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''テキスト(唐澤貴洋による個別報告部分のみ)'' | |||
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唐澤貴洋(弁護士・法律事務所クロス) はじめまして、弁護士の唐澤と申します。壇先生、本日はこういった機会を与えていただきましてありがとうございます。普段は表に出ないようにしています。それは本日、お話をする内容を聞いていただ | |||
ければご理解いただけると思います。では、お話をさせていただきます。 | |||
私は現在法律事務所クロスを同期の山岡弁護士と一緒に運営しております。弁護士会の活動としては、業務妨害対策委員会をメインに取り組んでおります。私自身が業務妨害を受けておりますので、自分の身を守るためもあって、同委員会に入会させていただいております。本日は、私が業務妨害を受けているなかで、ネット炎上という現象を自分なりにいろいろ考えた結果について、これからお話をさせていただきたいと思います。ネット炎上という現象を私なりに定義させていただくと、不特定または多数の者から、インターネット上で誹謗中傷ないしプライバシー権侵害等の権利侵害を反復継続して繰り返し受ける現象となります。 | |||
まず、誹謗中傷やインターネット上の攻撃がどのようになされるかの実例を見ていただきたいと思います。これは私の例なのですが、こういったかたちで、私の名前と、社会的にマイナスのキーワードを並列して書いてあります。次に、これはGoogle等で検索した際のサジェストキーワードです。例えば「無能」とか、「コーラン」といったキーワードがサジェストキーワードとして表示されております。そして、私や私の法律事務所のなりすましを行うサイトも出現してきています。 | |||
ネット炎上というのは、なぜ起こるのかというところについて私なりに考えてみると、結局、ネットに書き込むのは人間で、人間というのはどういう生き物かというと、ある種の感情、思いに左右される生き物です。人間のある種の感情や思いが発現する場所として、ネット炎上もあると考えております。感情としては、ねたみ、怒りなどがあげられます。例えば、インターネット掲示板の2ch上で、ネットウォッチ板があります。そこでよくある一つのたたき方として、セレブを自称するブロガーのブログを丹念にウオッチして、品がないだの、馬鹿だの言って、誹謗中傷します。 | |||
こだわりという思いもあります。例えば、アイドル等、非常にこだわってずっと記事を投稿し続けることです。例として適切かわかりませんが、2getという投稿があります。これは単に掲示板上の2番目に記事投稿するだけのことなのですが、このためだけに投稿用記事を用意している人がいます。 | |||
あとは悲しみとか、喜びとか、さみしいなどの感情です。さみしいという感情は重要だと考えております。炎上が起こると、普段は拡散しているネットの方々が、ある一箇所に集中、集合してくるのです。そうすると、そこのスレッドなりでコミュニケーションできる場所が形成されます。普段は散漫であまりかみ合ってないコミュニケーションも、炎上になると、非常に読むと筋が通るかたちでコミュニケーションが整然としてきます。こういったものが形成されると、そこに集っている人たちは、ある種の遊び場ができたようなものですから、なかなか解散しようとしないのです。ある種の時間的な経過がないと、沈静化というのはなかなか困難かなと思います。 | |||
炎上状態に陥ると、同じような話題だけでは場所が維持できません。あいつが好きだとか、嫌いだとか、そういうことをずっと言い続けていても、なかなか話題としてはつまらないので、新たなネタを探しにいくという行動が行われます。 | |||
ネタを探したり、ニューカマー向け、「今北産業」というネットスラングがあるのですが、今来た人たちに向けて話題をわかりやすくするためにウィキペディアをつくったり、NAVERでまとめをつくったりする営みが行われます。ひどい炎上だと電凸が行われます。電凸というのは関係各所に電話をして情報収集を行うものです。そこでなんらかの情報を仕入れて、ネットに投稿します。あとは外に出て、関連先について徘徊して、そこで徘徊して得た情報を投稿するということが行われています。 | |||
続いて、炎上するとどうなるかということで、ここから私が実際に受けた業務妨害について、お話をしたいと思います。平成24年3月ころから誹謗中傷されるようになったのですが、そこから現在までインターネット上で誹謗中傷され続けます。やり方としては、普通にSNSとか2chに記事投稿される以外にも、専門掲示板ですね。あとは専門ウィキというのをつくる人がいます。平成24年8月以降は、殺害予告や爆破予告といったものがなされるようになりました。 | |||
ここで実際に投稿として挙げさせていただいているのは、一番初めの殺害予告です。これについては、その当時、私は五反田で事務所をやっていましたので、管轄の大崎警察署にご相談しました。 | |||
