編集の要約なし
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神田:インターネットのサービスが多様化し,端末も多様化しています。そのためインターネットを使う人の裾野が広がっており,リテラシーのない人が書き込んでいるために,2ちゃんねるだけではなく色々なサイトに権利侵害性のある書き込みをされるようになったというのが流れではないかと思います。<BR><BR> | 神田:インターネットのサービスが多様化し,端末も多様化しています。そのためインターネットを使う人の裾野が広がっており,リテラシーのない人が書き込んでいるために,2ちゃんねるだけではなく色々なサイトに権利侵害性のある書き込みをされるようになったというのが流れではないかと思います。<BR><BR> | ||
清水:我々が2ちゃんねるの削除を始めたのが2009年なんですが,2009年というのはスマホがまだそこまでメジャーではなかったので,書き込みをする人はPC経由なのがほとんどでした。そして,TwitterなどのSNSもまだそこまでメジャーではなく,2ちゃんねるに悪口を書くというのがその当時の主流でした。特に,匿名掲示板では「特定」されないという認識もありました。,そのため2ちゃんねるで誹謗中傷されたから対処したいという依頼は非常に多かった。スマホが増えてからは,私の感覚としてはTwitterがすごく増えたという印象があります。今も2ちゃんねるは当然それなりの量があるのですけども。<BR><BR> | 清水:我々が2ちゃんねるの削除を始めたのが2009年なんですが,2009年というのはスマホがまだそこまでメジャーではなかったので,書き込みをする人はPC経由なのがほとんどでした。そして,TwitterなどのSNSもまだそこまでメジャーではなく,2ちゃんねるに悪口を書くというのがその当時の主流でした。特に,匿名掲示板では「特定」されないという認識もありました。,そのため2ちゃんねるで誹謗中傷されたから対処したいという依頼は非常に多かった。スマホが増えてからは,私の感覚としてはTwitterがすごく増えたという印象があります。今も2ちゃんねるは当然それなりの量があるのですけども。<BR><BR> | ||
神田:サイトの種類が増えているから,いろいろな掲示板,ロコミサイトに書かれるようになっています。 | 神田:サイトの種類が増えているから,いろいろな掲示板,ロコミサイトに書かれるようになっています。 Yahoo!知恵袋の依頼が私はすごく多いですね。<BR><BR> | ||
清水:確かに,知恵袋は以前から多い印象ですね。当初から2ちゃんねると知恵袋が多かった印象があります。<BR><BR> | 清水:確かに,知恵袋は以前から多い印象ですね。当初から2ちゃんねると知恵袋が多かった印象があります。<BR><BR> | ||
神田:したらば掲示板とか。<BR><BR> | 神田:したらば掲示板とか。<BR><BR> | ||
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唐澤:僕自身が受けた誹謗中傷として驚いたのは,検索エンジンのサジェストキーワードに否定的なキーワードを表示させることを目的とした誹謗中傷記事を投稿するものです。<BR><BR> | 唐澤:僕自身が受けた誹謗中傷として驚いたのは,検索エンジンのサジェストキーワードに否定的なキーワードを表示させることを目的とした誹謗中傷記事を投稿するものです。<BR><BR> | ||
中澤:サジェスト汚染。あれキーワード羅列ですよね。あれは確かに新しい類型の。<BR><BR> | 中澤:サジェスト汚染。あれキーワード羅列ですよね。あれは確かに新しい類型の。<BR><BR> | ||
唐澤:例えば,早稲田大学というキーワードを検索エンジンで検索しようとします。そうすると,早稲田大学で何か不祥事を起こした人が直近にいたりすると,その人の名前とかが表示されます。別の例では,ある企業の名前で検索すると,「ブラック」とか,「悪徳」とか否定的な表示がされます。キーワード同士の関連性を検索エンジンの方で把握して,ユーザーが利用しやすくするサービスなんですが,ここに意図的に悪いキーワードを載せようとする人がいる問題です。このように,ただネット上のブログやSNSに誹謗中傷記事を書くというわけではなくGoogleないしYahoo!で提供されているウェブサービスでどう誹謗中傷文言を表示させるかということで,権利侵害を行おうという人がネット上にはいるというところにどう対応していったらいいのでしょうか。<BR><BR> | |||
