恒心文庫:八雲法律事務所のバレンタイン

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八雲法律事務所で性造されるチョコレートは一味も二味も違う。
八雲法律事務所に所属する弁護士は昨年の2/15から来年の2/14に備えてチョコレートの準備をする。
本来バレンタインデーでは女性が男性に対しチョコレートを渡すとされているが、八雲法律事務所の場合、最も自分の気持ちを伝えたい1名を選んで気持ちを伝えることになっている。
八雲法律事務所は伝統を重んじる事務所であるから文化財保護(無形含め)の観点から新規参加を歓迎しているのだが、バレンタインデーだけは八雲法律事務所に所属してから1年未満の者には参加資格が与えられない。
理由は至って簡単であり、1年という長いようで短い期間かけて体内で作られる一切の妥協のないチョコレート以外、相手に対して失礼に値するからである。
2023年のバレンタインデーの参加資格が与えられたのは代表の山岡の他に杉本、千葉、町田、柏原、畔柳である(女人禁制のため阿部は除外)。
世間では八雲法律事務所の弁護士は1年中乱れまくっているという認識がされているようだが、6名についてはチョコレート性造本格期間になると他者との交わりを一時的に封印する。
全ては2/13、即ちバレンタインデー前日にベストコンディションを整えるため。
手塩をかけて育てたカカオとミルク、それ以外は自分で調達した最低限の材料からチョコレートを性造する。
味と香りのみでガチンコ勝負することが大前提。
セックスレスになり、出したらない空白感で仕事に集中できなくなるのは初めて行事に参加する者にはありがちだ。
とは言っても何度目だろうがセックスできない苦しみは慣れない。
6名は苦しみに耐えながら弁護士業務と並行してカカオとミルクの性造に勤しむ。
全ては最高のチョコレートのため。
2/13、遂にカカオとミルクを解き放つ時がやって来た。
カカオとミルクは下半身の穴や上半身の棒に刺激を与えることで勢いよく排出される。
溜めてきた者達が一気に排出される時、日々のルーティーン時とは非にならない快楽が同時に訪れる。
あまりの絶頂から気絶してしまう者までいるのは最早八雲法律事務所バレンタイン前夜の恒例だ。
排出の際は1名までの協力者が認められており、参加者同士が協力しないのであれば、協力者は参加資格のない者でも外部の者でも良い(ただし男性限定である事には注意されたい)。
例を挙げると、山岡代表は同期の笠置をパートナーに選び、山岡代表のバレンタインで一番大事な瞬間をサポートしたのだとか。
快楽物質が全身に流れ、余韻に浸るのも束の間、排出したカカオとミルクでチョコレートを早急に作る。
外気に触れると酸化し、雑味が生じてしまう。
チョコレートを作る直前で今度はセックス後の快楽と戦うことになるのである。
カカオは体内で発酵済みのため、ミルク(とその他必要材料)を混ぜ合わせ冷やすだけと、誰でもチョコレートを作ることができるため、是非読者の諸君らにも真似していただきたい。
2/14、バレンタインデー当日、1年をかけて作られたチョコレートは最も気持ちを伝えたい1名に渡す事になる(一説では昨日の協力者が多いのだとか)。
日頃の感謝の気持ちと共にチョコレートを渡すという点では義理チョコに近いと言える。
こうなるとガチンコ勝負ではなくなってしまうため、山岡代表は紅一点の阿部に作られたチョコレートを全員分食べ比べてもらい、勝敗を付けるシステムを採用した。
昨年の優勝者は山岡代表であったが今年は誰の手に。
結果は明日。絶対に見逃すな。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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