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恒心文庫:【朗報】当職(15)、はじめて女子からラブレターを貰う

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

下駄箱の中にあったラブレターは洒落た便箋で、女の子特有のかわいい文字で僕への好意が綴られていた。
(体育館の裏に来てください!?行くナリ!!!!!)

告白のときが近づいております。
僕は途中トイレに立ち寄り鏡の前で歪んだネクタイを直し、早足で体育館を目指した。

懸命に高鳴る胸を抑え、平静を装って、体育館の裏へ向かう。

(どんな可愛い子ナリかね?るんるん♪)


「うわ!唐澤貴洋ホントに来やがったwwwwww」
角を曲がると、そこには、いつも僕をいじめる奴らがいた。

彼らは、わざわざネクタイを直して、のこのこやって来た僕を指さし大笑いする。

「お前に告白する女なんているわけねーだろwwwww」
「おい、ネクタイ歪んでねーじゃんwちゃんと歪めとけよ!」
僕は胸ぐらを掴まれ、乱暴にネクタイを歪まされた。
「お前ホント面白いよな(笑)でも死ね(笑)」
そういえばここは男子校だった。


僕の心は打ち砕かれた。
期待が大きかっただけに、絶望も一入だった。
この気持ちをどうしていいか分からなかった。

帰り道、夕闇迫る街で途方に暮れ、気が付くと僕の脚は自宅近くの薄暗い森の方へ歩んでいた。
明日からまた馬鹿にされると思うと、また当職への権利侵害が行われると思うと、
もう生きていけない、死のう。そう思った。

(当職は独りナリ・・・生きていてもいいことなんてないナリ・・・)

遊歩道から外れ誰もいない森の中へ分け入っていく。
薄ら寂しい森の雰囲気も手伝って、いよいよ胸が張り裂けそうに寂しくなってきた。
遊歩道も遠く見えなくなったところで歩みを止め、僕はそのままその場にしゃがみ込んだ。
木々の葉が擦れるざわめきと、虫の声だけの静かな森の中。
するとどこからか、獣のような声なき声が聴こえてくるではないか。
僕は少し恐れをなしたが、木の陰に潜んで、恐る恐る声の方を見遣ると、木々の茂みの中、二人の黒い人影が蠢いている。


「あれ、にいちゃん?おかえりー」

森をかき分け近づくと、その人影は全裸で合体した僕の父と弟の姿だった。

「父さん、ATSUSHI!?こんなところで、ど、どうしたナリか?」
「今日は父さんが早く帰って来たから、たまには気分を変えてみようと思ってさー」パンパンパンパン
「おお、唐澤貴洋じゃないか。今日は遅かったな・・・ああ、見られてりゅ!!興奮すりゅ、興奮すりゅよ…!」モミアゲぶるるッ

僕はその場で立ちつくし、立ちバックで盛り合う父と弟を見つめていた。
このまま死のうと思っていたが、家族の顔を見てしまうと、辛くなる。

(馬鹿なことを考えていたナリ・・・当職が死んだらATSUSHIと洋が泣くナリ)

涙がこぼれそうになるが、ぐっと堪える。

「唐澤貴洋、いつになく浮かない顔だな。どうだ、父さんに相談してみたら・・・あ、でりゅ、でりゅよ!」ビュルル
「せっかくだし、にいちゃんも入りなよー」
「そうだな。三連結と洒落込まんか?」
「…うん、そうするナリ」
僕は制服のズボンを下ろし、既に暖まっている弟の腰に後ろから連結した。


しばらく親子三人で三連結を楽しんでいると、
もうかなり暗くなった遊歩道の向こうから誰かの人影が近づいてくる。
見慣れたボンデージ姿に白いエプロン。僕の母さんだ。

「あなた、ATSUSHI~!夕ご飯が出来たから呼びに来たわよー!あら、唐澤貴洋も一緒だったのね。今日は唐澤貴洋の好きなイカ墨パスタよ」
母はいつものように目を細めて、優しく笑った。

(厚子はやさしいナリ・・・当職の好物を覚えていてくれてるナリ。当職が死んだら厚子も悲しむナリ)

(やっぱり死ぬのはやめるナリ。学校でいじめられても家には温かい家族がいるナリ)

僕には僕を愛してくれる家族がいる。帰る場所がある。
人は人を愛さなければない。親の愛に気付かなければならない。
当職への権利侵害をする彼らもいつか気付く日がくるだろう。
俺は君の20年後を見ている。

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