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恒心文庫:遅すぎる反抗期

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

貴洋は全てを憎んだ。
この残酷な世界を。
負けたくはない。弱い自分に。
思えば、今まで負け続きな人生だった。
だからこそ、勝つんだ。
運命を、乗り越える。




口をすぼめた尺八顔のまま、心筋梗塞で死亡した洋の口腔は死後硬直によって固まり、
貴洋のペニスを、この世の全てを否定するかのような意固地な頑強さで以て支配した。
貴洋は死を覚悟した。
だが、股間にぶら下がる奇怪な蝋人形を前にして、図らずも浮かんできたのは、
今までの自分の人生をエリートというレールで支配する父の姿、そして反骨心。
奇しくも、貴洋は42歳で遅すぎる反抗期を迎えたのだった。


その後、性器にしゃぶりついたまま白目を向いて死亡した老人と、妙に誇らしげな笑みを浮かべた男の遺体が発見されたのは言うまでもない。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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