恒心文庫:エリカ様
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本文
エリカ様は素晴らしいお方だ
私みたいな中年男性でも愛してくれる
そんなエリカ様に私は身も心も捧げ尽くしていた
エリカ様の為ならなんでもする
どんな汚い仕事でも喜んで片付ける
ある日ヘマをしてしまい追われる身となってしまった
私はエリカ様にだけは迷惑をかけたくない一心で愛猫すら放置して逃げた
しかしながら最後にエリカ様の顔を見て別れの挨拶をしたいと住まいを訪ねた
そこには若い見知らぬ男がエリカ様と寝ていた
私の中で何かが崩れ落ちた
エリカ様は売春婦だ 私を愛していたのは金の為で私は単なる客の一人に過ぎなかったのだ
そして私の弁護士という肩書きはエリカ様にとっては都合の良いもので
利用価値があったから便利に扱われていたにすぎないのだ
当たり前だ、わかっていたつもりだ、
だが私はどこかで淡い期待を抱いていた
それが完全に砕けてしまった今、全てがどうでもよくなった
私の中で何かが壊れた
気がつくと手に血まみれのナイフを握りしめ
床にはエリカ様と男が血だまりの中転がっている
その夜私は行くあてもなくボート漕いで海を進んでいた
空を眺めるといつかエリカ様と一緒に見た星が浮かんでいる
星よりも歓楽街のネオンよりも、エリカ様はいつも輝いていたんだ
昔の事を思い出す、私がエリカ様に抱いていたのは崇拝や憧れなどではなかったのではないか?この感覚は一体?
あぁ、あれはきっと恋だったんだなぁと私は星空の下で声を上げて泣いた
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
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