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「唐澤貴洋/新聞記事」の版間の差分

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「一方的な契約解除はちゃんとした理由がなければできません。嫌気がさしたとか、金銭的な不満があるというだけでは解除は難しいのが実情です。新しい事務所が金銭的に補填するようなことがあれば、契約期間が短くなるかもしれませんが……」
「一方的な契約解除はちゃんとした理由がなければできません。嫌気がさしたとか、金銭的な不満があるというだけでは解除は難しいのが実情です。新しい事務所が金銭的に補填するようなことがあれば、契約期間が短くなるかもしれませんが……」
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== <今日逮捕されました>ある弁護士と「恒心教」 全国に爆破予告 実態つかめぬ“宗教”の暴走(神戸新聞、2023年11月12日) ==
{{archive|https://www.kobe-np.co.jp/news/richb/202311/0017014763.shtml|https://archive.vn/OaxPa|<今日逮捕されました>ある弁護士と「恒心教」 全国に爆破予告 実態つかめぬ“宗教”の暴走}}
 コウシンキョウ。漢字では「恒心教」と書く。インターネット上にのみ存在する「架空の宗教」で、そこには宗教性も政治思想も見えてこない。個人個人がネット空間で勝手に“信者”と化し、特定の弁護士への誹謗中傷を繰り返す。挙げ句、その弁護士を名乗り、全国各地の役所や学校への爆破予告を重ねる事件が各地で相次いだ。「自分は単なる記号としての『ミーニング』に利用されているに過ぎない」。兵庫の事件でも名前を利用されたこの弁護士は、一連の背景をそうみている。
'''■布教活動'''
 「爆破、殺害予告30万件超」
 東京音楽大にファクスで脅迫文を送ったとして、8月下旬、警視庁が威力業務妨害容疑で20代の男2人を逮捕したというニュースが全国を巡った。
 2人は、今年1月から5月にかけて、同様の爆破・殺害予告を全国の学校や自治体、企業などに延べ30万件以上送りつけたとみられ、うち1人は取り調べに「恒心教を広めたかった」と話したという。
 架空の宗教、と呼ばれる恒心教の実態はつかみどころがない。ある捜査関係者も「恒心教の知識を得るのは、ほぼネット情報から」と苦笑する。
 いずれの事件にもおよそ共通するのは、発信元の匿名化技術が高い点。さらに、ネットの掲示板で特定の弁護士を攻撃する人たちでもある。
'''■グーグルマップ改ざん'''
 「明らかに私を念頭に置いた名前でしょうね。迷惑どころの話じゃないですよ」
 恒心教から攻撃を受けているというその「特定の弁護士」は、憤りを隠さない。
 東京に事務所を構える唐沢貴洋さん、45歳。
 ネットの誹謗中傷対策に詳しく、2012年、ネット掲示板「2ちゃんねる」で誹謗中傷を受けていた少年の弁護を担当した。
 代理人として投稿の削除請求をしたことで、唐沢さんも攻撃対象になったとみられる。
 当時、構えていたのが「恒心綜合法律事務所」。唐沢さんをからかって「尊師」とあがめ、攻撃する人たちが「恒心教」を名乗るようになった。
 15年には、ネット上の地図サービスで、国会議事堂や原爆ドームの表記を実在しない「恒心教」の施設名などに書き換えたとして、会社員ら3人が軽犯罪法違反容疑で書類送検される「グーグルマップ改ざん事件」が起きている。匿名での誹謗中傷が、今ほどには社会問題化していなかった頃だ。
 その後も行為はエスカレートしていく。
 唐沢さん本人に対する殺害予告。本人や弁護士事務所をかたって役所や学校に爆破予告が送りつけられるようにもなった。事務所に抗議の電話が殺到し、仕事にならない日々が続いた。
'''■15歳のY君'''
 「今月末で辞任しなければ、登下校中の小中学生をスタンガンで気絶させて誘拐し、爆弾をくくりつけて市長室に特攻させる」
 昨夏、当時の泉房穂・明石市長宛てにこのような文面の脅迫メールを送ったとして、兵庫県警は今年2月、職務強要の疑いで22歳の男、Yを逮捕した。県警捜査1課によると、Yは横浜市に住んでおり、泉氏との面識はなかった。捜査関係者の話では、Yは恒心教のメンバーを名乗っている。泉氏などに宛てた脅迫文には先の過激な爆破予告のほかに、恒心教の特徴とされる「ナリ」や「334」といった文言も並んでいたという。
