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恒心文庫:うちの孫六

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

河野一英はごく稀にこんなことを漏らすのだ。うちには孫六がいるのだと。
それを聞きつけた公認会計士である私がその孫六の拝観を申し出た。
しかしなぜ刀である孫六をいる、と称するのだろうか?
刀は魂というので擬人化しているのか?
そう思いつつ河野一英を拝み倒した結果拝観の機会を得ることができた。
一英は後ろめたいものを見せるかの如く
義理の息子の家に招待してくれた。
一英は1人の小太りの男を私の前に召し出した。その男の顔は大福を縦に伸ばし、たわみを下の方に持っていたような、そんな面だった。二重顎のせいで首が見えない。一英は曰くこれが我が一族の孫六だと。
しかしこれは、おそらく人間である。
刀ではない、いったいこれは?ポカンとしていると私の考えを汲んだのか一英から切り出した
この男が私の孫のぜいろくなのだと
無能の愚か者、この年でまだ定職についていないのだと。
孫に向けるとは思えない侮蔑の視線と言葉を投げかける。後継予定の片方は自殺した、死んだの貴洋だと思っていた、しかし残ったのはこの無能なのだと。
私は全てを理解し唐澤家を後にした、金剛孫六の話をするのはやめよう
そう誓った日であった。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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