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「インターネット上の扇動表現と発信者情報開示請求」の版間の差分

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=== 4 判決分析から得ることができる権利侵害を誘発する扇動表現への法的対応の示唆、課題 ===
=== 4 判決分析から得ることができる権利侵害を誘発する扇動表現への法的対応の示唆、課題 ===
 一つの問題として、住所や通っている学校名など、対象者の情報をインターネット上に公開し、発信者としては、対象者に対して何らかの嫌がらせ行為が起こることを企図している場合について考えてみると、このような場合は、そういった情報が対象者個人のプライバシー情報にあたる可能性が高く、プライバシー侵害で権利侵害を構成することはできる。
それにより、発信者情報開示請求訴訟を行うことは可能であるが、本件投稿のように、呼び掛け行為そのものと同様の違法性が評価されるかは、その後の損害賠償請求訴訟で問題になってこよう。<br>
 上記行為は、単なるプライバシー権侵害ではなく、別途権利侵害行為を誘発している側面があるという点についても、法的には評価される必要がある。
その場合、その情報についてどの程度の誘因力を認めるか、扇動後の事情にとって「不可欠かつ重要な原因」といえるかが問題となってくる。
この点について考察してみると、歴史的にみて、その情報が対象者への権利侵害行為を予防するために一般に公開されていない情報であって、社会的に対象者に対して権利侵害行為が認められていた場合、権利侵害行為を容易にするために情報が公開されていたと評価しうるのであり、強い誘因力が認められる。
そして、当該プライバシー情報がなければ、新たな権利侵害行為が認められなかったといえる場合は、プライバシー情報は扇動後の事情にとって「不可欠かつ重要な原因」と評価しうると考える。<br>
 今後、扇動表現により権利侵害行為が誘発された場合の、当該扇動表現の法的位置づけについては、扇動表現が内包する情報による波及効果への考察や、その情報の従前の取り扱いへの考察が不可欠であり、こういった点についての事情の収集、分析を行い、法的請求を行う必要があろう。<br>
 本来であれば、扇動表現について立法による手当てができればよいが、これは、表現の自由との関係からかなり深刻なハレーションが起こる可能性も否定できないため、慎重に議論を行い、立法事実に即したきめ細やかな立法をする必要があるが、本稿では、違法な扇動表現への法的規制というところまで考察することは与えられた役割を超えるところであるため、また別の機会に考察したい。
<div style="text-align: right;">からさわ たかひろ</div>


{{唐澤貴洋}}
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