 実は、Yとは過去に面識があった、と唐沢さんは打ち明ける。名前もはっきりと覚えていた。「あれは、確か、Y君が15歳のときでした」
'''■過去の接点'''
 今から7、8年前。事務所をはじめ、何度も嫌がらせの行為をされた。警察沙汰の騒ぎになった。まだ未成年だったYの仕業だった。季節は秋から冬ごろ。呼び出された母親が着ていたコートの袖が汚れていたのが印象的だった。シングルマザーといい、Yは進学校に入学したが学校生活がうまくいかなかったようで、当時は通信制の高校に在籍していた。家でも暴力的な一面があるといい、気苦労が絶えないようだった。
 境遇を聞くうち、唐沢さんは「これ以上責められないな」と同情した。水に流し、終わったと思っていた。だが、更生の願いは裏切られた。
 攻撃が再開した、と気付いたのは2021年ごろ。ツイッター(現在のX)でYとおぼしきアカウントから執ように絡まれたり、Yから事務所に、求人票が一方的に送りつけられたりするようになった。関連は分からないが、事務所の外壁に「母子家庭を差別するな」と書いた紙も貼られた。同じ頃、自身をかたる爆破予告があちこちに送りつけられるようにもなった。唐沢さんは「何とかしてほしい」と警察に相談した。
 予感は当たった。Yが逮捕されたとの知らせを聞き、「その後の人生もうまくいかなかったんだな」と、残念な気持ちになった。
'''■ルイズ突撃隊、ナリ'''
 兵庫県警の調べでは、Yは泉氏などに対する脅迫メールを、別の自治体の問い合わせフォームや風俗店のホームページを悪用して送信していた。取り調べでは、「ニュースになればいいなと思った」と供述したという。
 Yは、発覚を逃れるため「Tor(トーア)」という通信手段を使っていたとされる。送信元を秘匿することができ、東京音楽大への脅迫事件でも使われたシステムだ。
 捜査関係者などによると、Yが脅迫文で名乗ったのは「ルイズ突撃隊」。加えて語尾を「ナリ」とするなど恒心教の特徴的な文体や、過去の唐沢さんとの接点も踏まえると、恒心教の“信者”と考えて矛盾はないという。
 一方で、唐沢さんの事務所をかたる爆破予告は、Yが昨年10月に警視庁に逮捕された後も、全国各地に送りつけられている。
 兵庫県教育委員会によると、東京音楽大に対する脅迫事件と同時期の今年1月23~24日、2日間で少なくとも県立大と県立高校98校の計99カ所に、唐沢さんの名前をかたるなどした脅迫文がファクスで届いたという。
'''■現代の闇'''
 一見アナログに思われるファクス。だが、“信者”はこのファクスにも匿名化技術を悪用し、爆破予告を送っていた。発信元を秘匿した上でネット注文して脅迫文を送りつけるという、巧妙なやり方だ。捜査関係者の1人は「トーア以外にも海外のサーバーを経由するなど、何重にも発信元が秘匿されていて、なかなか本人にたどりつけない」と、特定の難しさを語る。
 “信者”の心理を、唐沢さんはこうみている。最初は「あいつ、面白くない奴だな」という、ある種の動機めいた感情があったのかもしれない。ところが、今はもう「なかなか倒せないから、なんとか倒してやろう」という、ゲーム性の方が中心になってしまっている-。
 唐沢さんは警察への情報提供を続けており、全ての犯人に対する厳罰を望んでいる。Yや東京音楽大の脅迫事件のように、脅迫文の特徴や屋外での足取りが端緒となり、逮捕者も出てきた。
 「居場所がなくてネット空間に依存する生活と、一方で現実社会に存在を示したいという自己顕示欲とのアイデンティティークライシス(自己同一性の喪失)の中でやっているように見える」と唐沢さんは言う。確か、Yも友人がおらず、写真を撮ることとインターネットが趣味の、孤独な少年だったように記憶する。
 捜査に関わった刑事がYについて「面と向かって話していると異常性を感じない」と話したのが、唐沢さんにとって印象的だった。裏を返せば、ネット空間という匿名社会に身を置いた途端、全く別の人格が顔を出すのかと思うと、問題の根深さを痛感する。
 SNSが普及し、インターネット上での誹謗中傷が社会問題化して久しい。個々の内面、精神のゆがみから生まれているのだとすれば、恒心教の「悪事」の根を絶つのは簡単ではない。唐沢さんは言う。 「他人に迷惑をかけようが何だろうが、とにかく人に知ってもらうことで自我を保とうとする人たちがいる。そこに、現代の闇が詰まっているように思えてしかたがないんです」


== 註釈 ==
== 註釈 ==
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