神田:サジェスト汚染は権利侵害性がないと言われていませんか。<BR><BR> | 神田:サジェスト汚染は権利侵害性がないと言われていませんか。<BR><BR> | ||
中澤:出す文章だと思うんですよね。普通に文章を出すこともできるんですよ。なので,単語の羅列だけだとわからないのですけど,普通に文章みたいなもので出ていたら対処できるのでは。<BR><BR> | 中澤:出す文章だと思うんですよね。普通に文章を出すこともできるんですよ。なので,単語の羅列だけだとわからないのですけど,普通に文章みたいなもので出ていたら対処できるのでは。<BR><BR> | ||
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神田:同じIPアドレスから大量に検索しても1回としかカウントされないのではないかと思います。<BR><BR> | 神田:同じIPアドレスから大量に検索しても1回としかカウントされないのではないかと思います。<BR><BR> | ||
中澤:なので,一応検索エンジン側はIPは管理しているんでしょうね。保存してないだけで。<BR><BR> | 中澤:なので,一応検索エンジン側はIPは管理しているんでしょうね。保存してないだけで。<BR><BR> | ||
清水: | 清水:Yahoo!に対して,サジェスト汚染のためにたくさんアクセスしているIPがあるはずなので,そのうちから顕著にアクセスされているIPを開<BR><BR> | ||
示せよという請求はしたことがあります。ただ,全く無視されました。<BR><BR> | 示せよという請求はしたことがあります。ただ,全く無視されました。<BR><BR> | ||
神田:無視されたというのは,どういうことですか?<BR><BR> | 神田:無視されたというのは,どういうことですか?<BR><BR> | ||
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唐澤:意図的に,キーワードを表示させることができると,それを利用したビジネスというものもあるのですか。<BR><BR> | 唐澤:意図的に,キーワードを表示させることができると,それを利用したビジネスというものもあるのですか。<BR><BR> | ||
中澤:たしか2010年か11年くらいに,例えば「東京千代田区と検索すると法律事務所●●というのを出せますよ」というサービスをやっている業<BR><BR> | 中澤:たしか2010年か11年くらいに,例えば「東京千代田区と検索すると法律事務所●●というのを出せますよ」というサービスをやっている業<BR><BR> | ||
者がありました。それで,集客をしていたのですが,Yahoo!が業者のインデックスを削除してペナルティを課した事件がありましたね。まあ,現在<BR><BR> | |||
もやっている人はいるみたいですね。<BR><BR> | もやっている人はいるみたいですね。<BR><BR> | ||
神田:話は変わりますが,リンクでワンクッションおかれる中傷も最近増えていますね。直接中傷サイトが表示されるのではなく,リンク先に中傷サイトがあるというサイトです。<BR><BR> | 神田:話は変わりますが,リンクでワンクッションおかれる中傷も最近増えていますね。直接中傷サイトが表示されるのではなく,リンク先に中傷サイトがあるというサイトです。<BR><BR> | ||
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神田:Twitterはツイートbotがあるから,誹誘中傷の拡散が楽なのだと思います。ツイートbotでリンクの入った記事をーつ仕込んでおけば,定期<BR><BR> | 神田:Twitterはツイートbotがあるから,誹誘中傷の拡散が楽なのだと思います。ツイートbotでリンクの入った記事をーつ仕込んでおけば,定期<BR><BR> | ||
的にそれをツイートできるので,誹誘中傷サイトヘのリンクを定期的にたくさん増産できるというメリットがあるからではないでしょうか。リンク<BR><BR> | 的にそれをツイートできるので,誹誘中傷サイトヘのリンクを定期的にたくさん増産できるというメリットがあるからではないでしょうか。リンク<BR><BR> | ||
がたくさんあると, | がたくさんあると,Googleは被リンク数で検索上位に上げてしまうという問題があります。<BR><BR> | ||
