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恒心文庫:パンツの日

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

7月21日はオナニーの日。
7月25日はかき氷(なつごおり)の日。
8月1日はおっぱいの日……。
日本人は語呂合わせによる記念日作りが大好きである。

そして8月2日はパンツの日。
この法律事務所では、パンツ出勤の日であった。

今夏の暑さは異常である。
この殺人的な猛暑を乗り切るための究極のクールビズ。それこそが、とある会計士が提唱するパンツ出勤である。
身にまとうのは下半身の肌着のみ。機能的合理的かつ扇情的なファッションスタイルにより、男たちの夏は更に熱くなってしまうのだ。

胸毛の立派な男のパンツは、ゴールデンに輝くブーメラン。左乳首に刺さったバッジが夏の太陽を受けて眩く輝く。

危険な雰囲気の男のパンツは、真っ赤に染まったビキニである。セクシーな男にのみ許されるそれは、きっと返り血を浴びても目立たない。

白いもみあげの紳士のパンツは……、ふんどし! トラディショナルかつワイルドな男の魅力を十二分に引き出す白の越中ふんどしに、男たちの熱い視線が注がれる。

小太りの男のパンツは、もちろん白のブリーフであった。セクシャルなファッションとしての下着を否定するような素朴な布は、しかしその男に一番似合う下着である。
キュムキュムと可愛らしく歩く姿に純朴な小学生男児を幻視した男たちは、不思議な背徳感に密かに高揚する。

夏。
下着姿の男が四人集まったとき、何が起こるのか?
もちろん、性交への発展である。

はいているパンツを破らないように、下半身から脱がさないように、ずらして挿入するのがパンツの日のたしなみ。
法律事務所クロス。ここは、男の園。




……とは言ったものの、ここは男だけの園ではない。
パンツスーツという常識的な服装で出社した女性事務員たちは、男たちの乱交を無視して懸命に働いた。
クロスの存続は、彼女たちの働きあってこそなのである。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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