナーにかけた
スキャナーの画像ファイル3枚を石渡のパソコンに移すと唐澤たちは挨拶もせずそそくさと帰ってしまった
ようやく息ができると喉をぜいぜい鳴らしながら呼吸をした
この時味わった臨死体験と、唐澤が自分と同じ準備運動オナニーをする“同類”だという充実感が彼の人生観を色づけることになった
それからというもの、彼のYahoo知恵袋の質問にやたらと死という単語が現れるようになった
普通の人なら誰でもたどり着く「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問
それはけして疑問に思ってるのではなく、自分が死を味わったという一種のマウントだった
それと突如Wikipediaに書かれた「唐澤貴洋(汁だく提供者)」の記事
Wikipedianは過去規制した記事の保護逃れとして彼を糾弾した
しかしこれは石渡なりの尊敬の念を込めた事実の記述であったことは、二人の貴洋しか知らないのであった
そして今日も石渡は“同類”の置いて行ったぶっかけ素材を使ってオナニーをするのであった
その後石渡貴洋はサジェストを操作された報復を行った教徒の手によって住所やAVの購入履歴を晒されてそれが原因で親に勘当され
唐澤貴洋は石渡の書いた「唐澤貴洋(汁だく提供者)」の記事がトップに来てしまったせいで本業の弁護士風被害者ビジネスが成り立たなくなり無事二人とも死亡した