清水: | 清水:被リンクあまり関係なくしてっていう話ですけどね。最近のGoogleの検索エンジンのアップデートから。<BR><BR> | ||
唐澤:ツイートbotつていうのは,自動投稿システムですね。<BR><BR> | 唐澤:ツイートbotつていうのは,自動投稿システムですね。<BR><BR> | ||
神田:Twitter使っている人であれば知っているのでしょうか。<BR><BR> | 神田:Twitter使っている人であれば知っているのでしょうか。<BR><BR> | ||
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神田:日本には「忘れられる権利」という権利はありません。ただ,非常に,「忘れられる権利」というものがセンセーショナルに語られているので,なんとなく皆さん使っていますが,結局のところ削除M求権なのです,日本には人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権がありますので,欧州のように「忘れられる権利」という慨念を使う必要がありません。<BR><BR> | 神田:日本には「忘れられる権利」という権利はありません。ただ,非常に,「忘れられる権利」というものがセンセーショナルに語られているので,なんとなく皆さん使っていますが,結局のところ削除M求権なのです,日本には人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権がありますので,欧州のように「忘れられる権利」という慨念を使う必要がありません。<BR><BR> | ||
中澤:EUはないんですか?逆に言うと。<BR><BR> | 中澤:EUはないんですか?逆に言うと。<BR><BR> | ||
神田:5月13日のEU司法裁判所の判決<ref>22)検索エンジンであるグーグルを,コントローラー(管理者)として認めた判決。2014年に判決がなされた。</ref> | 神田:5月13日のEU司法裁判所の判決<ref>22)検索エンジンであるグーグルを,コントローラー(管理者)として認めた判決。2014年に判決がなされた。</ref>は,データ保護指令12条Bを根拠にした,個人情報削除請求権が問題になっています。そして,Googleもコントローラーにあたると判断しただけのものです。<BR><BR> | ||
中澤:そうすると,EUでは,個人情報の削除で名誉毀損的なものも削除できるのでしょうか?<BR><BR> | 中澤:そうすると,EUでは,個人情報の削除で名誉毀損的なものも削除できるのでしょうか?<BR><BR> | ||
神田:EU法の専門家によると,各国の法律次第だそうです。今,一般データ保護規則案の審議中で,昨年の秋に議会を通って理事会に行っているけれども理事会の方がまだ議決しないので, | 神田:EU法の専門家によると,各国の法律次第だそうです。今,一般データ保護規則案の審議中で,昨年の秋に議会を通って理事会に行っているけれども理事会の方がまだ議決しないので,データ保護規則がまだ動いていないそうです。このデータ保護規則17条が動いてない段階で,EU司法裁判所が「忘れられる権利」と書いたために,Googleに対して削除請求するのが「忘れられる権利」なのだという風潮になり,日本でも大変話題が盛り上がっているという状況ですよね。<BR><BR> | ||
唐澤:あのEUの裁判の対象になっていた情報は?<BR><BR> | 唐澤:あのEUの裁判の対象になっていた情報は?<BR><BR> | ||
神田:過去のプライバシーですよね。 日本法で言えば。<BR><BR> | 神田:過去のプライバシーですよね。 日本法で言えば。<BR><BR> | ||
清水:その関係で,Googleに対する仮処分がありますよね。<BR><BR> | |||
神田: | 神田:Googleに対する検索結果の削除仮処分ですね。従来の日本における人格権に基づく削除請求権は,コンテンツプロバイダに対しては普通に認められてきた。それにもかかわらず,なぜGoogleにだけ認められないのだろうということで,Googleも全く同じように人格権に基づく削除請求権を主張し,Googleはサイト管理者であり,条理上の削除義務が生じるという,例えばYahoo!知恵袋に削除請求を出すのと同じ書き方をして申立てをしたら認められた,ということです。<BR><BR> | ||
