「運虎武龍」の版間の差分
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'''運虎武龍(うんこぶりゅう)'''は、唐代の法律家・詩人、澤貴洋(ze-guiyang,生没年不明)の故事にちなんだ故事成語。 | |||
'''戦いにおいて運と武力は丁度虎と龍の争いのように拮抗しており | '''戦いにおいて運と武力は丁度虎と龍の争いのように拮抗しており''' | ||
'''必ずしも武力のある方が勝つわけではなくそれと同じくらい運も勝負を左右するという意味。 ''' | |||
'''転じて、「ああああああああああ!!!」と奇声を上げて脱糞するさま。''' | |||
== 成立 == | == 成立 == | ||
=== 月永帝の放蕩と諌言 === | === 月永帝の放蕩と諌言 === | ||
八世紀初頭、唐は繁栄を謳歌しながらも、北方の異民族( | 八世紀初頭、唐は繁栄を謳歌しながらも、北方の異民族(北狄、今のモンゴルの遊牧民)の度々の襲撃に悩まされていた。それまでは押して押されての均衡した状況であったのが、'''月永帝'''(げつえいてい)が皇帝に即位するとこの状況は更に悪化することとなってしまった。 | ||
[[月永]]帝は唐の歴代皇帝の中でも屈指の遊び人であった。青空を鑑賞して一日を過ごした日があったかと思えば、武芸を研鑚し磨くという名目で部下の兵士を引き連れて山奥まで虎狩りに出かけ、狩った虎の肉をその場で食し、これを'''「虎研磨」'''と称することもたびたびであった。 | |||
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'''「陛下、長江の治水工事があなたの放蕩により遅滞しているために、度々の川の氾濫により流される家々は幾千戸、命を落とす人民(百姓) | '''「陛下、長江の治水工事があなたの放蕩により遅滞しているために、度々の川の氾濫により流される家々は幾千戸、命を落とす人民(百姓)は幾万人にも及びます。彼らは流されて行方も知れず、葬式どころか墓を建ててやることもできません。 また、夷狄(いてき)に対する備えも忘れられており、長城は補修を怠っている為に所々が朽ち崩壊しております。 私は北の蛮族どもとの戦いに何度か加わったことがあります。 彼らの馬の蹄が、戦いの初めに作る微動を私は気持ち良くは感じず動悸を抑えられませんでした。 武人の私ですらこうなのに、人民たちが日々侵攻の恐怖に怯えていないなどということがありましょうか。 いやない。 陛下、私は進言いたします。 一つ、遊びをほどほどに慎み天子としての本来の仕事を為すこと。 一つ、ただちに兵士の訓練を開始させ、北への防備に当たらせること。」''' | ||
月永帝は納得し、こう答えた。 | 月永帝は納得し、こう答えた。 | ||
'''「なるほど、そなたの言う事は実に正しい。 しかし朕は生まれもっての天帝であるから働いたことなどなく、それゆえ人民の気持ちを完全に理解した施政は不可能である。 そこで朕はそなたに命ず。 的確な進言をして朕を確実に補佐する、ここの誰より才を持つ物を朕の元へ連れて来てはくれないだろうか。」''' | '''「なるほど、そなたの言う事は実に正しい。 しかし朕は生まれもっての天帝であるから働いたことなどなく、それゆえ人民の気持ちを完全に理解した施政は不可能である。 そこで朕はそなたに命ず。 的確な進言をして朕を確実に補佐する、ここの誰より才を持つ物を朕の元へ連れて来てはくれないだろうか。」''' | ||
自分より優秀な人材の抜擢を命じられた谷川亮は、困って悩んだ挙句に官僚のタマゴ、すなわち科挙の合格者をあたってみる事にした。 | |||
科挙という激烈な試験を潜り抜けてきた物ならば優秀なのは当然であったし、まして組織に入っていない段階での人間であれば上下関係などを恐れた硬直化などなくまだ十分理想に燃えている為、柔軟な答えが出ると考えたのだ。 | 科挙という激烈な試験を潜り抜けてきた物ならば優秀なのは当然であったし、まして組織に入っていない段階での人間であれば上下関係などを恐れた硬直化などなくまだ十分理想に燃えている為、柔軟な答えが出ると考えたのだ。 | ||
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貴洋は三十台にしてようやく科挙に合格した肥え太った男であったが、しかし地元(現在の河南省)では、親の七光りを身に纏い「臥薪嘗胆」と称し道楽の限りを尽くす、貴族の馬鹿息子として有名であった。 | |||
後の言動からしても彼の科挙合格は不正によるものであるというのが現代の通説であり、今で言うカンニングをした(実は科挙ではカンニングがかなり横行していた)という説と、弟の澤 厚史(ゼ-ホウシ) | 後の言動からしても彼の科挙合格は不正によるものであるというのが現代の通説であり、今で言うカンニングをした(実は科挙ではカンニングがかなり横行していた)という説と、弟の澤 厚史(ゼ-ホウシ)に替え玉で試験を受けさせた後に厚史を黄河に突き落とし口封じをしたという説が存在するが、確たる裏付け資料は未だ見つかっておらず、歴史は決して語らない。 | ||