平成26年3月には、のちに逮捕される男でFさんという人がいるのですが、この人が殺害予告をしまして5月に逮捕されました。Fさんというのは、1994年生まれの派遣社員で、まったく当然、面識がない人なのでした。 | |||
6月にいたっては、某テレビ局のホームページがクラッキングされて、私に関連した情報が勝手に書き換えられました。あとは不審者が、ツイキャスをしながら事務所に突撃をしてきました。このツイキャスをしながらの突撃はこのときが初めてでした。警察の方に来ていただいたのですが、それも全部放送されました。ここからツイキャスをして何かしようという連中が、それなりに事務所に訪問してくるようになりました。0chiakiと名乗る者が、カランサムウェアというランサムウェアをつくってばらまきました。ランサムウェアというのは、身代金を要求するマルウェアです。勝手にパソコンにポップアップが上がって、お金を払わないとこのポップアップは閉じませんといったものを0chiakiがつくってばらまきました。今年に入ってからのお話ですと、多数の Twitterアカウントを、0chiakiが連携したアプリのほうを乗っ取って、そこで私に対して殺害予告をされました。 | |||
4月20日に入っては、Googleマップで施設名が改ざんされる事件において、私の旧事務所ですが、恒心綜合法律事務所という事務所の恒心というので、恒心教というのを勝手につくって、それをネット上に書きまくるということをやられました。この件については警察に対して被害届を提出しています。 | |||
カッターナイフ入りの封筒が事務所の入っている建物の玄関に置かれるということがありました。 | |||
5月に入っては、盗撮されるようになりました。事務所の周辺をよくわからない人たちが徘徊して、物陰に隠れて写真を撮るのです。姿だけではだんだんわからなくなってきまして、なかにはスーツを着ている人間もいました。 | |||
あとは朝霞市役所に対して爆破予告をした人間が、私の名前を使いました。これは非常に怖かったです。3人の朝霞警察署の警察官の方がアポなしで事務所に来まして、話しぶりだと、私が犯人であると思っている節があるのです。私が犯人であるわけがないですよねというのを散々説明して言ったのですが、先生である可能性はほとんどないと思うのですと言われて、ほとんどというのが非常に気になりました。あとは、練馬区役所爆破予告事件というのがありました。これはひどかったのが、練馬区役所が爆破されるとともに、私の事務所も爆破予告を受けていたのです。私の事務所の前に古いアパートがあるのですが、そこにテレビカメラが来まして、確実に爆破されたら爆風でみんな死んでしまうような場所で、ずっと爆破されないか、映していました。テレビで私の事務所の名前は出ていなかったのですが、爆破されていません、みたいなニュースがあったのは記憶しています。 | |||
7月には 0chiaki、先ほど言った男が逮捕されました。 | |||
これも新たなかたちだなと思うのですが、最近行われたのが、統合失調症なり、精神的にやんでいる人をインターネットでそそのかして、ツイキャスさせながら事務所に突撃させるのです。あとは、鍵の部分を接着剤で固められるということがありました。また、基準値を超えるセシウムが検出された土が置かれることもありました。 | |||
ある加害者にインタビューしたところ、インターネットをやっているときは、嫌なことは一切忘れられると言っておりました。過激なことを言って、ほかのユーザーの注目を集めると楽しかったと。自分は特定されるとは思っていなかったとも言っていました。これ以外にも、いくつも私は、何人かの加害者の人たちと会って持った印象ですが、だいたいこういうことをやっている人たちは、10 歳代後半から30 歳代の男性で、無職ないし学生です。外見は気が弱そうな人が多かったのです。やはりインターネットに取り込まれる環境があったり、例えば、友達が少ないとか、なかなか自分の意見を表明できないキャラクターがあるとか、こういった方々が多かったように思います。 | |||
先ほどお話しした0chiakiは、逮捕時17歳の無職の少年でした。 | |||
私に起こった業務妨害について、警察や弁護士会の方々、非常にご尽力をいただいておりまして、現在は1名逮捕、複数名書類送検しています。 | |||
結局、対処療法的対応しても、こういったものは解決しないのではないかと考えております。私は被害を受けている中で、一時精神的にかなり追い込まれた。かなり仕事にも影響が出ました。こういったことが普通の方にも起こったりすると、大変なことだと思います。まず、被害が深刻だということを社会で認識してほしいと考えております。そして、加害者というのは意外に悪気がないので、人を誹謗中傷することは悪いことなのだということを、ちゃんと広く社会に知っていただきたいとは思っています。こういった問題は、まだ社会問題としては認識されていないよう思います。 | |||
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