恒心文庫:50代になっても元気な阿部通子

本文

50代になった阿部通子には思うところがあった。
日本人女性だと平均して50代前半には閉経してしまうという厳しい事実を知ってしまったのである。
閉経とは卵巣の機能が消失し、月経が完全に止まった状態、即ちセックスができない身体となってしまうのである。
幸い八雲法律事務所ではエストロゲンの分泌を山岡所長や先輩の菊地弁護士らに助けてもらっているため、まだ辛うじて月経はしているものの、昔と比べて明らかに月経のペースが落ちてしまっている。

八雲法律事務所においてはセックスができない弁護士は弁護士に非ずなのである。
どんな理由があろうが八雲法律事務所から追い出されてしまう可能性が高いことを意味している。
山岡所長に自身の身体の変化のことを打ち明けても「まあそんな事もあるでしょうなぁ~そうしたら次の娘が必要リャマね」と、あたかも自分の衰弱を嘲笑うかのようにからかってくるだけなのである。
最近入ってきたばかりの若者弁護士も私のことを「閉経ババア」と馬鹿にしてくる。
私は自分がセックスできなくなるのが怖かった。

そこで私は元同僚の唐澤弁護士の元を訪ねることにした。
唐澤弁護士は私が別の事務所に行った後に医療訴訟に取り組んだと聞いているので彼の医学の知識が私の身体の衰えに何か抗う術を持っているかも知れないと思ったからである。
唐澤弁護士は元同僚との久々の出会いに感謝し、私の相談にも親身に応じてくれた。
「通子が怖じ気づいちゃうとオマンコも閉塞してしまうナリ。もっと堂々として生きるべきナリ」
唐澤弁護士の精神論は私にとって強く作用したようだ。
私は年齢を理由に消極的になっていたのかもしれないと思った。
思い出せ、嘗て自分が盛りの付いた男だった時を、阿部通夫だった時を。
唐澤弁護士は精力剤をありったけ飲んで積極的に掘られるべきと私に教授してくれた。
閉じてしまうのなら無理矢理こじ開ければいい。
唐澤弁護士はその精神で世間に蔓延る法律問題と戦ってきているのだ。

次の日から私は今まで私を馬鹿にしてきた若造共に「かかってこいや極小ペニス」と煽り返してやった。
そうすると「うるせいクソババア。ワイの巨根に耐えてみろや」と、勢いよく若い男の棍棒が私の子宮を刺激してくれる。
ああ気持ちがいい。
熟練の山岡弁護士所長、技巧派の菊地弁護士、不慣れながらも一生懸命応対してくれる笠置弁護士、勢いだけはNo.1の柏原弁護士、口は悪いけど腕は確かな畔柳弁護士、優しく包み込んでくれるような長野弁護士などなど、
1人1人違うけど十人十色、1人1人のチンコが輝ける事務所、それが八雲法律事務所。
山岡所長の理想とすべき職場が完成しつつあることを私も共感した。
私は素晴らしい職場に巡り会えたことを再認した。

50代になっても元気な身体でいるためには、法的な観点など、小難しいものを撤廃して突きつ突かれつのガッツ、精神論が必要不可欠だ。
私は60代になっても閉経しない元気な身体でいたい。
意識を変えたら事務所一同が私の身体を気遣い、積極的に子宮を刺激してくれるようになった。
良い職場は良い環境から、そして良い意識を持つことが充実した人生を送る鍵となるのは言うまでもないことなのである。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

この作品について

通子は恒心文庫:クマノミ通子の性転換と同じく途中で性転換した設定になっている。

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