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恒心文庫:ひろしば

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「ねえ知ってる?」
テレビの画面でひろしの顔が言う。
「おまえはわしの尻穴から産まれたんじゃよ」
甲高い声が若干のノイズを纏いながら響く。
暗い部屋、テレビに向かって置かれた椅子で、たかひろはもたれるように深く腰掛けていた。
それで、こともなげに返した。
「知ってるナリよ」
動揺したのはひろしである。「えっ?えっ?」とノイズまじりに困惑し、事実、画面にはノイズを走らせてうめく。
それを横目にたかひろはサッと立ち上がるとテレビの後ろ、薄型液晶の背面から突き出た肉厚の体の特に肉の詰まった尻を無造作に掴んでこねくり回す。弄ばれはち切れんばかりに揺れ動く果実、その寄れた尻たぶの間から時折覗く尻穴が息をするかのようにヒクついている。たかひろは数瞬の間その褐色のすぼまりを慈しむように観察すると、しばらくして暗がりで硬く揺れ動くそれに目をやった。
チンポである。自分の股間にあるのと同じような形をした、しかし自分のより若干丈が短くカサの広いチンポである。
「・・・・・・」
たかひろは手慣れたように自分のチンポに手をやるとひろしのすぼまりへと押しつけた。少しの抵抗感の後の、ぬめるような暑さ。いつも通りの安心感とほのかな郷愁。
そう、知ってるのだ。当職はひろしの腸壁の腹側を擦りながら、リズムよく音を立てるケツメドのメロディを聞きながら、どこか胸焼けするような焦燥に身を焦がす。当職は知り尽くしてしまっていることに安心感を得ながら、しかし尽きない苦しみに体を突き動かされていた。
当職はいつになったら親離れできるのだろう。脱糞する当職。すねをかじる当職。どこに行っても馬鹿にされる当職。そして偉大な父。
脱糞したって父は食べて許してくれた。
すねをかじっても父は笑顔で許してくれた。
どこにいっても父が道を用意してくれた。
当職は父の後をついていくだけで良かった。転んで泣いていても父が戻ってきて手を差しのばしてくれた。勉強して知識はついたけれども知恵はつかなかった。一人じゃ何もできない。今だって父の尻穴を借りて腰を振り、腸壁へ向かって精を放っている。
当職だって、大人になりたい。ひろしみたいな、素敵な大人になりたい。
唐突にそう思った当職は、いてもたってもいられず虚空に揺れるひろしのチンポ、その脈打つ竿に指をからませると自分の尻穴へとぶちこんだ。
「たったかひろ」
突如亀頭を包んだ感覚にひろしが驚愕の声をあげる。いつもの尻穴オナニーのルーティンから、たかひろが初めて外れたのだから。
「と、とうしょくだって、パパを気持ちよくするナリっ」
たかひろは上ずった声で喘ぎながら、ぎこちなく腰を振って答える。それはあまりに幼く、しかし確かな自我の芽生えでもあった。
ひろしは気づいた。私は与えているだけで、何もこの子に求めてこなかった。ただ、それは間違いだった。この子はこんなにも立派に、対等な男として見てもらいたかったのだ。そう思った途端、さとい腰振りが、キチキチに締めつけてくるたかひろのアナルが、滝のような汗をながすふくよかな愛らしい顔が、全てがひろしに強い衝動となって容赦なくふりかかった。強い歓喜がひろしの体を打ちつけ、刺激となって神経を焼いていく。
「しらない!!こんなのしらない!!」
もはや声にならない絶叫をあげながら、どちらともなく腰を振る。アナログからデジタルへ。濃密な音を立てて出し入れされる二本のペニスで親子の気持ちが行き交う。そこには一方通行ではない、確かな親子の交流があった。

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