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恒心文庫:里還り

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

Y君、君は大地の神と聞いて何を思い浮かべる?
私のの予想が正しければ、母親的な女神を思い浮かべるだろう。私は数々の神話を見てきたが、古代の人々も実際そう思い浮かべていたようだ。
ではなぜそう思うのか?それを知る為には一旦本題から離れなければならない。
時にY君、君は自分が死んだ後、遺体はどうなると思う?
……君が思い浮かべたのは大方、火葬、土葬、水葬、樹木葬、それから風葬と宇宙葬あたりだろう。
そして君は、これらが全て遺体や遺骨を大地、又は大海に還すものであることに気付いただろうか?
そう、母なる地球に遺体を還す行為。これが何を意味するのか。
近年では「バブみ」とも称される、原点回帰、即ち赤子へと、もっと言えば母親の胎内へと、自分の発生した里に還ることを意味するのだ。
そして、なぜ古代人の頃からそのような文化が残されているのか。
私が思うに、これは人類の本質的な、無意識の中にある回帰本能であり、それが達成されることに強い快感を抱いている。
それこそが地球が♁、逆さまの♀で表される理由であり、大地が母なるものと認識される理由であり、そして全ての遺体が遺族の元を離れ地球へと還る理由なのだ。

「……それでKさん、それはこの状況と何の関係があるんですか?」
机の足に四肢を縛り付けられたYの前で、ナイフを持ったKはまるで救世主のような優しい笑みを浮かべた。
「すまないね。君が私の弟と同じように私の手によって母親の元に還る時が来たと思うと嬉しくなってしまって、ついつい関係ない話をしてしまったよ。」

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