中澤:あの決定は検索エンジンの特権をはく奪した決定だと理解しています。これが実態に近い理解ではないでしょうか。<BR><BR> | 中澤:あの決定は検索エンジンの特権をはく奪した決定だと理解しています。これが実態に近い理解ではないでしょうか。<BR><BR> | ||
神田:忘れられる権利というのは別に特殊なものでもなんでもなく,これまで日本になかったものがいきなりセンセーショナルに登場したというものではないのですが,この分野に人の目を向けさせるには良いキーワードだと思います。いい広告塔になっていますね。「忘れられる権利」という言葉は。<BR><BR> | 神田:忘れられる権利というのは別に特殊なものでもなんでもなく,これまで日本になかったものがいきなりセンセーショナルに登場したというものではないのですが,この分野に人の目を向けさせるには良いキーワードだと思います。いい広告塔になっていますね。「忘れられる権利」という言葉は。<BR><BR> | ||
506行目: | 506行目: | ||
中澤:メールアドレスで検索したら普通にウェブで公開されていて相手が判明するケ-スもありますね。<BR><BR> | 中澤:メールアドレスで検索したら普通にウェブで公開されていて相手が判明するケ-スもありますね。<BR><BR> | ||
唐澤:契約者は一人ですが利用者が複数いるようなケースで,複数のメールアドレスが出てきたということがありました。誰が利用者であるかということを探知するのに電子メールアドレスはプラスになるのかなと考えはいます。<BR><BR> | 唐澤:契約者は一人ですが利用者が複数いるようなケースで,複数のメールアドレスが出てきたということがありました。誰が利用者であるかということを探知するのに電子メールアドレスはプラスになるのかなと考えはいます。<BR><BR> | ||
神田:サーバ契約書に対して開示請求訴訟をすると出てくるのはGmailだったりYahoo!メールだったりすることも多いので,その場合はあまり利用できません。<BR><BR> | |||
中澤:携帯電話の場合だと結構使いませんか?携帯電話ですと契約者と使使用者が異なるケースも多いですが開示されるメールアドレスは本当に使っている人のアドレスですから。<BR><BR> | 中澤:携帯電話の場合だと結構使いませんか?携帯電話ですと契約者と使使用者が異なるケースも多いですが開示されるメールアドレスは本当に使っている人のアドレスですから。<BR><BR> | ||
神田:プロバイダが何佃も入っていると開示の手続が大変ですよね。<BR><BR> | 神田:プロバイダが何佃も入っていると開示の手続が大変ですよね。<BR><BR> | ||
619行目: | 619行目: | ||
中澤:分かっていますよね,魚拓とる人たちも。対処方法が無いわけではありませんが。<BR><BR> | 中澤:分かっていますよね,魚拓とる人たちも。対処方法が無いわけではありませんが。<BR><BR> | ||
清水:検索から排除するということですね。<BR><BR> | 清水:検索から排除するということですね。<BR><BR> | ||
神田:サーバが東欧で,プライバシープロテクト<ref>30)匿名性を担保するサービス。</ref> | 神田:サーバが東欧で,プライバシープロテクト<ref>30)匿名性を担保するサービス。</ref>がパナマといった事案もありますね。もうGoogleから検索結果の削除,という方法しか残りませんよね。書いた人も特定できませんし。刑事の国際犯罪条約でも,なかなかうまくいかないのに。民事の国際条約は難しいですよね。<BR><BR> | ||
清水:そもそも,開示請求ができるというのは結構独特な日本独自の制度らしく,他の国にほとんど無いらしいです。基本的には開示しない,警察が来た場合のみ開示するというのが多くの国での基本的スタンスのようです。ただ,アメリカだとディスカバリーという証拠調べの制度があり,それに基づいて開示ができるようです。<BR><BR> | 清水:そもそも,開示請求ができるというのは結構独特な日本独自の制度らしく,他の国にほとんど無いらしいです。基本的には開示しない,警察が来た場合のみ開示するというのが多くの国での基本的スタンスのようです。ただ,アメリカだとディスカバリーという証拠調べの制度があり,それに基づいて開示ができるようです。<BR><BR> | ||
神田:アメリカのディスカバリー制度は使ったことありますか?<BR><BR> | 神田:アメリカのディスカバリー制度は使ったことありますか?<BR><BR> |