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恒心文庫:ただ狂おしく咲く石榴の花

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

かって嬉しい花一匁。
負けて悔しい花一匁。
あの子が欲しい。
あの子じゃ分からん。
相談しましょう。
そうしましょう。

これほど嬉しい日はない。
なんと美しい花だろうか。
これが今日から私のものとなるのだ。
家に花を持ち帰り、水を与える。
水を与えるごとに花は美しさを増し輝き続ける。
花は成長し実をつけ始めていた。

私はその実を食む。
なんと極上の品であろう。
これほどまでに甘美なものが今まであっただろうか。
思わず興奮してしまう。
もっと綺麗にしたい。水を沢山与える。

咲いている美しい花。
実を口一杯に頬張り咀嚼し、そして飲み込む。
もうこれ以上水を与えたところで意味はないかも知れないが、それでも水を与えずにはいられない。
全て食べてしまうのはもったいないがせめて味わいながら。
狂おしく咲く一輪の花。

この作品について

柘榴は鬼子母神の伝説から「人肉の味がする」という俗説がある。詳細はこちら(外部リンク)

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