恒心文庫:それいけ爆乳ジジイ
本文
唐澤貴洋はぼんやりとしていた。何にも視点を合わせること無く、ただ自分の息遣いを聞いていた。
唐澤洋の元を飛び出してきたはいいものの、何を見つけたわけでもなく、何を見つけたいわけでもなかった。
白く、柔らかい地平。その一点に、貴洋は身を横たえていた。地面はまるで脈打つかの様に波打ち、貴洋の輪郭へとやわく吸いつくとやがて離れていく。貴洋は夢心地であった。絶えず白い大海原で船を漕いでいた。
気の向くままに揺られて数刻。寝疲れからか寝返りを打った貴洋の視界に、何か赤いものが現れた。遥か遠くに小さく見えていたそれは、揺られている内に見る見るその大きさを増し、貴洋の前に来る頃には一つの島となっていた。貴洋はしばし考えると、その端に足を踏み入れた。
その島は綺麗なお椀の形をしていた。まるでゼリーの様に震えるその輪郭、それを構成する柔らかな粒の一つ一つに貴洋はしがみつく。麓は急な角度で貴洋を迎えるが、貴洋は巧みに体をめり込ませ、手慣れた様に登っていく。そして時折、テンポ良く登る自身の横で、何か白い液体が伝っているのを貴洋は見た。それだけではない。貴洋が登る赤みを帯びた壁面、無数に枝分かれした液体の筋がついたり離れたりしながら麓へと流れているのだ。
あの大海原はこうしてできているのかも知れないな。貴洋は感慨深く思いながら、自身の体を押し上げていく。
そして角度が緩やかになり、その頂点を視界に捉えた時、貴洋は驚愕した。それ自身の重量もあってか、自らの輪郭に落ち窪んだ頂点。コンコンと湧き出す白い液体が、溢れ出しては遥か麓へ次々と流れていく。貴洋はその流れ行く一筋を追いかけるようにして舐めとると確信した。
当職は、この場所を知っている。
その閃きに応える様に突如震え出す島。まさかいまだ活火山だったのか。上下左右に震える頭で貴洋は考える。無数に噴き出す白い液体。そのバック、白き地平に何か巨大なものがせり上がって行くのが見える。
白く丸い笑顔。そしてその輪郭から立ち上る陽光の様な揉み上げ。
それは、唐澤洋だった。白き肌よりなお白い揉み上げをたなびかせ、まるで太陽の様に上っていく。
貴洋は甘えん坊さんだなあ。
生温い潮風が、貴洋の耳を震わす。思わず身が震える。貴洋の立つ島。先が落ち窪んだこの場所こそ、幼き貴洋がその口に含んで育ったそれだったのだ。
応える様に震え、飛沫を上げる乳首。
顔を伝う汁に舌を伸ばしながら貴洋は思う。本当の意味で、当職は冒険できないのではないか。今度のパフィーニップルは少し苦い大人の味がした。
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- 初出 - デリュケー それいけ爆乳ジジイ(魚拓)