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恒心文庫:お盆

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

ATSUSHIは期待に胸を膨らませていた。
最近の新聞で自分のことを兄が書いてくれていたからである。
いつも盆には兄の夢の中に出ているのだが、そのたびに邪険にされていたATSUSHIは、今年こそ兄と会話を交わせると思っていた。

そして、盆になり、ATSUSHIは兄の夢の中に出ていった。
「兄さん、久しぶり」
「ねえねぇ君、お母さんはいないの? …誰だ?男子高校生は邪魔ナリ」
「兄さん!新聞記事読んだよ!嬉しかった!」
「ATSUSHI? あれで供養は終わったはずでふ。いま忙しいナリ」
ATSUSHIは帰った。しかし諦めがつかなかった。
女の霊の友達にコンタクトをとり、いろいろと揃えてもらい、ムダ毛を処理し、厳しい所作指導を受けた。

次の日、ATSUSHIはメイクバッチリ、かわいらしいメイド服、ウィッグで兄の夢に現れた。
夢の中でも幼女に声をかけていた兄だが、魅力的な自分に気づいて、ニヤニヤしながら近づいてきた。
ATSUSHIは前日教わったとおり、かわいらしくか細い声を作り、スカートをめくった。
「男の娘だけど、いい?」
「ハイなり」

朝、兄が夢精しているのを確認して、ATSUSHIはあきれつつも、来年はどうしようかと思案しながら帰っていった。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

挿絵

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