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貴洋は答えた。 | 貴洋は答えた。 | ||
''' | '''「今すぐに兵を派遣し夷狄どもを撃滅すべきと考えます。 私の郷里には次のような言い伝えがあります。 ある山に、武芸はとんと駄目であったが、天の意を受けていたおかげで常に幸運に恵まれていた虎と、常日頃から武芸を鍛えていたが天から野蛮と評されていた龍がいました。 ある日両者は遂に激突し、激しい争いを演じることとなりました。 そして最後に勝ったのは虎の方でした。 運虎、武龍に勝つ。 いかに武芸に優れていようと天命に逆らうことなどできなかったのです。 逆に言えば天命を受けてさえいればいかなる敵であろうと関係ありません。 ここには天子になるべく、天命を受けた皇帝がいらっしゃいます。 陛下の号令ひとつで山のような兵たちが動き蛮族を必ずや滅ぼすことでしょう。」''' | ||
=== 惨敗と処刑 === | === 惨敗と処刑 === | ||
それを聞いた月永帝は喜び、臣下の反対意見も聞くことなく早速派兵を決定する。 未だ訓練の終わっていない十万に及ぶ兵士達が北狄平定に向け出発したのである。 | |||
結果は言わずもがなであった。 優秀な騎兵の群れである北狄の軍勢に烏合の衆が敵う筈もなく、あっけなく唐軍は包囲され全滅した。 「唐軍紀伝」はこの時の様子を生々しく記している。 | 結果は言わずもがなであった。 優秀な騎兵の群れである北狄の軍勢に烏合の衆が敵う筈もなく、あっけなく唐軍は包囲され全滅した。 「唐軍紀伝」はこの時の様子を生々しく記している。 | ||
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燦々(さんさん) | 燦々(さんさん)たる結果を聞いた月永帝は大激怒し、澤貴洋の処刑を決定する。 | ||
処刑の報を聞いた貴洋は慌てて逃げ出そうとするも、その肥えた巨体が仇となってすぐに捕らえられてしまう。 | 処刑の報を聞いた貴洋は慌てて逃げ出そうとするも、その肥えた巨体が仇となってすぐに捕らえられてしまう。 | ||
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そして処刑当日、澤貴洋は斬首の直前になってとうとう恐怖に負けてしまい、奇声を上げながら脱糞したと「唐史伝」は伝えている。 以下はその場面の抜粋である。 | |||
''' | '''……兵士がとうとう刀を構えると、澤貴洋は震えだし命乞いを始めた。''' | ||
'''そして聞き入れられることがないと悟るや、ついに脱糞しながら奇声を上げだし、''' | '''そして聞き入れられることがないと悟るや、ついに脱糞しながら奇声を上げだし、''' | ||
''''' | '''''「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!」(武龍龍龍龍龍龍龍龍龍龍龍流!! 仏遅遅武武武地地地武利利衣利部部部部宇!!!)''''' | ||
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'''こうしてまもなく澤貴洋は斬首された。''' | '''こうしてまもなく澤貴洋は斬首された。''' | ||
(編者注:この時代の中国に感嘆符'!'は存在しなかったが、「唐史伝」は先進的な試みとしてシルクロードを通りやってきたヨーロッパ商人の使用していた感嘆符を使用していた) | |||
このエピソードから「運虎武龍」の故事成語が出来上がり、「必ずしも武力のある方が勝つわけではなくそれと同じくらい運も勝負を左右する」という意味と「奇声を上げて大便を漏らしてしまうさま」の二つの意味を指すようになった。 | |||
== 用例 == | == 用例 == | ||
''' | '''「会社の上司にパワハラを受けているって? 一回諦めずに反抗してみろよ。 勝負なんてしょせん運虎武龍だぜ。」''' | ||
'''「掲示板の運営権を奪われてしまったよ。 僕が開発した掲示板なのに。 人生はどう転ぶかわからない、運虎武龍だなあ」''' | |||
'''「電車の中なのにお腹が痛いなあ…… 絶対に運虎武龍だけは避けたいなあ。」''' | '''「電車の中なのにお腹が痛いなあ…… 絶対に運虎武龍だけは避けたいなあ。」''' | ||
== 他の故事成語 == | |||
他にも澤貴洋やその関係者にちなんだ故事成語は幾つか存在するが、意味が現代まで伝わっていないものが多く研究が急がれている。 | |||
'''破可美事【ぱかびじ】'''……澤貴洋が並べ立てた聞こえの良い、美辞麗句を信じて大損してしまった谷川亮と月永帝の後悔の言葉から。 | |||
'''美しく見える事柄の上っ面を破り、中にある本性を暴きだすことができるという意味。''' | |||
'''聖獅出龍【せいしでりゅう】'''(青紫出龍との説も)……澤貴洋の父親にちなんだ故事成語らしいが意味は不明。 | |||
== 真実 == | |||
[[唐澤貴洋]]の二つ名'''「武龍」'''にちなんだ、単なるネタである。 | |||
== 関連項目 == | |||
* [[唐澤貴洋]] | |||
* [[語録]] | |||
* [[素心若雪]] | |||